常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

尾花沢スイカ

2013年07月24日 | 日記


夏の風物詩といえばやはりスイカだろう。尾花沢の親戚から毎年のスイカが送られてきた。冬の大雪、6月末からの大雨を経て、無事収穫された小玉スイカだ。スイカは両手で抱えきれないほどの大きさであったが、小家族化で大きなスイカが売れなくなり、最近の主流は冷蔵庫にそのまま入る小玉スイカである。皮が薄く赤い実がびっしりと詰まり甘みも強い。

井戸で冷やしたスイカを簾から入る風を受けながら食べるのは昔ながらの風景である。実家の北海道でも畑にスイカを植えた。父は甘いスイカを作るのが自慢で、とくにスイカの生長には目をかけた。何よりも元肥が一番大切であった。勢いよく地を這う蔓のあちこちで花が咲くと、雌花に雄花なの花粉を受粉させる父の姿は今も記憶に残っている。

スイカの玉は次第に大きくなっていくがどれくらいになると熟すのか、その見極めも父の仕事であった。くみ上げた井戸水に冷やしたスイカを割るのは母の仕事であった。上手に包丁を入れると真っ二つに割られスイカの甘い匂いが部屋中に広がる。大勢の兄弟がわれ先にと手を伸ばしてスイカにかぶりつくのはひとつの醍醐味であった。

農夫躍りつ朝日に西瓜抱へけり 渡辺 水巴
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わすれ草

2013年07月24日 | 日記


雨の晴れ間に秘伝豆の苗を植えた。大雨後の畑は雨をたっぷりと含んでうっかりすると泥濘に足をとられそうになる。ついでに山東菜の畝のあとにふだん草の種を蒔く。夏に収穫できる唯一の葉ものだ。そのために別名夏菜ともいう。雨のたびに大きくなって、背丈は50㌢にもなるが、いつまでも柔らかく煮物しても美味しい。

田の土手にヤブカンゾウが咲いていた。カンゾウとヤブカンゾウを見分けるのは花が八重になっていることだという。この花は八重だからヤブカンゾウである。春先に新芽が出たばかりにこれを摘んで食べた。茹でると独特の香りがするが、ほんのりと甘みがあって美味しい。中国ではこれを食べるて憂いが晴れる習俗があって、わすれ草と呼ばれる。

花萱草乙女ためらひ刈ってしまふ 加藤知世子

薮のなかに咲くカンゾウは目立つ花だ。ニッコウキスゲもこの仲間であるからふと高山の花を連想する。田の畦に生える雑草に違いないから刈るべきなのだが、つい残したい気がして手を止める。農家の娘の心のひだがたくみに詠みこまれている。
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