みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

福島原発事故から半年2:収束いまだ見えず/小出裕章助教に聞く/なぜここに?何もたらした?(開沼博)

2011-09-10 11:12:41 | 地震・原発・災害
昨日に続いて、「福島原発事故から半年」関連の毎日新聞の記事です。
事故から半年、マスコミが事故をどう総括したのか、記録に残しておきたいです。
そして、10年後に振り返ったとき、わたしが訪れた「10年目のチェルノブイリ」
と同じ経過をたどった、と言わなくてもよいように、と思います。

わたしたちは過去に起きたことから学ぶことができるのに、
ちっとも学んでいない、ようです。

明日は、9.11からもちょうど10年たちます。
「2001.9.11」と「2011.3.11」、
この数字は同じではないけれど、どこか似ていますね。

東日本大震災、福島第1原発事故から半年/原発放射能拡散を過小評価-暮らしの中の対策 被ばく、どう防ぐ


 福島第1原発:収束いまだ見えず 事故から半年  

3基の原子炉が同時にメルトダウン(炉心溶融)するという未曽有の事態に陥った東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)。世界最悪「レベル7」の事故は、半年を経ても放射性物質の放出が止まらず、現場では被ばくの危険と隣り合わせの作業が続く。終わりが見えない原発事故の半年を振り返った。

◇水との闘い、壁に
 半年の収束作業は「水との闘い」の連続だった。今なお、最大の課題となっている。
 水は、核燃料を冷やして再臨界を防ぐと同時に、放射性物質を閉じ込める作用もある。1~3号機では全電源喪失から冷却水の供給が止まり、原子炉内が「空だき」になった。燃料棒と炉水の化学反応で水素が発生、水素爆発が起き、原子炉建屋が壊れた。
 事故当初は、核燃料を冷やすため、あらゆる手段で原子炉や使用済み核燃料プールに水が注ぎ込まれた。自衛隊ヘリ、消防の放水車、コンクリートポンプ車などがかき集められ、海水を注入し続けた。一方でこの水は放射性汚染水となって、格納容器の損傷部分、配管などから漏れ出した。
 3月末、1~3号機の原子炉建屋から海につながるトンネル状の穴で、放射性汚染水が見つかった。原子炉内の水の約4万倍という高濃度。応急処置により流出は止めたが、原子炉への注水を続ける限り汚染水は増え続け、あふれることが確実になった。「(高濃度汚染水に対応する)知識を持ち合わせていない」。内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長がこう漏らすなど、想定外の事態へのもろさが露呈した。
 判明しているだけで、海への流出は2回。経済産業省原子力安全・保安院によると、1度目は4月1~6日に2号機から520立方メートル、2度目は5月10~11日に3号機から250立方メートル。流出を防ぐため、敷地内のタンクを総動員して汚染水を移動させる「玉突き」作業に追われた。環境への影響が比較的少ない低濃度の汚染水約1万立方メートルを海に放出、事故と関係ない建物もタンクとして代用したほか、1万立方メートル収容できる人工浮き島「メガフロート」を買い取り、原発まで運んだ。
 一方、4月に東電が発表した事故収束のための工程表には、格納容器を水で満たして炉心を冷やす「冠水(水棺)」計画が盛り込まれた。冷却の切り札と頼んだこの手法も、予定水位になかなか達せず、5月の解析で格納容器に穴が開いていることが判明。計画は中止に追い込まれた。汚染水はさらに増え、8月末時点で、1~4号機の原子炉建屋・タービン建屋内に約9万立方メートル、その他も含めると約11万3000立方メートル(ドラム缶換算で約57万本)に上る。
 代替手段として、汚染水から放射性物質を取り除き、原子炉の冷却に再利用する「循環注水冷却」の構築が新たな目標となった。この手法は冷却しながら汚染水をこれ以上増やさない利点がある。
 循環注水冷却のための汚染水浄化システムは、米キュリオン社、仏アレバ社など複数の装置を組み合わせたもので、6月に本格稼働した。東芝などによる除染装置「サリー」を追加するなど処理能力向上を図るが、装置の一時停止や、総延長4キロに及ぶホースからの水漏れなど小さなトラブルは8月中旬までに32件発生。システムの安定運転は、原発から20~30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」の解除要件にもなっているが、予断を許さない状態が続く。
 榎田洋一名古屋大教授(原子力化学工学)は「事故後の汚染水に対する備えや想像力が貧困だったことを反省しなければならない。除染システムの稼働率の見込みの甘さは、原子力技術全体への信頼感を失わせてしまった」と指摘する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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毎日新聞 2011年9月9日 



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福島第1原発:京都大原子炉実験所・小出裕章助教に聞く 

 3基の原子炉が同時にメルトダウン(炉心溶融)するという未曽有の事態に陥った東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)。世界最悪「レベル7」の事故は、半年を経ても放射性物質の放出が止まらず、現場では被ばくの危険と隣り合わせの作業が続く。
 原発に批判的な立場から福島第1原発事故を見続けてきた京都大原子炉実験所の小出裕章助教(62)に、今後予想される展開や課題を聞いた。

 ◇遮水壁、一刻も早く
--福島第1原発事故から半年が経過するが、感想は?
小出 事故が起きた時、私は「勝負は1週間で決まるのではないか」と考えていた。つまり、放射性物質を封じ込めることができるか、日本が破局に陥るかは1週間で決まると思っていた。しかし1週間たっても1カ月たっても、半年たってもどちらに転ぶか分からない不安定な状況が続いている。こうした事故の進展になるとは、だれも予測できなかったのではないか。

--今後予測されるリスクや懸念材料は?
小出 事故は現在進行中で、大量の放射性物質が外に出た。ただ、大量の放射性物質が、原子炉と使用済み核燃料プールの中にまだ残っている。今後もっと大量の放射性物質が環境に出る可能性があると考えている。

--具体的には?
小出 東電は5月、1号機については水位計を調整した結果「すでに炉心の中には水はない」と言い出し、メルトダウン(炉心溶融)を認めた。炉心に水がなければメルトダウンは避けられないし、圧力容器の底も抜け、溶けた燃料の溶融体が格納容器を損傷する可能性もある。その場合、溶融体が原子炉建屋の床を突き破って地面に潜り込んでいる事態もありうる。海洋や地下水に放射性物質が拡散しているかもしれない。溶融体が地下水に接触しないよう「地下ダム(遮水壁)」の建設を進めるべきだ。東電の試算によると1000億円レベルの費用がかかるため、株主総会前には建設を表明できないとして、発表を一時取りやめた経緯があった。本来は一刻も早く着手すべきだった。
 2、3号機については「炉心の半分まで水位がある」という情報もある。ただし水位計が壊れている可能性もある。もしそうなら2、3号機もメルトダウンし、燃料が地下に潜り込んでいる可能性もある。正確な情報がなく、実際のところは分からないため、いろんな可能性を考えなければいけない。
 もし炉心に水があって完全に溶融していない場合、冷却に失敗すれば2、3号機で水蒸気爆発が起きる可能性がある。もし水蒸気爆発が起きれば、圧力容器は破壊され、外側の薄っぺらい格納容器も破壊される。放射性物質の放出を防ぐ壁は完全に失われる可能性がある。

--汚染水をリサイクルする「循環注水冷却」が何とか稼働したが、どうみているか?
小出 政府や東電は「循環注水冷却」の稼働を喧伝(けんでん)しているが、そんなことは「瑣末(さまつ)なもののさらに瑣末なもの」だ。1号機のように燃料が格納容器の底に沈み込んでいるなら、水を注入しても同じではないか。東電のデータが正しいなら、1号機に関する限り、水を入れることはあまり意味がない。むしろ遮水壁を作る方に力点を移すべきだ。2、3号機についてはまだ燃料が溶け落ちていないことも考えられるので、水を送り続けなければならない。それよりも、放射性汚染水が11万立方メートルもたまっている現状を重視すべきだ。
 4月に2号機の取水口付近のコンクリートの穴から汚染水が海に漏れているのが見つかった。あの場所だけから漏れていることはあり得ない。原発施設はコンクリートで覆われており、地震や津波でいたる所が割れていると考えられる。壊れないコンクリートなどあり得ない。2号機取水口の漏れは、たまたま見える場所にあったから見つかっただけで、氷山の一角だ。地下などでは亀裂からどんどん地下水へ漏れている可能性がある。「あと何センチであふれる」という視点ではなく、「今の漏れを何とかしなければいけない」という議論をすべきだ。
 冷却方法を循環式にしたところで、放射性物質が消えてなくなるわけではない。鉱物「ゼオライト」は放射性セシウムを吸着するが、セシウムを吸い込んだゼオライトの塊が残る。

--東電は工程表で、1月までの「冷温停止」を目指しているが。
小出 「冷温停止」という言葉は専門用語だが、「圧力容器の中の健全な核燃料を100度未満にする」という意味だ。でも、今は炉心が溶け、圧力容器の底が抜けていると東電自身が言っている。それなら「冷温停止」も何もないのではないか。工程表が発表された4月、東電は「炉心は(健全な状態に)ある」と言っていた。そんな前提が崩れてしまっている以上、「冷温停止を目指す」目標にどんな意味があるのか教えてほしい。

--菅直人前首相は、事故にかかわる「中間貯蔵施設」を福島に造りたいと言った。
小出 今後、がれきや汚染水処理で生じる汚泥など、大量の放射性物質の保管が課題になる。世界中に飛んで行った放射性物質は、そもそも福島第1原発の原子炉の中にあったものであり、東電の所有物だ。それが東電の失敗で外部に出たのだから、東電に返還するのが筋だ。事故で出た廃棄物は(東京の)東電本店に持って行くべきだ。原発を地方に押しつけてきた東京の人たちはぜひ受け入れてほしいと思う。
 それでは土地が足りないので、福島第1原発敷地の中へ運ぶべきだ。本当に言いたくもないが、福島第1原発周辺で人が帰れない場所を「核の墓場」にせざるを得ないだろう。ただし、一般の原発から出た使用済み核燃料の「中間処理施設」にすべきではない。どさくさに紛れて保管を福島に押しつけることは絶対にあってはならない。

--経済産業省原子力安全・保安院が環境省の外局に設置される「原子力安全庁(仮称)」として再出発することをどう見ている?
小出 経産省であろうが環境省であろうが、「原子力の推進」が国策なら立場は同じ。原子力推進の国策の中で、原子力の安全を確保できるわけがない。なぜなら、原子力は危険なものだからだ。
 私は毎日毎日事故が起きると言っているわけではない。しかし原発は時として事故が起きてしまうものだということを理解しなければならない。原子力を推進しながら、安全を担保できるかのように言うことは間違いだ。つまり、原子力をやめる以外に安全の道はないというのが私の主張だ。あり得ないが、もし私に「原子力安全庁長官になってほしい」と要請してきてもお断りする(笑い)。どんなに願っても「安全な原発」はあり得ない。

