みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

国際離婚条約―外務省の責務は重い/岐阜県環境放射線モニタリングポスト10基HPで公表

2012-03-21 22:20:37 | 健康/くらし/薪ストーブetc
咲いた、咲いた、チューリップ。
花市場で買ってきた真っ赤なチューリップが
春を運んできてくれました。   
今の時期チューリップは高いのですが、なんと
1680円が300円でした。
温室咲きで、からからに乾いてくたっと萎れていたのですが、
水をたっぷりやって、鉢ごと腰水にしばらくつけておいたら、生き返りました。

  
ひとはち100円で買ってきた花たちも地面におろしてやったら、
ぱあっとと花が開きました。
  

枝垂れ梅はほぼ満開。
   
お隣のピンクの梅は花が少ないのですが、紅白できれいです。
  

   

こんなにきれいな春のはなたちも、においも色もない放射能で知らないうちに汚染されていたら・・・。

岐阜県が10カ所の環境放射線モニタリングポストのデータを
15日からホームページで公開しています。

福井で事故が起きたらモニタリングポストのデータをみる、なんてことにならないように、
まず若狭の原発をぜんぶ止めたい。

 環境放射線モニタリングポスト:監視体制、きょうから10基 県、HPで公表 /岐阜 

県が県内6カ所に追加設置した環境放射線モニタリングポストは15日、運用が始まる。これまでに設置されたものを含む計10カ所の1時間ごとのデータは、15日午前10時から県の環境放射線モニタリングシステムのホームページ(HP)で公表される。
 ポストが新たに設置されたのは、岐阜市の防災交流センターと西濃・中濃・郡上・恵那・下呂の各総合庁舎。設置場所となった各市役所は、最も近い原発から69~114キロ離れている。
 データは、各務原市の保健環境研究所に集められ、数値が、自然界の1時間当たりの放射線量といわれる0・2マイクロシーベルトを超えると「何らかの事情で通常よりも数値が高くなっている」とのメッセージが表示される。
 ホームページのアドレスはhttp://gifu-monitoring.jp/monitoring-post/pc/【石山絵歩】


 岐阜県環境放射線モニタリングシステム (Gifu prefectural environmental radiation monitoring systems latest observation value display) 
平成24年3月15日
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、都道府県における環境放射能水準の調査を強化するため、文部科学省の委託事業(環境放射能水準調査)によりモニタリングポスト6基の追加整備を行ってきました。
このたび工事が完了し、運用を開始しますのでお知らせします。
新たに設置した6基を含め、県内10基のモニタリングポストの観測値を下記ホームページで公表しています。


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 社説:国際離婚条約―外務省の責務は重い
2012.3.21 朝日新聞

ハーグ条約に参加するため、国内の手続きを整える法律案がこのほど閣議決定された。
 国際結婚が破綻(はたん)し、一方の親が無断で子を連れて出国してしまったとき、その子をいったん元の国に戻したうえで、どちらの親が子を育てるかを決める。それが条約の考えだ。
 法律案には、子の心やからだに害悪がおよぶ場合などは例外的に元の国に戻さなくてもいいこと、その判断は東京か大阪の家庭裁判所がおこなうこと――などが書き込まれた。
 家庭内暴力をふるう夫から日本に逃げてきた妻たちの経験をふまえ、他国の取り組みも参考にした規定だ。おおむね妥当な内容と評価できる。
 政府が昨春、加盟方針を打ちだし、法制審議会などで検討を重ねてきた。非加盟のままだと日本人が子を連れ去られた際に国として適切に対応できないことも指摘され、条約への理解は深まっていると思われる。
 だが、依然として不安を抱く人は少なくない。対象となる案件は年に数十件ほどと思われるが、実際にどんな運用イメージになるのか。国会での審議を通じて、ていねいに説明していくことが欠かせない。
 なにより大切なのは、手続きにかかわる公務員や法律家が制度への理解を深めることだ。
 裁判所は、多くの家庭内トラブルを解決してきた経験をいかし、親の都合ではなく「子の利益」を常に念頭において、判断を積んでいく必要がある。
 慣れない課題に取り組まねばならないのが外務省だ。
 子を連れ去られたという外国からの訴えを受け、自治体や学校にも協力を求めて子を捜す。話し合いで解決できないか、双方の親に働きかける。子を元の国に送り返した後も、最終結論が出るまで、その子が問題なく生活しているか目を配る。
 そんな役割を担う。大使館や総領事館では、夫婦間の争いに悩む在外日本人の相談もふえるだろう。要員の確保や研修に万全を期してもらいたい。
 とはいえ、政府や裁判所のできることには限界がある。
 文化や慣習が異なる国際結婚では、夫や妻との関係がうまくいかなくなったとき、事態はより深刻になりがちだ。
 万一の場合を考え、現地の法制度や保護のしくみを知っておくべきだし、裁判や話し合いの席で役に立つ記録を残しておく作業も必要になろう。
 子と自分を守るために何をすべきか。一人ひとりの覚悟と準備が問われる時代だということを認識しなければならない。  



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どうなる幼保一体化:/上 子育て支援、充実目指し/下 保育の量と質、両立課題

2012-03-20 19:43:58 | ほん/新聞/ニュース
きょうは昼と夜の長さが同じになる「春分の日」。
お彼岸のお中日、ともといいます。
春のお彼岸に食べるのか牡丹餅(ぼたもち)で、
秋のお彼岸に食べるがお萩(おばき)とか。

これから日いちにちと、陽が長くなって、春本番を迎えます。

ミモザアカシアも太陽の光をあびて
金色に光っています。

   



   

   

   
 

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毎日新聞の「どうなる幼保一体化」の記事。
「こども園」への移行もかんたんではなさそうです。

