『あの歌を憶えている』(原題:Memory)
監督:ミシェル・フランコ
出演:ジェシカ・チャステイン,ピーター・サースガード,メリット・ウェヴァー,ブルック・ティンバー,
エルシー・フィッシャー,ジョシュ・チャールズ,ジェシカ・ハーパー他
なんばパークスシネマにて2本ハシゴの2本目。前述の『デュオ 1/2のピアニスト』の次に。
評判がとても良さそうだったから観に行ったのに、私にはまったく刺さらなかったアメリカ/メキシコ作品。
と最初に書くのもどうかと思うけれど、期待していただけにガッカリ度が高くて。
ニューヨークで13歳の娘アナと暮らすシングルマザーのシルヴィア。
アルコール依存症を克服して12年。今も断酒会には通っている。
ある日、妹のサラに誘われて、気乗りせずも高校の同窓会に出席する。
飲酒はできないし、社交的でもないシルヴィアは退屈で仕方ない。
すると、そんなシルヴィアを部屋の片隅からじっと見つめていた男が近づいてくる。
咄嗟に退出して帰途につくが、男は彼女についてきたばかりか、
自宅までたどり着いたシルヴィアがドアを閉めると、雨のなかずっと家の前に佇んでいるではないか。
翌朝、そのまま居眠りをしていた男に声をかけて彼の身元を確認。
電話をかけると、ソールというその男の弟アイザックが迎えにくる。
アイザックとその娘サラによれば、ソールは若年性認知症。
大学生のサラがソールの面倒を見ていたが、休暇が終わって大学があるボストンに戻るらしく、
アイザックが勤めに出ている間、シルヴィアにソールの世話をしてほしいと頼まれ……。
シルヴィア役にジェシカ・チャステイン、ソール役にピーター・サースガード。
きっといい話だろうと思ったし、このタイトルだから音楽を絡めた作品だと思っていました。
個人的にはあり得ないです。
こんな言い方はどうかと思うけど、ソールは額の禿げ上がって腹の出た、しかも認知症の中年男。
恋に落ちる相手ですか。
しかも、アイザックがソールの携帯を取り上げて連絡が取れなくなると、
ソールはシルヴィアの勤務先を訪ねて呼び出し、表でいきなりキスですよ。そしてベッドイン。
これって、『ドライブ・イン・マンハッタン』と変わらぬオッサンの妄想だと思うんですけど。
ハゲようが小太りになろうが頭おかしくなろうが(すみません)、女性と寝られますよっていう。
ネタバレになりますが、シルヴィアの過去は衝撃的でした。
12歳のときに17歳の少年からレイプされたという話は序盤に出てきていたけれど、
実は父親からも性的虐待を受けていて、その事実を母親に訴えたのに母親は娘を嘘つき呼ばわりをした。
妹もそのことに気づいていたのに、母親に怒られるのが怖くて言えなかったんですね。
こんなシルヴィアだから、セックスに対して恐怖があるのかと思いきや、ソールとすぐ寝るし。
めちゃくちゃ良い娘のアナの前ですっぽんぽんになるようなイカれた男と同居って、信じられません。
認知症だから仕方ないとは思えない。だって全部覚えてるじゃん。
何にも解決されないままのエンディング。
最後まで観終わって、思わず「しょうもな!」とつぶやいてしまいました。