『The Son/息子』(原題:The Son)
監督:フロリアン・ゼレール
出演:ヒュー・ジャックマン,ローラ・ダーン,ヴァネッサ・カービー,
ゼン・マクグラス,ヒュー・クァーシー,アンソニー・ホプキンス他
動物園前の動楽亭へ落語を聴きに行く前に1本だけ。
大阪ステーションシティシネマにて。
劇作家でもあるフロリアン・ゼレール監督が、自身の戯曲を映画化。
『ファーザー』(2020)の監督ということで、とても重くキツイ。
再婚したベスとの間に息子テオが生まれたばかり。
政界進出も夢ではなくなり、充実した日々を送っている。
そんなある日、突然ケイトが訪ねてくる。
何度も連絡を取ろうとしたのに電話に出ようともしないピーターに
緊急の用事でどうしても会いたくて押しかけてきたらしい。
ケイトによれば、ピーターとケイトの17歳になる息子ニコラスの様子がおかしい。
高校生の彼は、ここのところ登校するふりをしてどこかで時間を潰していた模様。
ご丁寧に学校には親のふりをしてメールまで送っていたせいで、ケイトは気づかなかった。
ピーターがニコラスと話してみると、ニコラスは「パパと暮らしたい」と言う。
なんとかベスに納得してもらい、しばらくの間、ニコラスを引き取ることに。
転校したニコラスはピーターに笑顔を見せ、順調な新生活を匂わせる。
ひと安心するピーターとケイトだったが……。
ニコラスには自傷癖があり、精神的に問題を抱えていることはわかりますが、
具体的に「急性うつ病」という病名が出てくるのは最後の最後。
相当キツイです。
学校に行かない、ベスに心ない言葉を投げかける、家の物がなくなったりも。
親が息子を心配するのは当然だけど、私のような他人から見れば可愛くないガキ。
親の離婚で傷つけられたとしても、その態度はどうよと思う。
でも本人は何がつらいのか自分でもわからない。
父親から「どう生きたいのか。パパがおまえぐらいの頃は」とかなんとか詰め寄られる。
ヒュー・ジャックマン演じるピーターは、アンソニー・ホプキンス演じる自らの父親を恨み、
あんな父親だけにはならないでおこうと思っているけれど、
気づけば自分は息子にとって父親そっくりの父親になっているのです。
うつ病を患った息子は入院を拒否して、家に連れ帰ってほしいと両親に懇願する。
医師から「このまま帰宅すればまた自殺を図るかもしれませんよ」と言われても、
息子の望みを叶えたい、息子が「治った」という言葉を信じたいと両親が思った結果、どうなるか。
ハッピーエンドが待つほど甘くはない。
つらいつらい物語。