--菅直人前首相が、中部電力浜岡原発の停止を決めたことの評価は?
小出 停止自体は評価できるが、防潮堤などの地震対策が完成すれば運転再開してもいい、という含みを残したまま今に至っている。中電が本当に運転を再開したければ、再開できる余地が残っている。

--緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の結果公表が遅れるなど、事故に関する国や東電の情報公開について。
小出 少しでも危険だと受け取られる情報は隠すべし、というのが国の姿勢。国が恐れているのはパニックであり、住民の安全は二の次だということが今回の事故ではっきりした。国など組織の前で個人が無力になるのは、第二次世界大戦中もそうだった。今は本当に「戦争」のような事態だ。

--原発内の情報も、東電を通じてしか出てこない。
小出 今も人々を被ばくさせ続けている当事者が、情報でも何でも一元管理しているのはあり得ない話だ。国も東電もふんぞり返って「データをやるぞ」という態度。とんでもない話だ。

--政府は国際評価尺度(INES)のレベルを事故当初、過小評価した。
小出 日本原子力学会に所属する研究者は山ほどいるが、事故がとんでもない状況になっているにもかかわらず「レベル4」と言い張る研究者もいた。原子力を推進した自分の責任を逃れたいと思い、事故ができるだけ小さくあってほしいと思いながら発言した結果だ。日本原子力学会は「個人の責任を問うべきではない」との声明を出しているが、自分が間違ったと思うなら公表するぐらいの気構えが必要だ。また、福島第1原発を誰が認可したのか。当時の原子力委員会、原子力安全委員会、そして経産省のたくさんのワーキンググループに入った専門家が責任をとることは当たり前だ。

--政府の事故調査・検証委員会(事故調)にはどんな事実関係を明らかにしてほしいか。
小出 一つ一つのデータをきちんと公表する。さらに、そのデータを東電が自分たちに都合のいいようにシミュレーションしている可能性があるので、シミュレーションのやり直しをさせるべきだ。もしそれが実現できれば、おそらく福島第1原発は津波ではなく、地震で壊れたことが明らかになるのではないかと思う。事故調は「個人の責任を追求しない」と表明しているが、事実関係を明らかにするだけでなく、責任を明確にすべきだ。

--廃炉はどう進めるべきか?
小出 メルトダウンした燃料をどうやったら回収できるのか、私には想像すらできない。米スリーマイル島原発事故(79年)では、燃料が圧力容器にとどまっていたため何とか回収できた。これだけでもずいぶん大変だった。しかし、福島の場合は核燃料が地面にまで潜り込んでいる可能性があり、回収には10年、20年単位の時間が必要だろう。私たちは人類史上、遭遇したことがない事態を迎えている。

 こいで・ひろあき 東京都生まれ。74年、東北大大学院工学研究科修士課程修了。工学部原子核工学科在籍中の70年、東北電力女川原発の反対運動に参加したのを機に、反原発の研究者になることを決意。74年から現職。専門は放射線計測、原子力安全。
毎日新聞 2011年9月9日 


特集ワイド:なぜここに? 何もたらした? 福島第1原発1号機
社会学者・開沼博さん

◇地域開発と試行錯誤の歴史
 東日本大震災で放射能漏れ事故を起こした福島第1原発1号機は、日本で最も早く運転を開始した原発の一つだ。なぜこの地に建設され、地域に何をもたらしたのか。設計から携わった元東電副社長と、事故前からこの原発の歴史を研究していた若手社会学者に聞いた。【宍戸護】

 ◇危険性わからぬまま、いち早く誘致に手を挙げた--社会学者・開沼博さん
 ◇初期はトラブル多く、実際には商業用と呼べるものではなかった--草創期を知る元東電副社長・豊田正敏さん
 

セミが鳴く東大・赤門に、東大大学院生の開沼博さん(27)は自転車に乗って現れた。福島原発の歴史を通して戦後成長を論じる著書「『フクシマ』論」を6月に出版し、脚光を浴びる社会学者だ。
 「福島第1原発は日本で最も古い原子炉の一つで、首都・東京に電力を送っている。原発はさまざまな矛盾を抱えた仕組みなのに、なぜ、かくも変わらないのか……。そんな思いで福島原発の歴史を調べ始めたのです」
 福島県いわき市生まれ。実家は原発から約43キロの距離にあるものの、地元にいたときには、原発を意識したことはほとんどない。著書のために06年から原発周辺でインタビューを重ねた約50人の地元住民らさえ「発電所と大きな鉄塔、太い電線は日常風景。毎日意識することはない」と話していたという。
 「『フクシマ』論」では、福島第1原発を抱える双葉郡の土地柄を「平坦(へいたん)地が少ないため農業は難しく、海岸線は絶壁で利用しにくい土地だった」と指摘したうえで、戦中戦後の経緯をこう記す。
 <三八年、軍部は現在の福島第一原発の土地の一部である、台地三〇〇ヘクタールを強制買収する。それは熊谷飛行隊の分校を開設し、陸軍の練習飛行場とする目的だった。(略)敗戦後、数年間放置された荒地は堤康次郎率いる国土計画興業と地元住民へ払い下げされた。堤はここで大規模な塩田を営むようになる>
 西武グループ創始者にして戦後、衆院議長も務めた堤氏が始めた塩田も、海水から直接塩を取る技術が発達し、数年で廃れた。他に産業がないこの地域の開発を目指し、当時の佐藤善一郎知事のもと、木村守江参院議員(後に知事)が57年ごろ、福島県出身の木川田一隆・東電副社長(後に会長)に原発誘致の相談を始めた。
 <他に競合する自治体がいないようななかで原子力誘致に手をあげた>と開沼さんは書く。「けれど当時は、そもそも原発の危険性や、存在としていかなるものなのか、よく分かっていなかった」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
毎日新聞 2011年9月8日東京夕刊



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東日本大震災、福島第1原発事故から半年/原発放射能拡散を過小評価-暮らしの中の対策 被ばく、どう防ぐ

2011-09-09 17:50:57 | 地震・原発・災害
3月11日の福島第1原発事故から、もうすぐ半年になる。
海に放出された放射能の量は、東電発表の3倍ということも、
今になってニュースとして流れてきた。
放射能拡散も過小評価だった。

海へ放射能放出総量は1.5京ベクレル 原子力機構試算(2011年9月9日 朝日新聞)

政府、原発放射能拡散を過小評価-不運だった雨と風向き(2011/9/91 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

新聞各社は大きな記事で特集を組むだろう、どんなことを書くのかな
とおもっていたら、毎日新聞が昨日きょうと大きな記事を載せている。

原発事故から半年、各紙が原発事故をどう報道するのかを読み比べてみたい。

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大震災半年:福島第1原発事故 暮らしの中の対策 被ばく、どう防ぐ 

 東日本大震災で発生した東京電力福島第1原発事故は、誰も想像したことがなかった大量の放射性物質をまき散らした。水素爆発などで舞い上がった放射性物質は、福島県内外に飛散し、土地や食べ物を汚染した。汚染は除去できるのか、健康への影響はどこまであるのか。目に見えない放射性物質と暮らすことを余儀なくされた今、科学的に「分かっていること」と「分かっていないこと」を整理し、放射線の影響を下げるためにできることを考えた。

◆土壌汚染
 ◇範囲、チェルノブイリの1割
 今回の事故で放射性物質は福島県の内外に広がり、局所的に周囲より線量の高いホットスポットと呼ばれる場所も現れた。
 日本原子力学会の分科会の分析では、放射性セシウムが1平方メートルあたり60万ベクレル以上の汚染地域は約800平方キロあった。チェルノブイリ原発事故(86年)では同55万5000ベクレル以上が約1万平方キロで、分科会は「福島原発事故の汚染の広がりは、チェルノブイリの10分の1程度」と推計する。
 文部科学省は8月末、福島第1原発から100キロ以内の約2200地点で土壌の汚染濃度地図を公表。チェルノブイリでは1平方メートルあたり148万ベクレル(妊婦と子どもは55万5000ベクレル)以上の地域を強制移住させたが、今回の調査では、34地点でこの数値を超えた。
 全測定地点の緯度・経度とセシウム134、137の濃度は文科省のウェブサイト(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/017/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/09/02/1310688_1.pdf)に掲載されている。
 ネット上の地図検索サービス(http://www.geocoding.jp/など)を使えば、地図上の位置が分かる。
 最も土壌汚染が深刻だったのは、大気圏内核実験が行われた1960年代。国内15カ所の水田で放射性物質を測定している農業環境技術研究所(茨城県)によると、67年の1キロあたり138ベクレルが最高だった。

 ◇土壌からの「間接汚染」が問題
 土壌から農作物への汚染が心配されるが、経路は3通りに大別される=イラスト<右>。
 一つが、葉や花に付いたり、植物の呼吸で取り込まれる「直接汚染」だ。事故から間もないころに汚染が問題となったホウレンソウなどの野菜が該当する。もう一つが、土壌中の放射性物質が根から吸収される「間接汚染」だ。このほか、地面に近い茎が大気と土壌の両方から取り込む「混合型」がある。
 現在、原発からの放出は抑制されているので、農作物に影響を与える主な経路は間接汚染だ。物質では、量が半分になる時間「半減期」が約30年と長いセシウム137が問題になる。
 東京大が5月に福島県郡山市の耕す前の水田で調査したところ、セシウム134とセシウム137の96%は深さ5センチ以内の土壌中にあり、地下深くまで浸透していない。問題は、土壌中の放射性物質がどの程度、作物の食べる部分(可食部)に取り込まれるかだ。
 土壌中の放射性物質濃度に対する可食部の濃度の比率を「移行係数」=表<上>=と呼ぶ。稲の場合、0・0001~0・61と幅があり、政府は国内のデータを基に0・1を採用。コメの暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を上回らないよう、土壌1キロあたり5000ベクレル以上の田での作付けを禁止した。

 ◆農作物
 ◇出荷制限、ほとんど解除
 消費者が大きな関心を持っているのが食品の放射能汚染だ。一部の食品では放射性物質が国の暫定規制値を超え、出荷制限の対象になったが、食品汚染は実際、どこまで広がっているのだろう。
 厚生労働省が9月1日にまとめた調査によると、福島原発事故以降、全国で野菜、肉、水産物など計1万6829件が検査され、放射性ヨウ素とセシウムが規制値を超えたのは677件(4%)だった。うち473件は福島県だった。
 農作物で規制値を超えた時期は3~6月に集中。7月以降は放射性ヨウ素が規制値を超えた例はほとんどなくなった。福島県などで一時、出荷制限されたホウレンソウやコマツナなども6月下旬までに制限を解除された。8月末時点で出荷制限されている農作物は、原発から半径20キロ圏を除けば、福島県の原木のシイタケやタケノコ、ユズなど一部にとどまる。

 ◆調理法
 ◇水洗い、酢漬け、煮込み有効

 大半の野菜や牛肉が規制値を下回り、出荷制限が解除されているのが現状だ。しかし、少しでも放射性物質の取り込みを減らしたいと望む場合、家庭でもできる方法がある=イラスト<右>。
 日本放射線安全管理学会の野菜分析班が、主にホウレンソウで実施したヨウ素とセシウムの除去実験では、野菜を5分間水洗いした場合、約3~7割が落ちた。葉の表面の傷や、しおれた部分は除去しにくい▽洗剤やクエン酸を使って洗っても水洗いと大差ない--ことも分かった。
 原子力環境整備促進・資金管理センターが94年にまとめた除去実験でも、野菜などは水洗いで半分前後を除去できることが明らかに。また、ジャガイモやニンジンは皮をむくと放射性物質が約半分に減ることや、キュウリは酢漬けにすると約9割除去できることも分かった。肉類については、「焼く」「蒸す」調理法だと約1~3割しか減らないが、「煮込む」ことで放射性物質は約半分になるという。ただ酢漬け後の酢や煮汁は放射性物質が溶け出しており、捨てなければいけない。
 大桃洋一郎・前環境科学技術研究所理事長は「野菜の葉の内部に放射性物質が吸収された場合でも、煮込めば減る。牛肉はいったん凍らせてから解凍するとよい。牛肉のセシウムは細胞内に含まれており、肉の細胞が壊れてセシウムが肉汁に溶け出すためだ。牛肉なら、すき焼きよりしゃぶしゃぶがよい」と話す。

 ◆魚
 ◇淡水魚のセシウム汚染、目立つ

 原発事故直後、コウナゴから規制値を超える放射性ヨウ素が検出されたが、魚の状況はどうだろう。
 厚労省の調査では、9月1日までに、福島、茨城両県を中心に約1600件の水産物が検査され、92件が規制値を超えた。うち86件が福島県。海産物ではコウナゴ、アイナメなど、淡水魚ではウグイ、アユなど。
 規制値超えは、当初の放射性ヨウ素ではなく、セシウムが中心になっている。
 セシウムは海の沖に拡散して底に沈むため、「海底にすむヒラメ、アイナメ、ウニなどに規制値を超えるものが出てきた。福島沖以外の魚の汚染は低い」(独立行政法人・水産総合研究センター)という。
 また、7月以降目立っているのは淡水魚の汚染だ。水産庁漁場資源課は「セシウムに汚染された川や湖のコケ、虫などをえさにしているから」とみる。養殖アユからは検出されていない。

 ◆肉牛
 ◇4県の出荷制限すべて解除

 福島県南相馬市の畜産農家が出荷した牛肉から規制値を超えるセシウムが7月、検出された。セシウムに汚染された稲わらを食べたためだが、対策はどうなっているか。
 農林水産省の調査では、岩手、宮城、福島3県を中心に約170の農家が汚染された稲わらをえさとして与え、約4000頭が出荷された。うち約1240頭を検査すると、75頭が規制値を超えていた。稲わらの徹底管理や全頭検査が進んだ結果、8月25日までに岩手、福島、宮城、栃木4県の出荷制限はいずれも解除された。
 一方、豚や鶏のえさはトウモロコシなど輸入配合飼料が中心で、肉や卵に規制値超えの例はない。

 ◇乳幼児、妊婦は特に注意必要 低線量リスク、データなく
 短時間で大量の放射線を浴びると、被ばく直後に目に見える健康被害が起きる。体の大量の細胞が死ぬことによる脱毛や出血などの急性障害で、ときには死をもたらす。このため、被ばく線量の上限には目安がある=図<右>。
 今、私たちが直面するのは、急性障害は出ない少ない被ばく。心配なのは、がんになる確率だ。
 がん発症のリスクを高めるのは、被ばく以外にも喫煙や飲酒などさまざまな要因がある。放射線による影響は、広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査によると、累積100ミリシーベルトの放射線を浴びた場合、がんで死ぬ確率が0・5%高くなる。日本人のがんで亡くなる人は、死者全体の約30%。これらの全員が100ミリシーベルトを浴びると、がんによる死者の増加は死者全体の0・15%にあたる=グラフ<1>。一方、100ミリシーベルトを下回る低線量被ばくでは、がんの発症率のばらつきは大きく、放射線による影響か他の原因か見分けがつかない。このため、低線量被ばくとがんの関係を解明するためには、1000万人規模の調査が必要と言われる。
 各国政府に放射線防護策を勧告している国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量被ばくについて、「ある数値以下なら安全という値(しきい値)を定めず、できる限り被ばく量を下げる努力をする」との考え方を採用した。ICRPの元主委員会委員、佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「低線量でがんの危険性が急増することはないが、防護を重視する観点からしきい値は定められていない」と話す。
       ◆
 気になるのは、子どもへの影響だ。残された人生が長く放射線で細胞のDNAが傷ついた後に何らかの健康被害が出るまで時間がある▽成長に伴う細胞の分裂が盛んなため、傷ついた細胞が増えやすい--などの背景があるからだ。
 原爆被爆者を年齢別に分析すると、1000ミリシーベルトを超える被ばくでは、10歳未満ですべてのがんの発症率が他の年齢層より大幅に高かった。ところが、500ミリシーベルト以下の線量では、ほとんど違いがなかった=グラフ<2>。また、胎児への影響も、100ミリシーベルト以下の被ばくでは、何らかの先天的な異常が増えるという明確なデータはない。
 だからといって、子どもと大人に違いがないというわけではない。原爆被爆者や検査などの医療被ばく経験者を調べると、15歳未満の甲状腺がんの発症者は、15歳以上の8・7倍に上った。
 放射線医学総合研究所(千葉市)の島田義也・発達期被ばく影響研究プログラムリーダーは「新たな放射性物質を取り込まないために、除染も大切な取り組みだ。さらに就学前の子どもや胎児が将来がんにならないように、大人が禁煙したり、バランスの良い食事をとらせるなど、できることをしてほしい」と話す。ICRPも、乳幼児と妊婦に特別な配慮を求める。
 このほか心配なのは、水や食料を通じて放射性物質を体内に取り込む「内部被ばく」だ。ヨウ素は甲状腺、プルトニウムは肺などに蓄積しやすい=イラスト<左>。原爆症認定訴訟のうち、2008年の大阪高裁などで内部被ばくによる健康被害の可能性を認める判決が出ている。
 内部被ばくに対し、体の外から放射線を浴びることを外部被ばくという。ICRPは外部と内部の健康影響を等しくとらえるが、北海道がんセンターの西尾正道院長は「内部被ばくは長期間、周囲の細胞に影響を与え続ける。内部と外部の影響を同等にみなすのは疑問だ。外部被ばくについても、原爆被爆者の中に低線量で、がんになった可能性のある人がいる。いろいろなデータを注意して見ることが必要だ」と語る。

 ◆除染のポイント
 ◇動作は上から下へ 表土・落ち葉、除去 特に軒下の草抜く

 放射線の影響を減らすには、放射性物質を取り除く「除染」をするしかない。水で洗い流したり、土をけずり取ったり、放射線量が下がるまで手作業を繰り返す。政府は8月、年間20ミリシーベルト以下の地域は住民単位で除染に取り組むよう求めたが、短時間で除染できる「特効薬」は開発されていない。地元自治体などが試行錯誤を続けている。
 「思ったほど下がらなかった」。8月末、福島県が除染に取り組んだ福島市大波地区で、県原子力安全対策課の片寄久巳(ひさし)主幹は、滞在時間が長く一番下がってほしかった寝室の線量が下がらず肩を落とした。
 作業は、裏手に山が迫り、三方を水田に囲まれた木造2階建て農家で実施された。集中的に行ったのは屋根と壁、雨どい。2階の寝室や1階の居間など居住空間の線量を下げる狙いだった。
 高所での作業に慣れた塗装職人7人が参加した。ヘルメットにゴム手袋、長靴姿で腰に命綱を巻き、高圧洗浄機を使って屋根の隅から隅まで放射性物質を水で洗い流した。1人が一瞬、足を滑らせてバランスをくずした。片寄さんは「一般の方には危なくてさせられない」とつぶやいた。
 約3時間の作業の結果、最も大きく下がったのは山側の雨どいで、毎時14・5マイクロシーベルト(1マイクロシーベルトは1000分の1ミリシーベルト)から、1・8マイクロシーベルトと8分の1に減った。しかし、2階寝室は同0・7マイクロシーベルトから同0・61マイクロシーベルトとほとんど変化がなかった。裏山や庭など、除染していない場所からの放射線が影響しているようだ。場所とやり方を変えた継続的な作業が必要だ。片寄さんは「除染にはべらぼうな費用と根気がいる。地元任せにせず国と東京電力は責任を持ってほしい」と訴える。
        ◆
 除染について福島県での作業に助言している日本原子力研究開発機構(茨城県)の繰上広志さんは「家の掃除と同じ感覚でやってほしい」と話す。マスクや手袋などで被ばくを避けるための身支度をした上で、ほこりを落とす時と同様「上から下へ」場所を移していく。
 まず、庭木の葉を切り落とす▽庭の表土や落ち葉を除去する▽軒下を中心に庭の草を抜く--ということを試す。側溝は土を取り除いてから洗い流す。高圧洗浄機は便利だが、たわしでこすった方が細部まで行き届いて効果が高いこともある。繰上さんは「集中的に除染しても全体の線量は下がらない。繰り返しやって、それでも線量が下がらない時は、専門家に相談してほしい」と話す。
 福島県は、町内会などの依頼を受けて除染活動に専門家を派遣している。また、日本放射線安全管理学会は詳しい除染方法や、専門家への相談窓口をホームページ(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jrsm/)で紹介している。
 このほか、専門機関では、農村工学研究所(茨城県)が福島県飯舘村の水田で、表面に付いたセシウムを代かきして隣の水田に排水するなどの方法で除染している。日本原子力研究開発機構はセシウムを吸着する鉱物ゼオライトによるプールの水の除染技術を確立、福島県内で行っている。
        ◆
 除染で発生する汚染土などを、どう処理するかも課題だ。日本放射線安全管理学会によると、地面に穴を掘ってポリ袋に入れた汚染土を埋め、上から10~20センチの土をかけると汚染土からの線量を9割以上低減できた。除染で発生する汚染土の処理方法は、国が今後示すとしているが、当面は地域ごとに仮置き場を確保するよう求めている。地元自治体では仮置き場の確保に住民の理解を得にくく、難航している。
 被ばく線量が年間20ミリシーベルトを超える地域では、国が直接除染するとの方針を示しているが、具体的な方法や除染完了までにかかる時間は不透明だ。

