福島第１原発事故から1年5ヶ月たったけれど、放射能汚染の心配は減るどころか
むしろ増えているように思います。
事故直後は情報が錯綜して「ただちに身体への影響はない(健康への被害はない)」という言葉が強調され、
そう思いたい人たちは、その言葉にすがるように事実から目を背けてきたようにも思います。
けれども、
作物から放射性セシウムが検出されたというニュースは今年もあちこちで報じられているし、
低線量被ばくや内部被ばくへの関心は高まっています。
そんな状況のなか、タイムリーな記事です。
内部被曝の真実と尿検査「低線量被曝でも危険」児玉龍彦(2012年7月 youtube)
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むしろ増えているように思います。
事故直後は情報が錯綜して「ただちに身体への影響はない(健康への被害はない)」という言葉が強調され、
そう思いたい人たちは、その言葉にすがるように事実から目を背けてきたようにも思います。
けれども、
作物から放射性セシウムが検出されたというニュースは今年もあちこちで報じられているし、
低線量被ばくや内部被ばくへの関心は高まっています。
そんな状況のなか、タイムリーな記事です。
| そこが聞きたい:低線量被ばくの影響 インゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ氏 2012年08月09日 毎日新聞 東京電力福島第１原発事故後、低線量被ばくや内部被ばくへの関心が高まっている。健康影響をどう考えるべきか。約３０年前に原爆被爆者のデータを分析し、リスクを指摘したインゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ博士に聞いた。【聞き手・須田桃子、写真・木葉健二】 ◇健康リスク無視するな−−インゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ氏（７６） −−放射線影響研究所（放影研）が実施した原爆被爆者の健康リスク調査に対し、８３年に批判する論文を出しました。どんな研究だったのです ◆放影研の調査は、直接被爆者の健康リスクを入市被爆者（原爆投下後に爆心地に入った人）や遠距離被爆者と比べていた。そこで私は日本人のがんなどの平均的な発症率や死亡率と比較し、入市被爆者や爆心地から２・５キロ以上離れた所にいた遠距離被爆者の相対的なリスクを求めた。その結果、白血病や呼吸器系・消化器系のがんによる死亡率は全国平均を上回り、発症率は甲状腺がん、白血病、女性の乳がんで１・５〜４・１倍だった。放射性降下物（黒い雨、死の灰など）による内部被ばくの影響が大きいことを示す結果だが、当時の学界の常識とは異なっていたため、国際的な医学雑誌に論文を投稿したところ、いったん掲載を拒否された。その後、編集部から提案を受け、論文ではなく編集者への手紙という形で掲載された。 −−放影研による原爆被爆者の研究は、国際放射線防護委員会（ＩＣＲＰ）による放射線の健康リスク評価の基礎データになっています。 ◆確かに、放影研の調査は重要な情報だ。しかし、原爆投下から最初の５年間のデータが欠けている▽心身が傷つき適切な医療を受けられなくても生き残った「選ばれた人々」のデータである▽原爆投下後の残留放射線を無視している−−などの理由で、限定的な情報でもある。一方でこの数十年間、原子力施設の事故や原発労働者、医療用Ｘ線照射、自然放射線などに関して、さまざまな研究で低線量被ばく20+件の健康影響が裏付けられてきた。だが、そうした研究の多くは広島・長崎のデータと矛盾することを理由に無視されてきた。ＩＣＲＰのリスク評価は特に、長期間受け続ける低線量被ばく20+件の影響を過小評価しており、がん以外の病気への意識も欠けている。 −−日本の原爆症認定を巡る集団訴訟では残留放射線による内部被ばくで健康被害を受けたと訴えた原告側が勝訴してきました。しかし、国は「内部被ばくの影響は無視できる」という従来の主張を変えていません。 ◆多くの国で同様のことが起きている。公の機関が内部被ばくを認めれば、原発労働者の健康リスクに対して責任を認めざるを得ないからだ。原発労働者は、福島で被ばくした人々と同じ問題を抱えている。 −−東京電力福島第１原発事故後、日本では政治家や一部の専門家が「１００ミリシーベルト以下の被ばくはほとんど影響がない」などと説明してきました。 ◆これまでの医学的知見を全く無視した説明だ。１００ミリシーベルトを下回る線量でのがんの発症は既に医学誌などで報告されている。放射線は細胞の突然変異を促進させ、これ以下なら安全という線量の「しきい値」は存在しない。予防原則に立って被ばくを低減させる対策が必要だ。 ◇「線量」市民が把握を −−放射能への不安から来るストレスのほうが放射線そのものによる健康リスクを上回るという意見や、過剰な反応による経済活動への影響を心配する声もあります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
内部被曝の真実と尿検査「低線量被曝でも危険」児玉龍彦(2012年7月 youtube)
