おはようございます。
原宿の太田記念美術館で開館40周年記念の”肉筆浮世絵名品展”が開催されている。そこに葛飾応為の”吉原格子先之図”が出展されているが、6年振りの再会となる。この絵画の光と影の美に魅了され、機会があれば、もう一度と思っていた。
それが、この絵。
舞台は江戸の遊郭の夜。格子の向こうには、明るい部屋の中で、華やかな着物をまとう遊女たち。そして、格子の外には、遊女たちをのぞき込む男達の姿がシルエットのように描かれる。道には幾筋もの格子の影、行灯のまるい光。何度、見ても素晴らしい。
葛飾応為は北斎の三女で、絵師と結婚したが、夫の絵をけなしたこともあり(笑)、うまくいかず、出戻りしたあと、晩年の北斎と一緒に住んだ。もともと画才があり、晩年の北斎の作画の手伝いをした。すみだ北斎美術館で、北斎と阿栄(応為)が暮した部屋が再現されているのでちょっと紹介します。
あまり美人ではなかったそうだが、こんな顔をしていたのかも。片岡球子が描いた”北斎の娘、おゑい”です。気が強そう。
応為は北斎の助手をつとめたばかりではなく、自身でも作品を残している。とくに美人画が得意だったようだ。北斎も”余の美人画は阿栄(応為)に及ばず、妙に画きて、よく画法にかなえる”と褒めている。多分、北斎の美人画の多くは応為が描いたものではないだろうか(笑)。
でも、応為の作品は世界に10点ほどしか残っていないそうだ。どんな絵か。今回、購入した”葛飾応為鑑賞ガイドブック”に応為の肉筆画3点が載っていた。ここにも記録しておこうと思う。さすが、北斎がほめるだけのことはある美人画だ。
三曲合奏図(ボストン美術館蔵)
月下砧打ち美人図(東博蔵)と夜桜美人図(メナード美術館蔵)
本展では、応為のほかにも、北斎、歌麿、広重、又兵衛、春信、国芳、英泉、芳年らの素晴らしい肉筆画が展示され、堪能した。とくに、広重の淡彩の滝などの風景画がよかった。
とてもすばらしい展覧会だった。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!