常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

稲の花

2013年07月30日 | 日記


朝の散歩道の田で稲の花が咲いた。稲の花は小さく肉眼で見てもなかなか識別できないのでつい通り過ごしてしまう。デジカメのマクロモードを使用し、さらに編集で拡大してようやく花が確認できた。極小の羽虫が花の近くに集まっているのでそこを写す。

雨にすぐあふるる流れ稲の花 木下 夕爾

稲の花の映像をはじめて見たのは小川紳介監督の映画「ニッポン国古屋敷村」である。この映画は、上山市の山村、古屋敷村に暮す住民をドキュメンタリー風に撮ったものだ。村の祭りや人々の暮らしの様子を、この村に住み込んだ小川監督とそのスタッフのカメラが丹念に追った。その中での圧巻は炭焼きの火と米の花であった。撮影の年、水田は冷害に見舞われていた。寒さでなかなか咲かない米の花をじっくり待って撮ったものであった。

至近距離に置いたカメラが撮った映像は、スローモーションで静かに開花していく様子が大画面いっぱいに映し出された。その白い花の美しさは実に目を見張るものがあった。小川監督はこの映画を撮る前には、成田の三里塚で空港反対運動をドキュメンタリーで撮っている。小川監督はこの映画を撮るためにこの地に移住した。村の住民の農作業を手伝いながらの映画作成であった。この映画が山形で封切られたとき、監督は映画館に足を運んで自らの映画作りを熱く語った。

山口県と島根県に記録的な大雨が降った。一時間に143mもの雨で観測史上最大のものである。この雨で川は溢れ、道路が冠水して寸断され、山村の人々孤立した。家が流され、水田は冠水して壊滅的な被害を受けた。ここ山形も大雨で、近隣の天童、上山で水道が濁り1週間に及ぶ断水が続いた。それでも、水田に花が咲いた。これ以上の雨の被害が広がらないことを祈るばかりである。
コメント
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