みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

いなば通りのしだれ桜、咲き始め。/病院領収書:治療明細を記載 来月から

2010-03-25 17:43:21 | 健康/くらし/薪ストーブetc
毎日冷たい雨が続いています。

庭のモクレンも咲き始めたのですがデジカメが雨で濡れるので、
写真を撮るのは、青空が出るまでお預けです。

雨の日は病院が空いているので、「いなば内科」を受診しました。
飲んでいる薬が四週間分ずつなのでだいたい月一で行っています。

「いなば内科」は、いなば神社の参道沿いにあるのですが、
ここの枝垂桜が見事です。
ソメイヨシメより遅めの「岐阜祭り」の頃に咲くので、まだ早いと思っていたのですが、
「いなば内科」の前の二本は、雨に濡れて咲いていました。

病院は予想通りガラガラだったので、先月の血液検査の結果を聞いて、
母のことなども話して、帰りには、雨も小ぶりになっていたので、
咲きはじめた枝垂れ桜を写しました。

   
  

   


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そのあと、薬局に行ったのですが、いつもの薬と三ヶ月ぶりに処方された薬の三種類を調剤してもらって、
お金を払おうと領収書を見たら5000円超。
薬剤師さんも「追加の薬があるのでちょっと高いですね」と言われたのですが、
三種類でも3000円を超えたことがないので、府に落ちない思いでとりあえず払ってきて、
帰ってきてから「お薬110番」で単価を調べてみたら、やっぱり2000円代のはず。
電話をかけて、調べなおしてもらうことにしました。

領収書には、診療報酬の「薬剤料1,400点」と合計金額、患者負担分しか書いてないので、
その場では、いくらなんでも薬の合計が17000円では多すぎて、おかしいなとは思ったのですが、
薬の単価がわからなかったので、そのまま帰ってきてしまいました。

4月からは、医療行為と投薬量などを明記したレセプト(診療報酬明細書)が、原則、全施設で明記されると、報道されています。

病院領収書:治療明細を記載 来月から原則、全施設で
毎日新聞 2010年3月24日

 病院などの医療機関で治療を受けた際に窓口でもらえる領収書が、4月から大幅に充実する。これまで書かれていなかった詳しい検査内容や薬の正式名称と、それぞれの診療報酬の点数が明記されるのだ。こうした医療情報の透明化は、大阪の市民団体や薬害被害者らの長年の運動の成果だ。【野田武】

 健康保険制度に基づく医療は、検査や手術の内容ごとに「診療報酬点数表」が細かく決められている。診療報酬は1点につき10円。医療機関は点数表をもとに患者ごとに医療費を計算。実施した医療行為と投薬量などを明記したレセプト(診療報酬明細書)を作って、健康保険組合へ請求する。うち一部は患者本人(被保険者)が窓口で支払う。だが、そのときにもらえる領収書は「投薬料」「検査料」など項目ごとの診療報酬点数しか分からない。
 これに対し、レセプトはより詳細で、買い物でもらえるレシートのようなもの。レシートには普通、「トマト 1個 90円」というように商品名と個数、値段が並ぶ。同じようにレセプトにも検査・薬品名、診療報酬点数が記載されている。
 97年まで旧厚生省は「患者に告知していない病気を知らせてしまう恐れがある」「医師のプライバシーにかかわる情報も含まれる」などを理由に、健保組合や自治体などに対し、レセプトを患者に見せないよう指導していた。97年以降は、請求すれば開示されるようになったが、一般には知られていない。
 今でも請求しても開示されないケースがある。神奈川県内の女性(35)は、治療に疑問を持ち、自宅のある市へ昨年、レセプト開示を請求した。ところが「今後の治療に支障をきたす」と拒否された。女性は市民団体「医療情報の公開・開示を求める市民の会」(事務局・大阪市)へ相談。同会が市と交渉し、今年になって開示された。「すぐ開示されると思ったのに、理不尽な理由で拒否された」と女性は話す。4月からは領収書にレセプト並みの情報が記載され、苦労をしなくても見られるようになる。

 ◇自分の病気、知っておこう--情報開示求めてきた大阪の市民団体
 レセプト開示を求めて長年、活動してきた大阪府立牧野高校(枚方市)の教諭、勝村久司さん(48)は、レセプト並み領収書の病院窓口での無料発行について、「医療の情報開示という点で、レセプトは原点。実現した意味は大きい」と強調する。
 勝村さんは90年、枚方市の枚方市民病院に入院中の妻が陣痛促進剤を投与され、仮死状態で生まれた長女・星子ちゃんを生後9日目に亡くした。市を相手に起こした裁判の証拠とするためレセプトを手に入れようとしたが、プライバシー侵害や目的外使用との理由で開示されなかった。93年、他の薬害被害者たちと旧厚生省へ交渉し、レセプト開示要求を始めた。96年には「市民の会」も設立。その結果、国も97年にレセプト開示へと方針転換した。
 こうした活動に注目した連合から05年、診療報酬の改定について審議・答申する厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の委員に推薦され、就任。請求しなくても窓口でレセプト並み領収書をもらえるよう訴え続けた結果、08年から全国8カ所の国立高度専門医療センターが無料発行するようになった。翌年には国立病院機構の病院にも広がり、今回の原則全医療機関での発行につながった(レセプト請求が電子化されていない一部病院を除く)。
 勝村さんは「自分の病気に関する薬や治療の名称は知っておいた方がいい。領収書を保管しておけば調べる手がかりになる」と助言。さらにこう願っている。「これからは領収書を見て『何でこの治療がこんなに高いの?』と思ったら、ぜひ声を上げてほしい。医療費が普通の人の価値観に合うようになれば、いい医療になっていくと思う」
(毎日新聞 2010年3月24日)


自分の病気と飲んでいる薬については、割と詳しいのですが、
今回初めて、薬価を調べました。
医療費控除も受けているので、レセプトが交付されるのは歓迎です。
来月からは、その場で、明細もよく見ることにしましょう。


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3月24日(水)のつぶやき

2010-03-25 00:57:02 | 花/美しいもの
19:02 from web
今日のブログ。●『福祉“オンブズマン”―新しい時代の権利擁護』『自分で防ぐ・治す 脳梗塞』 http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/14bd62d34094aa3ee6800531c8b1ae35
by midorinet002 on Twitter
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『福祉“オンブズマン”―新しい時代の権利擁護』『自分で防ぐ・治す 脳梗塞』

