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『カッティ 刃物と水道管』

2024年11月16日 | 映画(か行)
『カッティ 刃物と水道管』(原題:Kaththi)
監督:A・R・ムルガダース
出演:ヴィジャイ,サマンタ,ニール・ニティン・ムケーシュ,サティーシュ他
 
前日観た5回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』がこの日で上映終了。
再び109シネマズ大阪エキスポシティに行きたくなるところ、
こんなにジョングクに入れ込んでいてはいかんと思い直し、塚口サンサン劇場へ。
 
ヴィジャイ主演、ちょうど10年前の2014年のタミル語作品。
このときは「若大将」と呼ばれていたヴィジャイも今は50歳。
ずっと「大将」であることは変わらないようです。
ヴィジャイとラジニカーントはタミル語映画界で興行収入のトップを競い合うスターらしい。
 
その監督A・R・ムルガダースがそれより前に同じくヴィジャイを主演に起用して撮ったのが本作。
 
コルカタの刑務所に収監されていた大泥棒の“カッティ(=「刃物」の意)”ことカディルは、
脱走した囚人の逃走経路を刑務所長から相談されて解き明かしてみせるが、そのついでに自分が脱獄
刑務所内は騒然とするも、カディルは上手く逃げおおせて行方がわからず。
 
親友ラヴィの協力を得て、まずチェンナイへと渡り、その後バンコクへ高飛びするつもり。
ラヴィは抜かりなくチケットを手配し、カディルと共にすぐ出発しようとする。
ところが、空港でタイプの女性アンキタと出会ってひと目惚れ。
なんとカディルはチケットを破り捨て、アンキタとデートにこぎつけてみせると自信満々。
 
その夜、橋の上にいたカディルとラヴィは、下を走っていた車の運転手が銃撃されるのを目撃。
慌てて駆けつけてみると、その運転手がカディルと瓜二つ。
咄嗟にこの男性を自分の身代わりにして脱獄囚に仕立て上げることを思いつく。
病院で目覚めたこの男ジーヴァは、傷の手当てはされているものの手錠を嵌められていることにビックリ。
 
アンキタには見事に振られたカディルはいよいよ本当にバンコクに行くはずが、
ジーヴァがターヌートゥという村の出身であり、農民たちを守るべく戦っていることを知る。
ターヌートゥのみならず、地方の村の水源は多国籍企業に狙われて困窮を極め、
ここでは生きて行けないと若者たちは村を去るから、残されているのは老人ばかり。
ジーヴァは老人たちが安心して暮らせるよう、老人ホームも建てていた。
 
この村の乗っ取りを狙う多国籍企業のオーナー、シラグを相手にジーヴァは訴訟を起こしている。
まもなく裁判が開かれるらしく、シラグはジーヴァのなりすましカディルを買収しようとする。
一旦は金を受け取って逃げようとするカディルだったが、農民たちに会って気持ちが変わり……。
 
ボリウッドらしく170分の長尺。踊りのシーンもそれなりにあるけれど、序盤はちょっと退屈。
けれどカディルが農民たちのリーダーとなって戦う決心をしたところからはすごくいい。
 
そっくりさんの代わりに刑務所へ送り込まれたことを知ったジーヴァが、
冒頭カディルのせいで脱獄に失敗した囚人にそそのかされて逃走し、村を目指します。
善人だけど弱っちいジーヴァと、喧嘩にめっぽう強いカディル。
シラグが50人の手下を送り込んでジーヴァ(のふりをしているカディル)を殺そうとするも、
ラヴィの絶妙な助けによって全員なぎ倒しちゃうのですから、最高。
 
村を潰してでも金を儲けたい多国籍企業と、自分の国のことなのに田舎には興味がない都会の人。
メディアに訴えようとしても、集団自殺でもしないかぎり取り上げてもらえない。
命懸けで水を止める老人たちを見て、都会の人も初めて田舎の村のことを考えはじめます。
 
「多国籍企業による環境破壊問題と農民の窮状、それを報じない報道機関の責任を世に問うた」として、
批評家にも高く評価されつつ、きっちりと娯楽作品。さすがです。
 
余談ですが、ものすごく驚いたこと。
本作冒頭のコルカタのシーンで音声が二重に聞こえます。
私の耳がおかしいんかと思ったら、どうも吹替の音声とかぶっていてしかも微妙にずれている。
おそらくテルグ語かヒンディー語か、どれかわからんけどインドの何語かなのでしょう。
吹替版の作り方どんだけ雑やねんと思って笑ってしまいました。

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