夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『もしドラ』、程高野球部の捕手、池松壮亮くん。

2011年06月14日 | 映画(番外編:映画とこの人)
前述の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
都立程久保高校野球部の面々は、なかなかいい味を出しています。
とはいうものの、わりと薄い顔の子が多いため、
今後ほかの作品に出演しているのを見ても、私は気づく自信がありません。

投手役だった瀬戸康史くんは、多数のTVドラマに出ているようですが、
最近ドラマをほとんど見ていない私は全然知らず。
工藤公康に似た子やなぁと思って見ていましたが、似てませんか。

そんななか、私が唯一「この子、知ってる~」と認識できたのが、
捕手役として登場する池松壮亮くん。

現在20歳の彼は、日大芸術学部の映画学科に在学中。
デビュー作品は『ラストサムライ』(2003)で、小雪演じるたかの息子、飛源役でした。

『いけちゃんとぼく』(2009)では大学生になったヨシオ役。
この結末はちょっと反則気味でしたが、
「忘れないでね。好きだと 必ず帰ってこられるの。」のキャッチコピーに
(しかも「ら抜き」じゃない!(^O^))がつんとやられました。

『もしドラ』の顧問と捕手の共演が見られるのは、『半分の月がのぼる空』(2009)。
池松くんは、主人公の高校生、裕一役。
入院先の病院で、心臓を患う少女、里香と出会います。
わがままな彼女に振り回されながらも次第に惹かれて、
いつしかお互いにかけがえのない存在に。

一方、顧問の加地先生役だった大泉洋が本作で演じるのは、医師の夏目先生。
心臓疾患の妻に自ら手術を施すも救うことができず、すっかり生きる力を失います。
亡き妻と同じ病気で入院する女子高生にも、人生を捨てたような言葉を吐く始末。

池松壮亮、大泉洋、ふたりとも、超イケメンとは言いがたくとも、
わめかないけど熱く、冷めた表情もさまになっていて、実に男くさい。
けなげで、可愛らしいところも見せてくれるのが大好きです。

本作は、橋本紡による同名ライトノベルの映画化ですが、
原作とはまったくちがう結末なのだそうです。
原作は未読なので、どちらがいいとは言えませんが、
映画にはものすごいドンデン返しが待っていて、知らずに観て号泣。
『今度は愛妻家』(2009)のラストを上回る衝撃かも。

ちなみに、里香を演じたのは忽那汐里。
『BECK』(2010)で日本語が苦手な(マジでちょっと苦手らしい)、水嶋ヒロの妹役、
最近ではモスバーガーのCMでしょっちゅう見かける彼女です。

このコラボもぜひどうぞ。

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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

2011年06月13日 | 映画(ま行)
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
監督:田中誠
出演:前田敦子,瀬戸康史,峯岸みなみ,池松壮亮,川口春奈,
   西田尚美,青木さやか,石塚英彦,大泉洋他

噂の『もしドラ』。
平日の朝イチで観に行ったら、客は9人。
5人はオッサンで、1人は私。みんな、ひとりで来ている人。
残りの3人は、小学生姉妹を連れたお母さん。
これ、男ひとりで観るのは恥ずかしいよなぁと
劇場に足を踏み入れるまでは思っていましたが、
女ひとりで観に行くほうが恥ずかしかったです。すんません。

田中誠監督の劇場公開作品はほぼすべて観ていて、
『タナカヒロシのすべて』(2004)は私のツボ、
『うた魂(たま)♪』(2008)と『おばちゃんチップス』(2006)はまぁまぁ、
『コラソンdeメロン』(2008)は駄目駄目。
本作はどうかなぁと興味津々でしたが、私は基本的に好きみたい。(^^;

都立程久保高校2年生の川島みなみは、
野球部のマネージャーを務める宮田夕紀と幼なじみで親友同士。
入院した夕紀が、弱小野球部のことを「本当は強いのに」と語るのを聞き、
野球部を甲子園へ連れて行くことを決意。代理マネージャーを志願する。

ところが、練習を見て唖然。
彼らにまったくやる気は感じられず、顧問の加地先生もあきらめ顔。
甲子園出場宣言を冗談としか受け取らない部員たちから
マネージャーとしての務めを果たしてからにしろと言われる。

本屋に寄ったみなみは「マネージャーになりたい」と店主に相談、
勧められた本はピーター・ドラッカーの『マネジメント』。
読み始めてから店主の勘違いだと気づくが、
その内容が野球部のマネージャーにも通ずるところがあると感じたみなみは、
翌日から早速実践を開始するのだが……。

