光禅寺の庭の池に氷が張った。寒気が腰を降ろして、寒い日が続く。この池は錦鯉を飼っているので、いつもは鯉が餌を求めてゆっくりと泳いでいる。氷が張ると、鯉は水の深いところでじっとして冬眠につく。
寒波がくると、「冬将軍がやってきた」などと新聞の記事になったりする。冬将軍はロシアにその語源がある。ロシアに攻め込んだナポレオンもヒトラーも、ロシアの徹底抗戦に味方するように寒気が敵国の大きな障害となった。冬将軍はロシアの戦力でもあったから、敵との交戦を北に引きながら時間をかけ、吹雪が敵の襲いかかるのを待つ戦法を取った。日本では台風を神風と呼んだことに似通っている。
ロシアでは厳寒はマロースと呼ばれる白い髭と雪の毛皮と氷の靴を履いた老人が持ってくると信じられていた。農民たちは、春に寒害が起きないように、このマロースにごちそうして機嫌をとる儀式があった。このマロースがキリスト教と結びついてサンタクロースの伝説へと変遷していく。