みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産(1~5)

2012-09-20 22:07:38 | 花/美しいもの
今日はつれあいの一般質問の日だったので、傍聴に行ってきました。
帰ってから、昨日につづいて日暮れまで畑仕事。
レタスやコウサイタイ、三つ葉などの野菜とハーブの苗を本畑に定植しました。

 ◆一般質問通告文/「道路舗装の厚み不足問題」/(岐阜新聞)「ずさん舗装、深まる亀裂 警察沙汰」 (てらまち・ねっと)

 ◆一般質問通告/「市の広報などを全戸配布に」/「土地開発基金は廃止を」(てらまち・ねっと)

ところで、
毎日新聞の「こうのとり追って」の「第5部・考えよう妊娠、出産」が、
9月12日から18日までの毎日新聞朝刊に連載されていました。

今回の連載の記事を書いているのは、友人の五味香織さんほか女性4人のチーム。
以下に5回の連載記事を紹介します。

  こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産/5止 働き過ぎ、母体に負担 
毎日新聞 2012年09月18日

 ◇早産、流産のリスクも 「必要時休める職場を」
 枕元で声をあげて泣く夫を見て、泣くに泣けなかった。「流産」の診断から3日後。「家でゆっくりしていればよかったのかな」。病室のベッドの上、自覚もほとんどないまま、こんな形で妊娠が終わったと思いたくなかった。
 東京都内の大学病院に勤める看護師の女性(34)は妊娠8週だった昨年5月中旬、胎児が子宮内で死亡している「稽留(けいりゅう)流産」と診断され処置手術を受けた。医師は原因不明としながら「初期の流産は染色体異常と言われることが多い」と話した。1歳の長男をよくおぶっていたこと、妊娠が判明してから2回、連続17時間の夜勤をしたことなどを思い出したが、「好きで続けている仕事、それが原因と思いたくない」。
 労働基準法は妊婦が請求した場合、休日・深夜勤務をさせてはならないと定めている。上司には「夜勤が無理なら言ってね」と言われていたが、長男を妊娠中は月に4〜5回は夜勤をしており、月2回の夜勤が多いとは思わなかった。だが、妊娠や出産を機にやめる同僚は多い。
 女性は今年に入り、また妊娠の機会に恵まれた。月2回の夜勤を続け、10月に女児を出産予定だ。
 「ルポ職場流産」の著書があるジャーナリストの小林美希さんはこういった妊娠初期の流産について、「胎児の染色体異常で片付けられてしまうことが多いが、実際にはハードワークが原因のものもあるのではないか」と考えている。
 小林さんによると、看護師とともに、体の負担が大きい介護職や保育士にも流産が比較的多い。さらに、「妊娠がきっかけで解雇される可能性がある派遣社員やパート従業員、責任が重く仕事を休めない一般企業の正社員なども、無理をして流産に追い込まれてしまうケースがある」という。
 阪南中央病院の佐道正彦医師らは77年から、診察した妊婦全員を登録し、妊娠結果を統計化している。03〜07年の調査では、働いていない妊婦は出産数1725件に対し流産数は187(10・8%)だったが、働いている妊婦は出産数874に対し、流産数は134(15・3%)と差があった。佐道医師は働き方と流産について「昔は長時間労働が流産の原因になることが多かったが、最近はこれに加え、仕事上の強いストレスが妊娠の維持に必要なホルモンの分泌に影響を与えているのではないか」と指摘する。
    ◇   ◇
 仕事を休んで周囲に迷惑をかけたくないと思う責任感の強い女性ほど、流産に限らず、妊娠中のトラブルに追い込まれる可能性が高まる。
 4年前の11月、東京都の会社員女性(40)は早産の状態で長男を出産した。「職場の人に元気な妊婦に見られたいという思いが強かった」と当時を振り返る。
 その年の始まりに新しい部署に異動したばかり。春に妊娠がわかっても言い出すことができず、会社に着くとマタニティーマークのキーホルダーをバッグの内側に隠した。「せっかく専門知識を得られる部署に来たんだから、今頑張らないと」。泊まり勤務や夜勤を続け、上司に妊娠を報告したあとも、夜中の呼び出しに応じたり、飛行機や新幹線で駆け回っていた。
 産休に入る1週間前、長男は予定より9週も早く低出生体重児にあたる1700グラム台で生まれてきた。NICU(新生児集中治療室)の保育器の中、小さな顔を見た瞬間、怖さと自責の念で涙があふれた。長男はその後健康に育っているが、「仕事はあとからいくらでも挽回できる。妊婦の時に自分の体をいたわることから、もう子育ては始まっていたんだ」と感じている。
 「妊娠・出産は個人差が大きく、ふたを開けてみないと何が起きるかわからない。私だけは大丈夫と過信しない方が良いでしょう」。つくばセントラル病院の田中奈美医師(42)は指摘する。自らも長女(14)と次女(11)を出産した際に、早産や流産の危険が高まり、入院した経験がある。「働き過ぎだけが理由なら、安静にすれば未然に防げる場合もあります。はりや出血など異常を感じたら即座に受診してください。医師の指示を職場に伝える『母健連絡カード』は便利なので積極的に活用してみては」と話す。
 上司や同僚として妊婦の周囲の人はどんなことに気をつければよいのか。田中医師は「必要時に休めるように仕事の共有化など職場で工夫すれば妊婦の負担を減らすことができます」と話す。
 都内の大学病院に勤務する看護師の女性(63)は30歳で2回の流産を経験し、その後長男と長女を妊娠中にも切迫早産を経験した。当時は人手不足に加え理解ある上司も少なく、妊娠中に休めずに苦労した。だがいまは、さらに社会全体の余裕がなくなり、新しい命の誕生を喜びあえる世の中になっているだろうか、と感じている。後輩たちには「赤ちゃんを守るのは自分しかいない。勇気を持って権利を使ったり、労働組合などを通して、仕事をしやすい職場環境を自分たちで作り出すことも必要」と話している。=おわり(下桐実雅子、五味香織、斎藤広子、久野華代が担当しました)
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 こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産/4 自分に合うお産場所探し 
毎日新聞 2012年09月17日

 ◇まき割りで鍛え、自然に 分娩制限施設、予約に苦労も
 コン、カコーン−−。うっそうと木が生い茂る庭に、まき割りの音が響く。おのを握るのは、大きなおなかを抱えた妊婦たちだ。
 愛知県岡崎市の産院「吉村医院」では、妊婦がまき割りや井戸水くみといった「作業」に汗を流す。お昼には江戸時代に建てられた古民家で、まきで炊いたご飯をほおばる。
 吉村医院は「本当の自然なお産」を実践している。帝王切開や、赤ちゃんを産道から引き出す吸引分娩(ぶんべん)などの医療行為をできるだけ行わず、母子の力でお産をやり遂げることを目指す。そのために、妊婦の体作りを重視する。妊娠中は「作業」のほか、自宅で毎日2〜3時間歩き、スクワットを200〜300回続けるよう指導する。
 体力と気力を培い、和食に徹した食生活で臨んだお産では、「赤ちゃんがつるっと生まれてくる」という。田中寧子副院長は「妊娠中の取り組みがあるからできる、計画的な自然分娩」と表現する。年間260〜270件のお産を扱うが、東京や大阪など遠方から通う人も少なくない。
 愛知県知立市の松田紗知さん(29)は、10月に2人目の出産を控える。長女(3)は近所の産院で出産したが、お産に時間がかかり陣痛誘発剤を使われ、つらかったという。「以前の産院は、医師が忙しそうで質問もできなかった。吉村医院は親身になってくれる」と信頼を寄せる。
 吉村正院長(80)は、かつて大学病院で最先端の産科医療に携わっていた。父の後を継ぐため実家に戻り、地域でお産を手がけるうちに、妊婦と赤ちゃんが持つ力を最大限に生かすお産が望ましいと考えるようになった。
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 こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産/3 妊娠中、適正な体重管理を
毎日新聞 2012年09月14日

◇低体重児に「やせ願望」影響? 高血圧症候群、注意を
 「主菜はとれていますが、全体的に食べる量が少ないですね。主食や果物も足りていません」
 東京都世田谷区の玉川病院。産婦人科の田尻下(たじりか)怜子医師らにこう指摘された川崎市の女性(31)は「少ないですか? 結構食べていると思っていたけれど……」と、驚いたように聞き返した。
 女性は妊娠8カ月に入るが、体重は妊娠前に比べて3キロしか増えていない。妊娠前のBMI(体格指数)は18・5未満で「やせ」にあたる。
 「あなたの体格なら、妊娠中に10キロぐらいは増えた方がいい」と田尻下医師。女性が「おなかが大きくなると胃が圧迫されて、一度に食べられない」と訴えると、栄養士の石黒純子さんは「間食におにぎりやサンドイッチ、バナナなどを入れて、食べる回数を増やしてみて」とアドバイスした。
 玉川病院では7月から、妊娠28週前後で体重増加量が少なかったり多過ぎたりする妊婦に、個別の栄養指導を試みている。定期的な妊婦健診でも体重管理の助言はしているが、個別の栄養指導では、あらかじめ3日分の食事内容を記録してもらう。国の食生活指針をもとに、栄養素の過不足や食事の工夫を具体的に伝えている。
 朝食をとらない人、クッキーばかり食べている人−−。食事の記録から見えてくる課題はそれぞれで、妊婦一人一人に合ったアドバイスが必要だ。
 個別指導を始めた理由について、田尻下医師は「妊婦の適正な体重増加を促せば、低出生体重児を減らせるのではないかと考えた」と話す。
 低出生体重児とは、出生体重が2500グラム未満の赤ちゃんのこと。以前は未熟児と呼ばれた。田尻下医師らが同病院で生まれた低出生体重児のデータを分析したところ、30%ぐらいのケースで、母親の体重増加量が十分でなかったことが原因と推測された。
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 こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産/2 卵子の老化「知らなかった」 
毎日新聞 2012年09月13日

 ◇加齢や病気、不妊一因に/「リスク考え人生設計を」
 看護師の言葉が突き刺さった。「妊娠を後回しにしてきたんですね」
 山口県の女性(40)は2年前、県内の病院で不妊の検査を受け、卵子の通り道となる卵管が詰まっていることが分かった。卵子と精子が出合えないため、自然妊娠は難しい。
 医師からは不妊治療を勧められた。同時に、年齢が上がるとともに子宮や卵巣のトラブルが起きやすくなり、卵子も老化することを知らされた。「自分の体が、女性であることを否定しているみたいだった」。看護師の言葉がショックに追い打ちをかけた。
 若い頃から家庭を持ちたいと思っていた。交際相手との結婚を考えたこともある。その一方で、仕事にやりがいを感じてもいた。結婚は37歳。なかなか子どもができず、不妊の検査を受けた。
 不妊治療の専門クリニックに転院し、3回目の顕微授精で妊娠。今年1月に双子の女児を出産し、今は育児に追われる毎日だ。
 もし、若いうちに卵子が老化すると知っていたら−−。女性は今でもそう考えることがある。「勉強や仕事など、いろんなことを頑張ってきた。違う生き方をしたとは思えない。でも、それは自分が出産できたから言えることなのかもしれない」
  ◇   ◇
 日本産科婦人科学会の調査によると、体外受精など高度な不妊治療の実施数は09年に年間21万件を超えた。治療を受ける人の増加とともに、患者の年齢も上昇傾向にある。
 国立成育医療研究センターの斉藤英和・不妊診療科医長によると、患者の初診年齢は平均38歳。年々上がっているという。多くが、30代半ばで結婚や妊娠・出産を考えたケースだ。
 だが年齢が上がると、卵子が老化して、妊娠しにくくなる。そのことを斉藤医師が患者に説明すると、ほとんどの患者が「知らなかった」と答えるという。
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 こうのとり追って:第5部・考えよう妊娠、出産/1 進む晩産、広がる「妊活」
毎日新聞 2012年09月12日 

 ◇「子宝ヨガ」で心癒やし/誕生の基礎知識学ぶ講座も
 東京都文京区のヨガスタジオ「ヨガマ」。25度ほどに保たれた部屋で、参加者がヨガマットに足を伸ばし、「卵巣につながる」というツボをもみほぐしながら自己紹介を始めた。講師の西川尚美さん(43)は「参加女性のほとんどは、不妊治療を受けながら通っている。悩みを打ち明けたり、情報交換したりするために、このクラスでは自己紹介は欠かせない」と説明する。
 これまで学びや仲間作りが目的だった場に、「妊活」という新たな目的が広がりつつある。その一つ「子宝ヨガ」の現場を訪ねた。
 75分のクラスの終盤、足の裏を合わせて座り、そのまま後ろに倒れる「眠る女神のポーズ」をとると照明が落ちた。受講者に毛布がかけられると、気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。
 「家で一人でやるより、ここで仲間とやる方がリラックスできる」。今春から参加している女性(32)が打ち明ける。2年前に結婚。自然に授かるのを待っていたが、昨年から不妊治療を始めた。妊娠に良いと聞いた漢方薬も飲んでいる。「将来、あれをやればよかったなどと後悔したくない」からだという。
 講師の西川さん自身も不妊治療を受けた経験がある。「薬の副作用で気持ちの落ち込みや疲れを感じたけれど、ヨガのおかげで心に余裕が持てた。だから、受講者の気持ちがよく分かる」と話す。

 不妊治療に携わる「はらメディカルクリニック」(東京都渋谷区)の原利夫院長は「ヨガなどの代替医療は患者さんの意欲を高めてくれる」と話す。原院長が不妊治療を行う全国の565医療機関にアンケートしたところ、回答があった382施設のうち99%にあたる379施設が、カウンセリングや漢方、鍼灸(しんきゅう)などの代替医療を行っていると答えた。
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めずらしいパンパスグラスとジンジャーの花。

2012-09-19 22:08:16 | 花/美しいもの

パンパスグラスの花が咲きました。
数年前に植えたのですが、花が咲いたのは初めてです。


まっしろなススキのような花。
とはいえ、高さは2メートル以上。
見上げるほどの大きさなので、全体の姿は道から移しました。
     

     

ジンジャーの花。
パンパスグラスの横には、白とオレンジ。
 
庭には黄色。 

   
こちらも見上げるほどの大きさです。

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むくげ・芙蓉・酔芙蓉
  

   

  

季節外れのアジサイ


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『家族を超える社会学──新たな生の基盤を求めて』 (牟田和恵 編/新曜社)

2012-09-18 20:51:29 | ほん/新聞/ニュース
朝から土砂降りの悪天候で、けさはウォーキングを断念。
芽が出たばかりの野菜のトレイ苗を、屋根のしたに避難させました。

一昨日のあさは晴れていて、東京に行く途中ののぞみで
「富士山がきれいに見えます」という車内アナウンスがあったので、デッキに出て写しました。


行きののぞみから写した富士山。


東京のWAN会議は、終了後に一品持ち寄りの親睦会が予定されていたので、
わたしはサラダ用の畑の野菜たちを持参しました。
 

今日は配送日なので、また玄関に余り野菜がどっさり届いていました。

  
かぼちゃとオクラの煮物
    
ナスのしぎ焼き  甘長とうがらしの炒め煮  十六ササゲの煮びたし      

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話しは変わりますが、
昨日の午後の家族社会学会の会場前で、
『家族を超える社会学──新たな生の基盤を求めて』という本を買いました。
牟田和恵さん編集で、上野千鶴子さん、岡野八代さん、春日キスヨさんと
知っているの名前が4人も執筆者として並んでいます。

   

休憩中と帰りの新幹線で半分くらい読みましたが、おもしろかったです。

 家族を超える社会学──新たな生の基盤を求めて (牟田和恵 編/新曜社)

◆家族を超える論理と倫理
他人と同居(シェアハウジング)、同性カップル(レズビアン、ゲイ家族)、子連れ再婚(ステップファミリー)など先進諸国で認知されつつある多様な家族から、共同生活がうまくいく条件を探ります。愛情、セックス、血のつながりは条件外、他人であってもルールを守り、ケアの権利・義務を果たせたら、それが家族に代わる人生の基盤になりうるのか?をめぐって議論を深めます。編者は大阪大学大学院教授、著者は上野千鶴子氏、岡野八代氏、山田昌弘氏ほかフェミニズム・家族論の代表的論者。

家族を超える社会学 目次
序 家族のオルタナティブと新たな生の基盤を求めて――本書のねらい  牟田和恵
 I 「家族」を超える論理と倫理
第1章 家族の臨界――ケアの分配公正をめぐって  上野千鶴子
 コラム 高齢者虐待――家族の変容と家族リスクの高まり 春日キスヨ
第2章 家族からの出発――新しい社会の構想に向けて 岡野八代
 コラム 出産と家族――「こうのとりのゆりかご」  白岩優姫
第3章 ジェンダー家族のポリティクス  牟田和恵
    ――家族と性愛の「男女平等」主義を疑う
トピックス ウーマン・リブのコレクティブがめざしたもの 西村光子
  II 「家族」を超える多様な実践――生きる基盤の新たなかたち
第4章 若者の自立/自律と共同性の創造――シェアハウジング 久保田裕之
 トピックス コレクティブハウジングの理念と実践  小谷部育子
 コラム ひきこもりと家族  井出草平 
第5章 性愛の多様性と家族の多様性――レズビアン家族・ゲイ家族 釜野さおり
 コラム シングルマザー  社納葉子
第6章 ステップファミリーと家族変動―家族の下位文化と制度  野沢慎司
 コラム 家族のオルタナティブは可能か?  山田昌弘
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序 家族のオルタナティブと新たな生の基盤を求めて――本書のねらい
                            牟田 和恵

 家族に関するニュースや記事が新聞やテレビに現れない日はほとんどないといっていい。残念ながらその多くは、子どもの虐待や、介護疲れからの夫婦・親子間の殺人などの悲しい事件だったり、少子化や未婚化、離婚の増加といった現象から家族と日本社会の将来を憂う論評であったりする。また、報道されるような事件には無縁の人びとにとっても、グローバルに広がる経済的危機の時代に、安穏な家族生活を生きることは容易ではないように思われる。家族は人びとに安定を与えるどころか、個人にとって家族がリスク・危機要因であると論じる専門家もある。
 しかし家族史・社会史研究の蓄積は、こうした家族をめぐる変動を「危機」ととらえる必要はないことを私たちに教えた。家族のありようは、社会経済的な変化に応じて歴史的に変貌してきたのであり、私たちの自明としてきた家族の姿は近代に至る社会経済的な変化のなかで生まれ、広がり、確立したものだ。だから、いま家族をめぐって生じているさまざまな問題や変化は、人びとの暮らしと家族的な関係が新たな適応のかたちをとろうとしているにすぎないのだ、と。
 本書はそうした見解に基本的に同意しながらも、そこからさらに、現在そしてこれからの私たちの生きる基盤となりうる新たなかたちの「家族」はいかなるものでありうるのかと、論を進めたい。自明とされてきた家族のすがた、つまり「一対一の男女の対の関係(とその子ども)」という核家族的関係には閉じない、人びとの新たなつながりから築きうる「家族」の可能性とはどのようなものか、と。
 振り返ってみれば、私たちは家族のありようが歴史・社会的に構築されることを認識しながらも、いまだ対の性愛と血縁で閉じた「核家族」を家族の自明の姿として考えることから自由ではなかった。そして、性愛や血縁のみを家族・親密さの基盤と考えてしまうことで、私たちの紡ぎうる親密さ・拠るべき生の基盤を構築する可能性は大きく減じられてきたのではないか。既存の家族関係の閉塞と家族をとりまく社会経済的変動のなかで、人びとがより自由で豊かな生の基盤を築いていくために、これまでの「家族」像や概念を超えた構想が必要だ。
 本書は以上の問題意識から実践的かつ理論的に、多様な側面を通じて、その可能性を検討するものである。パートI「の各章は、何が「家族」を構成するのか、「家族」のつながりの根拠や可能性をラディカルかつ理論的に問い、従来の家族が依って立っていた原理・「常識」の限界と問題点を検討する。パートIIは、実際に現れている、新たな生きる基盤を実践している具体的な試み・社会的現象を取り上げて、それらが「家族」にどのような意味を投げかけているのかを論じる。またトピックス、コラムでは、歴史的に現れた新たな生の基盤を築こうとする試みを紹介し、最近話題となったさまざまな事象がどのように現在の家族の問題と関連しているのかをわかりやすく解説する。
 ここで、しばしば出会う質問や疑問に応えるかたちで、本書の意図するところを三点にわたって補足しておきたい。