「真摯に、ひたむきに」を合い言葉に、変わってゆく部員。
しかし、変われるだけ変わっても、甲子園出場はむずかしいとみなみは悟り、
ならばあとは野球のほうを変えるしかないと考えます。
野球に無駄だと思うものは何かと加地先生に尋ねるシーンでは、
名匠と言われる蔦監督や木内監督の名前が挙がり、
彼らに続けと本作で実践される「ノーバント、ノーボール作戦」に興味を惹かれます。

たまに見ていて恥ずかしくなる場面や台詞があることは否めません。
けれど、十分に楽しかったです。
涙をグッとこらえる、大泉洋演じる加地先生や男子部員たちの姿には、
ハンカチ握りしめて泣いてしまいましたし。(^O^;

鑑賞後の爽やかさ。真っ当な青春野球映画でした。
何でも泣けて何でも笑える私は、映画におけるハードルがたぶんかなり低いですが、(^^;
そうであることが幸せだ~。

エンディング曲のカチューシャ♪が頭から離れません。
全然わからんかったAKB48、これで少なくとも2人はわかるようになりました。
その2人よりも夕紀役の子がめちゃ可愛かったんですけど。

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『ジュリエットからの手紙』

2011年06月09日 | 映画(さ行)
『ジュリエットからの手紙』(原題:Letters to Julie)
監督:ゲイリー・ウィニック
出演:アマンダ・セイフライド,クリストファー・イーガン,ガエル・ガルシア・ベルナル,
   フランコ・ネロ,ヴァネッサ・レッドグレーヴ他

これもシネ・リーブル梅田にて。

不朽の名作、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』。
ジュリエットの生家とされる屋敷がイタリアのヴェローナにあります。
ちっとも知らなかったのですが、世界各地から訪れた女性たちが、
恋の悩みを綴った手紙を屋敷の壁に貼りつけて帰るのだそうで。
そして、市のボランティア団体に所属する女性たちが、
手紙すべてに返事を書いているとのこと。これだけですでに素敵な話。

原題は邦題とは逆の“Letters to Juliet”です。

ニューヨークの大手雑誌社に勤めるソフィ。
誌面作りのうえでネタの真偽を確認調査するのが彼女の仕事。
しかし、本当は記者志望。

婚約者であるビクターは料理人で、もうじきイタリアンレストランを開店予定。
開店後は忙しいからと、イタリアのヴェローナへ婚前旅行へ。

ところが、到着すると、ビクターはワインにチーズにと食材探しに夢中。
ヴェローナにひとりで残ったソフィが、「ジュリエットの家」を訪れると、
観光客が引けたころに、壁の手紙を回収にきた女性の姿が。

ボランティアの女性たちと意気投合したソフィは、
偶然、壁の奥深くに押し込まれていた50年前の手紙をみつけ、
自分も返事を書かせてもらうことに。

すると、数日後に、返事を受け取った相手の孫だという男性が乗り込んできて……。

ソフィが返事を送った相手は、イギリス人女性のクレア。
彼女は50年前にヴェローナを訪れ、現地の男性ロレンツォと恋に落ちました。
しかし、結局クレアは約束をすっぽかし、
それを詫びたい一心で、ジュリエットに手紙を書いたのでした。

心に抑え込んできた想いでしたが、ソフィからの手紙がきっかけで、
クレアはどうしても、ロレンツォにもう一度会いたいと考えます。

こうして、70歳を過ぎてなお美しい上品なおばあちゃん、クレアと、
これはまたとないネタだと飛びつくソフィ。←ちゃんと最初に了解を得ます。
余計なことをしてくれるなと憤りながらもつきあう孫のチャーリー。
珍道中気味の3人のロレンツォ探しの旅に癒されます。

同姓同名のロレンツォが何十人もいて、
行く先々で人違いのロレンツォがクレアに熱い言葉をかけるのも傑作。
ロレンツォだらけのため、笑えるエンドロールにもご注目。

栗のリゾットをはじめ、やたら美味しそうなものが出てくるなぁと思ったら、
監督は『エイプリルの七面鳥』(2003)の製作者でもありました。
今年の2月に脳腫瘍のため、49歳の若さで他界されたとのこと。
遺作となってしまった本作をぜひ。

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『メアリー&マックス』

2011年06月06日 | 映画(ま行)
『メアリー&マックス』(原題:Mary and Max)
監督:アダム・エリオット
声の出演:トニ・コレット,フィリップ・シーモア・ホフマン,エリック・バナ他

シネ・リーブル梅田にて、公開初日に。
クレイアニメ(粘土で作られた人形によるストップモーションアニメ)です。
公開記念に配られたのは、オリジナル作り方付き粘土セット。

