
網走といえば、刑務所。高倉健主演の”網走番外地”で有名になった。現在の刑務所は少し離れた所にあるが、明治時代当時の網走監獄施設を移築復元、再現構築し、博物館として公開されている。むかし、一度訪れたことがあるが、本年2月、開設120年を記念して一部、りニューアルしているので、はじめての訪問のような感じがした。
上沼恵美子のようなおもろいガイドさんが、暗いイメージの刑務所を、面白く説明してくれた。はじめて知ったことも多くあった。明治のはじめ、囚人たちが、網走から旭川までの道路をつくった話は知っていたが、その囚人たちが、西南戦争で敗れた薩摩の侍たちであったことを知り、驚いた。1日3時間ほどしか睡眠をとらせず、またお風呂も3分間、働きづくめの毎日だったらしい。途中で亡くなった人も多数いたらしい。勝てば官軍、負ければ賊軍、厳しいものだ。北海道開発の礎となった人々なのだ。


五寸釘寅吉の話も印象に残った。この男は脱獄の名人で、何度もほかの刑務所から脱走していて、警戒厳重な網走監獄に入れられた。しかし、ここからの脱獄にも成功した。わずかな面積の鉄製の窓を、毎日の食事の味噌汁の塩分を毎日、窓枠に塗り、とうとう錆びつかせ、そこをはづし、抜け出したのだ。そして、関東にわたり、生き延びたが、ある日、道端で一人の警官に会う。その警官が、寅吉にタバコを半分に割り、それをくれた。おいしく吸って、その警官の情に感じ入り、あなたの手柄にしてやると、一部始終を話した。最後は、府中刑務所に入り、模範囚として生涯を終えた。この話は映画にもなり、緒方拳が寅吉役だったそうだ。

映画というと前述の”網走番外地シリーズ”だが、同じく健さん主演の”幸福の黄色いハンカチ”も忘れられない。網走で刑期を終え、妻の待っているかもしれない夕張の家に向かう。まだ、ひとりでいるなら、黄色いハンカチを物干しにつけておいてくれと葉書を出す。途中で武田鉄矢と桃井かおりと出会い、彼らの車に乗り、妻、倍賞千恵子の待つ家に近づく。そして、車窓から、高く掲げた物干し竿いっぱいに、何十枚の黄色いハンカチが風にたなびいているのがみえる。目がしらのあつくなるシーンだった。