 1 「多様な家族」「オルタナティブな家族形態」を論じるのとどこが違うのか?
本書は、多様な家族のかたちについて述べることを主眼とするのではなく、これまでの「家族」にとらわれない、生きる場・関係の可能性を問おうとしている。「家族のオルタナティブ」という語をこの序の章題に使っているが、その意味するところは「オルタナティブな家族」とは異なる。事実婚やシングルマザーなどの、従来の規範的家族から外れる家族のかたちや、本書で取り上げているコレクティブハウジングやゲイ・レズビアン家族、ステップファミリー等が「多様な家族」「オルタナティブな家族」と呼ばれることがあるが、本書は、そうしたかたちの家族のありようを、従来の家族のバリエーションとして取りあげようとしているのではない。
本書が「家族のオルタナティブ」として論じるのは、これまで人びとの生きる基盤が婚姻に基づく小家族という特定の形態に限定されてきたことを認識し、そこからそれにとらわれない生きる基盤の可能性、それをいかに構築できるか、を探ろうというものである。
たとえば、第1章(上野)で論じるように、ケアの責任と負担を考えることを通じて、「公」「私」の境界の再定義を行おうとする試みは、その課題への正面からの問いだ。コレクティブハウジング(トピックス、小谷部)やゲイ・レズビアンファミリーズ(第5章、釜野)も、既存の家族世帯を内部の単位とする、性的絆を、少なくとも形成のきっかけとしては中核とする、という点では婚姻小家族と地続きではあるが、それでも、物理的にも心理的にも、婚姻小家族の閉鎖性やヘテロセクシズム(異性愛中心主義)に根ざす相補的排他性に挑戦し、変革しようとする動きだといえる。ステップファミリー(第6章、野沢)の実践からは、血縁の絆に拠らない関係が、さまざまな困難を経験しながらも、新たな関係性の基盤を自ら見いだしていくことがわかる。したがって、アプローチの違いやラディカルさに幅はあれど、いずれの章もこれまでの「家族」の枠を超えた生きる基盤の可能性の一端を示すものである。

 2 既存の家族とは異なる可能性を探るのならば、「家族」という言葉を用いない方がいいのではないか
たしかに、「家族のオルタナティブ」という表現は「オルタナティブな家族」=「多様な家族」の言い換えとして受け取られかねない。そのうえ、本書の各章では、新たな人びとのつながり方・場を、シンボリックな意味で「家族」、「ファミリー(ズ)」と表現しており、ますます「家族」という語の意味を不明確にしているかもしれない。だから、新たな生きる基盤と人びとの関係性を指すのには、「家族」という語を避けた方が、論点の明確化のためには望ましいかもしれない。
しかし本書ではその選択肢はとらず、あえて、「家族」「ファミリー」という語を、統一的な定義をすることなく、それぞれの論者の意図するところにしたがって用いている。その理由は、「家族」という言葉が、指し示す意味内容を歴史のなかで変えてきた事実を踏まえるならば、「家族」という言葉に新たな積極的な意味づけを与えていくこともできるはずだと考えるからである。第2章(岡野)で論じるように、「家族」という言葉と概念には、深く豊かな可能性がある。私たちは、「家族」という言葉をいま簡単に手放すわけにはいかない。

 3 そもそもなぜ「家族のオルタナティブ」をいま考える必要があるのか?
家族のオルタナティブ、人の生きる基盤の可能性を考える、という問題設定は、抽象的で現実的でない印象を与えるかもしれない。しかし本書は、家族をめぐって現在起こっている諸問題、家族が呈している限界を深刻に受け止めることに問題関心を発している。貧困や格差の進行、未婚化・晩婚化・少子化問題、ときには殺人事件やDV・虐待さえにも至る家族員間の葛藤、介護問題など、現在の家族をめぐる問題を真剣にとらえるからこそ、それらの問題に対して個別的・臨床的に対応していくだけではない、構造的な問題解決の可能性を探ろうとしているのだ。これは、理念的で迂遠な道すじであるかもしれないが、しかし実のところ、第3章(牟田)、第4章(久保田)に見るように、それは人びとの生きる力を強くしようとするきわめて現実的な提案でもある。

最後に念のためつけ加えるなら、本書は『家族を超える社会学』と題されているが、従来の家族社会学からは周縁的なことがら・テーマを扱っているように見えるかもしれない。しかし本書で検討しているのは、家族社会学が通常対象としているものの「残余」「例外」なのではなく、人間にとって生の基盤としての家族が成立する根幹は何か、ということである。「家族」を否定するのではなく、「家族」をもっと魅力的で力強いものにしうる道をひらくことである。本書が「家族」を考えるうえで、多少なりとも新たな視野をひらくことができれば、編者としてこれにまさる喜びはない。
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原発の呪縛・日本よ! 元国会事故調委員・崎山比早子さん◇命の価値を取り戻す

2012-09-17 22:23:50 | 地震・原発・災害
昨日から東京に行ってきました。

昨日の午後からはWANの会議、夜もWAN関連の打ち合わせでそのまま東京に泊まり、
今日は朝から横浜に移動しました。
横浜で「横浜 女性ネットワーク会議」が開催されるので、
講師に招かれている上野千鶴子さんと、仲間といっしょに行ったのです。

横浜市の市長は林文子さん。
林さんが市長になってから、待機児童が80数パーセントも減ったとのこと。
トップが女性になって政策が実行されるとこんなに変わるということですね。

上野さんの講演は「働く女のサバイバル~働く、暮らす、つながる~」。
いやあおもしろかったです。


 「横浜 女性ネットワーク会議」チラシ  

 横浜女性ネットワーク会議
「私」始動・・・女性はもっと活躍できる

 働く女性の学びと交流のためのイベントを開催します。
社会学者 上野千鶴子さんの講演のほか
企業や国際舞台で活躍する女性による
分科会や交流会を行います。
林文子横浜市長も参加し、
「働き続けたい」「仕事も自分も成長したい」
女性を応援します。
会場は、パシフィコ横浜(みなとみらい地区)です。

<プログラム>
9月17日(月)
●10:30~10:50 オープニング・メッセージ
 林文子(横浜市長)

●10:50~12:00 第1部 基調講演
 「働く女のサバイバル~働く、暮らす、つながる~」
 上野千鶴子(社会学者)

●12:15~13:30 第2部 分科会
1) グローバル社会で活躍する女性
~女性の活躍が社会を変える~
  ・サロメ・タダウス・シジャオナ
  (タンザニア連合共和国駐日特命全権大使)
  ・ 林文子(横浜市長)
  ・モデレーター/アキレス美知子
   ((株)資生堂 執行役員 広報・お客さま情報・環境・CSR・風土改革担当)
 
2) “働き女子”の自分育て&キャリア育て
~チャレンジする力はどこからくる?~
 ・伊藤久美
  (日本IBM(株) GTSビジネス開発エクゼクティブ 理事)
・小竹貴子(元クックパット(株) 執行役)
 ・モデレーター/麓幸子
  (日経BP社 ビズライフ局長・日経WOMAN発行人)

3) 女性の力が組織活性化にチャンスを拓く◆締切間近!
~組織力アップの実践例を聴く~
 ・エリザベス・ハンドーヴァー
  (ルミナ ラーニング アジア 代表取締役)
 ・来田ルネ(イケア・ジャパン(株) 港北ストア HRマネージャー)

●13:45~15:00 第3部 
つながる・ひろげる・ネットワーキングビュッフェ


午後は、上野さんが「家族社会学会」のシンポで報告をされるということだったので、
いっしょに東京に戻って、シンポジウムを聞かせてもらいました。

3連休の最後の日ということで、東京駅は大混雑。
おみやげも食べるものも何も買えませんでしたが、
一つだけ望みの指定席が空いていたので、座って帰れました。
とっても充実した二日間でした。

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帰ってからどっさりとたまった新聞を順番に読んでいたら、
毎日新聞の「特集ワイド」に崎山比早子さん
が出ているのを見つけました。
土曜日の夕刊ですが、よい記事なので紹介します。

  特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 元国会事故調委員・崎山比早子さん 
毎日新聞 2012年09月14日 東京夕刊

