晴、6度、72%
「桜餅」が和菓子暦では三月の物だと知ったのは、数年前でした。ずっと四月の和菓子だとばかり思っていたのは、昔の桜の時期が入学式ごろだったからでしょう。「桜餅」は香りが強い和菓子の一つです。「よもぎ餅」と並んで私は香りを食べたくなります。
「桜餅」を自宅で作るようになったのは香港時代です。容易に和菓子が手に入らなかった頃は在住の日本人は和菓子も手作りしていました。「羊羹」まで作る方がいました。一度作ると意外な簡単さ驚きます。私は関西風の道明寺粉を使った「桜餅」です。「桜の葉の塩漬け」とこの道明寺粉の買い置きがあれば、すぐに作れます。桜色に道明寺粉を染めるのが一番の難儀です。赤過ぎると、安っぽく見えてしまいます。蒸した道明寺粉に餡子を包みそっと桜の葉を纏わせます。まだほの暖かな道明寺粉に桜葉が触れた途端に「桜」が香ります。「桜餅」の香りは桜葉の香りです。香り立つ瞬間、「幸せだわ。」と感じます。
父母にもお供えを。初めて作った時、桜葉の塩抜きを忘れてしまいました。強目の塩味がする「桜餅」、これがなかなか美味しく感じたことを思い出します。温かなうちに頬ばると、幾つでも食べれます。
葉っぱに包む、優しい色に染める、香りを楽しむ、繊細な日本の庶民のお菓子です。寒さの戻りで桜の散りが遅くなりました。桜が残っているうちにもう一度「桜餅」を作ります。
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