みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

君が代起立斉唱義務付け条例:大阪・公立校教職員に「強制」、強まる警戒感/大阪人には、なじまんで

2011-06-27 18:19:29 | ほん/新聞/ニュース
今朝の毎日新聞。
君が代強制条例のことが特集されていました。
6月23日の「ザ・特集」でも、君が代強制は「大阪人には、なじまんで」の記事。

わたしはずっと昔から、儀式のとき確信的に「起立も斉唱もしなかった」ので、
この問題に関心があって追っているのですが、
他紙はほとんどこの問題を取り上げていないのです。

さすが「教育の毎日」というだけのことはありますねぇ。

 君が代起立斉唱義務付け条例:大阪・公立校教職員に「強制」、強まる警戒感 

 大阪府の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例が13日、施行された。条例案浮上からわずか1カ月で、府議会の過半数を占める首長政党「大阪維新の会」府議団が他会派の反対を押し切り、可決・成立させた。府教委や教育現場は警戒感を強めている。【田中博子、堀文彦】

 ◇思想・良心の自由「子供に教えられない」
 「そこまでやる話じゃないよね」。6月上旬、ある府立高校職員室で、成立したばかりの君が代条例が話題に上った。起立しない教職員はおらず直接の影響はないが、「条例による強制は行き過ぎ」という点ではほぼ全員が一致した。男性教諭(49)は「それでも決まった以上仕方ない。教師が条例に従わなければ生徒にも影響するので、起立しないという選択はあり得なくなるのでは」と話す。
     ◇
 「通常の組織なら管理者交代」「起立して歌わない教員は府民への挑戦」「組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらう」。5月7日午前、「大阪維新の会」の代表でもある橋下徹知事は、府幹部に一斉メールを送った。4月の府立高校入学式で不起立の教員は38人。このうち職務命令を受けていた2人が戒告処分になったことを報じる同日付朝刊を読んだ直後だった。維新の会幹部には条例案の議員提案を促した。
 橋下知事は元々、府教委のやり方に不満を抱いていた。99年の国旗・国歌法施行で学習指導要領に日の丸掲揚と君が代斉唱が規定され、府教委は02年、府立学校の入学式や卒業式での日の丸掲揚、教員に対する君が代の起立斉唱を文書で指導。「望ましい形」での実施率は03年度入学式で74・3%、卒業式で81・7%だったが、08年度はいずれも100%になった。
 しかし、実態は不起立の教員がいても校長が実施とみなして報告しており、09年度入学式まで校長は職務命令を出さずに厳重注意でとどめてきたため、職務命令違反による懲戒処分は今回の2人を含め2件6人だけ。思想・良心の自由にかかわる問題のうえ、命令を出すことで職場の人間関係がぎくしゃくするのを避けたかったとみられるが、知事には生ぬるいと映った。
 条例提案を前に知事と府教委幹部が開いた会議で、府教委は一貫して条例化に消極的だった。あくまで信頼関係を重視する中西正人教育長は「教委と校長が力を合わせたマネジメントで徹底したい」と強調。府議会本会議でも「条例は必要ない」と答弁した。
 6月中旬、条例制定を受けて開かれた知事と府教育委員の意見交換会では、百マス計算で知られる陰山英男教育委員が「条例は100%の民意を受けているわけではない」と慎重な対応を求めた。だが、知事は「最後は組織のルールに従うかどうか。府教委が努力しても、起立は徹底していない」と必要性を強調した。
 橋下知事は9月府議会で、職務命令違反を繰り返した公務員の処分条例案も提案する意向も示し、成立すれば学校現場が混乱する可能性もある。
 大阪にはアジアにルーツを持ち、日の丸・君が代の強制に抵抗を感じるとみられる教員も少なくない。橋下知事は「教員は公務員である以上、どんな思いがあったとしても起立斉唱すべきだが、子供や保護者は別」と説明する。だが、小学校の女性教諭(24)は「教師が起立を強制されながら、子供には『いろいろな考えがあっていい』とは教えられない」と話しており、児童・生徒へ影響が及ぶ可能性も出ている。