<この国はどこへ行こうとしているのか>
 ◇命の価値を取り戻す−−崎山比早子さん(73)
 金曜日。毎回、長時間に及んだ国会の東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調)で、委員(当時)の崎山比早子さん(73)は夕刻になると委員会室の窓からそっと外をうかがった。脱原発を訴え官邸前をめざす人の行列が延び、委員会室の窓からも見えるようになったのは6月下旬。
 「最初は少なかった人数が週ごとに増えて、車道にもはみ出すほどになって。声も大きく聞こえるようになった。『ここで何とかしなければ』という思いは同じでした」
 がん細胞の研究者で、反原発の科学者が所属する「高木学校」の有力メンバー。被ばくのリスクについて最新研究に精通した人物として、原発事故以降、休みなしの東奔西走が続く。政府や電力会社の影響の外にいる専門家として信頼を得て、国会事故調委員の一人となった。
 「いま、(福島のほかに)もう一つ原発で事故が起きたら、この狭い日本はもう終わりです。自分だけでなく子孫の代の生存をかけて止めなければ」。穏やかな口調だけに、真剣さが伝わってくる。
 高木学校は、科学者の高木仁三郎さん(2000年死去)が市民の立場から科学に取り組む「市民科学者」の育成を志して、98年に創設した私塾。放射線医学総合研究所(放医研)に勤めていた研究者だった崎山さんは99年、定年後に研究を社会還元できる場を探していて、新聞記事で学校を知った。記事は高木さんががんを患っていると伝えていた。専門の崎山さんには病状の重さがぴんときた。この人から少しでも多くを学び受け継ぎたいと、時間と競争する思いで参加したという。 高木さんの専門分野(核化学)を補う形で、生物学の立場から被ばく問題を担当。放射線の影響と被ばくリスクをより身近なところから考えようと、04年から医療放射線被ばくに焦点を当ててきた。海外の論文を読み「発がん数のうちX線検査による割合は、日本は先進国最高の4・4%」「0歳でCT検査を受けた場合、35歳で受けた場合と比較して、生涯でがん死するリスクは4〜10倍」などの最新研究を紹介してきた。そもそもは、身近な放射線のリスクを知って、原発の危険性を考えてもらうための研究活動だった。実際に原発事故が起き「一番皮肉な形で役立ってしまいました」とため息をつく。
 話を聞いたのはうだるような残暑の午後。原発事故以降、国会の参考人質疑から市民主催の講演会やシンポジウム、インターネット動画中継まで引っ張りだこに。そこでの、母親の不安に寄り添うような丁寧でごまかしのない語り口が印象的だった。直接会ってもその印象は変わらない。
 国会事故調の委員として膨大な内部資料を検討して見えてきたのは、市民と東電の「根本的な価値観の違い」だったという。「事故が起きないなんてありえない。私たちはそう思っていた。東電はそう思っていなかった。その差を生み出した根底にあるものが価値観の違いだと思います」
 例えば、原子炉を冷却するための海水注入が遅れた経緯。東電や電気事業連合会(電事連)に残る記録からは、圧力容器などが再び使用できなくなることをおそれる思考回路がうかがえた。「私たちが考える原発事故のリスクは、放射線被害が出て住民の健康に害が及ぶことです。一方、東電の考えるリスクは『原発が長期停止してしまうこと』だったんです」
 原発を長時間停止すれば、発電コストが上がる。だからできるだけ停止しないで済むような対応がなされていた。また、廃炉になった原発は固定資産でなくなり、負債として計上されて企業としての決算収支が一気に悪化する。だから廃炉は避けねばならない。放射性物質が漏れ続ける原発が目の前にあっても、耐用年数を過ぎた原発さえ廃炉にならない理由はそこにある。
 「そんな価値判断はおかしい、と東電に言わなければいけない原子力安全・保安院も原子力安全委員会も、東電の利益を優先的に考えるようになってしまっていたのです。冗談じゃない。こんな人たちに私たちの命を握られてはたまりません」
 彼らによって、原発の危険性は「見えなくされてきた」と崎山さんは指摘する。地元の幼稚園にも小学校にも、電力会社が来て「安全です」と繰り返す。国会事故調で福島県大熊町や双葉町の避難住民にヒアリング調査をしたところ、大震災直後に「原発が危ない」と思った人はごくわずかだった。「大丈夫だ、安全だ、と思い込まないと生活できないんです。地元も、日本全体も、いつのまにか『見て見ぬふり』になっていたのではないですか」
 価値観の転換が必要です。命の価値を取り戻さなければ−−そう言い切る視線は真っすぐ前に向けられていた。
 「実は、原発を止められるチャンスは何度もあったんです」。02年に発覚した炉心隔壁ひび割れ記録改ざん事件。隠蔽(いんぺい)体質が指摘され、03年の春は東電の原発17基すべてが停止した。07年の新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発で火災と放射性物質漏れがあり、地元自治体が緊急使用停止命令を出した。それでも全国の原発は動き続けた。「これで変わるだろう、もうこれで変わるだろう、そう思っている間に、事態はどんどん悪くなってきた。今はもう、崖っぷちだと思います」
 冷温停止などという言葉を使ったところで、福島原発事故は数十年かけても終わらない。被災した原子炉が今後の地震に耐えられるかは分からない。露出した使用済み核燃料プールに竜巻が直撃したらどうなるか。たとえ原発が止まっても、使用済み核燃料の処理の問題はずっと残り、大地震はいつか必ず来る。
 −−希望はありますか。そう尋ねると、ふっと表情が緩んだ。
 「希望は『持つ』ものです。希望を持たなければ生きていけないでしょう」
 市民主催の勉強会で、肌で感じるという。「日本社会には市民の力があると思います。皆さん、実際に自分たちで計測してデータを集めることをいとわない。自ら調べよう、情報を精査しよう、という姿勢で、受け身ではなく現実に向き合っているのではないでしょうか」
 取材中、崎山さんは何度も席を立ち、当時の資料やメモを確認した。事実に真摯(しんし)に向き合う姿勢は徹底している。誠実な研究者と市民が手を取り合ってこそ、社会は変わっていくのかもしれない。
 あの金曜日、「国会にデモの声が聞こえてくるようになって、この国の価値観は『変わる』と確信したんです」。
 話を終えて外に出た。にわか雨が通り過ぎ、涼しい風が吹き抜けた。【藤田祐子】

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 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を
t.yukan@mainichi.co.jp
ファクス03・3212・0279
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 ■人物略歴
 ◇さきやま・ひさこ
 医学博士。米マサチューセッツ工科大、放射線医学総合研究所主任研究官を経て高木学校メンバー。11年12月から12年7月まで国会事故調委員。著書に「母と子のための被ばく知識」など。


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【悩みのるつぼ】Q愛がない小説じゃダメ?:Aスキル磨いてマグマをはき出して!(上野千鶴子)

2012-09-16 22:03:10 | ジェンダー/上野千鶴子
WANの会議で東京に来ています。
やっと会議が終わりました。
上野さんには今日お会いしたばかりですが、
昨日の朝日新聞の【悩みのるつぼ】の回答者も上野さん。

【悩みのるつぼ】の記事を紹介します。


【悩みのるつぼ】朝日新聞be 2012.9.16

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 愛がない小説じゃダメ? 相談者:無職 60代
2012.9.15 朝日新聞be

 まもなく70歳になる独身女性。大学を出て公務員として半生を過ごしてきました。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・私が気楽に書いた短編には、ほかの方の作品に出てくる「稼ぎがよくて妻にやさしい夫」や「高価なワイン」なんか登場しません。肉親や世間による悪意や嫉妬、憎悪を秘めた優しげな言葉などがテーマですから。結果は大ブーイング、バッシングの嵐で面白かった。無理ですよ。「母性愛を疑うなんて許せない」と言われても。だって、私は人の愛し方も愛され方も知らずに生きてきたから。
 男の子しか関心がなく弟を愛した父と、父とはカネだけでつながっていて、自分に似た顔の姉だけ偏愛していた美人で頭の良い母。私は2人から無視され、子供の頃から病気やケガは自分で薬箱を探して治しました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・人生の終幕が近くなり、最後くらいは楽しくやりたいのですが、愛を解さない私が小説を書こうとすることはいけないの?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スキル磨いてマグマをはき出して!
回答者:社会学者・上野千鶴子


 へええ、この世の中の悪意や嫉妬、憎悪などを描くとバッシングを受けるなんて、創作講座じゃなくて道徳講座かと思いました。「母性愛を疑わない」なんて人は、小説家に向かないと思うんですがねえ。車谷長吉さんを見習ってほしいものです。
 70歳まで「おひとりさま」を通されたあなたは、ずいぶんレアな経験をなさったことでしょう。まずあなたの世代の女性で大学卒っていうのがレアですし、独身をつらぬいたってのも超レアです。公務員を続けて、暮らしに困ることはなかったでしょうが、あなたの世代の女性は同期採用の男性と比べてあからさまな差別を受けたでしょうし、何より、「オールドミス」「お局(つぼね)さま」「嫁(い)かず後家」と陰口を叩(たた)かれたことでしょう。お察しもうしあげます。
 そのうえ、夫婦仲の悪い両親のもとで、息子偏重の家父長的な家庭で育ち、たぶん書きぶりからみて、姉とくらべて「美人」でもなく、母のように「頭がよく」もなさそうなあなた。両親に愛されなかったのに、可愛がってもらった姉と弟に代わって結局両親の介護をひとりで引き受けたあなた。いったいどんな思いで介護をなさったことでしょうね。
 ご苦労の数々や憤懣(ふん・まん)やるかたない思いが文面からあふれています。てゆうことはあなたには書きたいことがやまのようにあるってこと! なんてラッキーなんでしょう。
 誰でも生涯に1作だけ作品を書くと言います。たいがいの人は、自分の人生を書いてしまうともうネタが尽きるものです。あなたは書きたいことが次々にあふれてタネが尽きないことでしょう。それに書くという行為は、なにがしか自分の人生にオトシマエをつけるためのもの。あなたの中で溜(た)まりに溜まったマグマはとうぶん収まりそうもありませんから、創作欲が衰えることもないでしょう。
 というわけであなたはとっても小説家向きです。ただし小説を書くには「感じたことをありのまま」書くだけではだめ。技術が要ります。そのための講座なんですから、習作をどんどん書いてスキルを磨いてください。文学賞にもどんどん応募しましょう。そのうち70代の新人賞作家が誕生するかもしれません。
 作家の村上龍さんが『13歳のハローワーク』で書いていた「作家」の定義にうなりました。「人に残された最後の職業……死刑囚でもなれる。」。どうぞご精進なさってください。
題字・イラスト きたむらさとし


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「む・しネット」の記事が全国配信に/「つながる」(31)市民派議員塾~女性にノウハウを伝授

2012-09-15 14:46:39 | 「市民派議員塾」「M&T企画 選挙講座」
共同通信の原真さんが記事を書いていらっしゃる今年の通年企画の「つながる」。
5月の連休ころから何度か取材を受けていて、第一回の市民派議員塾にも密着取材されました。

8月に記事の形になって全国に配信され、北から南まで共同加盟社の紙面に載りました。
記事が載ったことは、記事を読んだ友人や読者からのメールで知っていたのですが、
地元の岐阜新聞に載らなかったので、紙面は目にしていませんでした。

今日、掲載紙が10紙ほど原さんから届いたので、
いくつかの紙面とともに紹介します。
市民運動も含めて、わたしたちのことよく知っている原さんならではの
よくまとまった記事で、うれしいです。

同行されたカメラマンの有吉さんがたくさん写真を撮ってくださって、
記事も写真が大きく載りますよ、とお聞きしていました。
見たらホントびっくりするほど写真が大きくてちょっとはずかしいのですが、
でもやっぱりうれしいです(笑)。


  2012.8.4 デーリー東北


2012.8.4 デーリー東北(PDF版)