2010-03-24 18:10:48 | 健康/くらし/薪ストーブetc
母が介護つき有料老人ホームに入所して二週間になります。

さいしょは様子が分からず、ホームの自走用車椅子を借りていたのですが、
車椅子に慣れていないので、お尻と背中が痛くなってきました。
見たら、バスタオルだけで車椅子専用マットを敷いていないのと、
普通サイズなので、母には大きくてお尻がずれるようです。

その人の障害にあわせて車椅子を調達するのがよいのですが、
たまたま、連れ合いの母が使っていた特注の車椅子が倉庫にねむっていたので、
ぴかぴかに掃除して、ホームにもっていくことにしました。

軽くて小回りの効く強化アルミ製の介助用車椅子で、肘掛の部分が取り外しできるし、
小柄な女性用なので、母にもよいのではと思います。

車椅子にぴったり合うサイズの低反発シートを探して、
母に乗り心地を試してもらったら、今までのよりずっとよい、とのこと。
当面は、この車椅子を使ってもらうことにしました。

母が入所したのは、介護つき有料老人ホーム「さんさんハート岐南」

けっこうゆったりした居室で、車椅子用のトイレも各室についていて、
ベッドと椅子や机、家具などは備え付けのがあって、そのまま生活できます。

とはいえ、一日中、ベッドか車椅子生活も疲れるし、使い慣れたものがよいので、
母が自宅で長年愛用していたリクライニングのローチェアーを届けてきました。

ホーム側は、回転する椅子は少し不安があるといっていたのですが、
まずは試してもらおうと、部屋に運び込んでしまいました。

娘三人でわいわいがやがやと家具を動かして部屋の模様替えをしていると、
ヘルパーさんたちが入れ替わり見にみえて、責任者の方もやってきて、
母が楽そうに座っているので部屋に置くことになりました(よかった)。

車椅子から椅子に移動するとき、介護の手間が増えますが、
母が少しでも快適に過ごせることを最優先したいと言ったら、
ベッドだとうとうと寝てしまう人が多いので、やはりメリハリのある生活がよいとのこと。

一人暮らしをしていた母は、12月に心不全で入院する前は、何でも自分でしていたのですが、
入院中に脳卒中を起こして左半身に麻痺が残り、もう一人暮らしは無理と言われ、
介護認定を受けて、病院で紹介されたホームに移りました。
体の自由が利かないもどかしさや、介護される不甲斐なさもあってか、
ホームに移って介護してもらえるようになったら、「その方が楽でよい」、
と自分で生活する気力をなくしかけていました。

座りなれた椅子に座ってテレビを見ていたら、お目めもパッチリ、
娘三人に囲まれて、パステルのプリンを食べ終わると、
顔色も明るくなってきました。

昨日の、栗本慎一郎さんが脳梗塞での左半身麻痺を克服したテレビを見ていた姉が、
鏡を使ったリハビリの話しをしたら(わたしも見てました)興味を示し、
もう少し落ち着いたら、リハビリもしたいそうです。

脳梗塞との戦い・半身麻痺からの復活(栗本慎一郎 ホモパンツ・フィロソフィー)

自分で防ぐ・治す脳梗塞―
“前ぶれ”をキャッチ。自然治癒力を高めて後遺症を克服!
(帯津 良一, 金丸 和富, 林 泰史 /法研/2007)





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母がはいった施設は有料老人ホームで、みなさんもとても親切で優しくて、
自由がきくところなのですが、それでも、こうしたいということがあったら、
ちゃんと主張しないと、ホームのやり方に流されてしまうということを感じました。

おりしも、読み直していた『福祉“オンブズマン”』。
介護される当事者の権利擁護は、ほんと、課題ですね。

『福祉“オンブズマン”―新しい時代の権利擁護』
(福祉オンブズマン研究会 編集/中央法規出版/2000)




 福祉オンブズマン制度(健康福祉サービスに対する苦情は福祉オンブズマンへ)/多摩市

 福祉・介護オンブズマンのホームページ
 福祉・介護オンブズマンの心得
1 福祉・介護オンブズマンは、福祉・介護サービスを必要とする人びとの権利擁護のために活動することを目的とする。
2 福祉・介護オンブズマンの目的に賛同する者はその職業や居住地など一切の区別なく自由に参加できる。
3 福祉・介護オンブズマンに参加する者は、個人の思想・信条の自由を尊重されるが、オンブズマンの活動を特定の政治目的に利用してはならない。
4 福祉・介護オンブズマンは、ボランティアであり、その活動を通じて利益を得てはならない。
5 福祉・介護オンブズマンは、目的達成のため、目的を同じくする団体と協力するとともに、可能な場合はその団体に参加し積極的に活動する。



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「食べてよし、見てよし、花もきれい」ハーブの種まき

2010-03-23 15:36:10 | 有機農業/野菜&ハーブ
麺食いなので蕎麦を食べることが多かったのですが、
さいきんのお昼は、うどんを食べることが増えてきました。

家では讃岐うどんを茹でて、自然薯を出しで延ばして「ざるとろうどん」、
  
外では今日も、安くておいしい「丸亀製麺の讃岐うどん」でお昼を済ませました。

夕食は、旬の野菜料理が中心。

とはいえ、春の畑は、大根や小松葉、ホウレンソウなどの冬野菜もトウ立ちしてさま変わり。
ほろ苦い花芽や、サラダになるようなベビーリーフたくさんあるので、
かんたんに春野菜のサラダを楽しんでいます。

  

冬の間は、もっぱら火を通した温野菜を食べていたのですが、
摘んできた葉っぱ類をさっと洗って混ぜあわせれば出来上がり。
 けっこうぜいたくな一品です。
菜花はさっと茹でておひたしに、
ネギは白い部分はメカジキと串焼き、青い部分はヌタに。  


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お彼岸になったので、まどか君と食用ハーブ類の種まきをしました。

外だとまだ気温が低い日があるので、移植できるものは、
ゴールデンピートバンに箱蒔きします。

芽が出て少し大きくなったら、もう一度ポットに植え替えて、
本畑(またはコンテナ)に定植する、という育て方です。
この基本形を知っていれば、あとは応用編で、花でも野菜でも種から育てられるのです。