  どうなる幼保一体化:/上 子育て支援、充実目指し 

 新たな子育て支援策「子ども・子育て新システム」の政府案が今月、まとまった。大きな特徴は、幼稚園や保育所などの施設や財源を一本化することだ。年金や介護など高齢者向けの保障に比べ、手薄だった子育て支援の充実を図る。今の制度からどう変わるのか、まとめた。【山崎友記子】

 Q 今の保育所や幼稚園はどうなるの?
 ◇「こども園」に統合
 A 「こども園」という総称の施設にまとめられます。その形態はさまざまですが、目玉となるのが、15年度に新設の予定の「総合こども園」。幼稚園と保育所の機能を併せたもので、「先生」は原則、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を持ちます。幼稚園と保育所が一体化した今の「認定こども園」と、認可保育所の大半、幼稚園の一部が総合こども園に変わる計画です。
 こども園には▽2歳以下の子が対象の認可保育所▽開所時間が5時間程度の従来の幼稚園--も含まれます。企業やNPOが運営し認可外保育施設と呼ばれる施設も、一定の基準を満たせば入ります。なお国立や、園児を選抜するような私立の幼稚園は、「こども園」には移行せず、そのまま存続することも認めました。

 Q 申し込み方は?
 ◇園に直接申し込み
 A 希望する施設に保護者が直接申し込んで契約を結ぶ方式に統一されます。今の保育所のように自治体に申し込むのではなく、大きな変更となります。親の就労や病気で保育所を利用している場合は、利用前に市町村で「保育認定」を受ける必要があります。認定を申請すると、就労時間や収入に応じ、利用時間や利用料が決まります。幼稚園の利用者の入園手続きは、今とあまり変わらないとみられます。

 Q 今と比べて親の負担は減るの?
 ◇額は未定
 A 利用料は国の定める価格がベースになり、利用時間や収入に応じて支払います。政府は「今の負担とあまり変えない」と説明していますが、額は決まっていません。また一部の施設には入園料や体操教室の費用など上乗せを認めたため、負担が増えるとの見方もあります。

 Q いま保育所に入るのは大変だけれど、利用しやすくなる?
 ◇定員数まだ不足
 A パートなど短時間勤務の場合、待機児童の多い地域では、認可保育所が利用しにくい現状があります。新システムでは短時間勤務でも、保育を受ける権利を保障するとしています。だれでも利用できるようにするには、施設や定員数を増やす必要があります。
 また施設への直接申し込みに変わるため、入所できるまで、いくつも施設を探し回ったり、障害などハンディのある子は入りにくくなったりするのでは……と心配する声も上がっています。政府案では、待機児童がいる場合や特別な支援が必要な子には、市町村が間に入り調整やあっせんをするとしていますが、細部は詰まっていません。
毎日新聞 2012年3月18日 


 どうなる幼保一体化:/下 保育の量と質、両立課題 

 ◇0~2歳、受け入れ義務なし 水準満たす施設には補助
 子育て支援の新たな施策「子ども・子育て新システム」は、消費税増税分を財源にあて幼児教育、保育の質と量を拡充し、どの子も公平に教育・保育を受けられることを目指している。関連法案が成立すれば、15年度にも幼保一体化施設「総合こども園」が創設される。
 総合こども園は、親の就労時間に応じた保育を保障するとともに、主に幼稚園が担ってきた教育を提供する。また都市部の保育所は定員を上回る希望がある一方、幼稚園では少子化で定員割れが広がっているため、幼稚園の総合こども園化で、共働き家庭の子を積極的に受け入れてもらい、待機児童の解消にもつなげる考えだ。
  ◇  ◇  ◇
 横浜市戸塚区にあるひまわり幼稚園。基本の教育時間は9時半~午後2時だが、預かり保育として午前7時半から午後6時半まで開いている。母親が専業主婦の子どもだけでなく、従来は幼稚園利用が難しかった共働き家庭の子も利用しやすい。こうした施設は将来の「総合こども園」の形に近い。
 「わあ、気持ちいい」「マラソンだよ」。3月半ばの午後、園を訪ねると、木々に囲まれた園舎の裏山で、子どもたちがジャングルジムによじ登ったり、山道を走り回っていた。午後2時前には園舎に戻って帰りの会。声を合わせて「さようなら」をした後、基本時間のみの園児は一斉に降園し、預かり保育を利用している20人余りが教室に残った。
 子どもたちは、保護者の迎えが来るまで中庭で体を動かし、おやつを食べ、お絵かきや積み木で遊ぶ。見守るのは元同園教諭で預かり保育専任の古川良子さん。「年度初めは2時に帰る園児をみて泣き出す子もいるが、すぐに慣れ、異年齢の子どもたちが兄弟のように仲良く過ごしている」という。
 長男(5)を午後6時半まで預けている大学非常勤職員の母親(42)は「正職員ではないので待機児の多い認可保育所には絶対入れないと思った。幼稚園という選択肢があってよかった。ここは駅から近く、のびのび遊べて環境もいい」と満足げだ。
 総合こども園が広がれば、これまで保育園と幼稚園に二分化していた子どもの居場所が統一化される。しかし保育所の空きを待つ待機児童の解消には疑問符がつく。待機児童の8割以上は0~2歳児が占めるが、総合こども園には0~2歳児の受け入れを義務づけないからだ。
 ひまわり幼稚園の金子禎園長は「3~5歳は人間の土台作りとなる大事な時期。すべての子どもに教育が行きわたるように総合こども園化には協力したいが、0~2歳児の受け入れは今後の検討課題」と説明する。
 授乳やおむつ替えが必要な0~2歳の保育には、人手がかかる。東京都内のある幼稚園の園長は「0~2歳を受け入れるには給食の設備や人員配置の変更が必要。全面改装になれば資金面で問題だ。幼稚園にとってはハードルが高い」と移行を決めかねるという。
 このため新システムでは、待機児童の解消を総合こども園だけで担うのではなく、人員配置や面積など一定の基準を満たせば補助を受けられるようにしてNPO法人や企業の保育への参入を促す。また定員20人未満の小規模施設や保育ママにも補助を出し、0~2歳児の受け皿を増やす計画だ。
  ◇  ◇  ◇
 企業やNPOが運営する施設(20人以上)が補助を受けるには、子ども1人当たりの面積や職員数が一定の水準に達する必要があり、その水準は認可保育所と同じ程度に厳しくする見込み。劣悪な施設を許さず、保育の質の低下を招かないために必要な措置だ。一方で、資金難から水準を満たせない中小の保育所は、補助を得て拡充する道が閉ざされてしまう。
 「認可保育所に通う子には月数十万の公費が出ているのに認可外だとゼロ。同じ子どもなのに不公平ではないか」。東京都杉並区で認可外保育園を運営する亀井弥生さん(40)は訴える。次男(3)の保育所探しに苦労した経験から2年前、自己資金を投じて保育園を設立した。定員20人で0~2歳児の利用が中心。待機児の受け入れも多い。
 おむつを紙か布か選択できるなど細かいニーズに応える保育をしているが、補助がないため保育料は認可より高く設定しなければ立ち行かず、職員全員を有資格者にするのも難しい。大手と違い資金も少なく、認可並みの水準まで引き上げるのは困難だ。「新システムはすべての子どもの育ちを等しく保障、とうたっているのに、このままでは何も変わらない」と嘆く。
  ◇  ◇  ◇
 都市部では保育の量拡大と質向上の両立が課題なのに対し、人口減少が進む地方では、地域で子どもが育ち合う場をいかに存続させるかが問題だ。
 兵庫県北部の4町が合併してできた人口約3万人の朝来市。子どもは減り、高齢化が進む。市内の枚田みのり保育園の小林公正園長は「幼稚園と保育所の合併が進み、市内の施設数は5年前の半分になった。それでも定員割れがある。財政状況が厳しい県内の他の町では、数を減らし、町に一つしかないところもある」という。
 みのり保育園に在籍するのは90人。遠方から保護者の車で来たり、園から20キロも離れた地域から通ったりするケースもあるという。「子どもが減ったら予算も削る現状ではやがて集団保育する場所も人材もなくなり、地域で子育てできなくなる。新システムで財源を確保し、子どもが育つ環境を保障してほしい」と期待を込める。
 どこに住んでも安心して子育てできる社会にしていけるのか。新システムの真価が問われるのはこれからだ。【山崎友記子】
毎日新聞 2012年3月19日