  2012.8.7 山形新聞

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2012.8.4 東奥日報

 通年企画「つながる」(31)
「む・しネット」市民派議員塾
 女性にノウハウを伝授~議会を変え、まちを変える
 

 「3月の議会本会議で予算質疑をしなかった人がいる。怠慢としか言いようがない」「一般質問で取り上げても、実際に政策が変わらなければ、市民にとっては、議員としての仕事をしていないのと同じです」
 名古屋市内の会議室。集まった市議や町議ら10人に、講師の寺町(てらまち)みどり(60)と知正(ともまさ) (59)が厳しい言葉を投げ掛ける。「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク(む・しネット)」による市民派議員塾だ。
 市町村議会のルールから、一般質問の組み立て方、情報公開や住民監査の請求方法まで。各地の情報を交換しながら泊まりがけで年4回、集中的に勉強する。統一地方選の前には選挙運動の特別講座も。主な対象は社会的弱者である女性、特に政党に所属せず頼る組織がない市民派の議員だ。
 初めて塾に参加した北海道芽室町議の正村紀美子(まさむら・きみこ) (46)は「昨年当選して、何も分からないまま1年が過ぎた。塾のみなさんは自分の考えも、実現させる手法もちゃんと持っている。私もそうなりたいと思いました」。圧倒された様子で話す。

 納得いく生き方を
 知正は岡山大を卒業後、故郷の岐阜県高富町(現山県市)で有機農業を始めた。生産者が野菜などを作って戸別に配達し、消費者も作付け品目の選定や農作業に参加する「ぎふ・人と土の会」を設立。みどりと知り合い1982年に結婚する。
 「食べ物だけでなく、安全な環境をつくりたい」。2人は会の仲間らとともに核兵器廃絶などの市民運動にかかわった。さらに地域の在日韓国人が外国人登録の指紋押なつを拒否すると、支援運動を立ち上げる。近隣で松枯れ対策としてヘリコプターによる農薬散布が始まり、ゴルフ場建設計画が持ち上がれば、中止を訴え、全国的な反対運動の中心になっていく。
 「降りかかってきた火の粉は払うしかない。自分で納得のいく生き方がしたいから」と知正。
 県内の農薬空中散布が激減するなど運動は成果を挙げたが、限界を感じた。多数の署名を集めて請願をしても、議会で否決される。折から地元では汚職が相次いでいた。「選挙に出て行政を変えるしかない」。知正は91年、高富町長選に立候補し落選。しかし同年の町議選で、演説主体の選挙運動によってみどりが初当選し、4年後、知正にバトンタッチする形に。
 飛び込んだ議会は、みどりにとって異空間だった。先輩議員から「すべて慣例に従って」と言われたものの、理詰めで説得。図書館への司書採用などを実現した。
 知正は議会活動にとどまらず、情報公開や住民監査の制度を駆使し、請求が認められないと提訴する。弁護士を付けない本人訴訟で、最高裁まで争って何度も勝訴。県による環境影響評価の検討段階の文書開示や、ずさんな渡船事業費の返還などを勝ち取っている。

 問題提起し続ける
 こうしたノウハウを共有しようと2000年、む・しネットを結成。これまでに延べ約120人が塾に参加し、14人が現職の地方議員として活躍している。
 福井県敦賀市議の今大地晴美(こんだいじ・はるみ) (61)も、その一人だ。「先生と呼ばないで」と宣言、ジーンズで議場に通い、古参議員からの中傷には発言取り消しや処分を要求する。原発推進派が圧倒的多数を占める土地柄で、脱原発を訴える。「常に孤立してます」と笑う。
 「小さなまちの議員は勉強しようと思っても、どうすればいいか分からない。塾は頭も体もいっぱいいっぱいになるが、みんなから元気や勇気をもらえる」

 言い続ける 
三重県桑名市議の小川(おがわ)まみ(53)は当初、他の女性議員を応援しようと塾に通ううちに、「自分のまちを良くしたい」と立候補を決意した。
 当選後も塾で各地の状況を学び、議会の広報紙をはじめ「よそのまちにあることが、どうして桑名にはないのか」と問題提起している。同市議の一部が政務調査費で著名人の講演会を開いた際は「税金を使った選挙運動だ」と批判。独力で住民訴訟を起こし、約174万円を市に返させた。
 「多数派になれない市民派議員の限界を感じることもあります。でも、『おかしい』と言い続ける人間が絶対に必要だと思う」と小川。
 む・しネットの数少ない男性メンバーである知正は「男性議員はつい行政にすり寄ったりするが、女性議員はぶれない。自ら経験してきた差別に対する思いがあるからでしょう」と語る。
 みどりも「女性が政治に入ることで、マイノリティー(少数派)のニーズに応える政策ができていく。市民派なら、党の方針などに縛られず、1人で闘える。国政はともかく、身近な市町村の問題なら解決できます」と強調する。
 「ただの市民が議員になり、議会を変え、まちを変えていくのは面白い」。(敬称略、文・原真、写真・有吉叔裕)

「取材ノート」
◎人生を楽しむ
 駆け出し記者だった27年前、指紋押なつ拒否運動の取材で寺町さんたちに出会った。今でこそ地方政治や市民運動の専門家として鳴らす2人だが、当時はまだ手探りの日々。それでも、次々と新しい課題に挑戦しており、こちらも追い立てられるように記事を書いた。おかげで、在日外国人の人権問題などは記者のライフワークになった。
 2人のバイタリティーは現在も変わらない。「趣味は政治」と言い、さまざまな活動に走り回り、ブログを更新しながら、畑仕事や養蜂にいそしむ。あくまで前向きに、人生を楽しんでいる。こういう人たちが世の中を変えていくのだと、あらためて感じた。 


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『婦人公論』特集:幸せな老後を迎えたい「おひとりさまの最期に、希望が見えてきた」上野千鶴子×香山リカ

2012-09-14 22:15:20 | ジェンダー/上野千鶴子
親戚に不幸があったので、昨日から東京に行ってきました。

昨日の朝、出かける前に写した萩の花。
江戸絞りは五分咲きくらい。




白萩と宮城野萩は咲き始めです。

   江戸絞り     白萩     宮城野萩
  

吾木香 (われもこう)



・「吾亦紅 さし出て花の つもりかな」
      小林一茶

「吾木香 すすきかるかや 秋草の
さびしききはみ 君におくらむ」
     若山 牧水

「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと
ひそやかに」
     高浜虚子


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岐阜駅で最新号の『婦人公論』を買って、
新幹線のなかで読みました。

特集は「幸せな老後を迎えたい」。
上野千鶴子さんと香山リカさんの対談が載っていました。



 婦人公論 
最新号・特集:幸せな老後を迎えたい
曽野綾子、上野千鶴子、香山リカ

  最新号 目次 
2012年9月22日号(9月7日発売)
幸せな老後を
迎えたい
誰もが不安なのです。胸を張って「老後の準備は万端」と言える人など、まずいないでしょう。年金のこと、定年退職した夫との関係、親の介護……数え上げればキリがありません。自分らしい老後を生きるために、今からできる準備を考えます ・・・



  注目記事
おひとりさまの最期に、希望が見えてきた
上野千鶴子×香山リカ


離別、死別、非婚を問わず、一人で迎える老後を肯定的にとらえた上野千鶴子さんの『おひとりさまの老後』はベストセラーになった。一方、香山リカさんは、女性が抱える将来への不安を『老後がこわい』で率直に書き、多くの共感を呼んだ。孤独死や年金不安も高まったこの数年、二人の老後観はどう変化したのだろう

老後の不安は
解消されたのか

上野 私たちがそれぞれ本を出してから5~6年たったわけですが、その間に私はポスト還暦期に入り、順調に加齢しております。退職して、老後がリアルに近くなりました。
香山 私は「親の死を乗り越えられるか不安」と書きましたが、一昨年11月に父の死を経験しました。
上野 たしか自宅で看取られたとか。
香山 はい。病院での終末医療に疑問を持ち、意識のない父を家に連れて帰って看取りました。
(『婦人公論』2012年9月22日号より一部抜粋)


特集の前半のページには曽野綾子の特別インタビュー。
こちらの一応読みましたけど・・・。

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生活保護を考える<4>自立支援 就職へのステップ多数提供/<3>不正受給の背景 制度の理解不足が課題

2012-09-13 15:45:02 | ほん/新聞/ニュース
葬儀があって東京に来ています。
お通夜が今日で明日が告別式なので、今夜は東京のホテル泊です。

出てくる前に読んだ中日新聞に、白井さんの
「生活保護を考える<4>自立支援 就職へのステップ多数提供」の記事がのっていました。

生活穂座の問題は、中日の生活面でシリーズで取り上げています。
「生活保護を考える<3>不正受給の背景 制度の理解不足が課題』も合わせて紹介します。


  生活保護を考える<4>自立支援 就職へのステップ多数提供  
2012年9月13日 中日新聞

 増え続ける生活保護の受給者。自治体の重い課題の一つは、受給者に就職してもらって保護費支給を減らすための「自立支援」だ。北海道釧路市のようにNPO法人や社会福祉法人などとも協力して自立支援プログラムを軌道に乗せている自治体はあるが、全体的には取り組みの遅れが目立つ。 (白井康彦)

 釧路市は人口約十八万人。生活保護の受給者は、地域経済が落ち込んでいるため、十年ほど前から急増。今年六月末には一万十九人となり、市民約十八人に一人という水準に達した。しかし、同市の生活保護行政を、全国各地の自治体の関係者が習いに来る。
 市内の障害者授産施設「ぴーぷる」には、定期的に生活保護受給者が訪れ、無償作業をする。記者が訪ねた際は、女性受給者六人が古着の糸をほどく作業をしていた。無償の労働だが、和気あいあい。「孫の話をしながらで楽しい」「ここで少しでも世の中の役に立つことができてうれしい」などと話してくれた。
 どこの自治体でも、受給者に寄り添う職員(ケースワーカー=CW)は「働く能力があるなら仕事を探しなさい」と繰り返し指導する。受給者の大半は孤独で自信をなくし、社会とのつながりが弱くなっているので、CWの期待には応えにくい。
 釧路市はNPO法人や社会福祉法人などに協力を求め、自立支援プログラムの中に、生活保護受給者が就職準備のような作業をできる場を数多く設定した。
 二〇〇六年度から本格的に展開。今では公園清掃、動物園での餌の箱詰め、産業廃棄物の選別など作業内容も多彩になっている。市生活福祉事務所は「自分も世の中の役に立つのだという自尊感情を持ってもらえる効果が大きい」と説明する。
 受給世帯では子どもの教育問題も悩みの種。多くの生徒が塾に通う中、塾代を支払う余裕がないことや、親が適切な進路指導ができないことなどから、高校進学をあきらめるケースもある。
 そこで釧路市から委託されたNPO法人地域生活支援ネットワークサロンが、冬月荘という施設で、受給世帯の中学生の勉強会を開いている。ここで学んで高校に進学できた生徒が指導する側になって通い続けるなど、生徒らの貴重な「居場所」になっているという。

