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ことしも青空に赤い南天の実が映える季節になった。この実を見ると冬が来たという感慨を抱く。あらゆる花が終り、紅葉も散ったあと、南天の実が庭の主役になっている。季節の終りに、実が赤く熟していくことで命の輝きを現している。人はこの実を愛し、切りとって花瓶に生けて正月を迎える。
南天の実に惨たりし日を憶ふ 沢木 欣一
作者は昭和18年1月、東京帝国大学在学中に学業半ばにして召集されて、満州へ出兵した。召集の年、家の庭に赤い南天の実が冬の日に照り映えていた。この実を見るたびに、戦火と飢餓のなかで過ごした作者の青春の日々が追憶される。
この実は12月から2月と長く木の枝にあり、そこに雪が降れば雪景色にもよく映える。だが、木の枝は折れやすいので、少し雪がつもると枝はしなって折れやすい。枝を見ながら、雪を払うことも怠れない。