曇、23度、91%
数キロ先の町まで歩いて買い物に行きました。小雨が降って気温も低くはありませんが、日が照っていないのが嬉しい。住宅街を抜けるコースを選びました。車も通りますが、国道ほどの多さではありません。一本道の小さい頃からよく歩いた道です。足元で何かが動く気配がしました。横歩きの大きな蜘蛛!と咄嗟に感じました。立ち止まって塀の辺りに目を凝らすと「サワガニ」がこちらを見ています。
私と目が合うと、ハサミを開いて振り上げます。地味な色の「サワガニ」です。この辺り池も沼もありません。大きな団地の向こうに川があります。どこが住みかなのか?子供の頃「サワガニ」が私の家にもいました。座敷外の蹲の石の下の小さな池に住み着いていました。池には魚はいません。まきの木と古木の梅が小さな池を覆い被さるように立っていました。その蹲の石が「サワガニ」の住処でした。「カニ」は雑食だと聞きます。石につく苔なども食べます。小さな「サワガニ」ですがハサミがあるので怖いと思っていました。それでも縁側からそのカニたちを見ていました。
我が家の「サワガニ」は共食いをしました。弱そうな「サワガニ」をみると数匹で殺してバラバラにして食べます。残骸は翌日にはきれいないなくなっていました。共食いを見知ったのは家の「サワガニ」からでした。時には大きな青大将が梅の木から「サワガニ」に目をつけて、ものすごい速さで飲み込むのを見たのも家の小さな池でのことです。小さな庭ですが自然を教えてくれました。
道で出会した「サワガニ」から幼い頃の家の「サワガニ」を思い出します。もう少しハサミが赤かったように覚えています。さてさて、この小さな生き物どうやって家まで帰ったのでしょう。一日どんよりした天気、幾度となく「サワガニ」を思い浮かべました。