昨日、2010年の参議院選挙での「一票の格差」に対して、
最高裁は憲法違反の状態だと判断をくだした。
判決は、選挙の無効は認めませんでしたが、
「都道府県を単位とした今の選挙制度を維持したまま格差をなくすことは著しく困難になっている。
できるだけ速やかに選挙制度の仕組み自体を見直す立法的な措置を講じて不平等な状態を解消すべきだ」
と指摘した。
最高裁は、衆議院選挙でも違憲判決を出しているので、
これで衆参両議院とも、司法が違憲と判断したことになる。
最高裁は、立法(国会)に対して、現状の違法状態の是正を強く求めている。
とはいえ、国会議員たちは、この「一票の格差」の是正に本気で取り組む気があるように見えない。
このまま司法の判断を無視して国政選挙を実施すれば、今度こそ「無効」の判決が出るだろう。
この判決についての、マスコミ各紙の報道と、最高裁判決をアップします。
平成23(行ツ)64 選挙無効請求事件 平成24年10月17日 最高裁判所大法廷 (全文)
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最高裁は憲法違反の状態だと判断をくだした。
判決は、選挙の無効は認めませんでしたが、
「都道府県を単位とした今の選挙制度を維持したまま格差をなくすことは著しく困難になっている。
できるだけ速やかに選挙制度の仕組み自体を見直す立法的な措置を講じて不平等な状態を解消すべきだ」
と指摘した。
最高裁は、衆議院選挙でも違憲判決を出しているので、
これで衆参両議院とも、司法が違憲と判断したことになる。
最高裁は、立法(国会)に対して、現状の違法状態の是正を強く求めている。
とはいえ、国会議員たちは、この「一票の格差」の是正に本気で取り組む気があるように見えない。
このまま司法の判断を無視して国政選挙を実施すれば、今度こそ「無効」の判決が出るだろう。
この判決についての、マスコミ各紙の報道と、最高裁判決をアップします。
1票の格差 衆参ともに「違憲状態」 おととしの参議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で5倍の格差があったことについて最高裁判所大法廷は判決で、憲法違反の状態だと判断するとともに、選挙制度そのものの速やかな見直しを求めました。 違憲状態の判断は、衆議院選挙でも示されていて、衆参両院の1票の格差がともに憲法に違反した状態だと指摘される異例の事態となりました。 おととし7月の参議院選挙で選挙区ごとの1票の価値に最大で5倍の格差があったことについて2つの弁護士グループが選挙権の平等を保障した憲法に違反すると主張していました。 判決で最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は「1票の価値の格差は、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態だった」と指摘し、憲法違反の状態だという判断を示しました。 さらに、判決は「都道府県を単位とした今の選挙制度を維持したまま格差をなくすことは著しく困難になっている。できるだけ速やかに選挙制度の仕組み自体を見直す立法的な措置を講じて不平等な状態を解消すべきだ」と指摘しました。一方で「制度の見直しには政治的な判断が求められる」などとして原告が求めた選挙の無効は認めませんでした。 また、17日の判決では、15人の裁判官のうち3人が「憲法違反だ」とするより踏み込んだ意見を述べました。 最高裁は3年前の衆議院選挙で最大2.3倍の格差があったことについても「違憲状態」だという判断を去年示していて、衆参両院の1票の格差がともに憲法に違反する状態だと指摘される異例の事態となりました。 参議院選挙の格差の是正を巡っては、選挙区の定員を「4増4減」する公職選挙法の改正案が継続審議となっていて成立すれば、おととしの国勢調査の結果に基づく1票の格差は、最大で5.12倍から4.75倍に縮小されます。 しかし、最高裁の判決は、今の改正案では不十分だと判断し「立法的措置」という強い表現を使って国会に制度そのものの速やかな見直しを求めるものとなりました。 “政府も適切に対処” 藤村官房長官は記者会見で、「政府としても厳粛に受け止めている。判決の詳細は、まだ承知していないが、内容を精査したうえで、適切に対処しなければならない。定数配分規定を含めた参議院の選挙制度については、これまでも各党各会派で議論が行われてきたが、重要な課題であり、各党の議論をふまえて、政府としても適切に対処したい」と述べました。 また、藤村官房長官は判決の内容について、「過去の判決で、今回のように、『都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改める』などという記述はなかった。それなりに踏み込んだ判決が出されたという受け止めだ」と述べました。 原告“意義のある判決だ” 判決のあと、原告の2つの弁護士グループがそれぞれ会見を行いました。 このうち山口邦明弁護士は「3年前の最高裁判決は、『選挙制度の仕組みを見直す必要がある』と指摘しただけだったが、きょうの判決は『都道府県を単位とする今の仕組みを見直すべきだ』と具体的に表現しており大変、意義がある」と話していました。 別のグループの升永英俊弁護士は「きょうの判決は、都道府県単位の区割りを尊重する必要はないと指摘した画期的なものだったが、区割りについて、当選や落選の利害が絡む国会議員の裁量であるとした点では納得できない」と話していました。 “抜本的な制度の見直しを” 判決について選挙制度に詳しい東京大学大学院の川人貞史教授は「国会に対し選挙制度の見直しを強く求める判決で、現在の格差のまま次の選挙を実行してはならないというメッセージだ」と述べました。そのうえで、今後の見直しについて、「これまでの対応では不十分だということが判決で明らかになったので、国会は各党だけでなく国民にも分かる形で議論し、抜本的な制度の見直しを進めるべきだ」と指摘しました。 |
平成23(行ツ)64 選挙無効請求事件 平成24年10月17日 最高裁判所大法廷 (全文)
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【社説】一票の格差 平等の実現に早く動け 2012年10月18日 中日新聞 最大五倍にもなった二〇一〇年の参院選の「一票の格差」を最高裁は違憲状態と断じた。衆院も違憲状態と突きつけられている。国会は投票価値の限りない平等に向け、抜本改革に動きだすべきだ。 今回の判決は、選挙制度の是正を図らなかった国会の怠慢への厳しい指弾だ。参院での違憲状態判決は、六倍を超えていた一九九二年の選挙だけだった。 六倍未満なら合憲という流れに変化が表れたのは、〇九年の判決だ。合憲だったが、「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と異例の“警告”が付いた。以前から改善の余裕があっただけに、今回、違憲に踏み切らなかった最高裁には生ぬるさも覚える。 五倍の格差は、ある人が「一票」を持っているのに対し、ある人は「〇・二票」しか持っていないのと等しい。だから、原告は裁判を通じて、主権者たる国民の意思がきちんと反映される「一人一票」の制度を訴えていた。 投票価値の等しい選挙をすることは、代議制民主主義の基本でもあろう。それなのに十五万票で当選する人と六十九万票で落選する人が出るのは、選挙区選挙が都道府県単位で行われているからだ。最高裁が判決で、この「現行方式をしかるべき形で改める」よう見直しを迫った点は評価できる。 参院の選挙区定数を「四増四減」する案が出たが、継続審議となった。仮に成立しても、格差は四・七五倍も残り、単なる弥縫策(びほうさく)にすぎない。制度を抜本的に改めるならば、複数の都道府県を合わせる「合区」や、ブロック制、全国を一選挙区にすることなどが考えられよう。 一〇年には当時の西岡武夫参院議長が比例代表を全国九ブロックに分割する試案を出した。この方法だと、格差は一・一三倍と飛躍的に縮まる。議長の提案は、本気で取り組めば抜本是正も可能だという重要な示唆だ。 そもそも、五倍の格差が違憲状態で、仮に四倍なら合憲などという「線引き論」は、もはや説得力を欠いている。衆院では二・三倍の格差が最高裁で違憲状態となった。参院で五倍も格差があるのは、国民から見れば、明らかに違憲だろう。実際に三人の判事も、許容範囲は二倍などとし、「違憲」と反対意見を書いた。 投票価値の不平等は、国民の一票をないがしろにしていることと同じだ。選挙の改革を最優先課題として取り組んでほしい。 |