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3月19日(月)のつぶやき

2012-03-20 01:21:32 | 花/美しいもの
00:23 from Tweet Button
「慰安婦」問題 その④: シンポジウム午前の部概要 姜喜代 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=6434

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お花見でほっと一息。梅林公園の梅たち。

2012-03-19 20:43:32 | 花/美しいもの
梅林公園に行ってきました。

  

お花見のひとだけでなく、近所のおとしよりや
子ども連れの人たちもお散歩に来ていて、
けっこうにぎわっていました。

  

  

今年は1か月半くらい遅れていて、
満開にはまだちょっと早くて、
早咲きの梅の花が咲いていました。

   
早咲鴬宿

梅林公園の梅たち、ごらんになってください。
  

  

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【社説】暗闇から世界を見る 週のはじめに考える(中日新聞)

2012-03-18 21:21:55 | ほん/新聞/ニュース
先日「なばなの里」の花市場に立ち寄ったとき、
満開のミモザアカシアの鉢に出会いました。

文字どおり、ひとめぼれ(笑)。
うーん、お値段がちょっとねぇ。
   
車で休憩していたともちゃんに頼んで、買ってもらいました。

安くなっていた他のお花たちはわたしが買って、いっしょに帰りました。
   

  

ラベルには、「銀葉アカシア」と書いてありました。
   

花が重くて地面に垂れ下がっていた枝を
支柱を立てて吊りました。
  

  

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「運命の人」の最終回を見ながら、ブログをアップしています。

きょうの中日新聞の社説。
心にのこった言葉。

暗い所からは明るい外を見通せても、明るい所からは暗闇の内部が見えません。
暗闇に身を置いて外部世界を見る視座を確立しないと、国民の幸福追求の権利を理解するのは難しいでしょう。


 【社説】暗闇から世界を見る 週のはじめに考える 
2012年3月18日 中日新聞

 閉塞(へいそく)感に覆われた日本であっても「人としての尊厳」が守られるよう、暗闇から世界を見る政治が求められます。憲法第一三条の重みが増しています。
 「生存」を考えるとき真っ先に頭に浮かぶのは、国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法第二五条です。福祉制度の土台とされるこの規定は、経済的に困窮している人たちにとって命の綱となっています。
 近年の経済不振、東日本大震災や原発事故の影響で、生活保護の受給者は過去最高記録を更新し続け、昨年十二月の時点で二百八万人余に達しました。

個人として尊重される
 しかし、福祉の内容は財政の制約を受け、実際には「人間としての最低限の生」しか保障されません。現に、自民党は生活保護切り下げを議論しています。
 目を転じます。生きるためには経済的基盤が欠かせませんが、人は物質的な満足だけのために生きるのではなく、精神的な充足感も必要です。
 憲法第一三条には「すべて国民は、個人として尊重される」とあります。一人一人が人格的に自律した存在、「自らの生の演出者」として自分らしく生きる事を尊重されることで個人の尊厳が守られるのだ、と解されています。
 同条後段には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、(中略)立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。
 ここでは「生命、自由及び幸福追求の権利」を人格的自律のために重要かつ不可欠な権利として保障し、国政の基本とすることを定めたのです。
 全体としての「その人らしさ」は、人格の核となる部分をさまざまな要素が包んで形成されます。憲法制定者はその形成を国政が支えることを求めました。