 ◆ガイガーカウンター
 ◇同条件で何度も測定を

 身の回りの放射線量を測ろうと、「ガイガーカウンター」と呼ばれる測定器を購入した人もいるだろう。使い方や精度を理解し、正しく使用することが大切だ。
 専門家が使うのは、放射線の検出部分が円筒状をしたタイプで、原発など放射線を扱う施設向けに製造されている。これに対し、一般に普及しているのは、手のひらサイズの簡易型。もともとは、研究者らがフィールドワークの際に危険を察知するために使用されてきた。私たちが普段過ごしている低線量の場所で正確に計測するのは難しい。0・002ミリシーベルト以下の場所で測定した数値は信用できないことが多いという。
 首都大学東京の福士政広教授(放射線安全管理学)によると、簡易型が示す数値と自治体がモニタリングポストなどで監視している数値との間には、20~30%の誤差がある。このため、「簡易型を利用する目的は、感知と考えてほしい」と福士さんは助言する。
 その上で、正しい使い方として、(1)平均値を知るために位置や方向など同じ条件で何度も測る(2)増減を確認するため、日にちを変えて計測する--などを心がけるよう呼びかけている。線量の高い場所を探るのに役立てる、という認識で使うのがよさそうだ。

 ◇JCO事故、106人が相談
 茨城県は2000年から、避難要請区域にいたり、推定被ばく量が1ミリシーベルト以上の人を対象に健康診断を続けている。健診会場では、心の問題に対応するための相談の場を必ず設けている。県障害福祉課によると最初の年は60人が心の悩みを訴えた。昨年は2人で、この11年間で延べ106人。一方で昨年、健康診断を受けたのは245人だった。
 事故当時、同課職員だった精神科医の荒木均ひたちなか保健所長は「まず健康チェックを行うことだ。同時に精神的なケアが必要な人を漏らさないことが重要だ」と話す。

 ◇DNAの傷、がん化と関連不明
 放射線が、細胞の核に含まれるDNAを傷つけることは、実験で確認されている。
 DNAには、生命活動に必要な情報が盛り込まれている。だが、放射線でDNAが傷ついた細胞が、そのままがん細胞になることは証明されていない。
 細胞レベルの放射線の影響を研究している鈴木啓司・長崎大准教授(放射線生物学)は「原爆被爆者にさまざまながんが増え、チェルノブイリ原発事故後の周辺の子どもに甲状腺がんが多発した。放射線を浴びると、がんが増えるのは間違いないが、DNAが傷つくことと、がん化の関連は明確ではない」と説明する。鈴木さんは、放射線を浴びた細胞を詳細に調べ、特に、ごく少ない被ばくで、がんができるかを確かめたいとしている。
 被ばくと健康への影響の関係を探る研究は今なお途上にある。

==============
 この特集は、永山悦子、西川拓、藤野基文、久野華代、大野友嘉子、小島正美が担当しました。(グラフィック かみじょうりえ、編集・レイアウト 野村房代)
==============
 ■ことば
 ◇ベクレル、シーベルト

 ベクレルは放射性物質が出す放射線の強さを表す単位で、1秒あたりの原子核の崩壊数を示す。シーベルトは放射線が人体に与える影響を表す単位。放射線や放射性物質の種類によって影響の程度が異なる。

 光に例えると、ベクレルは電球本体の明るさで、シーベルトは光を受けた場所の明るさに相当する。1ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取した場合、人体は0.022マイクロシーベルト(1マイクロシーベルトは1000分の1ミリシーベルト)の影響を受ける。
毎日新聞 2011年9月8日  


事故の収集のめども立たず、放射線の内部被ばくの影響や被害はまだよくわかっていないのに、
農産物の出荷制限は次々に解除され、「少しだから大丈夫」という言説が広く流されている。
本当にだいじょうぶなのか、わたしは疑問に思っている。

わたしも原発事故の記事を検証したいとその日からの5紙は捨てずにとってあるので、
事故から半年を機に、そろそろ新聞を整理しなけばと思う。

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観た!よかった!「百合子、ダスヴィダーニヤ」@あいち国際女性映画祭

2011-09-08 17:30:39 | ジェンダー/上野千鶴子
今日は24節季の「白露」。
大気が冷え、草花の露が白く見えるようになるとされる時季。

陰気ようやく重なりて露こごりて白色となれば也(暦便覧)

朝晩めっきり冷え込んできたので羽毛布団をだしました。

昨日は、ウィルあいちで開催される「あいち国際女性映画祭」に行ってきました。
   

   

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オープニングは、「百合子、ダスヴィダーニヤ」。
わたしも前にブログで紹介しましたが、
もちろんこの映画を観にはるばる名古屋までやってきたのです。

9/7「百合子、ダスヴィダーニャ」あいち国際女性映画祭で上映@ウィルあいち
/全国各地でも上映決定!(2011-08-25)


友人と会場で待ち合わせ、開場を待つ列に並んでいると、
すぐそばに浜野監督がかけつけてみえました。

「百合子、ダスヴィダーニヤ」公式ホームページ
 

映画は期待どおり、おもしろかったです。

   

映画の後に、浜野監督と主役のお二人のトークと観客とのやり取りがありました。
浜野さんの話では、「百合子、ダスヴィダーニャ」は、このあいち国際女性映画祭が全国の皮きり、とのこと。
名古屋で見逃した方は、シネマスコーレで、10月18日(火)~21日(金)まで上映。
東京では10月22日から「渋谷ユーロスペース」で上映され、
ここでの反響が映画の評価になるとのことなので、ぜひご覧になってください。

映画のあとは、名古屋駅に行ってランチの予定だったのですが、
タクシーの運転手さんにすすめられて栄に行って三越でお昼ご飯とデザート。

  

けっきょく、おしゃべりが弾んで、
帰りは予定より大幅に遅れて夕方になりました。


長良川から見た夕暮れの空と伊吹山。
あしたも晴れるかな。

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『おひとりさまの終活 自分らしい老後と最後の準備』中澤まゆみ著/三省堂

2011-09-07 19:28:19 | ジェンダー/上野千鶴子
ウイメンズアクションネットワークWANのトップページに、
「婦人公論」の広告が出ています。

ウイメンズアクションネットワークWAN

今は最新号の9月22日号がでていますが、少し前までは、9月7日号が出ていて、
2011年9月7日号(8月22日発売)特集:私らしい最期を迎えたい
     

まだ店頭にあるかなと思って見に行ったら、
三省堂にはなくて、カルコスにはあったので、さっそく買ってきました。

「私の遺言」には、上野千鶴子さんをはじめ、
あさのあつこさん、伊藤比呂美さん、大平光代さん、勝間和代さん、香山リカさんなど
25人の〈女性著名人アンケート〉が載っています。

ちょうど母が亡くなったあとなので、わが身に引きつけて読みました。

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中澤まゆみさんの最新刊、
『おひとりさまの終活 自分らしい老後と最後の準備』も届きました。
前にお会いした時に名刺をお渡ししたので、送ってくださったのです。

   

どのような最期を迎えたいのか、
を考えたい人にはためになる本です。

チラシもどっさり同封されていたので、
読書会の時に、参加者の皆さんにお渡ししました。

   

 『おひとりさまの終活 自分らしい老後と最後の準備』 
中澤まゆみ 著
三省堂 
1,680(1,600)円 四六判 240頁 978-4-385-36535-0

超高齢社会をたっぷり生きて旅立つための、知恵とチカラ。おひとりさまが老後で一番不安に思っている「見守り」「介護」「孤独死しないためのヒント」をはじめ、老後の「住まい」「医療」「お金」そして「仕事」から「葬送」まで。最新のセーフティ情報満載のガイド。

●内容紹介
•人生100年時代。知っていれば、ひとりで死ぬのも怖くない。
•超高齢社会をたっぷり生きて、旅立つための知恵とチカラ。
•終活の前の「就活」から、オーダーメイドの「見守り」、そして介護、お金、住処から葬送まで。
•“いい日旅立ち”を実現するための、老後のセーフティネットづくりを徹底取材。
•豊富な事例と最新情報を満載した、著者の“実践おひとりさまシリーズ”決定版。
 いまや「人生100年」時代。老後もその長い時間を視野に入れて考えなければいけなくなった。

「人生80年」と言われるようになったのは1970年代からだが、日本人の平均寿命は軽々とそれを超え、とくに女性の平均年齢にいたっては、限りなく90歳に接近している。

 先ごろ公表された国勢調査の抽出速報では、ひとり暮らし高齢者の数は約457万7000人。65歳以上の男性の10人に1人、女性の5人に1人がおひとりさまとなった。団塊世代が80代を迎える20年後には、ひとり暮らし高齢者は700万人を超えるという推計も……。
「おひとりさまの時代」は超スピードで進み、ひとりの老後をどう生き抜いていくかは、高齢者ならずとも大きな関心事となっている。
 本書のタイトルは「おひとりさまの終活」だが、「終活」というのはふつう、自分の葬儀やお墓を事前に決めたり、遺言やエンディングノートを書くといった、終末に向けての準備活動とされている。
 しかし、人生100年時代の「終活」は、それだけには納まらない。これまで誰も経験したことがない超高齢社会に生きる私たちにとっての「終活」とは、自分らしい“いい日旅立ち”を、一人ひとりが自分のステージに合わせ、残りの長い人生の中で準備していくことではないだろうか。
 死後のことより大切なのは、「そこそこ、いい人生だった」と思っていつでも旅立てるよう、できるだけたっぷり生きること。それが「終活」のありかた……というのが、本書の大きなメッセージとなっている。
 少ない年金、心細い老後の資金・・・。それらを補いながら、生きがいづくりを始める第一歩は、「仕事」をもつこと。プチ収入の確保からコミュニティでの起業まで、本書では「60歳からの仕事」を老後の準備のスタートとした(第1章 終活の第一歩は「就活」から)。
 また、老後を迎える人たちの最大の不安は「お金」と「病気」(とくに認知症)だが、おひとりさまにとっては「孤独死」もキョーフのひとつ。2010年の内閣府調査では、ひとり暮らし高齢者の60%、夫婦同居でも44%の人たちが「孤独死を身近に感じる」と答えていた。マスコミを騒がせた大原麗子さんの死後発見報道も、まだ記憶に新しい。
 誰でも、死ぬときはひとり。しかし見守ってくれるものがあれば、それまでの道のりは少しばかり心強くなる。本書では行政から民間まで、さまざまな高齢者向けの見守り安否確認サービスやシステムを徹底取材し、タイプ分けした一覧表を6章末で詳しく取り上げている(第6章 見守り力は自分力)。
 見守り安否確認サービスは、室内につけたセンサーや、携帯電話を活用したサービス、テレビ電話を使ったサービスなど、東日本大震災後さらに進化し、利用者の関心も高まっている。とはいえ、こうした既成のサービスやシステムは「見守り」のごく一部。本当の「見守り」とは、在宅医療を味方にした医療や介護、行政、地域、家族や友人などによる 「人」のネットワーク、法律によるサポート、そして既成の安否確認サービスを利用して、自分仕様のセーフティネットを、そのときどきでつくりあげていくこと。「自分力」と「人持ち力」を蓄積し、こうした見守り体制をつくっていけば「ひとりで死ぬのもコワくない」と筆者は言う。
 人生100年時代の長い老後では、どんなことが待ち受けているかわからない。そんな不意の事態にあわてふためかず、前に進むチカラになるのは、日ごろから備えた知恵と情報。ホップ・ステップと人生をたっぷり生きて、ゆるやかなランディングに向かうためのガイドとして、本書を役立てていただきたい。

