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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『クリミナル』

2005年10月11日 | 映画(か行)
『クリミナル』(原題:Criminal)
監督:グレゴリー・ジェイコブズ
出演:ジョン・C・ライリー,ディエゴ・ルナ,マギー・ギレンホール,ピーター・ミュラン他

全国ニュースにもなりましたが、
2カ月ほど前、とあるセルフ・ガソリンスタンドで、
給油を終えた車が料金を支払わずに逃走しました。
車の前に立ちはだかった店員をボンネットに乗せたまま
信号無視をくり返して犯人は走行を続け、
10km以上先で振り落とされた店員は幸い軽傷。

ここは私が毎週給油しているスタンド。
店員がボンネット上でフロントガラスに張りついて、
犯人の視界をさえぎるべく奮闘していたと聞き、
その店員はあのオッチャンにちがいないと思いました。

そしたらやっぱりそうでした。
しかし、かすり傷との報道だったのに、オッチャンはずっと出勤していない様子。
数日前、やっと復帰されていました。
「膝が曲がらんのですわ」といつもの元気はどこへやら。
そらそうでしょ、60近くなって暴れる車のボンネットにしがみついとったんだから。

さて、本作では、スタンドで給油中の車の後方に立ち、
後進してきたところにわざとぶつかる詐欺が登場します。
『オーシャンズ11&12』(2001&2004)の監督・主演コンビである
スティーヴン・ソダーバーグとジョージ・クルーニー製作にもかかわらず、
日本では未公開、先月DVD発売となった作品。
アルゼンチンで公開された『ナイン・クイーンズ』(2000)のリメイクです。

ロドリゴは父親の背負う借金を返すため、カジノで詐欺を試みるが、
刑事を名乗るリチャードに見破られる。
動揺するロドリゴを外へ連れ出したリチャードは、
刑事だというのは嘘で、詐欺師の相棒を探していると明かす。

素人のロドリゴに、リチャードは詐欺を指南。
飲食店やスタンドではせこい詐欺、住宅街ではなりすまし詐欺。
後に控えるヤマは貨幣蒐集家に偽造貨幣を売りつけること。
それさえ成功すれば父親を楽にできると、
ロドリゴは手口を懸命に覚えてゆく。

蒐集家が滞在するホテルには
リチャードの妹ヴァレリーがコンシェルジュとして勤めている。
遺産相続を巡ってリチャードと険悪な関係のヴァレリーは
自分の職場で詐欺を働かれるのは御免だと兄を罵るが、当のリチャードは素知らぬ顔。
見事、蒐集家との接触を果たすが……。

これはあっさり騙されてください。
この手のオチに何度でも騙される自分のこと、きっと好きになりますよ。
妙に清々しいのはなんで!?

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『ダブリン上等!』

2005年10月06日 | 映画(た行)
『ダブリン上等!』(原題:Intermission)
監督:ジョン・クローリー
出演:コリン・ファレル,キリアン・マーフィ,ケリー・マクドナルド,
   シャーリー・ヘンダーソン,コルム・ミーニイ他

ここ15年、甲子園での最終戦には必ず足を運んでいますが、
昨日はこれまで観た試合でいちばんシビレました。
下柳がベルトを締め直しながら飛び出してきた姿は、
まるでトイレの途中で呼ばれて慌てて出てきたオッサンでしたね。

勝った阪神の男たちとはちがい、
これは負け組の男たちの群像劇とでも言うべき作品。
主演のコリン・ファレルは無愛想で有名で、
ヨレヨレの汚い恰好も似合うところが
下柳と共通していると私は思うんですけれど。
ハイ、私はどちらも大好きです。

アイルランド、ダブリン。
レイフは穏やかな人生を夢見つつ、チンピラな生活。
今日もカフェのウェイトレスが彼に気を許したところを殴りつけ、
レジから金を奪い取って逃げる。

以前からレイフに目をつけているのが
刑事のジェリー。熱血漢かと思いきや、
自分が主演のドキュメンタリー映画で評判を上げたいだけ。
野心に燃える若手のTVプロデューサーがジェリーの話に乗る。

ジョンはスーパーの従業員。
恋人のデイドラの気持ちを試すために別れを切り出したところ、
本当に別れるはめになる。
デイドラは父親の年ほども離れた銀行員サムと同棲することになり、
未練たっぷりのジョンは同僚のオスカーに愚痴をこぼす。

デイドラの妹サリーは酷い失恋を経験し、以来、ムダ毛の処理をしない。
母と乗車したバスが事故に遭い、ほかの客を救出してTV出演を果たすが、
サリーのバート・レイノルズ風の口髭が有名に。

レイフは銀行強盗を計画。
デイドラを誘拐し、サムに勤務先の銀行から金を盗ませるのだ。
彼女と寄りを戻したいジョンが話に加わり……。

誰が主役かわからないほど、負け組ばかりが次々登場。
サムに捨てられた妻、
バス事故の責任を問われて解雇された乗務員、
他人の不幸を見て喜ぶ悪ガキ。
こうした人と人とが繋がって、おもしろく絡み合っていきます。
ただし、いい話とはとても言えません。

いちばん興味を惹かれたのは、
ジョンがコーヒー(紅茶?)にブラウンソースを入れるシーン。
ブラウンソースとはバターで炒めた小麦粉にブイヨンを加えて煮詰めたもの。
居合わせた仲間も「マジかよ?」と驚きますが、
試してみてまた皆びっくり。すっげえウメぇ!そうです。
やってみるべし。

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『ベルヴィル・ランデブー』

2005年10月03日 | 映画(は行)
『ベルヴィル・ランデブー』(原題:Les Triplettes de Belleville)
監督・脚本:シルヴァン・ショメ
声の出演:ジャン=クロード・ドンダ,ミシェル・ロバン,モニカ・ヴィエガ他

以前、オマリー選手が「秋風の吹く甲子園は寂しい」と、
がらがらのスタンドを指して話していたことがありますが、
ここのところの阪神はそんな心配も無縁。
まだ優勝の余韻に浸りつつ観たこのフランスのアニメ、超オススメです。

シャンピオンはスーザおばあちゃんとふたり暮らし。
内気な孫の喜ぶ顔を見ることがおばあちゃんの幸せ。
誕生日には犬のブルーノをプレゼント。
シャンピオンとブルーノは仲良く成長する。

だけど、ほかには特に興味がない様子のシャンピオン。
男の子が喜びそうな汽車のおもちゃにも没頭することがない。
シャンピオンの部屋を掃除していたおばあちゃんは、
実は彼が自転車に強く惹かれていることを知る。

さっそく三輪車を買ってきたおばあちゃん。
シャンピオンは目を輝かせる。
それ以来、自転車が生活のすべてとなったシャンピオンは、
来る日も来る日も自転車を漕ぎ続ける。
ホイッスルを吹きながら、孫の特訓につきあい、
ホイールのメンテナンスも引き受けるおばあちゃん。
数年後、シャンピオンはツール・ド・フランスに出場を果たす。

しかし、シャンピオンの息が切れ切れになった頃、
おばあちゃんの乗る救護車が何者かによってパンクさせられ、
偽の救護車がシャンピオンら数名の選手を連れ去る。
大事な孫をさらわれてなるものかと、
おばあちゃんとブルーノは海を渡って後を追うのだが……。

文無しのおばあちゃんとブルーノが
連れ去り犯の到着先であるベルヴィルで出会うのが
老齢の三つ子姉妹。この出会い方が粋。
路上でおばあちゃんがホイールを楽器に見立てて演奏を始めると、
パブの歌い手である三姉妹が現れて、
一緒にリズムを奏でます。心が躍る楽しさ。

三姉妹の住むアパートで出される料理はカエル尽くし。
蒸したり、焼いたり、まだ脚がピクピク動いてたりして。
デザートは乾燥オタマジャクシを煮たもののよう。

連れ去り犯はフランス・ワイン・センターの地下組織。
ボスらしき男性が、ワインのテイスティングをする音もリアル。
彼らとのカーチェイスもハリウッド顔負け(?)。

デフォルメしすぎじゃないかというキャラクターは
決して可愛くありません。しかし、愛すべき風貌。
背景はこのうえなく美しく、音楽も絶品。
最高に楽しい作品です。買っちゃいます。

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