ハーブの種は昨年の残りと、キマタ園芸店でタキイの種を買ってきて準備万端。
たくさん蒔くと、苗ができすぎるので、ピートバンに二種類ずつ。
  

  

アイスプラントを種から育てるのは今年初めて。
どんな芽が出るのか楽しみです。
  

せり科のフェンネルとディルは、「移植を極端に嫌う」ということなので、
箱まきとポットまきと、両方比べてみることにしました。


芽が出るまでは湿度を保って、室内で管理。



日中は温度が上がるように窓際に置き、
夜はストーブの近くに移動して、温度を確保しています。

芽が出るまでにワーディアンケースを準備して、
覆いを取って、少し保温したところで、よく光を当ててやります。

 四季のガーデニング 山田幸子(2010.3.22 毎日新聞)

サラダ用ハーブと野菜の寄せ植え
生育に応じ摘みながら育てる


サラダ用ハーブの育て方は、毎日新聞にも載っていました。
ハーブ類は丈夫なものが多く、苗を買えば家庭でも簡単に育てられます。

食べてよし、見てよし、花もきれいなので一石三鳥です。


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市民による市長リコールもまだできない  阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある?(相川俊英)

2010-03-22 10:00:58 | 市民運動/市民自治/政治
トップの竹原信一市長が独善的に暴走を続け、
いまや、全国的に注目されている鹿児島県阿久根市。

NHKの朝のニュースでも二日続きで、阿久根市のことを取り上げていました。

阿久根市政の問題は、市長のあきれた言動だけでなく、空転する議会や、
市長を再選した市民がこの問題にどのように対応するのか、
「自治とはなにか」と、わたしたちに大きな問いを投げかけています。

この問題について、現場に取材に行った友人のジャーナリストがタイムリーに
まとまったレポートを書かれたので、紹介させていただきます。

『週刊ダイヤモンド』特別レポート
 市民による市長リコールもまだできない  阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある?