■著者が提唱する「おひとりさまの見守り10か条」
①健康は日々の備えから
②かかりつけ医をつくる
③介護保険制度を知っておく
④行政と民間の見守りサービスを知って使いこなす
⑤遺言やリビングウィル(事前指示)を書いておく
⑥緊急医療情報を用意しておく
⑦在宅医療について知っておく
⑧成年後見制度を知っておく
⑨無縁よりも多縁。頼れる仲間をつくる
⑩健康状態に合わせた、自分仕様の見守りネットをつくる

-------------------------------------------------------------------------------
●目  次
■第1章 終活の第一歩は「就活」から
■第2章 「お金力」を身につける
■第3章 終の棲家の探し方
■第4章 「患者力」をつける
■第5章 私の介護、誰がする?
■第6章 見守り力は自分力
■第7章 終活のために必要なこと
■第8章 葬儀やお墓は必要か


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たつぷりニラのチヂミ/ナストとオクラとミョウガのせにゅうめん

2011-09-06 14:54:05 | 有機農業/野菜&ハーブ
台風一過、抜けるような晴天が戻ってきました。
暑さも台風とともに去ったみたいで、空気はひんやりと涼しく、
庭では秋の虫が鳴き始め、窓のそとは、緑色の光にあふれています。

  
といっても、半分くらいは、生い茂った雑草たち。
   

   
火曜日は、無農薬野菜を収穫して配達する日なので、
まどくんが、仕分けの残りの野菜を玄関に持ってきてくれました。

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雨が降っているうちは、野菜がとれなかったので、
野菜尽くしの料理ができそうでうれしいです。

ともちゃんもニラ畑の世話をしていたので、
ニラをどっさりとってきました。
  

大量のニラを消費するには「ドンナタベカタガイイダロウ・・・」と思案して、
ニラのチヂミを作ることにしました。

ニラのチヂミの材料は、言わずと知れた、たっぷりのニラ。
6センチほどの長めにザクザクと切っておきます。
ニラは大きく切ると、甘みが引き立ちます。
香りづけに青紫蘇の葉も20枚ほど庭からとってきて、
ニラと同じくらいの大きさに切ります。。

同量の小麦粉と片栗粉に卵二個と少量の水を混ぜて
そこにニラとシソを入れてよく混ぜるだけ。
つけだれを作らないので、味付けは中華だし少々。
   

熱しておいたフライパンにごま油を薄くひいて、
具を薄く流し込んで、弱火で焼きます。
   
カリッとしてきたら、ひっくり繰り返して焼きます。

一枚目はちょっと厚め。
ニラたっぷりで、もっちりしておいしいです。
   
一枚目を食べているうちに二枚目を焼きました。
ニラが長くて包丁では切りにくいので、ハサミで切ります。
   
いい感じに焼けました。

台風一過、ちょっと涼しくなったので、
野菜たっぷりのあたたかいにゅう麵を作りました。
ナストオクラをだしに入れて煮て、素麺にかけます。
   
薬味に千切りミョウガと青紫蘇をのせてできあがり。
オクラのとろみで、ツルつるっと食べられます。

  


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「脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命」再放送NHK9月13日0時15分/促通反復療法「川平法」の理論と実際

2011-09-05 18:19:09 | 健康/くらし/薪ストーブetc
昨夜9時からのNHKスペシャルは、驚異的な脳の回復力で、
特殊なリハビリによって脳卒中のマヒから回復する番組。
見逃さないように、テレビの前に陣取っていました。
見逃した方は、9月13日(火)の深夜に再放送があります。

    NHKスペシャル「脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~」  
   ●再放送 2011年9月13日(火)  午前0時15分~1時04分 総合 (12日深夜)
     再放送 脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~
     初回放送 2011年9月4日(日)


もしもわたしが身近な人が脳卒中になることがあったら、ぜひこんなリハビリを受けたいと、
写真を撮るのも忘れてみていたのですが、番組の詳細情報を見つけました。

NHKスペシャル【脳卒中リハビリ革命マヒの指BMI治療促通効果鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター川平和美 藤田太寅】詳細情報 

NHKスペシャル9月4日放送【脳卒中・リハビリ革命脳はよみがえる
▽感動4年マヒの指が動いた最新医学で驚異の復活】の詳細情報です。
◎出演:藤田太寅(関西学院大学教授/元部外解説委員)

■脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~
「4年間リハビリを頑張ってきても動かなかった指が、わずか10分の訓練で動き始めた」
今、脳卒中の治療で新たなリハビリが次々に開発され、驚異的な効果を上げています。

約280万人にのぼる脳卒中患者、医療の発達で命を落とすケースは減ったものの、
マヒの問題は深刻で、介護が必要になる原因の第一位。解決にはリハビリが重要ですが、
発症後6ヶ月を超えたあたりから効果が落ちるとされてきました。

しかし最近、脳科学の急速な発達により、傷ついた脳が再生するメカニズムが
次第に明らかになり、時間を経過した患者でも、マヒを改善する手法が発見されています。

今回のNHKスペシャルでは、リハビリの効果を上げる誰でも出来る意外な方法や
脳波とマシンを連動させる最新科学まで、脳卒中リハビリの最前線で起きている
急激な変化を取材、人間の脳に秘められた驚きのパワーに迫りました。
キャスターは、これまでもNHKスペシャルで脳卒中リハビリを取材してきた、
藤田太寅氏(自らも4年前に脳卒中を経験、今もリハビリ中)。

鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター(鹿児島県霧島市)では、
鹿児島大学医学部の川平和美教授が5年前に独自の脳卒中リハビリ法を確立、
歩けなかった人が歩けるようになる驚異の変化をもたらしたといいます。
※ベストセラー:片麻痺回復のための運動療法―促進反復療法「川平法」の理論と実際

患者の一人・淵脇悟さんは2年前脳卒中を発症し、茶碗を握ることはできても
離すことができず、奥さんの助けなしでは生活できませんでした。
ブロックをつかんで運ぶ簡単なテストでは、細い棒をつまむことができず、
100点満点で10点でした。

脳卒中の一般的なリハビリの場合、医師は患者を見守るのが基本ですが、
川平和美教授は実際に患部をさわり筋肉に刺激を繰り返す方法を行い、
2年間回らなかった手が回るようになったといいます。

マヒした手を動かす時の脳活動をリハビリ前後で比較したところ、
リハビリ前は手を動かそうとすると脳の広い範囲が赤くなるのに対し、
リハビリ後は、赤い部分が大幅に減る促通効果があるといいます。

アメリカ国立衛生研究所は、川平和美教授の促通効果に注目し、
マヒ患者のリハビリに使えないか研究、リハビリ1か月後には
手首を回して水が飲めるようになりましたが、重症のマヒ患者には
効果を発揮しづらいといいます。

Brain Machine Interface(BMI)=脳と機械をつなぐ技術では、
脳波を取り出して、その通りにロボットアームが動きます。

7年前に脳卒中が原因で重いマヒに陥ってしまったある患者は、
新聞の科学面を切り抜くことが日課のようになっていましたが、
脳卒中のリハビリに新技術に関する記事を読み、4か月後に
慶應義塾大学病院を訪ねました。

入院当初は棒をつかむことができないほどマヒが重度だったため、
担当医の藤原俊之講師(慶應義塾大学医学部)はBMI治療という
脳に信号の出し方を思い出させる治療のことを話しました。

最初は失敗ばかりでしたが、少しずつ正常な脳波が出せるようになり、
脳からの信号を増幅し強める装置を腕に付け、普段はめた状態で生活
したところ、現在では左手を使い、様々なことができるようになりました。

鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンターは、テスト結果に現れなくても
脳には変化が起きていることを患者本人に見せて、自信を取り戻させることが
大切といいます。

アメリカ・ロサンゼルスのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、
リハビリ研究の世界的権威・ブルースドブキン教授がリハビリ後にほめた場合と
ほめない場合で歩く速度の変化を比較したところ、ほめられた方が約40日早く
歩けるようになったといいます。

カリフォルニア工科大学の下條信輔教授は、ごほうびをもらうと脳の働きが
強化されるが、ポイントは報酬系という部分で、ほめらると報酬系は活性化、
そこへドーパミンを送り込むと活性化し、ほめられた部分が発達するので、
周囲の温かな励ましが大きな鍵になると話します。

【ほめることによる効果を高めるポイント】
(1)具体的にほめる
(2)すかさずほめる

脳卒中のリハビリ効果を高める方法は他にも見つかっており、カンザス大学病院
(アメリカ・カンザスシティー)では睡眠の効果を研究中で、リハビリの直後に
眠った場合と眠らない場合でリハビリ効果を比較したところ、手の反応速度は
眠った人の方が格段に上がるといいます。 


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番組のなかで、鹿児島大学の川平和美教授が講習していた療法は、
川平法(促通反復療法,Repetitive Facilitation Exercise)というらしくて、
週刊医学界新聞 (医学書院)で紹介されていました。

素人が習得するのは難しそうですが、ぜひ全国のリハビリの現場に広がってほしいです。

第2901号 2010年10月25日 
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週刊医学界新聞 > 医学書院

