『終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所』
監督:宮崎信恵
ナレーション:益岡徹
年末、あまりの寒さに電車で出かけるのが嫌になり、
車で行っても駐車場代が安い十三で映画を観ることに。
まずはシアターセブンにて本作を鑑賞。
新型コロナウイルスの襲来で、逼迫した医療の現場はよく取り上げられますが、
病院に比べて保健所の模様はそれほどクローズアップされていません。
本作は2020年の初夏から2021年3月にかけての約10カ月間に渡って保健所に密着取材。
保健師や保健所職員たちの奮闘を描いています。
これまで私が持っていた保健所のイメージは、野良犬や野良猫を見つけたら連絡するところ。
今は野良犬なんてほとんど見かけない時代だから、
何らかの事情で飼い主を失った犬や猫が殺処分されるところ。
今はコロナに感染したら連絡するところだけど、
だからってなんとかしてもらえるところだとも思っていませんでした。
酷い認識です。すみません。
ひたすら増え続けるコロナ感染者。
鳴り続ける電話に応対するため、24時間休みなく働く職員たち。
各地から応援に来ている保健師や医師もいます。
PCR検査を受けた人の陽性が判明すると、即連絡を取ろうとしますが、
相手になかなか連絡がつかなかったりする。
むなしく響く電話のコール音に「居てよぉ、陽性なんだから」。
在宅で治療を望む患者に入院を促すと、「枕が替わると眠れない」という相手。
観ている私は「んなこと言うてる場合ちゃうやろ」と思うわけですが、
「そっか、じゃあ枕だけ持って病院へ行こうか」とどこまでも優しい。
感染者は家族のうち無職の夫で、家計は妻が支えている。
夫は妻には感染を伏せておきたいと思っている。
また、感染した事実を知られたら派遣の契約を切られることを心配する人も。
入院が決まっても自宅の前まで迎えに来られると困る人も大勢いる様子です。
入院治療を進める場合がある一方で、もう寿命が近いと思われる高齢者が感染すると、
本人と家族が望むように、家に帰してあげる方法を模索する。
感染者は日本人だけではないから、外国人の相談にも応対し、
コロナのみならず、ビザの取得などについてもアドバイスします。
なんとも大変な仕事に頭の下がる思い。
一時と比べて保健所の数が半数以下になっているという事実にも驚きました。
ようやく収まりかけたと思っていたらまた変異株の出現。
皆さんの心身が休まる日が来ますように。