週刊ダイヤモンド編集部 【第79回】 2010年03月19日

 会場内は異様な雰囲気だった。イスに座りきれないほど人が集まっていた。その数は約800人。人いきれで汗ばむほどだ。誰もが険しい表情で、会場内は憎しみや怒り、不信といった負の感情で覆われていた。
 3月14日の日曜日。鹿児島県阿久根市の市民会館でのことだ。午後6時から市長主催の市民懇談会が始まった。舞台ではなく、フロアの前方に1人の男性が立ち、マイクを握って語り出した。阿久根市の竹原信一市長だ。
 「皆さんに(市役所と市議会の)現実を知っていただきたい。今も(市長と市議会の関係は)不信任の状態のままで、市政運営どころではないんです。これを変えなければいけない。それでいろいろやっています」
 竹原市長が話し始めると、会場からヤジや怒号、罵声が浴びせられた。そうしたヤジを攻撃する怒号や罵声、金切り声も飛び交い、会場内のそこかしこで陰湿な火花が散った。
 市政改革を掲げて08年8月に初当選した竹原市長は、その強引な市政運営が猛反発を呼び、市議会から二度不信任を突きつけられて失職。崖っぷちに立たされたものの昨年5月、役人OBとの一騎打ちを大接戦で制して再選を果たした。その後、市議会と市職員組合への対決姿勢を一層強め、来年度予算案を審議する3月市議会への出席を拒否するなど、想定外の行動をとっている。また、ブログでの差別的な記述で批判を浴びるなど、その奇矯な言動で全国的に知られる首長となった。阿久根市政は今、混迷の極みとなっている。
 市民懇談会は市長自らが市民に市政の現状を直接説明し、市民からの質問に答えるものだ。市長就任以来、市内各地で開催しており、この日が18回目。だが、この日の懇談会はこれまでとは異質なものとなった。
 竹原市長が説明に力を入れたのは、市職員の給与についてだ。それによると、約2万4000人の阿久根市民の中で市民税の納税義務者は9980人。このうち、課税所得が600万円以上は749人。納税義務者のわずか7.5%にすぎない。つまり、富裕層という訳だ。この749人の富裕層のうち、市職員が156人で、他の公務員が165人いるという。市在住の富裕層の4割が公務員ということになる。竹原市長は「官民格差があることをご承知おき下さい」と、市民に訴えた。
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 こうした説明を市長が行った後、何も置かれていなかった一段高い舞台にテーブルとイスが運び込まれた。そして、市長に促されて8人が壇上に上がり、着席した。席の前にそれぞれの部署と氏名を書いた紙が張られていた。市長からの業務命令で懇談会に出席した市の職員である。市職員労働組合の三役や降格人事を不服として争っている職員、それに反市長派議員の家族である。壇上から見下ろすかたちで、8人は市民と対峙した。市長から「職員研修の一環」として参加を命じられてのことだ。
 市民懇談会は舞台の下にいた市長が司会を務め、進められた。発言を求める市民が次々に手や声をあげ、市長に指名された人のみが思いのたけを語った。
 「マスコミの方に質問したい。竹原市政の前がどういう市政だったか、知っているのか?また元に戻ったらどうなるか。改革をとめたらダメだ」
 「あなたを市長にしたのは、改革してくれることを願ってだ。マスコミを怖がることはない。市議会に出てこないのは、おかしい。あなたの後ろには市民がついているのだから、思い切って改革しないといけない」
「これまでの市役所職員は市民の味方ではなかった。職員は特権階級になっている」
 市長が発言者を指名していたためか、こんな意見が相次いだ。なかには、壇上の8人に「職員は市民との(給与)格差をどう思っているのか。そして、竹原改革に協力できるのかどうか」と、回答を迫る市民もいた。
  まるで見せしめのように壇上に並ばされた8人は、ストレートな質問に対し、各人各様の回答をした。「ノーコメント」の人や「条例に基づいた給料をいただいている」と役人らしい回答をする人。「給料に見合った仕事をできるように頑張る」と、低姿勢な人もいた。しかし、二つ目の質問に対しては、8人とも何も語らなかった。こうした態度に業を煮やしたのか、竹原市長がマイクを握り「竹原改革に協力するのか答えがない」と、再度回答を迫った。マイクを渡された8人は「法に違反していない命令には従います」「法令を順守しながら、市民のために一所懸命頑張ります」などと、苦しそうに答えたのである。
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 職員の答えを聞いた竹原市長は会場に詰めかけた市民にこう語った。「民間ならば、上司の意を体して成果を上げようと努力する。その気持ちが今の職員の答えから感じられない。厳しいなと思う。これを変えるのが私の仕事です。私の言いなりになれというのではなく、市民のために働く、市民に役立つ役所に変えます!」
 市民懇談会は2時間にも及んだが、竹原改革の中身の議論は皆無に近かった。改革という言葉だけが踊っているように感じられた。市議会を批判し、市職員を叩き、そのうえメディア全体を敵視するような市長の発言が際だち、それに賛同する市長派と猛反発する反市長派の泥試合にしか見えなかった。
 それどころか、阿久根市では竹原市長の市議会への出席拒否により、市民生活に直結する来年度予算案の審議が空転している。予算の編成権を握る執行部が審議に応じないなど、本来、あり得ない話である。議会制民主主義を破壊する行為であり、地方自治を否定する行為であるからだ。
 こうした阿久根市政の現状に危機感を抱く市民も少なくない。市民懇談会でこんな質疑応答が繰り広げられた。
 「(政策)議論を率先して行うのが、市長の務めではないのですか。なぜ、議会に出席して質疑に応じないのですか」
 質問したのは、3月9日に市長に議会出席を嘆願した市民団体「阿久根の将来を考える会」の川原慎一会長だ。これに対し、竹原市長は「歪曲報道を続けるマスコミへのお仕置きと、議会との駆け引きです」と、ボイコットの理由を説明した。納得のいかない川原さんは再度、「駆け引きのない政治を行って下さい。公平性と透明性の高い、わかりやすい政治を。「市民に見える市政にしたい」とおっしゃられていたではないですか」と、市長に直言した。しかし、市長は「必ず、阿久根を良くします。結果を出します。やり方はおまかせ下さい」と、突っぱねた。そして、「議会とは不信任のままの関係です。これをどう変えていくか。闘いの途中です。手の内を今、明かす訳にはいかない」と、自信満々に語るのだった。
 それにしても、なぜ、阿久根市政がこれほどの混迷を続けることになったのか?背景にあるのは、地域の著しい疲弊である。
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 東シナ海に面した阿久根市は、自然に恵まれた温暖の地。ボンタンやデコポン、イワシの丸干しなど、様々な特産品を誇る農業と漁業のまちだ。交通の要衝としても栄えたが、地域を揺るがす大問題に直面した。九州新幹線のルートから外れ、しかも、市内を走っていた鹿児島本線がJR九州から経営分離され、第三セクターとなったのだ。博多から熊本、鹿児島を結ぶ特急が停車した阿久根駅がローカル線の駅となった。国策による災厄である。
 交通の利便性が大きく低下し、阿久根市は半ば陸の孤島と化してしまった。そうした環境の激変が影響してか、近隣市町村との合併も不調に終わった。単独路線を選択せざるを得ず、当時の市長は行財政改革に奮闘した。借金を減らし基金を増やし、財政運営にメドをつけた上で、公約通りに3期12年で引退した。新しい市長は市民が選ぶもので、引退する人間が後継者を指名すべきではないとの信念の持ち主だった。
 新市長を選ぶ選挙は、三つ巴の戦いとなった。市幹部と市議会議長、それに、市議の竹原氏である。地域経済が疲弊し、閉塞感が強まる中での選挙となった。恵まれた生活を送る公務員を徹底批判した竹原氏が大方の予想に反して、当選。勇ましい市政改革の言葉にも市民の期待が集まったようだ。市長就任後も市職員の厚遇実態を明らかにし、公務員批判を緩めなかった。こうした姿勢を市民の一部は溜飲がさがる思いでみていたようだ。だが、不信任による失職と再選後も混乱が続いた。支持者の中からも市政運営の強引さに疑問の声があがり、市長のもとから離れる人が増えていった。
 竹原市長は3月19日の市議会も出席をボイコットした。次の本会議は26日に予定されているが、このままボイコットし続けたら、一体、どうなるのか。審議できないまま執行部提案の予算案をそのまま可決したら、議会の存在そのものが問われてしまう。かといって、議会側に予算の提案権はなく、全てを否決することもできない。市民生活に多大な影響を及ぼすのが明白だからだ。このため、議会側は17日の特別委員会で予算案を修正し、賛成多数で可決している。26日の本会議でも市長不在のまま、実質審議なしでの予算成立となるのかどうか。いずれにしても、法律が想定していない事態であることは明らかだ。竹原氏が市長に再選されたのは、昨年5月。市民による市長リコールには制度上、就任1年後という制限がある。つまり、市民も身動きができないのである。
 阿久根市で民主主義を揺るがす未曾有の事態が進行している。だが、それも、民主主義(主権者)自らが生みだしたものといえる。問われるのは、首長ではなく、主権者である。
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相川俊英)


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阿久根市政の関連のニュースです。

法律・議会・組合…打つ手なし? 空転の阿久根市議会
2010年3月18日5時45分 朝日新聞

 マスコミが傍聴席にいることを理由に「市議会ボイコット」を続ける鹿児島県阿久根市の竹原信一市長。議会出席拒否だけでなく、特定の課長に答弁拒否を強いて、新年度予算案を審議する議会を事実上空転させている。常識外の命令を職員は拒めないものなのか。
 11日から始まった阿久根市議会予算特別委員会。総務課長ら8人が「市長から質疑などに応じないよう言われた」として予算案の説明や質疑を拒み、退席した。
 公務員の義務として地方公務員法第32条は、職員は法令、条例、地方公共団体の規則などに従い「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と定めている。
 今回の課長らへの竹原市長の指示について、総務省の担当者は「首長の命令であっても、例えば殺人など明らかな法律違反行為の場合は従う必要はない」と話す。ただし、「答弁拒否」の指示を制する法令はないとし、「条文がないので何とも言いようがない」とも。
 鹿児島県議会事務局の担当者は「議会は市長が提案した議案を議決してもらうために開かれたもの。そのための説明は当然あってしかるべきだ」と指摘する。
 議会は対抗できないのか。地方自治法第121条では「首長などは、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められた時は議場に出席しなければならない」と定めている。だが、「課長はあくまでも市長の補助員という立場」と市の議会事務局。議会関係者は「課長を答弁させるかさせないかは市長の判断だが、課長に答弁させないのなら、市長は自ら説明する義務がある」という。だが、市長が出席や説明を拒否しても罰則規定はない。
 議会が今後できる行動として市長の問責決議があるが、法的拘束力はない。「他にできるとしたら市長の不信任決議しかないのでは」と議会関係者はみるが、市長は昨年、不信任決議を受けて議会を解散した経緯があり、その効果は疑問だ。

