晴、7度、70%
先日、チョコレートを作りました。チョコレートをうまく固めたり艶を出すために、「テンパリング」という作業を繰り返します。湯煎にかけ温めて温度を上げ、下がって来たらまた温度を上げる作業です。その間、チョコレートに差し込んだ温度計と睨めっこします。赤いアルコール液がわずが10度以内を行ったり来たりするのを見守ります。寒い季節は温度が下がりやすく要注意です。
温度を測る器具も測りたいものに近付けるだけで感知するものが今ではあります。棒状のガラスでできた温度計は鍋肌に触れると正確な温度が測れません。非接触型の温度計は精度が高く作られています。新しい器具があるにも関わらず、買わずにいまだに「棒状温度計」を使っています。頻繁に使うわけではありませんが、「生姜牛乳プリン」など温度が大きく影響するものを作るときは、必ず登場します。
チョコレートに突っ込んだ「棒状温度計」を見ながら、この温度計との長い付き合いを思い出しました。小学校4年の時、理科の実験器具を揃えてもらいました。顕微鏡、フラスコ、ビーカー、シャレー、試験管、アルコールランプ、などなど。その中の一つが、この「棒状温度計」でした。大した実験をしたわけではありませんが、これらの実験器具は私の宝物でした。大学に入りこの家を出ても裏の部屋の什器入れに全部ありました。
結婚して菓子作り、パン作りを始めました。菓子作りで温度計が必要なのはチョコレートを作るとき、パン作りもやはり生地の温度や仕込み水の温度を確かめるために使います。買えば数百円のこの「棒状温度計」を帰省した折、実験道具の中から東京に持ち帰りました。つまりこの「棒状温度計」とは半世紀以上の付き合いです。数日前、初めてその事に気付きました。おそらく台所にあるものの中で最古参だと思います。
実験器具はこの家の改築時に全て捨てました。「棒状温度計」は香港にも持って行きました。海を渡る大きな引っ越し荷物の中の片隅に「棒状温度計」は入っていました。よくもまあ、この雑な私が割ることもなく長く使い続けているかと驚きです。 こんな入れ物に入っています。
肉やパン生地に差し込んで温度を見るこんな温度計も持っていますが、出して来て使うのはほとんど「棒状温度形」です。
長く働いてくれています。手に取るといろんな思いが湧きます。これからも大事に使います。「よろしくね。」
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