◆多忙なケースワーカー
 政府は今年二月、社会保障と税の一体改革の大綱を閣議決定。「生活困窮者対策に取り組むための生活支援戦略を、今秋をめどに決める」という目標も盛り込んだ。七月に発表した生活支援戦略の中間まとめには、検討課題を並べた。
 政府が先進事例としてきたのが釧路市の取り組み。しかし、多くの自治体は「釧路のようにはやれない」といった受け止め方だ。生活保護の受給者が急増し、CWが大忙しといった事情もある。
 東海地方の四十代の女性受給者は「私を担当するCWもすごく多忙で、めったに来てくれなくなった」と証言する。
 十五年前、内臓の急性疾患で入院し、生活保護を受けるようになった。二十代で離婚し、一人で幼い子ども二人を育てていた。パートの仕事を一日に三カ所でこなすなど、無理を続けてダウン。今も病気がちだ。下の子は高校を中退して独立。不安定な職場を転々とし、今も生活が苦しい。まさに「貧困の連鎖」だ。
 釧路市の取り組みを知った女性は「冬月荘がうちの市にもあったらよかった」と考える。
 「私は生活保護を受けていることを、隠して生きてきた。生活保護から抜け出せる人が増えるよう、釧路のような温かい取り組みが広がってほしい」


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 生活保護を考える<3>不正受給の背景 制度の理解不足が課題
 
2012年9月6日 中日新聞

 生活保護で「不正受給者が増えているのでは」とのイメージが広まっている。実際は、生活保護費の総額に対する不正受給の割合は小さく、この数年横ばい状態だ。ただ、受給者急増で、自治体で生活状況をチェックするケースワーカー(CW)が不足して多忙さを増し、説明や支援が不十分なことが、新たな不正を生む背景にもなっている。 (稲田雅文)

 愛知県内でCWを務める男性は最近、生活保護を受給する母子家庭世帯が所得を報告しなかったため、不正受給として処理した。
 十代の娘と暮らす五十代の母親は、警備会社で働きながら受給。知らぬ間に娘の携帯電話料が月五万~六万円になっていたが、料金を払わないと娘が怒って暴力的になるため、仕方なく支払っていた。「生活に困っていた」こともあり、母親は、生活保護開始後に受給が決まった福祉手当の報告をしていなかった。「保護費は減っていないので、本人は“不正”を分かっていたはず」とCW。不正受給分は保護費の中から分割返還するという。
 このCWは現在、約百四十世帯を担当する。法定の基準は八十世帯だが、二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降の受給者の急増で、担当数も増加した。事務に追われ、生活状況の確認に欠かせない家庭訪問を満足にこなせない。「受給者に寄り添った支援は、なかなかできない」と語る。
 「偽装離婚していた」「家や車を持っていた」-。報道では悪質な不正受給が伝えられるが、CWによると、不正受給の大半は、働いた賃金や受給した年金を報告しないケースという。生活保護制度は「生活費が不足する分を補う」との考え方。受給者に収入があった場合、保護費を減らす仕組みがあり、収入は報告義務がある。「義務を怠ったことは許されないが、すべて受給者側の責任とは言い切れない」と、このCWは語る。
 例えば、受給世帯の高校生がアルバイトで得た収入を不正受給として処理することがある。「連絡を密にしていれば『アルバイトをしたら報告を』との声掛けができる」と話す。未成年者が働いて得た収入の場合、「勤労控除」の仕組みがあり、二万円程度までなら保護費は減らされない。
 だが、報告がないと不正受給とされる。制度を理解していなかったり、親が子どもの状況を把握していなかったりするケースも。生活保護申請時はもらっていなかった公的な福祉手当の報告忘れなら、CWが事前に把握できた可能性もある。
 不正受給の背景には、多重債務問題もある。もちろん、審査時に借金の有無は尋ねるが、信頼関係ができるまで話さず、収入を隠して、生活を切り詰めて返済を続ける人も多いという。「保護の開始時に、CWが法律家につないで債務整理をしていれば、不正受給をしなかったケースも多いはず」と話す。
 お笑い芸人の母親の受給問題は国会で取り上げられ、ネット上でも論争になるなど、生活保護への厳しい意見が増えている。信頼される制度とするには、不正受給を減らす対策が求められる。
 東海生活保護利用支援ネットワークの柘植直也弁護士は「本当に悪質な不正受給はまれ。説明不足のケースも多いはずだ」といい、受給者の増加に応じてCWを増やし、きめ細かな支援の必要性を指摘している。

件数の割合は横ばい
 厚生労働省のまとめによると、二〇一〇年度の生活保護の不正受給は二万五千三百五十五件、金額は計約百二十八億七千四百二十六万円だった。生活保護を受ける人の増加に伴い、件数は〇六年度比で一・七倍に増えている=グラフ。ただ、生活保護を受ける世帯に占める不正受給件数の割合は一〇年度に1・8%、保護費全体に占める不正受給の額も0・38%と小さく、割合としてはこの数年、横ばいが続く。
 内訳は、賃金収入の無申告が最も多く43・5%。年金受給の無申告が27・7%と続く。
 同省によると、一〇年度の不正受給が前年度比で大きく増加したのは課税調査を強化したため。働いた収入を申告しなかった場合でも、企業側が源泉徴収した情報などと突き合わせて不正が判明するようになった。



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福島の子、1人が甲状腺がん 検査で報告/ほんとうに「放射線の影響ではない」のか!?

2012-09-12 19:16:57 | 地震・原発・災害
福島県のこどもを対象にした甲状腺検査で、
ひとりが「甲状腺がん」になっていたそうです。

こどもの甲状腺がんはとてもめずらしく、チェルノブイリでも原発事故以前はなかったのですが、
事故後は増えたと聞きました。
調査した大学教授は、
「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」として、
「放射線の影響を否定した」そうですが、
何を根拠に放射線が原因ではないと言い切れるのか、疑問です。

ヨウ素の半減期は数日なので、事故直後に大量のヨウ素を被曝したかかどうかは不明のはず。
少なくとも、「わからない」というのが専門家としては正確なのではと思います。

事故直後に、根拠もなく「ただちに健康への影響はない」と言っていたのを思い出しました。

  福島の子、1人が甲状腺がん 検査で報告
(2012年9月12日) 【中日新聞】

県立医大教授 放射線の影響を否定
 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)が11日開かれ、事故発生当時18歳以下を対象とした甲状腺検査について、1人が甲状腺がんと報告された。
 甲状腺検査の対象は約36万人。これまで一次検査を、昨年度約3万8千人、本年度約4万2千人の計約8万人が受けた。このうち昨年度186人、本年度は239人の計425人が「二次検査が必要」とされ、昨年度のうち1人ががんと判断された。
 調査主体の福島県立医大の鈴木真一教授は検討委で「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」と述べ、放射線の影響を否定した。
 鈴木教授は終了後、記者会見。小児甲状腺がんは100万人に1人〜2人の頻度といわれていたが、自覚症状が出てから診察する場合がほとんどで、今回のように全ての子どもを対象とした検査の前例がないため「比較できない」と述べた。
 年齢や性別、外部被ばく線量などは一切明らかにしなかった。


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 子ども1人、甲状腺がん 事故の影響否定 福島県検査

2012年09月12日水曜日 河北新報

 福島第1原発事故後に福島県が県内の18歳以下の子どもを対象に実施している甲状腺検査で、甲状腺がんを発病しているケースが1例確認されたことが11日、分かった。甲状腺がんの発症例が確認されたのは初めて。県側は原発事故と発症の因果関係を否定している。
 発症例は福島市で同日あった県の県民健康管理調査検討委員会で報告された。患者の性別や年齢、症状はプライバシー保護を理由に公表されていない。
 検査担当の鈴木真一福島県立医大教授は「原発事故による被ばく線量は内部、外部被ばくとも低い。チェルノブイリ原発事故の例からも、事故による甲状腺がんが4年以内に発症することはないと考えている」と説明している。
 委員会では2012年度分の8月までの検査の結果も報告された。結節や嚢胞(のうほう)がない「A1」判定が56.3%(11年度は64.2%)、小さな結節などがある「A2」が43.1%(35.3%)、一定以上の大きさの結節などがあって2次検査が必要な「B」が0.6%(0.5%)だった。


 甲状腺がん1人確認 福島医大「放射線の影響ない」 

 11日に福島市で開かれた県民健康管理調査検討委員会で、福島医大は子どもを対象とする甲状腺検査について、二次検査の結果、1人の甲状腺がんが確認されたと報告した。検査で甲状腺がんが見つかるのは初めて。福島医大は「放射線の影響ではない」としている。
 甲状腺検査は東京電力福島第一原発事故時に18歳以下だった子ども約36万人が対象で、検査結果が判明したのはこれまでに約8万人。
 今回、甲状腺がんが見つかったのは平成23年度実施分の二次検査。23年度は双葉郡8町村と伊達市、南相馬市、田村市、川俣町、飯舘村の13市町村の3万8114人で一次検査を実施した。
 186人から5.1ミリ以上のしこりなどが確認され、二次検査対象(B判定)となった。検査を終えた38人のうち、超音波検査や細胞を吸引して詳細に調べた結果、1人が甲状腺がんと確認された。それ以外は良性だった。
 福島医大は対象者についてプライバシー保護の観点から性別や年齢、住所、被ばく線量などを公表していない。
 福島医大は24年度の一次検査結果も公表した。福島市の4万2060人を検査し、「直ちに二次検査を要する」(C判定)と判定された県民はいなかった。二次検査対象は239人で全体の0.6%。23、24年度では425人に上る。
 しこりなどが見られない「A1判定」は2万3702人で全体の56.3%、5.0ミリ以下のしこりなどがある「A2判定」は1万8119人で43.1%だった。