 市職員労働組合では、市職員221人のうち、課長や秘書係長ら管理職は非組合員のため権限は及ばない。自治労県本部の高橋誠書記次長は、市職労で何かをする問題ではないとした上で、「答弁拒否が職務命令に当たるのか疑問。想定がないから条文がないので、法律違反というより常識違反だ」と批判。「常識を逸脱したことをしないというのが首長の前提。だから強い権限を与えられている。竹原市長にはちゃんと考えてもらいたい」と注文を付けた。
 おかしな命令は課長自身が無視すれば良さそうだが、そう簡単ではない。竹原市長は1月の仕事始め式で「命令に従わない職員には辞めてもらう」と宣言。昨年も職員を降格や懲戒免職にしており、一部は訴訟に発展している。
 反市長派のある市議は「市長は課長らに処分をちらつかせており、仕方ない側面もある。彼らにも守るべき家庭がある。市長命令に背いて懲戒処分を受けても、議会として守ってやる手段もない」と職員に同情を寄せた。
 17日に記者会見した浜之上大成議長は「職員の立場は十二分に理解できるが、課長らが市長に進言しなかったとしたら、自浄能力皆無の組織になり下がったと言わざるを得ない」と嘆いた。(三輪千尋)

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阿久根市長「ブログに出す」 県立校長に要求しつつ発言
2010年3月22日 朝日新聞
阿久根市長家族の経営会社、市発注工事を1円差で落札
2010年3月20日 朝日新聞
阿久根市長「不信任してくれ」 反市長派市議に2月依頼
2010年3月19日 朝日新聞  



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春の嵐も去って・・・ピンクユキヤナギ、連翹が咲いてわが家の庭も春本番。

2010-03-21 10:20:43 | 花/美しいもの
昨日は、岐阜市でも桜(ソメイヨシノ)の開花宣言。
夜には台風並みの春の嵐が来るというので、あわてて庭仕事を済ませました。

一夜明けて、関東や東北では暴風だったようですが、
こちらは、河津桜の鉢が風で倒れていただけで一安心。
黄砂が降っているようで、「春霞」というか、遠くがかすんでうす曇り。

きのうはチラホラだったピンクユキヤナギが咲いて、風に揺れています。
  

  

 

  


連翹(レンギョウ)も一気に咲きました。
  

  


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花木の下に植えてある水仙は、早咲きに続いて、
大輪の品種が咲きはじめています。


10数年前に、ドウダンツツジの下に植えた、白の芳香水仙は、
ドウダンが大きくなって、下草も茂って花が咲かなくなってきたので、
植え替えてやることにしました。


三箇所くらいにかたまって生えているのですが、
根を傷つけないように球根を掘り出すのはけっこう大仕事。


株分けして、空いている庭のあちこちに植えてやりました。

今年は球根を太らせて、来年の春、きれいな花が咲くのを期待しましょう。

春の庭を華やかに引き立てる水仙は、全部で10種類ほど。

数年前に、花木センターで球根を買ってきた大輪の園芸種は、
年々、株も大きくなって花も増えてきました。
ハクモクレンやシモクレン、源平花桃のつぼみも膨らんできたので、
これからしばらくが、わが家の庭のいちばん美しい季節です。


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3月20日(土)のつぶやき

2010-03-21 00:33:25 | 花/美しいもの
09:46 from web
今日のブログ。●続続・東京都青少年健全育成条例案:都議会総務委員会で「継続審査」に/大阪府にも飛び火か?! http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/942e183e216baa519543da90b660e34a
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続続・東京都青少年健全育成条例案:都議会総務委員会で「継続審査」に/大阪府にも飛び火か?!

2010-03-20 09:15:07 | 「ジェンダー図書排除」事件
またまた、「東京都青少年健全育成条例案」の続報です。

改正条例案は、昨日の都議会総務委員会で、全会一致で「継続審査」に決まったようです。

 子供性描写規制:都議会総務委、継続審議決める
2010年3月19日 22時1分 毎日新聞

 漫画やアニメでの18歳未満の性描写を規制する東京都青少年健全育成条例改正案について、東京都議会総務委員会は19日、継続審議とすることを全会一致で決めた。改正案は、条文の見直しも含めた検討を経て6月の定例議会で改めて審議される見通しとなった。

条例改正に批判的な民主党、共産党、生活者ネットワーク・みらいの3会派が継続審議に合意し、委員の過半数がまとまったのを受け、自民、公明両党も同調した。【鮎川耕史】


まずはよかった、というべきですが、手放しでは喜べません。
問題は先送りされただけ、ということでしょう。

この問題は、東京で起きたということもあって、
ここへきて、全国版でも報道されるようになり、
反対する人も多く、注目度が高いのです。

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「東京都青少年健全育成条例」問題のブログを関連の記事にTBしてきたら、
ブログ「たけくまメモ」のコメント欄で、「堺市立図書館、BL本5500冊排除騒動の顛末『創』5月号(上野千鶴子)」の
ブログ記事を紹介してくださった方がいて、この記事だけで
一昨日、昨日であわせてアクセスが約300人ほどありました。
一部の人にしか知られてなかった、堺市のBL図書排除事件のことが広く知られるのは、うれしいです。

堺市立図書館、BL本5500冊排除騒動の顛末『創』5月号(上野千鶴子)
~『at』15号~ケアの社会学(2009-04-19「ジェンダー図書排除」事件)



まんが・条例のできるまで(1992年作品)(「たけくまメモ」2010年3月17日 ) 
↑1992年の大阪府「青少年健全育成条例」改正問題のマンガが紹介されています。
 

堺市立図書館のBL図書排除問題の場合、そもそも「府条例に抵触するものは購入していない」ということでしたが、
今回の「東京都青少年健全育成条例」がとおってしまったら、
「BL本は図書館から合法的(条例に即して)に排除される」理由になるし、
その前に、公立図書館では、BL本を購入することもできなくなる、かもしれません。
条例がもし成立したら、図書館の現場でも大変なことになります。

彼らの言い分だと、BL(表紙と挿絵の画の部分)は当然、規制対象にはいりますから。
巧妙なやり方で、自分たち(石原)が気に入らない青少年の性的表現をすべて管理し排除したいのでしょう。

