夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

映画雑誌『PREMIERE 日本版』と『映画秘宝』(その1)

2005年07月13日 | 映画(番外編:映画と読み物)
一時期、映画雑誌を片っ端から購読していたことがありますが、
雑誌代もバカにならないし、そんなに買っても読みきれないし、
絞り込んで2誌だけにしました。
『PREMIERE 日本版』と『映画秘宝』です。

『PREMIERE 日本版』が発刊されたのは1998年5月。
毎月掲載される新作レビューのコーナーには
趣味のまったく異なると思われる編集者たちが
それぞれ書きたい放題でありながら、
でも決して悪口を叩いているふうではなく、
映画を愛してやまない人たちという姿が好ましく映りました。

どの編集者の趣味が自分と合うのか、
何号か購読しているうちにはっきりと見えてきて、
あまりの趣味合致度に「○○さんの趣味が大好きです」とメールしたら、
「ふだんは編集部宛のメールには返事しないんですけど」と
○○さんから直々にお返事いただいたこともありました。

グレゴリー・スターさんという方が編集長だった間は、とにかくおもしろい雑誌でした。
サッカー日本代表の監督トルシエの通訳として有名になった、
フローラン・ダバディーさんもこの雑誌の編集者。
通訳の仕事で忙しくなってからも、「今月のイエローカード」など、
「映画にダメ出し」のコーナーに登場したりして、楽しく読ませてくれたものです。

創刊号からずっと購読しつづけてきましたが、
去年の5月に編集長が替わって、なんとなくつまらなくなりました。
新編集長は「新しい誌面にご期待ください」と語っていたのに、
なんだか画一的な映画評論が多くなったような気がして、
レビューを読んでも自分と趣味が一緒の人を探せなくなり、
買っても読む気が起こらないこともしょっちゅう。
お金ももったいないことだしと、思いきって購読をやめたのが今年の3月。
そしてその翌月に休刊となっていたことをつい先日知りました。
残念なような、やっぱりなような。

ネット・オークションに全号が出ているのを発見。
そうか、あと1冊、最後の1号まで購入しておけば売りに出せたのか!
と、ちょっと思いましたが、
ずっと楽しませてくれた『PREMIERE 日本版』は、大事に手元に取っておくことにします。
正統派の映画雑誌っぽいのに
「この若ハゲ俳優は将来こんなハゲになる」なんて特集も
おもしろかったのになぁ。やはり残念。

『映画秘宝』についてはまた明日。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅雨時に観たい、雨が効果的な映画

2005年07月07日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
雨が効果的に使われている映画といえば、
まずは『ショーシャンクの空に』(1994)でしょう。
主人公のアンディが雨に打たれるシーンはまさに名場面。

そのパクリかよっ!と、ツッコミを入れたくなるのは
『ハーモニーベイの夜明け』(1999)。
レクター博士でおなじみのアンソニー・ホプキンスが
ここでもインテリ殺人犯の元教授に扮しています。
収監されたハーモニーベイ刑務所で、
彼に興味を持つ若き精神科医役がキューバ・グッディング・Jr.。
トム・クルーズと共演した『ザ・エージェント』(1996)で
オスカーの助演男優賞をゲットしてからというもの、
それを超える作品にはなかなか出会えず、苦労の色がありあり。
『ハーモニーベイ』もイマイチ、いや、イマサンぐらい。
『ショーシャンク』そのまんまじゃないかと思うような
手を広げて雨に打たれるシーンでは、
私は開いた口がふさがりませんでした。とっても興醒め。
これは雨の効果を疑う1本。

『パウダー』(1995)はちょっと重めのファンタジー。
嵐の夜、落雷した女性から生まれたのは
パウダーのように真っ白な男の子。
地下室で人目を避けて彼を育てていた祖父が死亡。
パウダーは初めて外の世界へ出ます。
そのただならぬ色の白さからいじめに遭いますが、
彼の持つ超能力がやがて人びとの心を癒すことに。
稲妻に向かって走る姿はいつまでも記憶に残っています。

“スパイダーマン”シリーズのトビー・マグワイアと
『キューティ・ブロンド』(2001)のリース・ウィザースプーンが
双子役で共演したのは『カラー・オブ・ハート』(1998)。
高校生の兄妹が、1950年代を舞台にしたTVドラマの中に
ひょんなことから入り込んでしまいます。
白黒のTVドラマの世界はひたすら平和。
教育上よろしくないことと無縁だった世界に
兄妹によって喜怒哀楽が、恋愛が、
芸術や暴力やセックスが持ち込まれることにより、
周囲が色づいていきます。
人びとが自我に目覚め、人としての感情を持つことで
世界がカラーになっていくという設定がおもしろいですね。
TVドラマの中ではいつも晴天。
兄妹によって雨がもたらされたとき、
人びとが初めての雨に驚き、歓喜するシーンが大好きでした。

不謹慎ですが、私は大の嵐好き。
稲妻と雷には心が躍ります。
梅雨の中休みは野球があるから嬉しいような、寂しいような。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ジャッカス・ザ・ムービー 日本特別版』

2005年07月04日 | 映画(さ行)
『ジャッカス・ザ・ムービー 日本特別版』(原題:Jackass: The Movie)
監督:ジェフ・トレメイン
出演:ジョニー・ノックスヴィル,スティーヴォー,クリス・ポンティアス他

プロ野球はデーゲーム。
梅雨時の夜、スカッとしたお気楽映画が観たくて借りてきたのがこちら。
しかし、予想をはるかに上回るアホさにひっくり返りそうになりました。

全米でCS史上最高視聴率をマークした、
おそらく大人が子どもに見せたくない番組No.1が「ジャッカス」。
スケボー雑誌のライター、ジョニー・ノックスヴィルとその仲間が、
アホで下品なパフォーマンスを繰り広げます。
その最強映像を1本にまとめたものが本作。
こんな作品の製作に、『マルコヴィッチの穴』(1999)の監督、
スパイク・ジョーンズが名を連ねているのですから、
人は誰しもアホなことを夢見るのだと思われます。

オープニングはショッピング・カートで坂道を爆走。
大砲から放たれるセメントの塊を避けながら。
続いてレンタカーでクラッシュ・レース。
レンタカーをボコボコになるまでぶつけまくって、
平然と返します。店員、唖然。

いちばん笑ったのはバンジー・パンツ。
ビヨーンと伸びるブリーフ(しかも白!)を穿いて、木の枝から飛び降ります。
ブリーフも伸びるのに限界があるもんで、
しまいには脱げて、素っ裸で地面に落下。

ワニの池の上で綱渡り。
背中にワニの餌をぶら下げているため、
綱から落っこちるのを待たずとも、ワニはその餌めがけて飛びかかってきます。

お尻にミニカーを突っ込んで医者へ。
レントゲンにははっきりとミニカーの形が映っていて、
医者は「こんなことは初めてだ」と真剣な表情。

水たまりではサーフィン。
ビーチでは棒高跳びにチャレンジ。
椰子の木もテーブルも、ビーチバレーのネットも、
何でもかんでも飛んじゃいます。

ここにはちょっと書けないようなネタも満載で、
直視に耐えないシーンもいっぱい。
常識的な道徳観をお持ちの方にはまるでお薦めできません。
でも、「どっきりカメラ」なんかに比べると、
人を騙して楽しむ度合いは低く(ゼロではない)、
勝手にカラダを張ってバカやってる気がして、私は憎めませんでした。
家の中で花火を上げられたり、台所にワニを侵入させられた、
パフォーマーのご両親にはご愁傷様。

スパイク・ジョーンズは製作だけでは飽きたらず、
老人の特殊メークで車椅子に乗り、街を暴走しています。
なんともお茶目。頭の中はどうなってるの?

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする