[北朝鮮の全員会議結果報道にみる南北関係]
昨年の新年の辞では10回言及
今年1万8千字の決定文には「南北」に全く触れず
悩み深まった韓国政府
3月の韓米合同演習を実施するか否かが
今年の朝鮮半島情勢の最初の分水嶺になる見込み
戦作権の移管と相まって困惑
韓国政府、「北朝鮮、対話中断は宣言していない
韓米、演習の自粛を確認」
北朝鮮の金正恩国務委員長が12月31日、労働党中央委員会本部庁舎で第7期第5回全員会議を指導したと、「朝鮮中央通信」が1日付で報道した/聯合ニュース・朝鮮中央通信
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党中央委員会委員長の新年構想に、韓国に向けたメッセージはなかった。
労働党中央委員会第7期第5回全員会議の結果を伝えた「労働新聞」の1日付の1万8千字の報道文に、「北南関係」は一度も登場しなかった。金委員長が2019年の新年の辞で、「北南関係」を10回も言及し、「前提条件なしの金剛山(クムガンサン)観光と開城(ケソン)工業団地の稼動の再開」の意思を明らかにしたものとは明らかに異なる。
これについて
南北関係に関する言及の“不在”には、否定的な側面と肯定的な側面が共存する。まず、金委員長が情勢の解決策を模索するために招集した全員会議で、「南北関係は重要な要素と捉えていないことを示した」と、元幹部関係者は指摘した。昨年2月のハノイ朝米首脳会談後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の存在感の下落と韓国の役割に対する北朝鮮の失望感が反映されたものと見られる。
文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が2018年5月26日午後、板門店北朝鮮地域にある統一閣で首脳会談を開催する前に、白頭山の絵の前で記念撮影を行っている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社
一方、米国を「強盗」と非難した金委員長が今回、南北関係について言及したとすれば、強硬基調にならざるを得ないことから、むしろ“機会の窓”を閉じなかった肯定的な側面を見る必要があるという指摘もある。南北関係に関する金委員長の「綱領的指針」が公表されていないので、韓国の対応次第では南北関係の改善の余地があるということだ。
今年の朝鮮半島情勢の最初の分水嶺は、3月ごろ予定された韓米合同軍事演習を実施するかどうかになる見通しだ。韓国政府は統一部報道官論評を通じて、「今日、北朝鮮が米国との対話中断を宣言しなかったことを評価する」としたうえで、「韓米両国は(朝米の)対話が進められる間、事実上、大規模な合同軍事演習の実施を自粛していることを確認する」と述べた。さらに「政府は朝米非核化交渉の実質的な進展とともに、南北関係の進展に向けた努力を続けていく」とし、「南北間の軍事的信頼構築に向けた合意事項を徹底して履行していく」と付け加えた。
韓米は昨年のキーリゾルブ演習とイーグル演習、乙支フリーダムガーディアンなど、3大合同演習を廃止し、大隊級以下だけで合同演習を実施してきた。韓米は「非核化対話」基調が続く限り、今年も調整された形の合同演習を維持するものとみられる。しかし、合同演習の全面的な延期や中止は、戦時作戦統制権(戦作権)の移管の加速化を目指す韓国政府にとっては、歓迎できない側面がある。韓米両国は戦作権の移管に向け、今年韓国軍の完全運用能力(FOC)を評価する計画だが、後半期合同演習と連携して実施する計画だという。国防部の関係者は、「現在としては、今年の合同演習も調整された形で進める予定に変わりはない」とし、「演習ができなければ戦作権の移管にも支障を来す恐れがある」と述べた。
韓国政府は最近、中国とロシアが対北朝鮮制裁の緩和を促し、国連安全保障理事会に提出した決議案の“必要性”に触れ、南北鉄道・道路の連結などを通じて南北関係を進展させる構想を検討したが、朝米交渉の敷居がさらに高まり、苦悩はさらに深まっている。政府当局者は、「現在の状況では朝米対話のモメンタムの維持が最も重要だ」とし、「場合によって南北関係の進展が朝米関係より半歩ほど先に進まなければならないが、鉄道・道路の連結、制裁緩和などが進むためには、朝米対話の進展が不可欠だ」と述べた。
パク・ミンヒ、ユ・ガンムン、イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)