という意味でも、この問題は「ジェンダー」の問題であり、堺の問題と同根。

と思っていたら、大阪府でも追随する動きがありました。

どうやら、橋元大阪府知事も石原東京都知事と、同じ穴のムジナのようです。

アニメの性描写規制、橋下知事も検討 まず実態把握へ
2010年3月19日12時18分 朝日新聞

 漫画やアニメで18歳未満と判断される架空のキャラクターの性描写を規制する東京都の青少年健全育成条例改正案について、大阪府の橋下徹知事は19日、報道陣に「大阪府も検討する。規制する必要性があるか、まず実態把握する」と語り、規制するかどうかを検討する考えを明らかにした。府は性描写のあるマンガやDVDなどの販売状況などを調査するという。
 都の議論に、出版界などは「表現の自由を侵す」と批判している。橋下知事は「表現の自由にかかわるので慎重に見なければいけない。重要なのは実態把握。(規制が必要であれば)表現の自由も絶対的でない」と述べた。
 大阪府の青少年健全育成条例では有害図書について「総ページの10分の1または10ページ以上」など量的な基準はあるが、都の改正案のように内容で判断する基準はないという。


18日の毎日新聞にも、まとまった記事が出ていましたので、紹介します。。

 都青少年健全育成条例:改正案 漫画、ゲームなど性描写の規制強化
毎日新聞 2010年3月18日

 ◇作家ら反対運動開始
 東京都は18歳未満を対象にした児童ポルノの規制強化のため、今月30日に開かれる本議会で「都青少年健全育成条例」の改正を目指している。改正案には実在する児童ではない漫画やアニメ、ゲームのキャラクターを想定した「非実在青少年」への規制や、ただ画像や図版を持っている行為を規制する「単純所持」規定が盛り込まれている。これに対し漫画、アニメ、ゲーム、出版などの業界関係者は、表現の自由を阻害する恐れがあるとして反対運動を始めた。18日に開かれる総務委員会の動向が注目される。【内藤麻里子、臺宏士】

 ◇児童ポルノ根絶を狙い
 条例改正案で「非実在青少年」とは、「年齢又(また)は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」をいう。このうち「強姦(ごうかん)等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもの」で、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるものは不健全図書等に指定され、18歳未満への販売などを禁止する。
 つまり18歳未満、もしくはそう推定されるキャラクターを使った漫画、アニメなどで著しく社会規範に反する性表現があった場合は、18歳未満の青少年への販売などが許されない。
 ゲームのデザイナーやシナリオライターで作る「コンテンツ文化研究会」は、早くから条例改正問題に取り組んできた。杉野直也代表は非実在青少年の基準があいまいだとし、「年齢がない場合、背景や音声などから類推するのは無理がある。絵柄によっても左右される」と指摘する。「児童ポルノの規制はもちろん必要だ。だが、不明確な基準では、芸術などに大きな影響を与える」と話している。
 漫画家たちも大きな危機感を抱き、今月15日、永井豪さん、里中満智子さんらがそろって東京都庁内で記者会見した。また、約60人の反対する漫画家リストを公表した。
 漫画家で、京都精華大の竹宮惠子マンガ学部長には、代表作の一つに10歳の少年の性を扱った『風と木の詩』がある。永井さんも過激な性表現をした『ハレンチ学園』で世に出たことに触れ、「(条例が通れば)確実に世に出ることができなくなる」などと訴えた。

 ◇表現の土壌断つ結果に
 ちばてつやさんは「表現、芸術などが生まれる時はいろいろな種類の花が咲く。汚い、臭いと言って、つながっている汚い花の根を絶ってしまうと植物群全体の元気がなくなってしまうのと同じで、規制によって表現全体が元気がなくなってしまう」と述べた。
 一方、日本ペンクラブの言論表現委員会(委員長、山田健太・専修大准教授)も「小説も無関係ではいられない」と、対応策の検討を始めた。
 作者だけでなく出版社からも疑問の声が上がっている。日本書籍出版協会と日本雑誌協会が15日に都議会最大会派の民主党に提出した意見書では「青少年と性をテーマとする作品では性描写は避けて通れない。いかに健全な表現であろうと恣意(しい)的に不健全と判断される恐れがある」と批判した。

 ◇慎重な議論が必要だ
 園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法、情報法)は非実在青少年規制に関し、「改正案は『みだりに』などの表現で規制対象を限定したというかもしれない。しかし、漫画のような創作物での芸術的な表現はそもそもデフォルメされるものだ。条文は具体的な禁止対象がはっきりせず、違憲性が問題になり得るほど過度にあいまいだ」と指摘する。単純所持規制については「現行の児童ポルノ禁止法の定義にあいまいな部分が残る以上、過度の規制になる。法の見直しが先決であり、それを飛ばして条例で規制することは本末転倒だ」と批判。その上で「出版社が集中する東京都の規制強化の影響は、他の道府県にすぐに及ぶ。慎重な論議が必要だ」と話した。
 これに対して都青少年課は「現行でも不健全図書指定の対象の8割から9割は漫画だ。性的感情を刺激しないが、強姦や獣姦、何人もの女性への乱暴行為を賛美するといった反社会的な行為は、現在の基準では指定が難しい。同性愛だからといってただちに反社会的となるわけではない」と説明。単純所持規制についても「罰則はなく、児童ポルノを根絶しようという社会機運を高めるためのあくまで理念規定だ。国に先んじたわけではない」と話している。

 ◇「単純所持」も定義あいまい
 「単純所持」については、条例改正案18条の6の4で、「都民等の責務」として「何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する」と規定している。「単純所持」規制も、児童ポルノ禁止法が99年に成立してから再三議論されてきた。
 奈良県は05年に全国で初めて児童ポルノの単純所持を禁止する「子どもを犯罪の被害から守る条例」を制定し、規制対象年齢を「13歳未満」とした。13歳にした理由を奈良県警は「特に精神的身体的に未成熟だ」と説明する。
 昨年の通常国会でも当時の自公・与党や民主党が出した改正案が審議された。与党は正当な理由なく所持することを禁止するとともに、「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持に対して罰則を設けると提案。民主党は購入したり、繰り返し取得する行為を禁止するという案を出したが、与野党が歩み寄れずに改正には至らなかった。
 改正案に反対を訴えている山口貴士弁護士は、「改正案では何をもって単純所持というかの基準が不明確であり、しかも児童ポルノ禁止法にさえない単純所持を禁止することは、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することができるとする憲法94条に反する」としている。
毎日新聞 2010年3月18日


