
雨、8度、74%
昨日は久しぶりに気温が上がりました。身体が緩みます。日差しもあったので椅子を窓辺に引き寄せて、日がな一日、歌集「ゆふすげ」を開きました。
上皇后美智子様の皇太子妃、皇后時代、つまり「昭和」「平成」にわたる未発表の歌を集めた歌集です。年初めの歌会で耳にする美智子様のお歌はその年々にお心に刻まれた想いをお詠みになりました。大きな地震が2度ありました。被災地を度々訪れられた後のお気持ちでしょう。天皇様との海外旅行もいく度か、美智子様らしい目線で小さなことを捉えて詠まれます。この歌集はそういう美智子様の歌よりもより個人としての歌が多い歌集です。妻として、母として。
「ゆふすげ」は「キスゲ」のことです。黄色い百合に似た花を咲かせます。私はまだ実際の「キスゲ」の花を見たことはありません。「キスゲ」のことを読んだのは50年近く前、高校の時でした。立原道造の歌集「萱草に寄す」この題名の「萱草」が「キスゲ」です。詩に詠まれた「キスゲ」を想像しますが当時はすぐに調べる手立てはありませんでした。そして半世紀、数年前、立原道造の建築家としての本を読んでいる時に再び「キスゲ」に出会いました。すぐさま手元のスマホで調べます。黄色い優しい小ぶりな百合に似た花です。群生する様子が見られます。浅間、日光、有名な「キスゲ」の群生地だそうです。
「ゆふすげ」が出版されたのは昨年末、やっと手にしました。そしてこの歌集にいく句もの「ゆふすげ」「キスゲ」の歌が収められています。美智子様がよほどお好きな花なのでしょう。那須や軽井沢に避暑に行かれた折に見られた風景でしょうか?「ゆふすげ」に心を乗せて歌を詠まれています。天皇様への想い、ご自分のお母様への想い。花の優しい姿がそのまま美智子様に重なります。一句読んでは庭を見ながらその歌の光景を思います。
全部で五百句近い歌が収められています。春近いと感じる窓辺でいい時間を過ごすことができました。 装画は安野光雅の「ゆふすげ」です。
同じ女性としてこの歌集「ゆふすげ」はこの先の私の心を支えてくれそうです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます