曇、14度、72%
6年前の早春に帰国しました。当時の我が家の庭はむき出しの土、まだ芽吹かない裸木、殺風景でした。木を植え、芝を植え、植物を育てました。真冬はそれでも寂しい庭となります。春が近付くと、足音がするように春がやって来るのを目の当たりにします。土からも木からも緑が芽生えます。数えたらキリがありません。どんなに寒い冬でも季節が回って、土を動かし、私が眠っている間でも動き続けています。朝、カーテンを開け目の前の緑に日々驚きます。
桜や名だたる花たちが咲くのも喜びですが、遠くの景色まで見えていた木々の間が緑で埋まる、足元が緑に染まるのは幸せです。「ツルハウンラン」と言う植物があります。外来種でツルで伸びて行き雑草扱いをされています。繁殖力が強いためです。帰国後すぐでした。空き家になった他所の家の庭に「ツルハウンラン」がみっしりと生えでいました。「綺麗だ、なんだろう?」小さな葉の形もその合間に見え隠れする小さな花も愛おしく思えました。
この草が私の家の庭に飛来したのは4年ほど前だったと思います。「雑草かな?」と思い抜いたものもありました。「あっ!あの草だわ。」と気付いてそのままにしておくと、前の庭は緑の絨毯になりました。今年も芽生えました。今年は家を挟んで裏庭にも「ツルハウンラン」が地面を覆います。 主人は雑草と思い抜きますから、「可愛いからそのままにしておいて」と釘を刺しました。踏みつぶさないように爪先立って歩いてくれる主人です。柔らかな丸みを帯びた葉、小さいながら精巧な花、座敷に面した和風のものを集めた庭は、今、「ツルハウンラン」が敷き詰まっています。
5月の終わり梅雨に入る時期になると徒長します。絨毯が乱れ始めます。その頃合いで、「また来年ね。」と潔くツルを引き抜いてしまいます。これほど好きな「ツルハウンラン」ですが、枯れが出る一歩手前で庭から姿を消します。
「ツルハウンラン」の絨毯はさぞ気持ちがいいのか、ココがこの上で昼寝をしていることもあります。 短い間ですが、「ツルハウンラン」の美しさをもらいます。
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