上肢・手指の片麻痺回復へ
川平法実技講習会開催

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 川平法(促通反復療法,Repetitive Facilitation Exercise)は,これまで難しいとされてきた上肢・手指の麻痺の改善・促通においても高い効果があるとして,リハビリの現場で注目されている片麻痺の治療法だ。このほど,開発者の川平和美氏(鹿児島大)が執筆した書籍『片麻痺回復のための運動療法――促通反復療法「川平法」の理論と実際』の第2版が出版され,今後のさらなる普及が望まれている。
 そこで,本紙では,9月19日,横浜YMCA学院専門学校(横浜市)で開かれた「第14回新しい片麻痺への促通手技(川平法)実技講習会」を取材。受講した作業療法士や,指導者の川平氏に話を聞いた。
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目標の神経路を効率的に再建・強化する
 セミナーではまず,川平氏による講義が行われた。神経細胞が損傷されると,通常,その細胞に代わって近傍の神経細胞の軸索から神経側芽が生じて新たな神経路を形成したり,日ごろ,興奮を伝えていなかったシナプスが興奮を伝えるようになり(アンマスキング)神経路として働いて,機能回復が生じる。ところが,この神経側芽の発生は損傷後1 か月前後がピークで,その後は減少していく。これらの新たな神経路が損傷した神経路の代役を果たせるようになるには,その神経路を実際に使用し,強化していく必要がある。
 川平法は,この新しい神経路の定着を念頭に置いた治療法で,麻痺肢に伸張反射や皮膚筋反射などの刺激を正確な部位に適切なタイミングで与え,運動性下降路の再建・強化を行うものだ。
 その大きな特長の一つが,「誤りなき学習」が可能なこと。例えば,共同運動がみられる患者へのリハビリを考える。共同運動とは,脳の指令が本来伝わるべき神経路以外にも伝わり,本人が意図した運動以外の運動が同時に起きてしまう現象のこと。この場合,リハビリは意図した運動の成功と失敗のなかで「試行錯誤」して進めることになる。これを避けるためには,患者がイメージした行動が適切な神経路だけを伝わり,意図した運動を生む筋肉だけに届くことが必要だ。
 この選択的な興奮伝達を実現したのが「誤りなき学習」である。治療者が適切な神経路だけに興奮を伝える正確な手技を確立すると共に,「伸ばして」「曲げて」と動作ごとに指示を出し,患者自身も指示された運動を実現するよう努力することを重要視している。運動は50-100回ずつ繰り返すが,患者の負担にならないように設計されていることもポイントだ。
 さらに,治療法としての有効性が科学的に証明されていることも,エビデンスの確立が遅れがちな作業療法の治療法のなかで際立った特徴だ。RCTで他の治療法より高い治療効果を示したほか,クロスオーバーデザインなど客観性の高い試験で,促通反復療法の有効性が実証されているという(左下に関連記事)。

手技のポイントは,刺激を与える部位とタイミング
実技指導は,受講者同士で2人組になり患者役と治療者役を交互に務めるかたちで,約3組に1人の割合で指導者がつく中で行われた。この治療法のポイントは,伸張反射や皮膚筋反射を促す体の部位の見極めと,そのタイミングだ。さらに,重量のある上肢や下肢を屈曲・伸長させる動作を最低でも50回以上繰り返すため,体力も求められる。
 受講者らは,手探りながらも,手技を身につけようと真剣に取り組んでいた。受講者に話を聞くと,「書籍をもとに実践していたが,実技指導を受けて理解が深まった」と,今後へ向けて収穫を得ていたようだ。
川平法ではこれまで治療が困難であるとされてきた手指(右)や上肢(左上)の片麻痺の改善が可能なほか,下肢(左下)の片麻痺の改善にも幅広く対応している。

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作業療法士だけでなく理学療法士も川平法を
川平和美氏(鹿児島大学大学院教授・リハビリテーション医学)に聞く
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――先生が川平法の開発に着手された原点となった出来事などがありましたら教えてください。
川平和美氏
川平 かつて,私が担当した患者さんの中に3-4か月のリハビリテーションの後,指は自由に動かせないものの,掌で物を押さえられる程度まで回復した教員の方がいました。当時,私は達成感を感じていましたが,なんとその方は退院して数か月後には,自主訓練で卒業証書に毛筆で生徒の名前を書けるようになったそうです。それを聞いて,それまでの上肢,殊に,指へのリハビリテーションが不十分であったことを痛感しました。

――川平法の今後の課題はどのようなことでしょうか。
川平 川平法とさまざまな治療法の併用による,治療成績の向上です。現在,筋収縮が生じ始める閾値レベルの電気刺激を与える電気刺激法と促通反復療法の併用で,劇的な治療効果が確認されています。併用療法は,特に重症例で有効です。今後,経頭蓋磁気刺激や拘束運動療法等と促通反復療法との併用の可能性を探っていきたいと思います。
 また,川平法をさらに普及させていくためには全国的なネットワークの構築が必要です。現在,川平法を実践する医療者は200-300人ほどいると考えられ,私が各地でセミナーを開く際には,数人の方がサポートスタッフとして協力してくれています。そのような方が,全国各地におられるようになるとよいと思いますね。

――最後に読者へメッセージをお願いいたします。
川平 今まで,下肢に比べて上肢麻痺の治療法の開発・研究は難航してきました。川平法は,このような上肢のリハビリテーションに変化をもたらすと思います。今回のセミナーに参加された方は大半が作業療法士の方々でしたが,理学療法士の方々にも取り組んでほしいと思います。ぜひ,試してみてください。
 


 片麻痺回復のための運動療法[DVD付]
促通反復療法「川平法」の理論と実際(第2版)医学書院
 

著:川平 和美
判型 B5 頁 224 発行 2010年05月 定価 6,510円 (本体6,200円+税5%) ISBN978-4-260-01033-7 序 文 / 書 評 / 目 次 促通反復療法“川平法”を写真と動画で体得できる
主に脳卒中後の片麻痺に対して、著者が“川平法”として提唱している促通反復療法の理論的な背景と実際についてまとめた1冊。上肢・下肢・歩行に対する治療手技の実際は写真とポイントを絞った文章で丁寧に解説。DVDでは本文で解説した手技を、動画に併せた著者本人の解説で“川平法”が体得できるよう工夫されている。

序文
第2版 序 進む治療効果の検証と動画(DVD)の追加について


 近年,脳の可塑性の存在が明らかになり,片麻痺の回復に不可欠な運動性下行路の効率的な再建・強化法が求められている。しかし,これまでのリハビリテーション医学・医療では,新たな神経路を再建する治療技術の開発への取り組みが遅れている。そのため,改訂された最新の「脳卒中治療ガイドライン2009」でも,Bobath法,Brunnstrom法,PNF(proprioceptive neuromuscular facilitaion)などの神経筋促通法は,前版同様「行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない(グレードC1)」とされている。その一方で,片麻痺上肢の回復については,電気刺激療法と拘束運動療法(CI療法:constraint-induced movement therapy)を行うよう勧められている(グレードB)。
 促通反復療法「川平法」は片麻痺を回復させるために必要な神経路の形成/強化を行うとの観点から,患者が意図した運動を実現・反復する,つまり再建/強化したい神経路のみに繰り返し興奮を伝えることを目的に開発され,これにより試行錯誤なしに大脳の運動野から脊髄前角細胞までの神経路を形成/強化することが可能になった。現在,この促通反復療法に関する実証的検討が各地で進められており,有効性を示す研究結果が報告されている。
 促通反復療法は,CI療法や電気刺激療法,経頭蓋磁気刺激法,ロボテック治療などの他の治療との併用によっても,それらの治療効果を大きく高める基礎的な治療法となることが期待されている。ことにCI療法との併用は患者の負担軽減につながるであろう。
 今回の改訂にあたって,操作法の動画(DVD)を追加した。図や写真だけではわからなかった操作の速さや指示のタイミングが明確になり,促通反復療法がより多くの医師や理学療法士,作業療法士に役立つことを願っている。
 この出版に際して,多くの方にご援助頂いた。特に理論面のご指導を頂いた田中信行名誉教授,写真撮影と動画撮影のディレクターを担当した作業療法士の野間知一君,写真・動画の撮影モデルを快く引き受けてくれた一氏彩子さん,馬場沙織さん,作業療法士の末吉藍さん,研究データを提供してくれた衛藤誠二先生,緒方敦子先生,松元秀次先生,下堂薗恵先生,さらに動画撮影の際に器材を提供頂いたオージー技研株式会社に心より感謝したい。
 また,何回もの修正をお許し頂いた医学書院の大野智志さん,福田亘さんにも御礼を申し上げる。

 2010年5月吉日
 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動機能修復学講座リハビリテーション医学教授
 川平和美
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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行列のできる「六厘舎TOKYO」自宅つけめん/東京ラーメンストリート「麺や七彩」

2011-09-04 22:12:07 | 花/美しいもの
東京食べ歩きの最後は、ラーメンに決まり。
ワケあってラーメン断ちをしていたのですが、この日解禁(笑)。

東京駅の八重洲側の改札を出て、東京駅一番街へ。
数あるお店を横目に、数年前に来たときは工事中だった、
東京ラーメンストリートに向かいました。

   

テレビでやっていた「六厘舎TOKYO」がお目当てだったのですが、
うわさ通り行列ができていて1時間待ちだったので、お店で食べるのは断念。

カタログの説明を読み比べて、
喜多方らーめんのお店、麺や七彩
にしました。
  

数人が待っていたのですが、すぐに席が空いて、
わたしは喜多方らーめん(醤油)、ともちゃんは喜多方冷やしらーめん(醤油)の食券を買っていざお店へ。
   
わたしは定番の醤油ラーメンが好きなのですが、
さすが自家製麵は一味違い、もちもちしていておいしいです。

喜多方らーめん(醤油)(味玉100円含む) 850円
シンプルな構成はすべて『麺』を最後まで美味しく食べるため。
その官能的とも言える喉越しの麺は、店内で毎日作られる『自家製麺』。
つるつるモチモチの食感を極上醤油で。

   

喜多方冷やしらーめん(醤油)(味玉100円含む) 950円
喜多方では、店によっては一年中食べられる、夏の定番メニュー。
甘酸っぱい冷やし中華スタイルではなく、冷たいスープに冷たい麺が泳ぐラーメンスタイルの冷たい麺。
キンキンに冷えたスープは、ほんのりとろみがあり、麺との相性は最高。
暑くて食欲がない時でもさっぱりとしていて、スルスル食べられます。

   

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ラーメンを食べ終わってから、また近くの六厘舎をみに行きました。
   
   六厘舎TOKYO

行列は縮まっていなかったのですが、お店の角を曲がってふと見ると、
お土産を買っている人がいました。
わたしも次に並んで、「ご自宅つけめん」を買いました。

麵とスープは冷凍されていて、おうちで六厘舎のつけめんの味が再現できる、
というので、三人分二箱と、一人分で計7人分を購入。
ドライアイスをどっさり入れてもらって、持ち帰りました。
   
六厘舎TOKYOお取り寄せホームページ

「冷凍保存」だったのですが、一人分の箱を冷凍庫に入れ忘れたので、
ふたりで「ご自宅つけめん」を食べることにしました。
  

作り方がていねいに説明してあるカタログを参考につくりはじめ。

まず大鍋にたっぷりのお湯を沸かして、麵をゆでます。
ゆで時間は好みで9~13分と説明に書いてあるので、10分にしました。
   
次に冷水にとって2分ほど麵を締めます。
   
一人分とは思えないほどたっぷりの麵の量です。

麵をゆでている間に、スープも湯せんでアツアツにしておきます。
   
こしがあってもちもちの超極太麺は食べごたえがあり、濃厚スープに絡んで絶品。
濃厚だけどくどくなくて、臭みもなく、こういう感じの麵は初体験。
半分ずつでも大満足です。

岐阜にはない味なので、ラーメン屋に食べに行かなくても、
このつけめんのお取り寄せで済ませようかと、と思うほど。

こんど東京に行ったら、やはり並んででもお店で食べてみたいです。

   
薄味で炊いた真鯛も、濃厚つけめんのおかずにピッタリでしたね。


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「食欲の秋」食品の放射能除去って…/千葉・埼玉産製茶から基準超セシウム/おいしい飛騨の桃

2011-09-03 19:57:57 | おいしいもの/食について
けさの朝食は、おそとごはん。
昨日、駅前に見つけておいたお店で、パンブッフェ付きのセット。
   
受け取ったお皿いっぱいに、好きなパンをのせて、
大きめのマグカップコーヒー付きで380円。
   
東海地方のモーニングよりもお値打ちかも。

わたしは、ヘルシーにミネスタローネのセットで480円。
ともちゃんは、ベーコンとスクランブルエッグのセットで500円。
   
いくらなんでも朝食にしては食べすぎで、お腹いっぱいになりました。

食欲の秋、か(笑)。

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「食欲の秋」、
といっても、今年の秋の自然の恵みは放射能が気になります。


全国一の生産量を誇る「福島の桃」は半値以下、と
帰りの新幹線のニュースでテロップが流れていました。

帰って読んだ中日新聞の生活面には、友人の白井康彦さんの記事。
知人の安田さんと松井さんのコメントが載っていました。

 「食欲の秋」食品の放射能除去って・・・ 
2011年9月3日 中日新聞

 新米の放射性セシウム検査が各地で始まっている。一つの食品に含まれる放射性物質は暫定規制値を下回っていても、さまざまな食品から少しずつ摂取することに不安を抱える人は多い。「食欲の秋」を迎え、家庭の台所でできる食品の放射能除去について考えた。 (白井康彦)

福島第一原発事故の影響で、暫定規制値を上回る放射性物質を含む野菜や茶などが相次いで出荷停止となった。ところが七月、放射性セシウムに汚染された牛肉が市場に出回っていたことが判明。小さい子どもを抱える母親らの間では、食品の放射能汚染への不安が広がっている。
 こうした中、注目を集めているのが、財団法人原子力環境整備センター(現在の公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター)が一九九四年にまとめた研究報告「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」だ。同センターは放射性廃棄物の調査研究などに取り組む原子力推進団体。報告はHPにも掲載されている。
 反原発の市民運動家として知られるNPO「食政策センタービジョン21」代表の安田節子さんは、報告について「八六年のソ連・チェルノブイリの原発事故後に起きた食品の放射能汚染の実態に基づいた研究で、内容は確か」と評価する。報告は分かりやすい。コメの場合は、(1)もみ殻を取る(2)精米する(3)白米をとぐという過程で、ストロンチウムが90~97・5%は除去できるという。
 キュウリやナスは、水洗いでストロンチウムが50~60%減り、ホウレンソウは煮沸であく抜きをし、「おひたし」にするとセシウムが50~80%除ける。魚のカワマスは煮魚にすると、セシウムが半分になる。
 安田さんは「放射性物質は内臓にたまりやすいので、汚染されている疑いがある魚は、サンマなどでも内臓を取ってから食べた方がいい」と説明する。
 報告は、放射性ストロンチウムにも着目しているのが特徴。国内では、政府機関などによるさまざまな地点の測定でこれまで、セシウムに比べ、ストロンチウムの検出量がかなり少なかったことを背景に、原発事故後も、ストロンチウムについての食品検査はあまり実施されていない。
 ただ、放射性ストロンチウムは、骨に入り込みやすい特性がある危険な物質だ。岐阜環境医学研究所(岐阜市)所長で放射性物質に詳しい松井英介さんは「食品についてのストロンチウム検査をもっと多く実施するべきだ」と指摘する。

◆「汚染」食品 小さい子ども、摂取は避けて
 放射性物質を含む食品を食べると、体内で粒子が周囲の細胞に放射線を浴びせる。この内部被ばくで将来、がんにかかる危険性が高まる。水洗いや煮沸などで、かなりの放射性物質を除去できるという報告は、放射性物質をわずかでも含む食品を食べるときの安心感につながる。
 ただ、安田さんと松井さんは、放射性物質に汚染された食品を食べるのはできる限り避けるべきだとの考え。特に、小さい子どもについての危険性を強調している。
 松井さんは「政府は内部被ばくの問題を軽く見すぎだ。原発事故による内部被ばくが広がらないよう、抜本的な対策が必要」と訴えている。


おりしも、すでにに流通している食品の抜き打ち検査で、
千葉と埼玉のお茶から、基準値を超える放射性セシウムが検出されました。

 千葉・埼玉産製茶から基準超セシウム 抜き打ち検査で
2011年9月3日 朝日新聞

 厚生労働省は2日、市販されている千葉県産と埼玉県産の製茶計4品から基準(1キロ当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたと発表した。厚労省は流通している食品を買い上げて調べる「抜き打ち検査」を先月から始めており、今回初めて基準値超えが見つかった。埼玉県産の茶で基準を超えたのが確認されたのも初めて。
 千葉県産は千葉市内の業者が製造した1品で2720ベクレルが検出された。調査を依頼している国立医薬品食品衛生研究所が5月末に購入した。埼玉県産は同県内の2業者と東京都内の1業者が製造した3品で1530~800ベクレルだった。いずれも8月上旬に買った。
 厚労省は「製茶に湯を入れて飲む段階では、放射性物質の濃度が30分の1以下に薄まる。2720ベクレルでも飲料水の基準(200ベクレル)を下回る」としている。
 各自治体が、工場で一緒につくられた製茶の流通状況を追跡し、在庫品を調べて基準を超えれば回収することになる。詳しい産地なども調べている。


少々の放射能汚染や風評被害なんか気にせずに、
産地の生産者を助けるために食べるべきだ、という声もありますが、
「放射性物質に汚染された食品を食べるのはできる限り避けるべきだ」というのが、
放射能の内部被ばくに詳しい人たちの、共通認識。

農作物の生産者としても、汚染されたものを消費者に食べさせたくない、
安全なものを安心して食べてほしい、という願いがあるはずです。
有機農業の専業農家経験者として、わたしはそう思います。

それに、そもそも農作物の汚染の責任は、生産者にはなく、
放射能をまき散らした東電にあるのですから、
東電の責任で作物の放射能検査をして、出荷できなくなった農作物について、
農家にたいして全額補償すべきだと思います。

   
友人から飛騨の桃をいただきました。

箱を開けると、良い香りがします。
   
さっそくいちばん熟していておいしそうな一個を選んで、
皮をむきました。
   
ジューシーでおいしいです。
秋はやっぱり「桃」ですね。

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「脱原発」を堅持しよう 日本の未来のエネルギー(中日・社説)

2011-09-02 18:54:13 | ほん/新聞/ニュース
一昨日は『女ぎらい ニッポンのミソジニー』の読書会の最終回。
けっこう難しい本でしたが、何とか読み終えました。
一人で読むよりは、何人かで読むほうが、いろんな人がどのような読んだかがわかって面白いです。

今日は東京に来ています。
台風で大雨の予報だったのですが、晴れ間がのぞきます。
東京からを北西の方を見た空。

右下のほうに虹が出ています。

お昼ごはんは、いつもの新宿西口のタカノフルーツのランチセット。
一人で来ることが多かったのですが、今回はともちゃんとふたり。
   
わたしはバラエティサンド。
   
ともちゃんはローストビーフサンド。
   
デザートには桃のミニパフェがついていてお値打ちセット。

ランチの時間はいままででいちばん空いていて、
ゆっくりと食べられました。

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けさ出がけに読んできた中日新聞。
「特報」や「核心」で、精力的に原発問題を取り上げていますが、
新内閣に対して、脱原発堅持を求める、今日の社説もぶれていません。

   【社説】「脱原発」を堅持しよう 日本の未来のエネルギー
2011年9月2日 中日新聞

 猛暑の夏が過ぎていく。どうやら、原発に依存しない暮らしのかたちも見えた。本当に豊かな未来のために、脱原発の方向性はこのまま堅持するべきだ。
 九月に入り、朝晩の空気はめっきり涼しくなった。
 首都圏も東北も、そして名古屋も、記録的猛暑といわれた夏を、ほぼ原発に頼らずに乗り切った。
 東京電力と東北電力管内の電力使用制限令は、九日までに前倒しで解除になる。中部電力管内では、自動車業界の土日操業効果もあって、百万キロワット、中型原発一基分の電力が節約された。

 原発に依存しない夏
 原発なしでは、産業も暮らしも立ちゆかないという、経済産業省と電力業界挙げての強い“警告”も、どうやら杞憂(きゆう)に終わりそうな気配が強い。むしろ生活者の間には「原発なしでもいけそうだ」という自信がわいたのではないか。身の回りの電気のむだを洗い出し、電力に依存し過ぎた暮らしを見直すきっかけがつかめたのではあるまいか。LEDの普及など、省エネ型の社会基盤整備にも弾みがついたのではないか。
 脱原発路線を打ち出した菅直人首相が退陣し、新しい内閣がきょうにも発足する。
 野田佳彦新首相は「原発を新設しない」としながらも、「安全性を確認した原発を活用し、電力の安定供給を確保する」と、再稼働容認の立場を鮮明にしており、民主党代表選に出馬した五人の中で、脱原発からは最も遠いといわれている。脱原発、脱原発依存路線からの後退、あるいは揺り戻しを心配する声も高くなっている。
 菅内閣末期には「原子力ムラ」の巻き返しがささやかれ、定期検査などで停止中の原発を拙速に再稼働させようとする動きが活発になってきた。だが、菅内閣の総評はさておいて、脱原発の方向性は、福島第一原発の惨状を目にした多くの国民に、一定の評価を受けている。国民の意思と願いが込められた脱原発の金看板を、そう簡単に掛け替えるべきではない。
 事故後、間もなく半年になる。経産省原子力安全・保安院は、福島第一原発から飛散した放射性セシウム量が、広島型原爆百六十八個分に上ることを公表した。文部科学省の調査では、土壌汚染の最高濃度は一五〇〇万ベクレル以上に上る。徐々に明らかになる放射能汚染の実態は予想以上に深刻で、広範囲にわたっており、避難の長期化は避けられない。

