『譜めくりの女』(原題:La Tourneuse de Pages)
監督:ドゥニ・デルクール
出演:カトリーヌ・フロ,デボラ・フランソワ,パスカル・グレゴリー,
グザヴィエ・ドゥ・ギュボン,クロティルド・モレ他
フランスの作品。
カトリーヌ・フロは、無邪気と無神経紙一重の女性を
いつも見事に演じる女優です。
『女はみんな生きている』(2001)や『地上5センチの恋心』(2006)では、
無邪気さがみんなを救う主婦。
本作では、無神経さが祟ってこんな目に遭うピアニスト。
少女メラニーの夢はピアニストになること。
先生からも太鼓判を押され、パリ国立音楽学校の入学試験に臨む。
ところが、メラニーの演奏中、
審査員を務める著名なピアニスト、アリアーヌが、
サインを求めて入室した者に応じたことから、
メラニーは心を乱され、散々な結果に終わる。
十数年後、弁護士事務所に実習生としてやって来たメラニー。
物静かで、そつなく仕事をこなす彼女は、上司の評判も良い。
所長が息子の子守を探していると知り、
メラニーはごく控えめに、その役を買って出る。
郊外の所長の豪邸に、休暇中住み込むことになるのだが……。
極端なほど状況説明が省かれているのですが、
登場人物の表情を見れば説明不要。
恐ろしいくらい読み取ることができます。
入学試験のシーンの後、唐突に十数年後のシーンに。
ここで、普通は「何年後」みたいなテロップが入りますが、
そんなものがなくても、すべてが明らかです。
あの後、メラニーがピアノをあきらめたことも、
何か狙いがあってこの弁護士事務所にやって来たことも。
所長の妻はあのアリアーヌで、
もちろんメラニーのことなんか、これっぽっちも覚えちゃいません。
交通事故に遭ってから情緒不安定だというアリアーヌに、
子守として近づいたメラニーは、
昔、ピアノを弾いていたことをそれとなく匂わせ、
アリアーヌが望む完璧なタイミングで譜めくりをしてみせます。
それによって、すぐさま勝ち得たアリアーヌの信頼。
笑みを浮かべながら淡々と進められていく、メラニーの復讐劇。
アリアーヌにしてみれば、なぜこうなってしまったのか、
まったく理由がわからないまま、何もかも失います。
どのシーンも冷え冷えとしていて、心理的にゾクゾク。
アリアーヌの態度も無神経だけれど、
「試験に落ちてもピアノを続けていいよ」という父親の言葉もどうだか。
不用意に子どもの心を傷つけないよう、肝に銘じましょう。
監督:ドゥニ・デルクール
出演:カトリーヌ・フロ,デボラ・フランソワ,パスカル・グレゴリー,
グザヴィエ・ドゥ・ギュボン,クロティルド・モレ他
フランスの作品。
カトリーヌ・フロは、無邪気と無神経紙一重の女性を
いつも見事に演じる女優です。
『女はみんな生きている』(2001)や『地上5センチの恋心』(2006)では、
無邪気さがみんなを救う主婦。
本作では、無神経さが祟ってこんな目に遭うピアニスト。
少女メラニーの夢はピアニストになること。
先生からも太鼓判を押され、パリ国立音楽学校の入学試験に臨む。
ところが、メラニーの演奏中、
審査員を務める著名なピアニスト、アリアーヌが、
サインを求めて入室した者に応じたことから、
メラニーは心を乱され、散々な結果に終わる。
十数年後、弁護士事務所に実習生としてやって来たメラニー。
物静かで、そつなく仕事をこなす彼女は、上司の評判も良い。
所長が息子の子守を探していると知り、
メラニーはごく控えめに、その役を買って出る。
郊外の所長の豪邸に、休暇中住み込むことになるのだが……。
極端なほど状況説明が省かれているのですが、
登場人物の表情を見れば説明不要。
恐ろしいくらい読み取ることができます。
入学試験のシーンの後、唐突に十数年後のシーンに。
ここで、普通は「何年後」みたいなテロップが入りますが、
そんなものがなくても、すべてが明らかです。
あの後、メラニーがピアノをあきらめたことも、
何か狙いがあってこの弁護士事務所にやって来たことも。
所長の妻はあのアリアーヌで、
もちろんメラニーのことなんか、これっぽっちも覚えちゃいません。
交通事故に遭ってから情緒不安定だというアリアーヌに、
子守として近づいたメラニーは、
昔、ピアノを弾いていたことをそれとなく匂わせ、
アリアーヌが望む完璧なタイミングで譜めくりをしてみせます。
それによって、すぐさま勝ち得たアリアーヌの信頼。
笑みを浮かべながら淡々と進められていく、メラニーの復讐劇。
アリアーヌにしてみれば、なぜこうなってしまったのか、
まったく理由がわからないまま、何もかも失います。
どのシーンも冷え冷えとしていて、心理的にゾクゾク。
アリアーヌの態度も無神経だけれど、
「試験に落ちてもピアノを続けていいよ」という父親の言葉もどうだか。
不用意に子どもの心を傷つけないよう、肝に銘じましょう。