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| 記者の目:放射性セシウム新基準値＝小島正美 毎日新聞 2012年08月14日 食品に含まれる放射性セシウムの新基準値が４月１日から適用され、４カ月半がたった。以前の暫定規制値と比べ、一般食品で１キロ当たり５００ベクレルから１００ベクレルに下げるなど、基準値は各分類で２０分の１〜４分の１に厳しくなった。しかし、より低い自主基準を設ける動きが広がり、一方では福島産農産物への風評被害は続いている。基準値の意味を改めて考えたい。 厚生労働省は３月、新基準値の導入を都道府県などに通知した際「より一層、食品の安全と安心を確保するため」と明記した。国の通知に「安心」という言葉が明記されたのは「極めて異例」という。同省のある幹部は「国が決められるのは科学的な根拠に基づく安全なレベルで、人の気持ちである安心を確保するのは本来は難しい」と語った。 ◇自主基準が続々、福島の農業苦境 今回の基準値は、いわば新しい“安心行政”を目指す試みだが、狙い通り、安心の確保につながっただろうか。 基準値の発表後、食材の宅配サービス「大地を守る会」や「パルシステム生活協同組合連合会」などは、国より低い自主基準を設け、安全性をアピール。低数値を競う動きはメーカーや流通業界に拡大し、イオンは「ゼロを目標にする」という。茨城県も国の基準の半分（１キロ当たり５０ベクレル）を超えたら、水産物の出荷を自粛する方針を決めた。 食品に含まれる放射性セシウムの新基準値が４月１日から適用され、４カ月半がたった。以前の暫定規制値と比べ、一般食品で１キロ当たり５００ベクレルから１００ベクレルに下げるなど、基準値は各分類で２０分の１〜４分の１に厳しくなった。しかし、より低い自主基準を設ける動きが広がり、一方では福島産農産物への風評被害は続いている。基準値の意味を改めて考えたい。 厚生労働省は３月、新基準値の導入を都道府県などに通知した際「より一層、食品の安全と安心を確保するため」と明記した。国の通知に「安心」という言葉が明記されたのは「極めて異例」という。同省のある幹部は「国が決められるのは科学的な根拠に基づく安全なレベルで、人の気持ちである安心を確保するのは本来は難しい」と語った。 ◇自主基準が続々、福島の農業苦境 今回の基準値は、いわば新しい“安心行政”を目指す試みだが、狙い通り、安心の確保につながっただろうか。 基準値の発表後、食材の宅配サービス「大地を守る会」や「パルシステム生活協同組合連合会」などは、国より低い自主基準を設け、安全性をアピール。低数値を競う動きはメーカーや流通業界に拡大し、イオンは「ゼロを目標にする」という。茨城県も国の基準の半分（１キロ当たり５０ベクレル）を超えたら、水産物の出荷を自粛する方針を決めた。 風評被害を抑えるには、新基準への理解を広げるのが第一だ。基準値の妥当性を検討した文部科学省の「放射線審議会」（丹羽太貫会長）は答申の中で、「新たな規制値の設定が放射線防護の効果を大きく高める手段になるとは考えにくい」と記した。例えば新基準値は一般食品のほかに「乳幼児食品」と「牛乳」を１キロ当たり５０ベクレルと定めたが、同審議会の委員たちは「１歳未満の子供の場合（一般食品並みの）４６０ベクレルの基準値で年間許容限度の１ミリシーベルト以下に収まる。５０ベクレルという特別の基準値を設ける意義は低い」と強調した。ちなみに欧州連合（ＥＵ）の乳幼児食品の基準は１キロ当たり４００ベクレルだ。 新基準値は「安心」を目指したため、相当に余裕をもって設定されている。食品のリスクコミュニケーションに詳しい倉敷芸術科学大の唐木英明学長は「基準値は大幅に安全を見込んで決められており、万一、基準値を超える農産物を１、２回食べても健康への影響はほとんどない。国やマスコミがもっと伝えるべきだ」と指摘する。 ◇基準超えわずか、ほぼ平常な値に 国より厳しい自主基準ラッシュに対し、農林水産省は４月下旬、食品業界に「新基準値に基づいて判断してほしい」と通知したが、消費者団体から「より安全な食品を選択するのは消費者の権利」などと批判を受け、逆効果だった。本来なら厚労省が、唐木氏のようなメッセージを発信すべきだったと思う。実際、同省や日本生協連の調査では、食事全体から摂取しているセシウムの放射線量は年間約０．００２〜０．１ミリシーベルト以下と非常に低い。 ４月以降、セシウム検査で基準値を超えた食品は１１８９品目で、全体の約１．５％（厚労省まとめ、８月９日時点）。基準超えはキノコ類、山菜、魚に集中し、他の農産物はほぼ平常に戻っている。 子供に食べさせることが心配な人もいるだろうから、せめて大人だけでもよい。ごく小さなリスクを避けて、産地がつぶれては元も子もない。私は福島産モモを取り寄せ、親類にも贈った。被災地の生産者と痛みを分かち合うことにつながる、と思うからだ。国も安心をうたった以上、基準値の意味や検査結果をもっと周知し、風評被害を食い止める努力をしてほしい。（生活報道部） |
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