我が家の玄関先にストレプト・カーパス・サクソルムが花盛りだ。アフリカ原産のイワタバコ科の植物で、鉢植えにして室内に入れれば冬も花が楽しめる。外は深い霧。厳しい冬の寒さで外出も億劫になる季節だが、この鉢植えがあれば部屋のなかがほっと温かい。
昨夜、アゼルバイジャンで開かれたユネスコ政府委員会で、日本が提案していた「和食」が無形文化遺産に登録された。和食が健康にいいとされ世界中でブームを起こすなか、韓国の「キムチ」に続いての登録は意義あることである。「一汁三菜」が和食の特徴とのことで、「我が家は一汁三菜」になっていない、という反省の弁も多く聞かれた。
和食が世界で評価される反面、日本の食卓では米離れが進んでいる。パンや肉食が増え、食の欧米化は戦後の大きなトレンドだったように思う。最近、若い夫婦と同居して、お嫁さんに食事作りを任せてしまった老夫婦の話を聞いたことがある。お嫁さんのメニューは育ち盛りの子供中心のメニューで、肉が中心で自分たちには向かないが文句も言えないとのことであった。
育ち盛りの子供たちに、肉を食べさせることに反対はしないが、バランスが必要だ。和食のよさは肉、魚、野菜をバランスよく摂ることにある。祖母と母のどちらかが食事を担当するのではなく、祖母が受け継いできた食の伝統を若い母に伝えることが大切である。意見の相違をかくしてお嫁さんとうまくやっていこうするあまりに、すっかり食事はお嫁さん中心にしてしまう家庭も多いようだ。和食が無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、子供たちに日本食のよさ伝えていく努力を世代が共同でしていくことにしてはどうだろう。