P-WANセレクトニュース : 「非実在青少年問題」イベントレポート! 規制が孕む問題とは?
(2010年3月17日 インフォシーク)他



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3月19日(金)のつぶやき

2010-03-20 00:50:09 | 花/美しいもの
13:54 from web
今日のブログ。【介護保険10年】単身も安心 在宅支援の充実を(上野千鶴子さん) http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/0a56d79e3e3eef8c8cedc37b9c52dace
14:54 from web
石原に橋元も追随か!?●セレクトニュース : アニメの性描写規制、橋下知事も検討 まず実態把握へ(2010年3月19日 朝日新聞)他 http://bit.ly/d3PggE
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【介護保険10年】単身も安心 在宅支援の充実を(上野千鶴子さん)

2010-03-19 11:34:07 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日の午後は、名古屋地裁で岐阜県裏金訴訟の判決。
裁判は、約81億円を梶原拓前知事ら元幹部に請求するよう古田知事に求めたもの。
判決は、「本件控訴を棄却する」。
判決理由は「(原告から)裏金づくりにかかる支出が個別、具体的に示されておらず、請求の対象の特定を欠いている」。

秘密裏につくられた裏金の支出を具体的に示せというが、
当時の公文書自体が処分されてしまっているというのに・・・・
予想していたとはいえ、納得できないくやしい思いでいっぱいです。

気持ちを切り替えて、
帰りに、母が入所した介護つき有料老人ホーム「サンサンハート岐南」に寄りました。
母は、ちょうど週に一度の、歌と音楽つきの体操の時間。
皆さん楽しそうだったので母をサポートして参加。
けっこうおもしろかったです。
病院にいたときより顔色もよく元気になり、
けっこう広いバリアフリーの個室なのでよく眠れるようになったのが何よりです。

2000年の4月に介護保険制度が始まって、四月でちょうど十年。
介護認定を受けた「おひとりさま」の母は、在宅より施設入居を選びました。

ちょうど、3月16日に、読売新聞が「談論 介護保険10年」の特集を組んでいて、
上野千鶴子さんの記事も載っていたので、紹介します。

読売新聞記事
 「談論 介護保険10年」
「介護の社会化」を合言葉にスタートした介護保険制度が、4月でまる10年を迎える。団塊の世代の高齢化が進み、保険料負担の限界も近づくなか、制度はどんな役割を果たしたのか。今後の課題は何か。識者に聞いた。<関連記事一面>

単身も安心 在宅支援の充実を 上野千鶴子氏

 介護保険は、日本が世界に自慢できる制度だ。第一に、国民皆保険であること。第二に、現金給付ではなく、サービス給付を柱にしていること。第三に、給付水準が国際的に見ても高いこと。第四に、「介護は家族だけの責任ではない」ということへの国民的な合意を作ったこと。その結果、介護はタダではないという常識が生まれた。
 ただし、課題も多い。
 ケアプランを作るケアマネージャーは本来、中立的なはずが、介護事業所への所属を認めたために、事業者寄りとなってしまった。報酬も低く、独立性が保てない。誰にどんなサービスが必要かは、ケアマネージャーが専門性と裁量権を持って判断すべきで、それができれば要介護認定は廃止していい。
 介護保険が「家族介護を補完」する水準に設計されたことも間違いだった。家族を介護地獄から救う「介護の社会化」となるはずが、「部分的な社会化」にとどまってしまった。一人でも暮らせるサービス水準に設計し直し、所得に応じた負担を求めればよいと思う。
 予期せぬ現象ももたらした。
 「在宅支援」が理念だったのに、「施設志向」が強まったことだ。親を施設に入れることへの抵抗感が薄れ、施設入居への需要を掘り起こしてしまった。障害者運動は「脱施設化」の歴史を歩んできたのに、そこから何も学んでいない。
 介護報酬を低く設定し過ぎたために、「介護労働の崩壊」という問題も生み出した。介護職員の平均賃金は全産業平均より月額で10万円程度低い。介護の資格を持っていても、収入が低いために仕事に就かない「作られた人材不足」が起きた。
 加えて、指摘したいのが"政治災害"。社会保障分野でも抑制策を進める小泉構造改革が、介護保険のスタートとほぼ同時に始まった。介護分野でも給付抑制が進み、施設建設の見直しや、在宅サービスの利用制限などが起きた。「制度はあるがサービスを使えない」という、制度の空洞化というべき状態が生じ、信頼が著しく損なわれてしまった。
 これらを解決する抜本策として、国民はもっと負担する必要があるという考えで専門家は一致している。それなのに、現政権は消費税増税はしないと言ってしまった。東大の調査では、約6割の人が「今より安心できる保障が得られるなら負担増に応じてもよい」と答えている。国民が負担を嫌がっているというのはウソだ。
 家族に頼れない「おひとりさま」は今後ますます増えていく。介護保険も、家族介護を前提とするのではなく、単身世帯も安心できる「おひとりさま仕様」に変えてほしい。最期まで一人で、自宅で暮らすのは困難と思う人は多いが、24時間対応の巡回介護、訪問看護・訪問医療の3点セットがあれば、在宅での「ひとり死」だって可能だ。そのためには、介護と医療の連携を強め、ケアマネージャーの技能と裁量を高めることなどが必要だ。
 せっかく世界に類のない制度を作ったのだから、使い回しながらよくしていきたい。そのためにも負担の議論は避けるわけにはいかない。
(聞き手・生活情報部 榊原智子)
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 上野千鶴子氏
社会学者、東大教授。専門は女性学、ジェンダー研究。単身女性の老後を描いた「おひとりさまの老後」がベストセラー。男性版も出版。61歳。
(2010.3.16 読売新聞)



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読売新聞では、16日から三日間、[介護保険10年]を連載。


 [介護保険10年](上)民間活用「安心」に格差
(2010年3月16日 読売新聞)
「認知症のお年寄りが暮らす施設で、夜通しつけた灯油ストーブの周囲に洗濯物を干すなんて考えられない」。13日未明に札幌市内のグループホームで7人が死亡した火災に、同市内の同業者は驚きの声をあげた。
 問題の施設を運営する会社は、2005年にグループホームを始めた。グループホームは、既存の建物を活用できるために参入が容易で、家賃収入なども見込めることから、この10年で10倍以上に増え、運営主体は企業が半数を占める。「アパート経営感覚での参入も少なくない」と都内の高齢者福祉関係者は言う。・・・・

