夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミックマック』

2011年04月25日 | 映画(ま行)
『ミックマック』(原題:Micmacs à Tire-Larigot)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:ダニー・ブーン,アンドレ・デュソリエ,オマール・シー,ドミニク・ピノン,
   ジュリー・フェリエ,ニコラ・マリエ,ヨランド・モロー,
   ジャン=ピエール・マリエール,ミシェル・クレマデ,マリー=ジュリー・ボー他

大好きでたまらないジャン=ピエール・ジュネ監督。
なのに、劇場で観そびれてしまい、DVD化されるやいなやレンタル。
同監督の作品といえば『アメリ』(2001)ですが、
私は『デリカテッセン』(1995)と『ロスト・チルドレン』(1995)のほうがうんと好き。
『アメリ』はDVDを買いませんでしたが、その2作はしっかり手元に置いています。
本作も購入決定。

レンタルビデオ店で働く中年男のバジル。
30年前に地雷で父親を亡くし、そのショックから母親は心を病む。
孤児院に入れられた彼は、その環境に馴染めずに脱走して今にいたる。

ある夜、いつものように店番をしていると、表通りで銃撃騒ぎが。
様子を窺おうとしたところ、頭に銃弾を受けてしまう。
なんとか一命は取り留めたものの、頭に銃弾が埋まったまま生きていくことに。

退院して帰宅すると、家がない。
復帰すべく職場に立ち寄るが、店主からクビを言い渡される。
ホームレスとなったバジルは、小銭を稼いで耐え忍ぶ。

そんなバジルのことを2カ月間見守っていた男がプラカール。
昔、ギロチン刑にかけられたのに、生き延びたらしい。
プラカールは、バジルを不思議なつくりの家へと連れてゆく。
そこでは超個性的な7人が廃品を回収しながら共同生活を送っていた。
彼らに温かく迎えられるバジル。

ある日、父親の命を奪った地雷の製造会社と、自分の頭に埋まる銃弾の製造会社とが
向かい合って建っているのを偶然みつけたバジルは、
7人の協力を得て、このふたつの会社への復讐を決意するのだが……。

痛快、爽快。
廃品の中で暮らす7人は、天才と奇人、紙一重。
軟体女に発明家、言語オタクに人間大砲、人間計算機と、おもしろすぎ。
そして、そんな彼らの才能を存分に使ってバジルが復讐するのは、
地雷と銃弾を使用した人ではなく、製造した会社。

遊び心に溢れた芸術的なイタズラは、監督お得意の色使いで鮮やかに。
廃品ならではの失敗にも笑わずにはいられません。
風貌からして個性的な役者陣にも魅せられっぱなし。

こんな反戦映画があってもいい。
映画の楽しさって、こんな感じ。幸せがひしひしと。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする