昨日、妻の妹からクリスマスの贈り物が届いた。ゴールデンベアのジャケットだ。クリスマスプレゼントなど貰ったこともないので、びっくりもし嬉しい気持ちにもなった。夜はコンビニから鳥肉の焼いたものを買い、ケーキとビールでささやかに妻と二人でクリスマスを祝った。
O・ヘンリーの短編に「賢者の贈りもの」というのがある。アメリカの若くて貧しい夫婦が、互いに贈りものする話だ。妻の名はデラ。そして給料を減らされて家計に十分な金を入れられない夫はジムである。クリスマスイブにデラが貯めたお金はたった1ドル80セントのみであった。これだけの金では夫を喜ばせるような贈りものは到底できない。
二人には自慢の持ち物があった。ジムは父から譲られた金時計。デラには褐色で滝のように輝く長い髪であった。デラは思い切ってかつら店で髪を売り、20ドルを得た。ジムが金時計を持っているのに、鎖のかわりに革紐を使っていたので、人前では時計を見るのを恥ずかしく思っていた。髪の代金で金時計に一番似合う上品なデザインのプラチナの鎖を選らんだ。
ジムはといえばデラが喜ぶ贈り物に、自慢の髪に挿すにふさわしい鼈甲の櫛のセットを選んだ。プレゼントを見てデラは泣いた。「あたしの髪は、とても早くのびるのよ、ジム。」ジムを抱きしめながら、プレゼントを出した。「あなたの時計を貸してちょうだい。この鎖がどんなに似合うか見てみるわ。」ジムはベッドに座って微笑んだ。「この鎖いますぐ使うには上等過ぎるよ。君の櫛を買うために時計は売ってしまったんだよ。」
O・ヘンリーは贈りものをする人たちのなかで最も賢明な人はこの二人だと、物語の最後にわざわざ述べている。二人は自分が自慢できるたった一つのものを犠牲にして、お互いの自慢のものを引き立てるものを選らんだのである。プレゼントは無駄になったが、二人の真心はお互いをしあわせにしたであろうから。