社説:参院選「違憲状態」 抜本改革を突きつけた 毎日新聞 2012年10月18日 参院選の「1票の格差」が限度を超えているとの厳しい警告だ。 最大5.00倍だった10年7月参院選について有権者らが選挙無効を求めた訴訟で、最高裁大法廷は著しい不平等状態の存在を認定し、「違憲状態にある」と判断した。 最高裁がこれまで参院選の1票の格差について、憲法で保障された「法の下の平等」に反し違憲状態にあると判断したのは、最大格差が6.59倍だった92年の選挙だけだ。 その後は5倍前後の格差が常態化していたが、国会の裁量権を広く認め違憲性に言及してこなかった。 07年参院選の判決で、最高裁は現行選挙制度の見直しの必要性を国会に求めたが、10年の参院選は是正なしに行われた。最高裁は、これ以上国会の不作為に目をつぶることができないと判断したのだろう。 最高裁が参院選の1票の格差について比較的寛容だったのは、選挙区選挙の区割りが都道府県単位となっており、地域代表的な性格があるとみなしてきたこともある。 だが、参院も衆院と同様、国民の代表だ。投票価値の平等がいつまでも軽んじられていいはずがない。 与野党は、参院の選挙制度改革の議論を続けてきた。民主、自民、公明3党が今年、全体の定数を変えずに格差を改善する「4増4減」案で合意。通常国会では参院で可決したが、衆院の採決はしなかった。 5倍近い格差が依然として残るこの案は一時しのぎに過ぎず、抜本解決にほど遠いのは明らかだ。この日の最高裁判決も、現行の仕組み自体を改める本格的な選挙制度改革を再び国会に促した。 次の選挙は来年だ。与野党で駆け引きを繰り返す時間はない。すぐにも協議をスタートさせるべきだ。 「1票の格差」に対する最高裁のこれまでの姿勢も問われる。 07年の参院選に関しては「大きな不平等が存在している」としながら、違憲状態と判断しなかった。立法裁量権に配慮しすぎたきらいがあったのではないか。衆院選についても言えるが、そうした姿勢が結果的に国会の怠慢を許してきた側面も否定できない。 だが、風向きは変わりつつある。最高裁は昨年、衆院選についても格差2・30倍で違憲状態と判断した。両院とも違憲状態という異常事態だ。違憲状態が相当期間続けば、次は違憲判断が出てもおかしくない。今回の判決で「違憲」の立場を取った3人のうち2人の裁判官は、13年の参院選が抜本改革なしで行われれば、選挙無効の判断もあり得るとした。 最高裁は、今後の国会の動きをチェックし、「憲法の番人」として厳格な判断を示すべきだ。 |
クローズアップ2012:1票の格差5倍「違憲状態」 抜本改革へ最後通告 「衆参は平等」厳格姿勢 毎日新聞 2012年10月18日 東京朝刊 ◇最高裁、格差の放置を指弾 従来は参院選の「合憲ライン」内とされた最大格差「5・00倍」を違憲状態とした17日の最高裁大法廷判決は、長期間格差を放置してきた国会の姿勢を指弾する内容となった。「ねじれ国会」などで衆参の重みが同程度あるとみて、以前より投票価値の平等を厳格にとらえようとする姿勢を強く打ち出した。都道府県単位の選挙区割りの限界も明確に指摘して抜本的な制度改革を迫り、衆参両院への「最後通告」ともいえる。与野党が国会提出している、現行制度を前提とした「4増4減」案が成立しても、最高裁の要請には応えられない。 「都道府県を選挙区とする合理性は、投票価値の著しい不平等の解消という憲法上の要請に一歩譲らざるを得ない。事実上、選挙区を現在より大きな単位に拡大する方法しか残らない」。金築誠志裁判官(裁判官出身)は判決の補足意見で、制度見直しの具体策を示した。 これまで最高裁は、2院制下では衆院の優越が前提ということもあり、合憲ラインが「最大格差3倍未満」とされる衆院に比べ、参院に比較的寛容だった。参院の独自性を認めていたともいえる。しかし、選挙制度は憲法を根拠としたものではない。格差問題を追及する原告側は「憲法の要請である投票価値の平等よりも、制度の維持が優先されてはならない」と批判してきた。 今回の大法廷判決は、参院の発言力が近年強大化し、衆院と同等の役割を期待されている点を強調。参院の独自性以上に、有権者の投票価値の平等を最優先にとらえた形だ。 来夏行われる次回参院選までに抜本的制度見直しがなければ、初の違憲判決、及び選挙無効判決が出るのだろうか。 この点について、大法廷は国会での議論に時間がかかる現実に配慮し、「できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある」と述べるにとどめた。 ◇「選挙無効」可能性を示唆 だが、違憲の反対意見を述べた弁護士出身の裁判官3人は、いずれも将来の選挙無効判決の可能性に触れ、警告を発している。 須藤正彦裁判官は「2倍前後の最大格差が許容範囲だが、国会で真摯(しんし)な努力が不断に続けられたとは言い難い。何らの改革も実現していないし、将来も確たる見通しが立っていない」と厳しく指摘した。 大橋正春裁判官は「選挙無効判決が確定した場合、欠員補充の選挙が必要となる。国会はこの方法の検討を始める必要がある」とまで付け加えた。【石川淳一】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
最後まで読んでくださってありがとう
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