 発送電分離は不可避
 風評被害も後を絶たず、桃や稲作農家の悩みは深い。牛たちは野生化し、作付けのできない田畑、ふるさとの風景は荒れていく。
 損害補償の基準だけはようやくできた。賠償総額は数兆円規模に上るというが、廃炉費用を含めればゼロが一つ増えるとの見方もある。いずれにしても、東京電力が独りで担える額ではない。電気料金の値上げも含めて、そのツケは国民すべてにのしかかる。原発は高くつく。安全上も経済的にも、あまりにリスクが高すぎる。
 再稼働できたとしても、原発の新設は将来にわたって不可能だ。放射性廃棄物処分場の立地もままならない。既存の原子炉の寿命が尽きれば、原発はいずれにしても“安楽死”させる以外にない。
 その意味で、脱原発は後退ではなく進化である。
 国内の総発電量に占める原発の割合は三割弱、二、三割の節電が不可能ではないことは、この夏実証された。その上に太陽光や風力などの自然エネルギーや廃熱利用を上積みすれば、私たちは今より豊かになれる。
 自然エネルギーの全量買い取りを電力会社に義務づけた再生エネルギー特別措置法が成立し、大手がしのぎを削る太陽光以外の風力、小型水力発電分野にベンチャー企業の進出が盛んになった。技術革新も進んでいる。
 自然エネルギー市場を安定させるには、真の電力自由化が欠かせない。
 特措法には「円滑な供給の確保に支障が生ずる場合」には、買い取りを拒否できるという抜け穴が開いている。これをふさぐ必要がある。そして大手電力会社の地域独占を廃し、発電事業と送電事業を分離させ、いつ、どこからでも自然エネルギーによる電力が家庭や事業所に送り届けられる環境を整えるべきである。欧米にできて、日本にできないわけがない。

 国家百年の計として
 電源の地域分散、電気の地産地消が可能になれば、建設にも維持管理にも巨額の費用がかかる原発は自然にいらなくなるはずだ。
 私たちの暮らしを守り、安心を取り戻し、有望な新産業の育成を図るため、新内閣には百年先を見据えた、新たなエネルギー政策を示してほしい。脱原発こそ、国家百年の計である。


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イチジク・バナーネのコンポート/ひと:開沼博さん/放射能とケガレ=精神科医・斎藤環

2011-09-01 21:11:36 | おいしいもの/食について
台風が近づいているので、家の周りを見回り、
色づいているイチジクを早めに収穫しておくことにしました。

イチジク・バナーネは、いろんで来ると、大きな実が垂れ下がってきます。
  
口は開かないので、触ってみてやわらかくなったら収穫時期。
これがむずかしくて、少し遅れるとアリに入られてしまいます。
   
アリに入られたイチジク・バナーネの実は、ざっと洗って金属のバットに入れて数分冷凍庫に。
   
そうするとアリさんたちは、外に出てバタバタと凍え死んでいます(ゴメンネ)。

イチジクは日持ちがしない果物なので、生で食べられない分は早めに加工します。
コンポートにしておけば、しょうしょう早目でもおいしく食べられます。

バナーネは西洋イチジクなので、ほんとは皮まで食べられるのですが、
アリに食べられて汚くなっている皮はむくことにしました。
   
はちみつと白ワインを入れて、時どきあくをとりながら、
中火で焦げ付かないように煮ます。
   
煮すぎるとコンポートにならないので、5分間煮て火を止めます。
   

少し冷ましてから、ビンヅメ。
よく覚めたら、冷蔵庫で保存します。
   

イチジク・バナーネのコンポートの出来上がり。
生で食べてもおいしいのですが、トロリと溶けるコンポートはまた違ったおいしさです。

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話はぜんぜん変わりますが、
今日の毎日新聞の「ひと」欄に
「『フクシマ』論 原子力ムラはなぜ生まれたのか」を書かれた開沼博さんが紹介されていました。

ひと:開沼博さん 「フクシマ」を記録し続ける研究者 

 福島原発の歴史を通して戦後成長を論じる初の著書を出した。大半は今年初めにまとめた修士論文。震災後の出版が話題を呼び、「気鋭の論客」と脚光を浴びる。面はゆい半面、「注目されてはならない研究だった」と思う。
 福島県いわき市生まれ。40キロ先の原発を強く意識したことはなかった。転機は5年前。原子力施設が集中する青森県六ケ所村で「危ないモノを押しつけられてうんざりしているんじゃないか」という先入観が覆された。
 年配の女性は、雇用をもたらした施設への感謝を口にし「東京の人は黙っていてください」と言った。豊かさに貪欲な都会と、「服従」する地方。原発と共生する地域を内側から見つめ、沖縄の基地問題にも通底する戦後日本のひずみを問い直せないか。福島原発をテーマに定め、佐藤栄佐久前知事や住民ら約50人にインタビューを重ねた。

それでも福島の事故は「想像もしなかった」という。「私たちはいつの間にか原発のある生活、未来を選んだ。それを反省せずに『原発なき幸せ』を追求するのは難しい」と自戒を込めて語る。いずれ事故が収束したら人々の原発への関心が薄らぐことを懸念する。
 新宿・歌舞伎町の客引きを通して経済成長を考える「盛り場研究」と並行して、月に10日は「地元の生の声を聞き続ける」ため福島に通う。福島が「フクシマ」になる過程を、はからずも記録することになった研究者としての責務と考える。【八田浩輔】
 【略歴】開沼博(かいぬま・ひろし)さん 東京大大学院博士課程に在籍。専攻は社会学。「『フクシマ』論 原子力ムラはなぜ生まれたのか」は青土社から。27歳。
毎日新聞 2011年9月1日  


毎週日曜日に掲載される「時代の風」の28日分は、斎藤環さんの「放射能とケガレ」。
「・・・しかし「原発」は決して「ケガレ」ではない。その「罪」と「怒り」とは、
キヨメではなく「補償」と「対策」によって癒やされるほかはないのだ。」という言葉は
ほんとうにその通りだと思います。

時代の風:放射能とケガレ=精神科医・斎藤環 

◇キヨメでは癒やされぬ
 岩手県陸前高田市の高田松原と言えば、かつては「日本百景」にも選ばれた美しい海岸だ。私も子供時代に、何度か遊んだことがある。
 その見事な松並木が、東日本大震災の津波でなぎ倒された。この松を巡って繰り広げられた一連のドタバタは、いまだ記憶に新しい。岩手出身の私にとっては、あの美しい松たちがこうむった悲哀を、とても人ごとに思えなかった。
 経緯をかいつまんで振り返ってみよう。
 今年6月、大分市の美術家の発案で、高田松原の松で作った薪に犠牲者の名前などを書き、京都市の「五山送り火」で燃やすという計画が立てられた。しかし市民から被ばくを恐れる声が相次いだため、計画は中止となった。集められた薪から放射性物質は検出されなかったにもかかわらず、である。
 ところが今度は京都市などに「風評被害を助長する」などの2000件以上もの抗議が殺到した。そこで、もう一度新たに薪を取り寄せたところ、今度は薪の表皮から放射性セシウムが検出されてしまった。
 これで計画は再度中止となり、門川大作・京都市長は記者会見で謝罪した。陸前高田の戸羽太市長は、「もっと慎重にやっていただきたかった」と京都市に対して苦言を呈している。
 事件はさまざまな反響を呼んだ。もっとも多かったのは京都市の対応に対する批判だ。ただし、この一事をもって京都市民を排他的であるとか差別的であるとか断ずることは、同じ過ちを繰り返すことになる。
 ただ、被災地の側に立つ者として、中止の判断を下した人々には一言言っておきたい。被災地の「こころ」にかかわるものには、善意を発揮した「責任」が生ずる。覚悟と根気なしに「こころ」にかかわるべきではない。後腐れのない善意を発揮したい人たち向けには、「義援金」という方法がある。
 すでに指摘されているように、この一連の経緯からは、いまや「放射能」が一種の「ケガレ」として受けとめられていることがよくわかる。
 放射能が測定されていないにもかかわらず、不安を訴える人々がいたこと。送り火をおこなう僧侶たち以上に、一般市民が過敏な反応を示したこと。これらの点にも、「ケガレ」の問題がみてとれる。日本神話起源の「ケガレ」感覚は、仏教以上に、われわれの日常生活に深く根を下ろしているからだ。
 もっとも、震災直後からその兆候はあった。“フクシマ”差別である。タクシーの乗車拒否、ホテルでの宿泊拒否、福島からの転校生へのいじめ、等々の問題である。
 放射能が「ケガレ」と思われているもうひとつの根拠として、どうやら「キヨメ」が有効とみなされているらしい、ということもある。確かに清拭(せいしき)や洗浄は有効なのだが、なぜか「うがい薬」や「消毒液」の飲用が有効というデマが流布したことがあった。ほかにも便乗商法としては「放射能分解水」「米のとぎ汁乳酸菌」などが販売されているらしい。水や「液体」が頻用されるあたりにも、典型的なキヨメの発想が見て取れる。
 ケガレ-キヨメの発想は、われわれの日常にも深く浸透している。「お祓(はら)い」の儀式から「お清め」の作法、エンガチョ遊びや直(じか)ばしのタブーなどがそうだ。汚職議員が「みそぎ」で復活したりするのも、われわれが恨みは「水に流す」という作法を普段から身につけているからだ。
 ケガレの思想そのものの起源は、イザナミとイザナギの神話にさかのぼるとされる。国造りの後、火の神を産んで死んだイザナミを取り戻すべく、イザナギは黄泉(よみ)の国へ赴く。そこでイザナギは妻との約束を破って、ウジのわいた彼女の体を見てしまう。怒ったイザナミはイザナギを追うが、イザナギはなんとか逃げ切り、水で体を清める。
 イザナギが体を清めるのは、黄泉の国に入り、腐った妻の体を見たからだ。このときケガレとは、ほとんど実体のない象徴的なしるしでしかない。ケガレの感染は、見たり、ふれたり、そばにいたりするだけで起こる。また、だからこそお清めも、儀礼的に完了するのだ。そこには何も実質的な変化は起きていない。ケガレのしるしとは、単なる空虚である。
 だからこそ、放射能を「ケガレ」ととらえてはいけない。なぜか。
 差別を助長するから? それだけではない。物理量が測定できる放射性物質まで、実体なき空虚と扱ってしまいかねないからだ。不可視で不吉な放射能を「ケガレ」に読み替えたくなる気持ちはわかる。しかしその姿勢は、放射能までも、あたかも勝手に発生した自然現象であるかのような理解をうながしてしまう。本来「ケガレ」とはそうしたものなのだから。
 人間の罪や責任を、まるで自然現象のようにとらえる感性は、つらい経験を受け流すうえでは役にたつ。しかし「原発」は決して「ケガレ」ではない。その「罪」と「怒り」とは、キヨメではなく「補償」と「対策」によって癒やされるほかはないのだ。=毎週日曜日に掲載
毎日新聞 2011年8月28日  



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