■「高い外部被ばくない」福島医大鈴木教授
 甲状腺検査で甲状腺がんが見つかったことについて、調査を担当する県民健康管理調査検討委員会の鈴木真一福島医大教授は「内部被ばくのあったチェルノブイリ事故でさえ甲状腺がんは発生まで最短で4年。本県では広島や長崎のような高い外部被ばくも起きていない。事故後1年半しか経過していない本県では、放射線の影響とは考えられない」と東京電力福島第一原発事故の影響を否定した。
 検討委の座長を務める山下俊一福島医大副学長も検討委として同様の見解を示した。
 鈴木教授らによると、子どもの甲状腺がんの頻度は100万人に1~2人といわれるが、通常はしこりを感じる本人の自覚症状などで数センチ大になってから見つかるケースが多いという。今回のように18歳以下全ての子どもを対象に精度の高い超音波検査を実施した例がなく、「比較はできない」としている。
 首都大学東京大学院放射線科学域長の福士政広教授は「甲状腺がんの進行は遅く、現段階で原発事故の放射性ヨウ素を原因とする症状が出ることは考えられない。今回症状が確認された人は原発事故以前から発症していたはずだ」と指摘する。
( 2012/09/12 福島民報 )


5月の中日新聞の記事に、「甲状腺検査」の問題が詳しくまとめられているので紹介します。

 福島の子 3割以上“良性”のう胞 甲状腺検査で不安は消えず「せめて半年ごとに調べて」
(2012年5月18日) 【中日新聞】

 福島第1原発事故を受け、福島県が18歳以下の子どもを対象に進めている甲状腺検査。放射線量が高い地域の先行結果では、3割以上にのう胞のほか、約180人に直径5ミリを超えるしこりが見られたが「おおむね良性」という。本年度検査が福島市などで始まる中、検査方法や説明に親たちは不安を募らせている。(出田阿生、秦淳哉)

「異常なのか」
 福島県飯舘村から福島市内に避難しているユキ子さん(47)=仮名、以下同じ=は、小学4年生の長女が受けた甲状腺検査の結果通知が全く理解できなかった。
 甲状腺は首の前にある内分泌器で、そのホルモンは成長に欠かせない。今年1月に届いたのは、A4の紙1枚。「(A2)小さな結節(しこり)や嚢胞(のうほう)(液体が入っている袋のようなもの)がありますが、2次検査の必要はありません」とだけ書かれていた。
 裏面を読むと、簡単な説明書きが。「A1」は異常なし、「A2」は5ミリ以下のしこりか20ミリ以下の嚢胞(以下のう胞)があった場合。2次検査が必要なのは、それを超える大きさがあった場合で「B」(念のため検査)と「C」(ただちに検査)となっていた。
 のう胞は甲状腺が閉ざされ、分泌液がたまった状態を指す。「しこりなのか、のう胞なのかも分からない。健康な子にも存在するのか、何らかの異常なのか。次の検査は2年後と言われても…?」
 県から委託されて検査する福島県立医大の県民健康管理センターに問い合わせた。当初は「担当の先生は忙しくてすぐに返事できない」との返答。その後も「説明は裏面を読んで」と繰り返す。
 ユキ子さんは検査に付き添ったが、医師の説明はなかった。その理由を聞くと「隣の人に聞こえてしまうので」。納得がいかなかった。「原発事故当時、村では何も知らずに井戸水を飲み、屋外で炊き出しのおにぎりを食べていた。成長する娘はどうなるんだろうか」
 甲状腺の超音波(エコー)検査は、原発事故時に18歳以下だった約36万人を対象に行う。甲状腺は放射性ヨウ素をためこむ。チェルノブイリ事故では、約5年後に放射性ヨウ素の内部被ばくで子どもの甲状腺がんが急増した。
 放射線量が高い警戒区域の浪江町や計画的避難区域の飯舘村などを皮切りに、13市町村が3月末に検査を終えた。3万8114人のうち、2次検査の対象となる5ミリ超のしこりや20ミリ超ののう胞のB判定は186人=表参照。本年度は今月14日から始まり、線量が比較的高い福島、郡山市など12市町村の15万4894人が対象だ。
「子どもの健康を守るというなら、せめて半年ごとに検査を」と訴える親たち=福島市内で 検査は20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとだ。「せめて半年ごとに調べて」と話すのは中学1年の息子を持つ福島市のカナさん(49)。検査通知に「同意書」が付いていたのにも驚いた。小中学校での検査は「保護者同席ではないため提出を」と要請。「なぜ保護者がその場で説明を受けられないのか。他の健康診断で同意書なんて聞いたことがない」
 結果通知には、エコー写真も添付されない。これでは別の医師にセカンドオピニオンを求めることもできない。
 甲状腺検査の結果が書かれた用紙。詳しい説明はなく、次回の検査は2年後だ 県立医大の山下俊一副学長らの文書も親の不信感を募らせた。1月16日付で日本甲状腺学会の会員にこう要請した。2次検査の対象にならない子どもの保護者からの問い合わせや相談には「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状が出現しない限り、追加検査は必要がないことをご理解いただき、十分にご説明いただきたく存じます」。
 他県の医師がネットに掲載したこの文書を見たサナエさん(48)は「これじゃ余計な検査をするなという脅し。子どもの健康のためではなく、安全性を強調するだけの形式的な検査にしかみえない」と思った。高校生の長男には民間病院で甲状腺検査を受けさせた。

隠れて予防策
 7歳の長男と4歳の長女がいる福島市のマリさん(42)は「原発事故の影響を判別するため、他の地域の子の甲状腺検査と比較をする必要がある」と話す。自宅周辺は少し前まで空間線量が毎時1マイクロシーベルトを超えていた。尿検査や血液検査、心電図検査の必要性も感じる。
 放射能への不安を口にしづらい雰囲気も強い。「県外避難できない親は文句が言えず、あきらめている」。自らも病気の父親を抱えているため避難は断念した。
 「福島にとどまらざるを得ない子どもに健康対策は最低限の条件。なのに、人口流出を恐れる行政に危機意識が低いために、個人が隠れて予防策をする羽目になる」
 全県民約200万人の健康を一手に担う県民健康管理センターは、県立医大の一室に設置されており、スタッフはわずか94人。
 親たちは口を揃(そろ)える。「健康調査についての有識者の検討委員会に、住民代表を入れてほしい。そもそも住民の健康管理を、県立医大だけにやらせるのは無理がある。これは国を挙げて取り組むことじゃないのか」

チェルノブイリも他地域も比較なく 
 北海道深川市立病院の松崎道幸医師は「チェルノブイリ事故後に18歳未満の子を対象とした検査結果で、直径5ミリ超のしこりとのう胞がそれぞれ約0.5%現れたとの文献がある」とした上で、チェルノブイリ事故被害との直接比較ができない点を問題視する。
 「診断基準が違うから断定できないが、しこりについてはチェルノブイリと同程度と言える。しかし、のう胞をより大きな20ミリ以下と20ミリ超で分けており、直接の比較ができない。ただ、今後影響が出る可能性もあり得る。直径の大きさを示した詳しい分布も併せて公表すべきだ」。さらに次回の検査について「少なくとも半年に1回は経過を検査する必要がある」と言う。
 北海道がんセンターの西尾正道院長は「甲状腺は成人してから異常が出る例が多い。これまで子どもの調査データは少ないが、のう胞ができたとしてもすぐに異常とは限らない」と話す。
 同時に「福島の子どもが異常かどうかは、原発事故の影響がない地域の子どもを調査し、比較すればはっきりする。やる気があればできるはずだ」。
 西尾氏も継続的な検査を求める。「チェルノブイリでは5年以上の潜伏期間を経てがん発症が増えだした。他の病院の検査を望む人も多いはず。県立医大が、問い合わせがあっても2年後まで検査は必要ないと説明するよう求めた文書を出したのは本末転倒だ」


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放射性物質拡散シミュレーション結果(岐阜県)/100キロ超でも高濃度汚染 原発事故被害予測

2012-09-11 10:41:55 | 地震・原発・災害
9月9日の中日新聞のトップ記事になった、敦賀原発の事故が起きた時の被害予測調査を、
岐阜県が正式に発表しました。

調査結果の詳細は、岐阜県のホームページにアップされています。

 放射性物質拡散シミュレーション結果について(岐阜県)
岐阜県は、最寄りの原子力事業所から県境まで約25kmの位置にあります。
 万が一の原子力災害に備え、原子力防災対策を充実・強化するため、岐阜県では平成23年度から平成24年度にかけて放射性物質拡散想定調査を実施しました。
調査の概要
<調査日程>
平成23年11月から平成24年9月
<想定>
本県に最も近い敦賀発電所(日本原子力発電株式会社)の位置で、福島第一原発事故と同様の放射性物質放出があった場合における、県内への放射性物質の拡散シミュレーションを実施

資料について
•放射性物質拡散シミュレーション結果について(PDF:3,726KB)
•放射性物質拡散シミュレーション結果を受けた今後の県の対応について(PDF:17KB)
•報告書【本編】 (PDF:3,098KB)
•報告書【資料編】(その1、PDF:2,465KB)(その2、PDF:3,495KB)(その3、PDF:3,867KB)(その4、PDF:4,480KB)


今日の朝刊各紙は、この内容の詳細を一斉に報じています。
7時前のNHKニュースでも愛知県関連で報道していました。



中日新聞も、あらためて岐阜県版に地図入りで拡散予想を出しています。

 100キロ超でも高濃度汚染 原発事故被害予測【岐阜】
2012年9月11日 中日新聞

 敦賀原発(福井県敦賀市)の大事故を想定した岐阜県独自の被害予測調査で、県が十日に正式発表した調査結果によると、最悪の場合、原発から百キロ以上離れた地域まで高濃度の放射性物質に汚染される恐れがある。影響の可能性がある自治体の人口は計百五十七万人。政府は原発から三十キロ圏内を事故対策の重点地域の目安としているが、県は今後、いっそう広範囲の対策が求められる。
 正式な調査結果によると、敦賀原発から放出されて地表に沈着した年間の外部被ばく線量が福島第一原発事故の「計画的避難区域」と同じ二〇ミリシーベルト超となるのは、県内の二十五市町。岐阜、大垣、多治見市のほか海津市もこの区域に含まれることが判明した。県原子力防災室の大脇哲也室長は記者会見で調査結果を発表し「影響が広範囲に出るケースもある。市町村としっかり連携をとって対策をとっていきたい」と話した。
 県によると、地表に沈着した放射性物質による年間の外部被ばく線量が一〇〇ミリシーベルト超となった三市町のうち、最も敦賀原発からの距離が遠いのは大垣市で七十二キロ。二〇ミリシーベルト超の可能性が指摘された市町のうち、最も遠かったのは可児市で百七キロだった。
 今回の調査結果を受け、県は地域防災計画の中の原発事故対策の見直しと、ヨウ素剤の配備など重点的に対策を取る地域(UPZ)の指定に着手する。UPZは一〇〇ミリシーベルト超となった地域を中心に検討する。

◆影響自治体 対策強化へ
 「県内でもこれだけ広い範囲に影響する可能性があるのか」。揖斐川町の宗宮孝生町長は驚きを隠さない。敦賀原発までわずか二十五キロ。県内で最も近い自治体で、大事故が起きれば年間の外部被ばく線量が一〇〇ミリシーベルト以上となる可能性を指摘されただけに「町民の不安解消につながる対策をできる限り講じたい」と力を込めた。
 一方「十分に考えられる」と一〇〇ミリシーベルト超を静かに受け止めたのは、関ケ原町の浅井健太郎町長。「この町は若狭から吹いてくる風の通り道。事故を想定した防災計画を作りたい」と話した。市中心部が一〇〇ミリシーベルト以上になる可能性が指摘された大垣市の小川敏市長も「国に原子力災害対策を強く要請していく」としている。
 原発から百キロ離れた下呂市の野村誠市長も「こんな調査結果が出た以上、(放射性物質の飛来が)想定外とは言ってられない」。郡上市の日置敏明市長も「市民の退避などどんな対策が必要なのか、専門家の意見も聞きながら詰めていきたい」と気を引き締めた。
 多治見市の古川雅典市長は今回と同様の被害想定調査を繰り返すことや、敦賀原発だけでなく浜岡原発の事故も想定するべきだと提言。ヨウ素剤や防護服の備蓄など「県と市の役割分担」を明確にした上での対策強化が必要と話した。
        ◇
 敦賀原発で大事故が起きた際、地表に沈着する放射性物質で、年間の外部被ばく線量が二〇ミリシーベルト超となる可能性がある市町は、次の通り。
 【岐阜地区】岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、岐南町、笠松町、北方町
 【西濃地区】大垣市、関ケ原町、揖斐川町、海津市、垂井町、輪之内町、安八町、養老町、大野町、池田町、神戸町
 【中濃地区】関市、可児市、郡上市
 【東濃地区】多治見市
 【飛騨地区】下呂市


 岐阜県 敦賀事故シミュレーション(放射性物質拡散予測)/『見えない恐怖 (放射線内部被曝)』(松井英介著) 

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  敦賀原発事故で放射性物質 県想定/岐阜 
2012年09月11日 朝日新聞

◆県境越え大量に飛散…監視態勢強化を検討
 25市町で年間被曝(ひ・ばく)量が20ミリシーベルト、とくに大垣市は100ミリシーベルト以上になる――。県が10日発表した放射性物質の拡散想定では、福井県の敦賀原発(日本原子力発電)の事故でも、季節や天候次第では、県境を越えて大量の放射性物質が飛来することが明らかになった。
 県は2010年の気象データをもとに、福島第一原発の事故と同程度の放射性物質が飛散したとして、季節ごとに14ケースを想定した。国際原子力機関(IAEA)や政府の基準をもとに、地表に沈着した放射性物質による年間被曝量が20ミリシーベルト以上となった7ケースを公表した。
 いずれかのケースで基準を超えたのは25市町。このうち大垣、関ケ原、揖斐川の3市町は、IAEAが「数日から1週間程度の間の避難」を求める年間100ミリシーベルト以上のケースが想定された。
 国は原発から30キロ圏内を緊急時防護措置準備区域(UPZ)と定めているため、県はこの3市町について弾力的な設定を国に要請することを検討する。また、20ミリシーベルト以上となった市町については、監視態勢の強化を検討する。
 14ケースのうち、最も多い19市町が基準を超えたのは、北西からの風が岐阜・滋賀県境の伊吹山地にぶつかって滋賀県を南東に進み、そこから関ケ原町に吹き込むケース。広範囲で雨が降り、関ケ原町と大垣市で年間100ミリシーベルト以上となる予測だ。
 また、県は内部被曝についても14ケースを調査。1週間の被曝量が50ミリシーベルト以上となった3ケースを公表した。大垣、垂井、関ケ原、揖斐川、池田の5市町で基準を超え、ヨウ素剤備蓄の議論に役立てる。
 大垣市の小川敏市長は今回の結果について、「重く受け止めている。県とともに、国に対して科学的知見による安全基準の策定や、原子力災害対策を強く要請していく」とコメント。敦賀原発の再稼働についても「万全の安全対策がない限り市民の理解は得られない」と指摘した。(増田勇介)

◆立地県並み対策を…名大・井口教授
 県震災対策検証委員会原子力分科会の座長を務める名古屋大の井口哲夫教授(放射線工学)は「(原発立地県でだけでなく)隣接県にもどれだけ影響があるかが明らかになった。県も立地県並みの対策をとらなくてはいけない」と指摘。「結果を国に認識してもらい、近隣自治体とどう連携して対策をとるか、検討する必要がある」と述べた。
 また、国は原発から30キロ圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」として位置づけたが、井口教授は「今回の結果は、原発事故の影響を同心円的にとらえる考え方が少し単純すぎることを表している。地形や地域に応じた防災対策を立てていくべきだ」と話した。

■県の拡散想定で、被曝量が年間20ミリシーベルト以上となった25市町
【岐阜圏域】岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、岐南町、笠松町、北方町
【西濃圏域】※大垣市、海津市、※関ケ原町、※揖斐川町、垂井町、神戸町、輪之内町、安八町、養老町、大野町、池田町
【中濃圏域】関市、可児市、郡上市
【東濃圏域】多治見市
【飛騨圏域】下呂市
(地表に沈着したセシウムなどの放射性物質による外部被曝。※の3市町は、100ミリシーベルト以上)

 
 岐阜県:敦賀原発からの放射性物質拡散予測
毎日新聞 2012年09月11日

 岐阜県は10日、日本原子力発電敦賀原発(福井県)で東京電力福島第1原発事故と同規模の事故が発生した場合を想定した放射性物質の拡散シミュレーション結果を発表した。県内25市町(人口約157万人)で外部被ばく量が年間20ミリシーベルトを超える可能性があると試算。うち大垣市、関ケ原町、揖斐川町では同100ミリシーベルト超になる場合もあるという。放射性ヨウ素の甲状腺蓄積による内部被ばく量が7日間で50ミリシーベルト超とされたのは5市町だった。
 外部被ばくの影響を最も受けるのは、夏に放射性物質が滋賀県から関ケ原町に飛散し、大雨で地表に沈着するケース。西濃地域の大垣市や関ケ原町を中心に19市町(人口約115万人)で、「計画的避難区域」の目安となる年間20ミリシーベルトを超える。気象条件次第では、敦賀原発から約100キロ離れた可児市でも20ミリシーベルトを超えるという。
 隣接県への飛散量は明らかにしなかったが、愛知県によると、一宮市や江南市などが20ミリシーベルト超のエリアに含まれているという。また、岐阜県が発表した飛散想定図では、三重県いなべ市が20ミリシーベルト超のエリアに含まれているとみられる。
 調査は、事故発生時に放出されるセシウムやヨウ素など10種類の放射性物質量をシミュレーション。季節ごとの風向きや降雨量などを考慮した18通りの気象条件で外部被ばく量と内部被ばく量を算出した。
 県原子力防災室は「典型的な天候では影響は小さいが、大雨などの悪条件が重なると被害が広がる。想定を参考に年度内にも地域防災計画を修正したい」としている。【三上剛輝】

 ◇高濃度放射性物質飛来予想の自治体
 《外部被ばく・年間20ミリシーベルト超》大垣市、関ケ原町、揖斐川町、岐阜市、羽島市、各務原市、山県市、瑞穂市、本巣市、岐南町、笠松町、北方町、海津市、垂井町、神戸町、輪之内町、安八町、養老町、大野町、池田町、関市、可児市、郡上市、多治見市、下呂市
 《内部被ばく・7日間で50ミリシーベルト超》大垣市(旧上石津町)、垂井町、関ケ原町、揖斐川町、池田町


岐阜の25市町で20ミリSv 県、敦賀原発事故で拡散予測
2012年09月11日 岐阜新聞

 岐阜県は10日、県境から約25キロの日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で、福島第1原発と同程度の放射性物質が放出される事故を想定した放射性物質の拡散シミュレーション結果を公表した。地表に沈着した放射性物質による外部被ばく線量が、国が計画的避難区域の目安とした年間20ミリシーベルト以上となるのは5圏域の25市町に及んだ。このうち大垣市と揖斐川町、関ケ原町は1週間以内の避難が必要とされるIAEA(国際原子力機関)基準の同100ミリシーベルト以上に達した。
 空気中の放射性ヨウ素の吸入による事故初期の内部被ばく線量も予測、安定ヨウ素剤の服用が必要となるIAEA基準の週50ミリシーベルト以上となるのは大垣市(旧上石津町)、垂井町、関ケ原町、揖斐川町、池田町の計5市町。
 シミュレーションは、2010年の気象条件をもとに各季節の18ケースで想定。県は結果を踏まえ、本年度中に地域防災計画を修正し、緊急時のモニタリングや避難、ヨウ素剤の配備などの対応手順を定めるほか、防災体制を検証するために市町村と連携した原子力防災訓練も行う予定。


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