立ちはだかる現実の壁
 第二五条と第一三条をともに機能させてこそ「尊厳ある生」が保たれるのです。
 二〇〇一年五月、熊本地裁はハンセン病患者の強制隔離を違法とした判決で「人として当然に持っているはずの人生のありとあらゆる発展可能性を大きく損なったのは、居住、移転の自由を定めた憲法第二二条にとどまらず一三条にも違反する」と述べました。
 隔離を定めた法律は廃止されましたが、日本社会を第一三条に照らしてみるといろいろな問題が浮かび上がります。
 雇用問題一つとっても、社会へ巣立とうとする若者たちの前に、35%が派遣やパートなどの非正規雇用(一一年平均、総務省調べ)という厳しい現実の壁が立ちはだかります。
 雇う側の都合で安易に使い捨てにされる不安に脅かされているのでは、キャリアを重ね、将来展望を描くどころではありません。多くの労働者の人としての尊厳を無視して、日本経済は成り立っているのです。
 大学生たちは、「使いやすく役に立つ人材を早く囲い込みたい」企業の思惑に振り回されて、三年生のうちから就職活動に走り回っています。若者が落ち着いて勉強して知識を蓄え社会への適応能力をつけ、人格を磨くべき大学教育が形骸化しつつあります。
 東日本大震災の被災者、原発事故の被害者はいまだに三十四万人が避難所、仮設住宅などで避難生活を余儀なくされ、生活再建の見通しが立たないまま焦燥を募らせています。
 政治、行政はこれらの人々の命をつなぐことでよしとしているかのように見え、「人としての尊厳」「自分らしさ」の尊重にまでは目配りが及びません。
 現行憲法は押しつけられた憲法といわれることがありますが、日本国民は主権者、憲法制定権者として第九条その他の条文の位置づけや社会のあり方を自ら考え、それにしたがって国家を形成してきました。憲法を実質化してきたのは日本人自身といえます。
 いまこそ一三条にも命を吹き込み、二五条と一体で国政の基本にしなければなりませんが、政治家をはじめとする日本の指導者たちにいま最も欠けているのは現場感覚です。
 暗い所からは明るい外を見通せても、明るい所からは暗闇の内部が見えません。暗闇に身を置いて外部世界を見る視座を確立しないと、国民の幸福追求の権利を理解するのは難しいでしょう。

現場感覚の欠如で迷走

 松下政経塾の出身者が枢要ポストを占める民主党政権の迷走は、現場感覚の欠如を物語ります。橋下徹・大阪市長の「維新政治塾」など政治家による新たな政治塾開設も盛んですが、「塾のお勉強」で国民目線の政治ができるとは思えません。政治家は市民の海の中で学ぶべきなのです。 


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3月17日(土)のつぶやき

2012-03-18 01:19:55 | 花/美しいもの
07:23 from Tweet Button
[WAN的脱原発]3.11V-WANレポートin福島県郡山市 百崎ゆう | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=6417

07:23 from Tweet Button
『イエロー・ケーキ』監督インタビュー 山秋真 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=6318

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大震災1年:3・11後の世界 豪・アボリジニの長老嘆く 私たちのウランがフクシマに

2012-03-17 21:35:02 | 地震・原発・災害
きょうは一日、2012年度の「議員と市民の勉強会」の構成案を作っていました。

ということで、まだ仕事が残っているので、
梅林公園の画像の整理をしようと思っていたのですが、
まだデジカメのなかに入っています。

けさの中日新聞には、3月3日に美浜原発から飛ばした風船が68個見つかり、
そのうち60個が岐阜県内、との記事が載っていました。
一番遠いところのは、120キロも離れた瑞浪市や愛知県高浜市です。

  原発事故想定で高浜にも「拡散」
2012年3月17日 中日新聞

 福井県で原発事故が起きた際の放射性物質の拡散状況を調べるため、東海3県や福井県の市民有志が行った風船による風向調査で、68個が岐阜、愛知、滋賀の3県で見つかった。岐阜県が60個と大半で、120キロも離れた瑞浪市や愛知県高浜市でも確認された。
 愛知県では春日井市や一宮市、北名古屋市など5市で計6個。岐阜県内は、岐阜市が最多で16個。大垣市から瑞浪市までの人口密集地を中心に、15市町で各1~5個が見つかった。滋賀県では米原、長浜の2市で各1個が見つかった。
 調査は3日に実施。主婦や会社員ら40人の有志が福井県美浜町の関西電力美浜原発近くの海岸から風船1000個を飛ばした。当日は北北西の風が吹き、最大風速は6メートル。2時間後の午後0時40分に岐阜県可児市今渡に到達。午後1時には春日井市高蔵寺町に達した。
 愛知、岐阜両県では、秋から冬にかけて1年の半分近く北西の風が吹き、福井県の風下になる。有志の一人で、岐阜市に住む兼松秀代さん(64)は「事故が起きれば、東海地域が広く汚染される恐れが明らかになった」と指摘する。
 兼松さんら市民5人は16日、岐阜市役所を訪れ、安全対策が完全になされるまで原発の運転を再開しないように国に働き掛けを求める要望書を、細江茂光市長あてに提出した。
 (山本真嗣、寺本康弘)


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後半は、原発関連で紹介しようと思って保存しておいた、毎日新聞の
「大震災1年:3・11後の世界 豪・アボリジニの長老嘆く 私たちのウランがフクシマに」を紹介します。

  大震災1年:3・11後の世界 豪・アボリジニの長老嘆く 私たちのウランがフクシマに  

◇汚染の一方、雇用期待も
 「私たちの大地が生んだウランがフクシマの人たちを苦しめている。本当に悲しい」
 オーストラリア(豪州)先住民族アボリジニの女性長老アイリーンさんは、遠い日本で起きた福島第1原発事故に今も心を痛めている。豪州産ウランは原発燃料として日本などに輸出され、福島でも使われた。鉱山開発で先祖伝来の土地を奪われ、採掘中止を求めてきたアイリーンさんは今、世界中の原発廃止を訴えている。
 南オーストラリア州の州都アデレードから北に約560キロ。赤茶けた砂漠の中に、国際的な大手資源企業「BHPビリトン」のオリンピックダム鉱山がある。年間約4000トンのウランを産出し、埋蔵量は世界一だ。
 アイリーンさんの年齢は「90歳ぐらい」という。正確な生年月日は不明だ。この地に生まれ、野生のカンガルーを捕獲し、果物などを採集して暮らした。家は無く、樹木が屋根、大地が寝床。「でも昔はとても平和で幸福だった」と振り返る。
 ところが70年代半ばに鉱山開発が始まり、広大な区域が鉄条網で囲われ、立ち入り禁止になった。アイリーンさんは「ここは私たちが先祖から受け継いだ大地。だが泉は枯れ、動物たちは姿を消し、大地は放射能に汚染されてしまった」と悲しそうに話した。福島原発事故の様子はテレビで繰り返し見たという。「日本の政府と電力会社にお願いしたい。ウランを買うのをやめ、原発を廃止してほしい」と訴えた。
 周辺住民は、がんの多発など健康被害や採掘時に発生する放射性廃棄物の危険性を訴えてきたが、実態調査は行われていない。BHPビリトンは毎日新聞の取材に「放射能が危険を及ぼす事態は起きていない」と答えた。
 豪州の環境問題に詳しい京都精華大の細川弘明教授(環境社会学)は「オリンピックダム産ウランの約4分の1が米国やカナダでの転換・濃縮などの過程を経て日本に送られ、福島第1原発でも使われた」と説明する。
 だがウラン輸出の強化を図る豪州政府は昨年10月、オリンピックダム鉱山の事業拡張計画を承認。今後11年間で生産量を現在の4倍超の1万9000トンに拡大する計画だ。地元では新規の雇用創出やインフラ整備などへの期待も高い。
 住民の中には安定した収入を得て子供たちに良い生活をさせたいという思いもある。鉱山で働く40歳代のアボリジニ男性は「ウランがあったことは不幸だが、鉱山と共存するしか道は無い」とあきらめ顔で語った。【オリンピックダム(オーストラリア南部)で佐藤賢二郎】
    ◇
 東日本大震災から1年。世界はどう変わったのか。人々は日本にどんな思いを寄せているのか。「震災後」の世界各地から報告する。
毎日新聞 2012年3月13日 


 大震災1年:3・11後の世界 豪ウラン、新興国シフト 

◇日本の需要減、備え 輸出を拡大、国内では「不要」
 ウランの埋蔵量が世界一のオーストラリア(豪州)に、発電用の原子炉は無い。原発導入を検討したこともあるが、現政権は「原発は不要」との立場だ。一方でウランの輸出には力を入れる。東京電力福島第1原発事故の影響で「顧客」だった日本のウラン需要が減る可能性をにらみ、中国やインドなど新興国への輸出拡大を狙う。【アデレード、オリンピックダム(豪州南部)で佐藤賢二郎】
 「豪州に原子力は必要ない」。ギラード豪首相は福島第1原発で水素爆発があった昨年3月14日、地元テレビで「原発不要論」を唱え、「豪州には豊富な太陽光、風力、地熱、潮力などの再生可能エネルギーがあり、原子力は適さない」と訴えた。「原発は造らず、ウランは原発の燃料として輸出する」。福島原発の事故は、ギラード労働党政権の基本政策を確認する契機となった。
 豪州では石炭を使った火力発電が全体の約8割、天然ガスを合わせると火力発電が全発電量の9割を超える。国内に安価な石炭が豊富にあり、高コストで反対が根強い原発導入の必要性は低かった。
 一方で、二酸化炭素排出量の削減は長年の課題だった。2006~07年、当時のハワード保守派政権は「温暖化対策」を理由に原発導入計画を推進したが、07年末の労働党への政権交代で頓挫した。保守派を中心に原発建設を求める声はくすぶり続けたが、福島原発事故が完全にとどめを刺した形となった。現政権は20年までに電力の2割を再生可能エネルギーに置き換えるとの新たな目標を掲げ、代替エネルギー開発に力を入れる。
 福島事故後、豪州国内ではウラン輸出への影響を懸念する声が強まった。日本で使用されるウランは3分の1が豪州産。国内3カ所の鉱山で採掘されるウランの総輸出量は年間約7000トン(10年)で、うち4分の1を輸入する日本は最大の顧客の一つだからだ。
 事故の影響でウラン採掘会社の株価やウランの市場スポット価格が下落した昨年3月下旬、ギラード首相は「日本での事態はウラン輸出に対する私の考えに影響を与えない」と強調。ファーガソン資源・エネルギー相も5月、「ウラン採掘は豪州の基幹産業」と語り、ウラン生産量は今後4年間で倍増すると自信を見せた。念頭にある輸出先は大規模な原発建設が計画されている中国、インドなどの新興国だ。
 与党労働党は昨年12月、インドへのウラン禁輸措置の解除を決定。豪州はこれまで核拡散防止条約(NPT)非加盟国への輸出を禁じてきたが、「対印関係の強化」を理由に政策転換に踏み切った。
 広島市立大広島平和研究所の田中利幸教授は「福島原発事故は豪州のウラン採掘・輸出に歯止めをかけるのではなく、その代替市場を求め、それを推進させるという逆説的な結果を生み出している」と指摘する。

