きのう、今冬一番の冷え込みであった。関東に12月に積雪があるのは珍しいことらしい。室内の観葉植物も寒さに耐えているような様子だ。冬になって寒いことには違いないが、人は寒さに耐えながら、来るべき春へのいい予兆をそこに見てきた。日本では、「雪の多い年は豊年だ」という諺があるし、同類のものは中国にもロシアにもある。
「雪は農民の宝」「雪深ければ穀物よし」「冬雪がなければ、夏パンがない」「冬畑に雪をためると、秋にパンがとれる」などはいずれもロシアの格言である。これは中央アジアや西シベリアなどの大陸では夏に雨が少なく乾燥する。冬の雪が土中の水分として蓄えられて、作物のできをよくするからだ。
雪は土地の上をおおい、保温の役割を果たす。土を掘って大根を埋めると、その上に雪が降って大根を凍らせない。高山植物が越冬できるのも、この雪の保温効果のおかげだ。雪のあいだは、スキーなどの屋外スポーツに親しんで来る春の豊穣を待とう。
ふるさとに東歌あり根雪ふむ 軽部烏頭子