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『グッド・ナース』

2022年11月03日 | 映画(か行)
『グッド・ナース』(原題:The Good Nurse)
監督:トビアス・リンホルム
出演:ジェシカ・チャステイン,エディ・レッドメイン,ンナムディ・アサマア,
   ノア・エメリッヒ,キム・ディケンズ,マリク・ヨバ他
 
劇場での先行上映に行こうかどうか迷っているうちにNetflix独占配信が始まりました。
ならばもう家で観ればいいかと。
 
アメリカ作品ですが、監督はデンマーク出身のトビアス・リンホルム。
『アナザーラウンド』(2020)の脚本家なのだそうです。へ~。
プロデューサーにはダーレン・アロノフスキーの名前もあってまたまたビックリ。
 
それよりも何よりも驚きなのは、300人だか400人だかを殺した看護師がいるということ。
実話ですよ、実話。
「ヘルスケアシリアルキラー」という言葉があることを初めて知りました。
医療現場で患者を故意に死に至らしめる医師や看護師をそう呼ぶのですと。
 
そして自分の思い込みに驚いたのは、看護師=女性だと思っていたこと。
本作の「グッド・ナース」は女性だと思っていたから、
ジェシカ・チャステインがそのシリアルキラーだと信じて疑わず、
鑑賞してみてエディ・レッドメインのほうだったのかと驚きました。
 
パークフィールド病院のICUに勤務する看護師エイミーはシングルマザー
心臓に疾患があり、早々に治療の必要があるのはわかっているが、
勤めて6カ月経たなければ有給休暇がないし、健康保険も使えない。
なんとか半年耐え抜かねばならない。
 
そんな折、年中人員不足の現場にチャーリーという看護師が雇い入れられる。
彼はとても有能であるうえに、エイミーの体調に気づき、事情を知って助けてくれる。
時には子どもたちの様子も見てくれて、エイミーはとてもありがたく思う。
 
ところがあるとき、患者が急死。その死に不審な点があるらしい。
刑事から協力を頼まれたエイミーはひそかに調べはじめるのだが……。
 
調べてみたら、チャーリーがこれまでにいた病院では患者の急死が相次いでいる。
彼がいなくなると急死が激減する。
でもエイミーにとっては優しい青年。自分の病気のことも理解してくれる。
揺れ動くエイミーを演じるジェシカ・チャステインも素晴らしいし、
何よりエディ・レッドメインの演技が凄すぎます。
いいのか、魔法動物学者ニート・スキャマンダーがこんな役を演じて(笑)。
 
彼は当然現在も服役中で、生きている間に釈放されることはありませんが、
動機がいまだに明らかになっていないのが怖い。
老若男女問わず、誰が死のうが関係なし。とにかく殺す。
なぜ殺したのかと問われて、映画の中では「誰も止めなかったから」と答えています。
 
誰も止めなかった。
いくつもの病院を渡り歩き、その都度最初は優秀と思われて、だけどなんだかおかしい。
どこの病院側も彼を解雇するだけで、あとはどうでもいい。
自分の病院から死人が出なければ、どこで誰が死のうがかまわないのは病院も同じ。
どこかの病院が彼の話をしていれば、こんなに死ななかったかもしれないのに。
 
自分のところさえよければという気持ち。
たいていがそんなものなのかもしれません。悲しく恐ろしいことです。

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