 ◇懲戒処分減る東京「萎縮しもの言えず」
 東京都教委は03年、君が代の起立斉唱を義務づける通達を出し、学校長による職務命令を徹底してきた。これまでに延べ437人を懲戒処分としたが、処分者数は減少傾向。今年度の入学式では1人だけだった。
 処分された教諭が、教委の対応は「思想・良心の自由」を保障した憲法に反するとして都に処分取り消しなどを求めた訴訟は23件にのぼる。うち3件は5、6月に「起立斉唱命令は合憲」との最高裁判決で、訴えを退けられた。
 八王子市の元中学教諭、根津公子さん(60)は今春の定年退職までに6回処分を受け、そのすべてで都との裁判を争う。大阪府条例には「東京と同様、教員が萎縮してものを言えなくなるのではないか」と危惧し、「自由な意思表示を認められない教員が、どうして子供に自由を教えられるか。心ある教員は沈黙せず、条例の問題点を発信してほしい」と話している。【遠藤拓】

==============
 ◆「君が代条例」骨子◆

目的   府民が伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、府立学校、府内の市町村立学校における服務規律の厳格化を図る
国旗掲揚 府の施設で執務時間に国旗を掲げる
国歌斉唱 学校の行事で行われる国歌斉唱では、教職員は起立により斉唱を行う
毎日新聞 2011年6月27日 



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

ザ・特集:「君が代条例」公立校教職員に起立斉唱義務化 大阪人には、なじまんで 

入学式や卒業式などで、公立学校教職員への「君が代」起立斉唱を義務付ける全国初の条例が、今月、大阪府議会で成立した。商都ならではの多様性や自由な空気が大阪の持ち味のはずなのに、果たして定着するのだろうか。いったい、どないなっとんねん。【江畑佳明】

 ◇旗振り役の府議「決まり事、全員達成を」
 ◇「本音の文化」「権力なめる気質」に合わぬ

 ぷーんとソースの香ばしいにおいが鼻をくすぐった。あたりを見回すと、たこ焼きの露店が。大阪・ミナミの「なんばグランド花月」。大阪のお笑い文化の中心だ。ここで出会ったのは、伝統河内音頭継承者の河内家菊水丸さん。
 「この条例、えらい急に決まった感じですなあ。そんなに急がんでもええ気がするんですが」
 60%を超す高支持率の橋下徹知事の「鶴の一声」が発端だった。5月上旬、橋下知事が、自分が代表を務める政党「大阪維新の会」幹部に条例案作成を打診。議員提出案件として府議会に提出され、今月3日、過半数を握る同会などの賛成で可決・成立した。発案からほんのひと月足らずだ。
 「東日本大震災の国の対応に、国民がイライラしているから、橋下さんのスピードは魅力的に見えるんでしょうな」と話す河内家さん。実は君が代にはほろ苦い経験がある。
 日韓共催の02年のサッカー・ワールドカップ。日本対チュニジア戦で、君が代の斉唱を要請されたが、断った。理由は「こぶしが入る歌い方は合わないと思った」からだが、「こんな名誉を断るとは何事だ」と抗議が多数寄せられた。
 大の好角家で、君が代への思いも強い。「千秋楽のあの独特な雰囲気は、君が代があってこそ。メロディーが流れると、『ああ、いいなあ』と自然に思います。天皇陛下も以前、『強制になるということでないことが望ましい』とおっしゃった。『強制』と言われると、なじまない気がするんですよ」
     ■
 「私もね、できればこんな条例はないほうがいいと思っているんです。条例ができること自体、大阪の恥ですよ」。「大阪維新の会」の同条例の旗振り役のひとり、西田薫府議はこう言い切った。
 恥!?
 「起立斉唱が決まっているのに、いまだに全員達成できないのはおかしな事態。一体いつになれば100%になるんですか」と少し鼻息が荒くなった。
 そもそも君が代は、1989年の学習指導要領改定で斉唱が盛り込まれ、99年の国旗・国歌法の成立で法的に国歌となった。
 府教委は02年、教員の斉唱を文書で指示。09年度には起立命令に従わない教員を初めて処分した。
 一方、東京都教委も03年、都立の学校長に対し、ピアノ伴奏で起立斉唱するなど詳細なルールを通達。反発する教員らから訴訟が提起された。最大の焦点は、起立斉唱の義務化が、憲法の思想・良心の自由を侵害しないか。最高裁は5月30日の判決で、(訴訟の対象となった)起立を求める職務命令は、必要性及び合理性があり、憲法で定める自由を制限しない、とした。その後、最高裁は3度ほぼ同様の判断を示している。
 西田議員は、こう主張する。「『(条例化は)議論がほとんどなかった』と批判されていますが、憲法上の権利侵害には当たらないので、そこまで議論することもないでしょう」。現条例には不起立の場合の罰則はないが、今後、罰則を盛り込んだ条例を検討しているという。
 むろん、反発する意見も根強い。大阪出身の作家、若一光司さんもそのひとり。「戦争への反省や、国民主権の考えを重視して、君が代に抵抗感を持つ教師がいるのは当然。公務員の最大の義務は、憲法を尊重し擁護すること。だから『国歌の起立斉唱を命じる職務命令は、憲法の思想・良心の自由を制約する可能性があるから従えない』と考える教師がいてもおかしくない。憲法上の問題が、単なる職務規定の問題に矮小(わいしょう)化されてしまっている」と嘆く。
 さらに「本当に大事なのは、子どもたちの公民意識をどうやって育むかだ。その議論を放置して、こんな外形的な条例だけ作っても意味がない」ときっぱり。
     ■
 「条例必要」「不要」の議論は平行線のようだ。ただ、久しぶりに歩いたミナミで、あらゆる種類の店舗の看板が無造作に乱立している光景を見ると、こういう雑多さが大阪のパワーの源では、と感じるのだが。
 大阪の文化や風俗を研究し「大阪学」などの著書がある帝塚山学院大元学長の大谷晃一さんに話を聞くと、開口一番「こんなん、大阪人にはなじまんで」。
 大谷さんは「江戸は武士の町で、建前を大事にする。これに対して大阪は商人、町人の町で、本音をさらけ出す文化だ」という。条例という建前ではなく、起立について自分の考えを披歴する本音の文化のほうが、大阪らしいと言えそうだ。
 そういえば、条例制定へ一直線だった橋下知事に本音で異を唱えた人物がいる。府の中西正人教育長だ。「条例による義務付けは必要ない」と議会で答弁した。
 府立高の教員約9000人のうち、今年春の入学式での不起立は38人で、年々減少傾向にある。中西教育長は「全教員の起立斉唱は当然。しかしこれまでずっと校長が『合意と納得を得る』方針でやってきた。現場で粘り強く本音で教員と話し合い、向き合ってきたからこそ減ってきたんですよ」と説明する。条例には無論従うが、現在も自分の考えは基本的に変わっていないという。
 さて再び、大谷さんの指摘。「江戸時代から、お上の言うことは聞いたふりして、実はいいかげんにしておくのが大阪人。お上がきつく締め付けると逆効果の場合もある。今回もどこまで効果があるかはわからんよ。大阪らしゅうないわ」とさらり。さらに「それをわからん橋下知事はまだまだ若いなあ」。
 そういえば、大阪出身の作家、司馬遼太郎さんも著書で大阪人の気質について、こう指摘していた。
 「ともかく権力というものに対して伝統的になめているところがある」(「手掘り日本史」)
 気骨がある、ということか。上意下達ではつまらない、自由闊達(かったつ)、天真らんまんでちょうどいい。「元気がない」と言われて久しい大阪だが、持ち前の気質までなくしたらアカンのとちゃうか?
==============
 「ザ・特集」は毎週木曜掲載です。ご意見、ご感想は
 t.yukan@mainichi.co.jp
 ファクス 03・3212・0279まで
毎日新聞 2011年6月23日 東京朝刊 


    

  

最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする