みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「ジェンダー概念を話し合うシンポジウム」レポート&上野千鶴子さんからのメッセージ

2006-03-28 11:13:15 | ジェンダー/上野千鶴子
秋に植えたチューリップ(赤花)が咲きました。

   

  

朝から、ハートフルスクエアGで「む・しネット」スタッフ会。
5月13日の公開講座「勝てる選挙 市民派議員をふやそう」と、
7月8日(土)に浅野史郎さんを講師に招いての、
シンポジウム「政治を市民の手に!~ひとりからはじまる」の
準備から当日までの詳細を決めた(あらためて報告します)。
あとは、浅野さんから、基調講演「脱政党の時代に(仮)」と
パネルの「わたしたちに何ができるか」のOKをもらうだけ。
いそいでチラシを作って全国に情報発信して、
名古屋市女性会館大ホールの350人を
なんとか満員にしたいね、といいながら別れた。
10時半から6時半のながーいスタッフ会だったのですが、
なんとか具体的な形になってホッとしています。

という訳で、事務局のわたしはここ数日レジメづくりなどで、
バタバタしてたのですが・・・(と言いわけ)・・・・

お待たせしました。やっと3月25日の
「ジェンダー概念を話し合うシンポジウム」
 
の報告ができます。

このシンポは、「上野千鶴子さん講師拒否事件」をきっかけに
東京都への抗議文(賛同署名1808筆)を呼びかけた
研究者の皆さんが中心になって企画され、
港区のリーブラ(港区男女平等推進センター)で開催。

結論からいえば、
長丁場にもかかわらず、会場は参加者の熱気にあふれ、
「問題意識が共有できて、行ってよかった!」

25日は、4時半起床。5時過ぎに車で岐阜駅まで送ってもらい、
名古屋駅で三重県のまみさんと待ち合わせ。
6時40分の新幹線でいざ東京へ。
品川駅に早くつき過ぎたので、サザコーヒーで朝のお茶。
9時過ぎには会場に着いたのですが、整理券はすでに28番。
前日から泊まった岐阜県の友人の姿も。

「猫のシッポ」のわたしはチラシ配布と情報発信くらいで、
準備をなにも手伝えなかったので、
開会までちょこちょこっと、まみさんと裏方のお手伝い。

10時から、細谷実さんと赤石千衣子 さんの司会で開会。
江原由美子さんと井上輝子さんのお二人は、
研究者の立場から「ジェンダー概念」の基本的なお話し。
聴くだけでは難しい話も、豊富な資料が理解の手助けをしてくれます。

圧巻は、若桑みどりさんのパワーポイントを使っての
「バックラッシュの流れーなぜジェンダーは狙われるのか 」。

この方のことばには、ちから(説得力)があります。
1月27日に、抗議文を渡した後の記者会見でも
「上野さんを孤立させないために行動を起こしました」という
若桑さんのことばに感動しました。
たった20分で、今わたしたちが経験してるバックラッシュを
歴史家の立場から、豊富な資料とともに検証し、
政治的背景とともに、見える形にしてくださいました。
この話しだけでも、東京まで来たかいがありました。

並んで座っていた「む・しネット」スタッフの3人と、
「若桑さんを名古屋に招いて、もっとじっくり聞きたいね」。

1月27日の「抗議レポート」はこちらから。

つづいて、匿名の教員のおふたりから、
「ジェンダー・フリー」教育の現場からの報告。
昼食をはさんで、
国分寺市民で今回の発端の事件の関係者でもある、
丹羽雅代さんから「市民と行政と学界のはざまで」。
現場からの報告は、さすが迫力があります。

最後の、加藤秀一さんは
「ことばは生きている~よりよき相互理解のために」。
このテーマでどんなふうにまとめるのか興味津々でしたが、
ジェンダー概念」などそれまでの話を交えて、
やさしいことばで、すっきりと整理して話されました。 

ここまでが予定されたパネル。
この後からが、シンポの目玉の全体討議、
いわゆるフリーディスカッションです。

会場からの発言は、2時から5時半まで、
ジェンダー概念から、ジェンダーフリー教育、
婚外子差別の問題提起など多様な意見がありました。
やむにやまれぬ思いの現場の当事者や市民、
研究者、教員から、と途切れることなく続きました。

満席の会場は、熱気あふれるもので、わたしの知っている
東海3県からはもちろん、福島、大阪、岡山からの参加者もあり、
バックラッシュを「なんとかしたい」という思いの強さを
はだで感じながら、濃密な時間をすごしました。

発言をすべて紹介できるとよいのですが、
長くなるのと個人情報との関係もありますので、
シンポが「本になる予定」とアナウンスがありましたので、
参加した人も、しなかった人も、ぜひ「買って」お読みください。

ところで、会場では何人かの参加者から、
「上野さんは来てみえないの」と尋ねられましたが、
ディスカッションの最後のほうで、シンポ事務局から、
上野さんからのメッセージが読みあげられました。

上野さんからのメッセージ________________

東京都のみなさんへ

 上野の講演を聞いてみませんか? 都の主催または共催の事業に上野
を講師に呼んでください。テーマは「男女平等社会をつくる」。企画が
実っても、実らなくても、経過をすべて情報公開しましょう。
ご相談したい方は上野までeメールで。
(ueno@l.u-tokyo.ac.jp)
_______________________________________________________________

うわっおもしろい展開になりそう。
東京都民でないのが、残念(笑)。

「東京都に抗議する!」はこちらから。

「上野さん講師拒否事件」への憤りは、
わたしにとっても、他人事とは思えないはげしいものでした。
その怒りと、問題意識をきっかけに、さまざまな思いを
ひとつのかたちとして結集させたシンポジウムの成功は、
地方の現場にいるわたしにとっても大きなものです。
このシンポで受け取ったエネルギーをちからに、
わたしが立っている足元からバックラッシュを跳ね返したいですね。

短期間で、このシンポジウムを企画し、
実現させてくださった実行委員のみなさん、
パネラーのみなさん、ご苦労様でした。
そして、
心に残るよいシンポジウムをありがとうございます。

最近起きた関連の出来事「てらまち・ねっと」へ。


日曜日の朝日新聞「読書」欄に掲載された上野千鶴子さんの最新刊
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』(岩波書店/2006)
の書評も紹介します。

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        生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠/上野千鶴子著

 ひとつの偽造メールで大混乱をきたした先日の国会だが、ひとつの重要な概念「ジェンダー」(性差)をめぐる保守派の曲解と事実の捏造(ねつぞう)については、何ら問い直さぬままだ。フェミニズムの抑圧の風は、ますます強まろうとしているかのように見える。
 そんな状況下、論争の達人・上野千鶴子は、湾岸戦争以後の過程で思索した「女性兵士」の投げかける様々な問題を皮切りに、ナショナリズムがいかにヒロイズムによって個人を切り捨てる「死ぬための思想」であったか、いっぽう フェミニズムがあくまでも戦争にもテロにも加担せず、民主主義の罠を回避しようと試みる「生き延びるための思想」であるかを、力強く説く。
 独自の理論から概念定義をめぐる論争、今日の国家と性差を考えるための必読書の紹介、自己解題を兼ねた末尾のインタビューまで、著者が新しい思想たりうる「 新しい言葉」を希求する姿勢は、読者に深い感動を与えてやまない。
 巽孝之(慶応大教授)
(2006/3/26朝日新聞・読書 )
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PS:
あすは、ハートフルGで「プロジェクトb」の
『老いる準備 介護することされること』
(上野千鶴子著/学陽書房/2005)の読書会。
4月からはじめて、今回で最終回を迎える。

あたらしいテーマ本は、もう決まった。
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』
(上野千鶴子著/岩波書店/2006)。
『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』(2/11記事)
いままでは、メンバー限定でつづけてきたけれど、
4月からは「む・しネット」の自主企画として、
6年目の「読書会」をスタートする。
いっしょに読みたい方は、ご連絡ください。


  

  
アメリカハナミズキとヒペリカムのつぼみ

写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大。
最後まで、読んでくださってありがとう。

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コメント (19)
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