 ◇大地、死に絶えてしまう 訴える先住民族、核実験の過去も
 先住民族アボリジニのケビン・バズコットさん(65)は2月、オリンピックダム鉱山の事業拡張は「環境保護・生物多様性保全法」に違反するとして、計画を承認した連邦政府を提訴した。豪有力紙「オーストラリアン」は「オリンピックダムに挑む長老の小さな声」と紹介した。
 バズコットさんは毎日新聞の取材に「拡張でさらに巨大な穴が掘られ、新たな道路や線路が造られる。より大量の水が消費され、大地は完全に死に絶えてしまう」と訴えた。先祖からの土地は鉱山の北に位置し、地下水が豊富だった。しかし、その地下水が大量に採掘のため使われ、ほとんどが枯渇したという。
 バズコットさんは過去20年間、政府と鉱山会社にウラン採掘の中止を求めてきた。「戦いはやめない。ウラン採掘は地球に対する犯罪行為だ」と語る。福島第1原発の事故は「悲しい出来事だが、原子力に安全はないというメッセージを世界に送った」と強調した。
 同じ部族出身で「豪州非核連合」の共同代表を務めるピーター・ワッツさん(47)は、「アボリジニも日本人と同じ『ヒバクシャ』だ」と語る。1月、横浜市で開かれた脱原発世界会議で「豪州産ウランがフクシマなど世界中に輸出され被害を与えている」と訴えた。
 訴えたのは今も続く鉱山の放射性廃棄物による被ばくと、50年代に英国が豪州中南部で行った大気中核実験による被ばくだ。核実験では多くのアボリジニが被ばくしたと主張しているが、豪州政府は実験用地の所有者だけに賠償を払い、周辺住民への補償はなかった。ワッツさんによると、祖母と母親が被ばくし、祖母はまもなく死亡。5歳違いの弟は生後1週間で死亡し、妹は骨髄に障害を持って生まれた。弟の遺体は政府が回収し、その一部が両親の元に戻ったのは2年前だった。

==============
 ◇豪州の核・ウラン問題とアボリジニを巡る主な動き

1952~57年 英国が豪州中南部のマラリンガなどで計12回の核実験。英軍兵士とアボリジニを含む多数の地元住民が被ばく
1954年    英米政府の要請を受け、核兵器製造用のウラン採掘を開始
1981年    北部準州のアボリジニの聖地、カカドゥ国立公園内のレンジャー鉱山でウラン採掘開始。ユネスコがカカドゥ国立公園を世界遺産に登録(ウラン鉱山と周辺は除外)

1988年    南オーストラリア・オリンピックダム鉱山でウラン採掘開始
1998年    ユネスコがカカドゥ内のジャビルカ鉱山開発工事の中止を勧告(翌99年に凍結)。連邦政府が南オーストラリア・ウーメラに核廃棄物処分場建設を計画
1998~99年 レンジャー鉱山の放射能汚染水が周辺の小川に流出。アボリジニによる開発反対運動が活発化
2004年    アボリジニなどによる反対運動でウーメラ核廃棄物処分場計画を撤回
2005年    資源大手BHPビリトンがオリンピックダム鉱山を買収
2011年    連邦政府がオリンピックダム鉱山拡張計画を承認
毎日新聞 2012年3月13日 


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3月16日(金)のつぶやき

2012-03-17 01:20:15 | 花/美しいもの
19:50 from gooBlog production
<社会保障と税・消費税編>低所得ほど“重い” 逆進性/逆進性解消へ「給付付き税額控除」 blog.goo.ne.jp/midorinet002/e…

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<社会保障と税・消費税編>低所得ほど“重い” 逆進性/逆進性解消へ「給付付き税額控除」

2012-03-16 19:50:07 | ほん/新聞/ニュース
中日新聞本社の生活部に、前に岐阜支社にみえた白井さんと稲熊さんがいらっしゃいます。
二人とも、仕事でもお世話になったうえにけっこう親しくしていただいて、
署名記事が出ると、真っ先に読みます。

生活面では、白井さんが昨年から<集めて分ける 社会保障と税>をテーマに、
素人にはわかりにくい社会保障制度の問題をだれにもわかりやすく紹介しています。

3月8日に消費税の逆進性の問題を取り上げて見えたので紹介したいと思っていたら、
続いて3月15日には稲熊さんの「逆進性解消へ「給付付き税額控除」」という記事が掲載されました。

両方読むと、問題点がよくわかるので紹介します。

  <集めて分ける 社会保障と税・消費税編>低所得ほど“重い” 逆進性  
2012年3月8日 中日新聞

 政府・民主党は消費税増税の関連法案を国会に提出する方針だが、増税反対の声は依然として国民の間で根強い。反対論の根拠の一つになっているのは、低所得な人ほど増税による負担を重く感じる「消費税の逆進性」だ。その実態がどうなっているか、あらためて考えてみた。 (白井康彦)

 消費税の心理的な負担は、生活がぎりぎりであるほど重い。収入のほとんどを生活必需品の買い物にあて、その代金に5%の消費税がかかるからだ。
 北陸地方に住む男性(65)は、五年前から一年ほど野宿生活をしていた。厚生年金の受給は始まっていなかったが、企業年金を月四万五千円受け取っていた。「食品など生活必需品の買い物でほとんど使った。すべてに5%の消費税がかかっていた感じだった」と振り返る。
 政府・与党が二月に閣議決定した「社会保障と税の一体改革」の大綱では、現在5%の消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に上がる。
 今は、ホームレスの人たちの支援活動に懸命なこの男性は、消費税増税が彼らを直撃するのに心を痛めている。「住所がないのだから、政府が救済措置を講じても対象になりにくいだろう」
 収入が非常に多い人は、状況がまったく異なる。収入の大半が貯蓄に回るので、消費税の実際の負担額が多くても「負担感」は軽くなる。
 こうした逆進性を裏付けるデータもある。日本生活協同組合連合会が、全国の生協組合員にアンケートして毎年実施している「消費税しらべ」が一例だ。一〇年分の調査は、四十一生協の七百四十九世帯が参加。年収階層ごとに、年収に占める消費税負担額の平均割合を計算し、消費税負担率として示している。
 負担率は、年収四百万円未満の世帯が3・33%と最も高く、年収が多くなるほど低下。一千万円以上の世帯は1・99%で最も低かった=グラフ。