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[介護保険10年](中)脱「家族頼み」道半ば
(2010年3月17日 読売新聞)
 落ちこぼれだがハートは熱い高校生・百太郎(ももたろう)が、介護の世界に飛び込み旋風を巻き起こす――。漫画雑誌「イブニング」(講談社)に2003年から連載中の『ヘルプマン!』が、若者たちの間で反響を呼び、高校の教科書で紹介されたり、大学の教材として使われたりしている。

「この漫画ができたのは介護保険のお陰。男性の介護職員が増えたことで、リアルなドラマになった」と担当の編集者は話す。
 介護保険の利用者は、制度が導入された00年の149万人が、現在は396万人(09年)に増えた。介護への社会の関心が高まると同時に、家族の負担軽減も進んでいる。・・・・
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 [介護保険10年](下)地域の力 安心のカギ
(2010年3月18日 読売新聞)
「今は『騎馬戦』だが、いずれ『肩車』になる」。長妻厚生労働相は、国会答弁などでそんな表現をよく使う。今は3人の現役世代が1人の高齢者を支えているが、将来は現役世代1人で高齢者1人を支えなければならない――という例え話だ。
 だが、すでに肩車状態の地域が東京都内にある。
 北区の都営桐ヶ丘団地。昼下がりの公園に子供連れの姿は少なく、寄り添うように高齢者がベンチに座る。約7000人の住民の5割が65歳以上という、「都会の限界集落」だ。・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・
 参考になるのは、北九州市での試みだ。08年に住民や福祉関係者との連携強化にあたる市職員16人を配置した。街に出て情報を集め、見守りの仕組みを作ったり、行政サービスにつないだりする。自治会が閉鎖したスーパーの跡地を活用して、買い物に不自由していた高齢者のために朝市を開くなど、住民の活動も広がっている。
 20年後には、要介護になりやすい75歳以上の高齢者が人口の2割に達する。財源を確保し、介護保険制度を超高齢仕様に改めることが急務だ。同時に、公的制度と連携して高齢者の生活を支える地域の力も欠かせない。介護を軸にした街づくりが〈安心〉のカギを握っている。

 針原陽子、小山孝、飯田祐子、野口博文、榊原智子、森井雄一が担当しました。



東京新聞でも、昨日から「十歳の介護保険」の連載を始めました。

満十歳の介護保険<1>要介護認定 消えない不公平感
2010年3月18日 東京新聞

 介護保険制度が二〇〇〇年に始まって、四月で丸十年。介護の風景を一変させた制度の足取りを振り返りつつ、制度の今を四週に分けて伝える。初回は制度の入り口「要介護認定」について。 (佐橋大)
 「必要なときに、必要な介護サービスを受けられると思っていたのに」。身体障害一級で、名古屋市名東区の一人暮らしの男性(73)は、悔しさをにじませる。
 男性は二〇〇四年に脳内出血で左半身不随になった。退院直後を除いて、認定は要介護2。まひで一人でできない食事や入浴の介助のため、週十一時間分の訪問介護を受けていた。
 〇六年、生活が一変した。状態が改善した実感はないのに、介護度は二段階軽い要支援2になり、訪問介護が週三時間に減らされた。男性は不服として愛知県に審査請求したが、県は「国のルールに従って認定した」旨の名古屋市の回答を受け、認定は妥当として男性の請求を棄却した。
 要支援2で、訪問介護事業者に支払われる報酬は、月四万百円(名古屋市などの都市部では、割り増し料金がつく)が上限。この報酬では、一回一時間、週三回の提供が経営上、限界だ。
 サービス不足のしわ寄せは、家計や身内に及んだ。男性は、いずれも車で約十五分の所に住む娘と息子の嫁に交代で毎日、食事の準備に来てもらう。入浴などの介助は週三日、知人に自費で頼んでいる。保険サービスの利用料は毎月約六千円に対し、保険外のサービスに毎月約四万円かかる。
 費用以上に気にかかるのは、嫁や娘への負担だ。「介護に縛り付けて申し訳ない」との思いは強い。「介護を家族に押しつけず、社会で支える」が介護保険の本来の目的のはずだが、男性の場合、十分に機能していないようだ。
 介護保険は、要介護度ごとに、サービス利用の限度額が決まっている。軽い介護度では、使えるサービスが減る。利用者が「適正」と感じる要介護度でないと、「何のための介護保険」という不信を利用者に植え付けてしまう。
     ◇
 制度発足当初、認定は、主に身体介護を想定していたため、認知症の人の判定が軽く出る傾向があった。厚生労働省は〇三年に、認知症にも配慮した認定方式に変更した。
 昨年四月には、「認定のばらつき」をなくすためとして、新しい認定基準を導入したところ、軽い判定が出る傾向が判明。導入後、半年で、導入前並みの要介護分布になるよう、基準を再度見直す事態に発展した。現行の基準についても「施設入所者に比べ、在宅介護では軽く出る」との疑念が介護関係者にくすぶっている。
 目指すのは「公平な認定」だが、なかなか届かないもどかしさ。試行錯誤のうちに、要介護認定はますます複雑で手間がかかるものになった。特に昨年の見直しは「調査員や審査会の負担が重くなった」と、認定の現場には不評だ。
 名古屋市によると、同市では要介護者一人に年間一万円超の認定費用がかかっている。
 厚労省の要介護認定見直し検討会の委員を務めた石田光広・東京都稲城市福祉部長は、同市のコストも同様として、今後の要介護者の増加に備え、認定の効率化も考慮するよう求める。さらに「介護保険は、家族支援と言っているが、認定調査の対象は本人だけ。介護の手間が伝わらないのは構造的な問題。現場の近くで判断できる仕組みも考えていかないと」と指摘した。

<要介護認定とは> 介護の必要度を測る尺度。申請者への聞き取りなどを基に、自治体の審査会が、申請者を重い順に要介護5~1、要支援2、1、非該当に分ける。非該当以外は、各区分ごとに支給限度額があり、その枠内で、利用者は自己負担1割でサービスを受けられる。



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