◆中間層の家計悪化に拍車
 三十代~五十代の中所得者層でも、住宅ローンや子どもの教育費負担などがかさみ、余裕がない家計は多い。非正規労働者が増えたり景気低迷が長引いたりし、給与が増えにくくなっている影響が大きい。
 国税庁が毎年発表している民間給与実態統計調査によると、全国の給与所得者の平均給与は、一九九七年の四百六十七万円が最高で、その後は低下傾向が続き、二〇一〇年は四百十二万円になっている。ピークに比べ約12%少ない。
 名古屋市のファイナンシャルプランナー(FP)早川元子さんは、FP歴十五年。中間層の家計悪化を実感している。「お客さまの先々の収入や支出の見込み額を聞いてライフプランを考えますが、子どもが大学に入るころに家計がパンクすると予想されるケースが目立ってきました」
 こうした中、税率が5%から10%に上がると、年間の買い物の合計額が税抜き価格で三百六十万円の人は、消費税の負担額が年間で十八万円、月間で一万五千円増える。早川さんは「中間層も財布のひもを固くせざるを得ません。景気悪化は避けられないでしょう」と強調する。
 政府・民主党は、消費税増税に合わせ、低所得者の所得税を減らしたり、現金を給付したりする「給付付き税額控除」などの逆進性対策を実施する方針だが、具体策はまだ固まっていない。逆進性対策のあり方や有効性は、消費税論議で焦点の一つになりそうだ。


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 <集めて分ける 社会保障と税・消費税編> 逆進性解消へ「給付付き税額控除」
2012年3月15日 中日新聞

 所得が低いほど負担感が増す消費税の逆進性対策として、政府・民主党が打ち出した「給付付き税額控除」。二月に閣議決定した「社会保障と税の一体改革」大綱にも盛り込まれたが、制度設計はこれから。具体案が示されないと、消費税論議にも影響が出かねない。 (稲熊美樹)

 給付付き税額控除とは、所得税額から一定の額を差し引き、所得が低くて引き切れない世帯には、その分を給付する仕組み。
 公益財団法人で非営利の民間シンクタンク・東京財団は、給付付き税額控除の具体的提言をまとめた。提言で示されたイメージ=図=を例に見てみる。
 働くことを原則とし、所得が百万~三百万円の世帯は一律三十万円を税額控除すると仮定。年収百万円の単身世帯の場合(図のAさん)、所得税と住民税額がゼロ、社会保険料が十万円とすると、税負担は十万円から三十万円の控除を差し引いて、「マイナス」二十万円となる。
 税額がマイナスの場合には、その分を納税者に還付するのがこの仕組みの特徴。Aさんは税金を納めるのではなく、逆に二十万円を受け取れる。このイメージ図では、年収二百万円までの場合に税額がマイナスとなるので、給付がある。二百万円の場合は差し引きゼロとなるので、給付もなくなる。
 もう一例、年収三百万円の場合(図のBさん)。所得税と住民税が計十九万円、社会保険料が三十万円とすると、税負担は合計四十九万円。ここから三十万円を控除し、差し引き十九万円を実際に税として支払うことになる。
 この仕組みには、消費税の逆進性対策や、子どもを育てる家庭への支援策を組み合わせることも可能だ。食料品など、生活必需品にかかる消費税の負担分を低所得者に税額控除・給付する。
 単身者と子どものいる世帯で控除・給付額や、控除対象とする年収の範囲に差をつけることで、子育て家庭の支援もできる。現在の子ども手当に代わるような制度を組み込むことも可能だ。
 海外では、米国などで就労促進と子どものいる家庭の経済的負担を軽減する目的で、給付付き税額控除を行っている。消費税の逆進性対策としては、カナダやシンガポールなどが導入。英国では、就労促進に児童手当の要素を組み合わせている。

◆「増税時に必須 早急に検討を」
 政府は大綱に給付付き税額控除の導入を明記したが、導入時期は未定。消費税率を8%に引き上げる段階では低所得者を対象に、暫定的、臨時的な措置として簡素な給付措置を実施する。この措置は、年間一万円という案が浮上している。財務省によると、二〇一五年度に納税者番号制度が実施され、定着した後で給付付き税額控除の導入を目指すという。
 昨年末、財務省が民主党税制調査会で示した試案では、消費税を5%増税した場合に、全世帯の平均所得五百五十万円を下回る世帯に、飲食料品にかかる分だけの消費税相当額三万四千円を給付すると、年間一兆円。食料に加えて、水道光熱費や衣料費なども対象とすると、一世帯あたりの給付額は五万円で、一兆五千億円かかると見積もる。
 ただ、これはあくまで試案。世帯単位にするか個人単位にするかや、子どもの有無、社会保険料などを控除するかどうかなど、検討課題は山積。しかし、具体的な設計の検討は進んでいない。
 東京財団の提言のプロジェクトリーダーで、中央大法科大学院の森信茂樹教授は「子ども手当なども組み合わせられるが、まずは消費税の逆進性対策として始めるのがいいのでは。消費税を増税すると低所得世帯には影響が大きく、増税には欠かせない制度。早急に検討しなければならない」と話している。 


社会保障と税の一体改革の問題は、読売新聞でも、
3回連続の座談会方式で取り上げています。

  [社会保障・税 一体改革]座談会(中)社会保障改革、どうすべき? 

女性の労働力重要…与謝野 / サービス水準効率化…武藤 / 世代内格差も解消…宮本
■ 社会保障改革
 ――日本の社会保障の現状は。

宮本太郎氏(北海道大学大学院法学研究科教授) 宮本 財政危機だけなら、お金を集めれば何とかなる。だが事態はもっと深刻で、若者たちが働いて税金や社会保険料を払っていける条件が失われつつある。正社員として、知識や技能を発展させることができず、女性は最初の子どもを産む時に、6割以上が会社を辞めざるを得ない。「税金を払っても見返りがない」という、政治や行政への信頼の欠落も大きな課題だ。
 武藤 社会保障の基本は、働く世代から高齢世代への所得移転だ。働く世代の負担があまり重いのも困るし、高齢世代の生活がある程度保障されないのも困る。そのバランスが重要。しかし、現在の社会保障は、高齢化率が低い時の仕組みのままで、高齢化が進んだ現在の状況に対応できていない。また、働く世代の中でも格差が広がっている。
 宮本 日本は今後、1人の現役世代が1人の高齢者を支える「肩車型」の社会に向かっていく。だが、支える側の現役世代が、どんどん非力になる一方、支えられる高齢世代は、単身世帯が急増するなど、重くなっていく。しかも、社会保障が、現金給付を中心に高齢世代に偏っていることが、支える側にとって、さらに重荷になる。

 ――世代間の格差を含め、社会保障制度をどう改革すべきか。
 与謝野 労働人口が減っていく中では、65歳以上の人たちや、結婚や出産を機に退職した女性たちを、労働力としてとらえることが必要だ。特に、雇用対象年齢を68~70歳にまで延長するよう、企業にも協力をお願いしたい。年金をもらって余生を楽しむのもいいが、職場や地域社会とつながって帰属感を得る。そういう社会が望ましい。
 宮本 日本の高齢者は、年金がある程度確保されていても幸福感が低い。定年退職後、地域や人とのつながりが弱いからだ。これまで培ってきた力を引き続き発揮することで、社会とのつながりが生まれ、幸福感も高まる。また、男女ともに働き、知識や技能を伸ばせる仕組みも必要。介護や福祉などを地域で事業展開し、経済を活性化させることも欠かせない。
 武藤敏郎氏(大和総研理事長) 武藤 一体改革の大綱では、社会保障の見直しの部分が不十分。効率化・合理化の欄にいろいろと書いてあるが、金額が入らず、「引き続き検討」が多い。現状の社会保障のレベルを維持するならば、将来、負担があまりにも大きくなる。サービス水準を効率化・合理化するという視点を持たなければ、持続可能な制度にはならない。
 宮本 日本の高齢者の貧困率は約21%で、OECD(経済協力開発機構)平均の約13%と比べ、かなり高い。「世代間」だけでなく、「世代内」の格差解消も進めていく必要がある。その場合、こっちからお金を取ってこっちに回す、というふうには考えない方がいい。お金をばらまくのではなく、年齢にかかわらず、みんながそれぞれの能力を発揮できる条件を確保していくことが重要だ。

 ――社会保障の改革は、社会に活力を与えるか。
 武藤 高齢者も若者も生きがいを感じられる国家を作り上げることができれば、社会に活力が生まれる。日本が一つのモデルケースとして、世界に例のない高齢化の中で、隆々とやっていけるシステムを作るくらいの意気込みが必要だ。
 与謝野 日本の医療は世界的にもかなり進んでいる。だが国民はそのことをあまり実感していない。一体改革の原案では、外来患者の窓口負担に一律100円を上乗せする「受診時定額負担制度」を盛り込んだ。「医療は公共財」という意識を、国民にも持ってほしかったからだ。残念ながら民主党内の議論で実施が見送られてしまったが、改革を通じて、社会保障が公共財であることを、国民に実感してもらう効果もある。

 ――若者の間で、社会保障制度に対する不信が強い。どうしたらよいか。
 宮本 3点ある。まず、透明性。支払ったお金が、どこへ回っていくのかを明確にすることだ。社会保障と税の共通番号制が導入されれば、国民一人ひとりに「マイ・ポータル(仮称)」というホームページが割りあてられる。その設計次第では、自分の所得や、どういう保障やサービスが受けられるのかということが分かるようになる。これを活用して、透明性を高めることができる。次に分権性。高齢世代への現金給付に対して、現役世代へのサービス給付の比重が高まると、身近な自治体が提供するサービスのあり方が信頼度を決める。最後に契約性。経済成長や寿命の伸長などに応じて、「これだけの年金を出す」という契約が求められる。自分の年金が、目で見えるということが大切。マイ・ポータルがスタートして、自分がもらえる年金が積み上がっていくのを確認できるようになれば、年金の信頼度は格段に上がる。
 与謝野 実は、若者が心配しているのは、日本の国力が維持できるかということ。自分が働けなくなったとき、どれくらい給付を受けられるかということ以上に、国が沈没して給付がなくなるのではないかと心配している。国に経済力がないと社会保障制度は維持できない。立派な社会保障制度ができたけれど、国は衰えたというのでは困る。経済力、人間力など、あらゆる面で国の潜在力を高める意識を社会全体で持たなければならない。(続く)
(2012年3月13日 読売新聞)


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3月15日(木)のつぶやき

2012-03-16 01:20:15 | 花/美しいもの
08:26 from Tweet Button
中日新聞:映画「降りてゆく生き方」ロングランなぜ? 新しい生き方示す:暮らし(CHUNICHI Web) chunichi.co.jp/article/living…

22:45 from gooBlog production
やっと咲いたよ。梅林公園の梅/花かいどうのプレゼント blog.goo.ne.jp/midorinet002/e…

22:48 from Tweet Button
「慰安婦」問題 その③: シンポ開催しました 岡野八代 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=6406

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