こんな可愛いプレゼントをもらったうえに、
キャッチコピーは「ある日、しあわせの手紙がやってきた──
不器用だけどあったかい―そんな2人のほんとうにあったお話」、
しかも、予告編を観るかぎりでは、少女とおっちゃんの素敵な文通。
誰がこんなヘヴィーな物語を想像できるでしょう。衝撃的でした。

オーストラリアのメルボルンに住む8歳のメアリー。
牛乳瓶の底のような眼鏡をかけ、額には「poo(=うんち)の色」のあざ。
仕事と趣味以外には無関心の父親と、アル中で万引癖のある母親と三人暮らし。
友だちは拾ってきたニワトリだけ。
コンデンスミルクと「アールグレイ」の響きをこよなく愛す。

アメリカのニューヨークに住む44歳のマックス。
肥満症で、人づきあいも苦手。友だちは金魚。
ロールパンにチョコレートを挟んで食べるのが好き。

ある日、メアリーは誰かに手紙を書こうと思い立つ。
分厚い電話帳から彼女が選んだ相手がマックス。

見知らぬ少女から突然手紙を受け取ったマックスは驚くが、
タイプライターに向かい、メアリーに早速返事を書く。
こうして、ふたりの文通がはじまるのだが……。

物語は20年以上にわたる手紙のやりとりをもとに綴られます。
しかも実話が基だと聞けば、孤独なふたりがお互いの手紙に支えられ、
20年経ったころに初めて会うという展開を予想していました。

それはそうなんですけれど、想像とはまったく異なりました。
成長したメアリーが、マックスのためにという思いから成し遂げた、あること。
それがマックスを酷く傷つけることになり、ふたりの関係は一旦断絶します。

その間のメアリーの姿は見ていられるものではありません。
母親同様に酒浸りになり、薬を大量に飲むと自殺を図ります。
一方、アスペルガー症候群と診断されているマックスは、
メアリーの言動がきっかけで鬱状態に陥ってしまいます。

そんなしばらくの期間を経て、
マックスがメアリーに宛てた手紙のいくつかの言葉に胸が押しつぶされそう。
極めつけは、「許すのは、きみが完璧じゃないから」。

幸せな結末とは言いがたいけれど、
心満たされるエンディングに泣きました。

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『プリンセス トヨトミ』

2011年06月03日 | 映画(は行)
『プリンセス トヨトミ』
監督:鈴木雅之
出演:堤真一,綾瀬はるか,岡田将生,沢木ルカ,森永悠希,
   笹野高史,和久井映見,中井貴一他

万城目学の原作では、事の起こりは5月30日でしたけれど、
映画版では前述の『23年の沈黙』と同じく、7月8日。
いろんなことが起きる日らしい。(^o^)

原作とのさまざまな設定のちがいに、「そう来るか~」の楽しみも膨らんで。

東京から大阪へ出張でやってきた、会計検査院の調査員たち。
鬼の異名を取る副長の松平元と、その部下2名。
そのうちのひとりは、天然ながら稀に驚くべき勘によって不正を暴く、鳥居忠子。
もうひとりは、クールなハーフのイケメン、新人エリート、ゲンズブール旭。

調査対象の機関をまわり、順調に仕事を片付けてきた彼らは、
“財団法人OJO(大阪城趾整備機構)”の入るビルがある、空堀商店街へ。
何の問題もなく調査終了かと思われたが、
忘れ物をした松平がビルに戻ってみたところ、とてつもない違和感を抱き……。

ストーリーがわかりやすくて、伝えたいメッセージがはっきりしている。
かつ、説教臭くない。ほろりと来る場面があればなお嬉し。
娯楽大作はこの点をクリアしていれば私は大満足。
本作は、その点をすべてクリアしてくれていました。

豊臣家の末裔である少女を守るためだけにつくられた“大阪国”。
けれど、実際のところはプリンセスはオマケで、どうでもいいこと。
その名目のもと、人びとが歴史を継続していく極意がここにあります。

原作ではほぼ終盤だった副長・松平と大阪国総理大臣・真田の会見場面ですが、
映画では会見が決まった時間は、まだ50分ほど残しているときでした。
こんなに時間を割いただけあって、中井貴一演じる真田の長台詞は圧巻。
大阪人としては、役者陣の大阪弁が気になるところではありますが、
彼の大阪弁は、多少イントネーションがおかしくても気になるヒマもなく、
呑み込まれてしまうのもスゴイ。

玉木宏や別名サタケミキオの宅間宏行
カメオ出演しているのも嬉しいし、
『ダメジン』(2006)で川に浸かりっぱなしだった村松利史は
登場した瞬間にウケてしまいました。

映画には出てこなくて残念だったもの、
たとえば、ゼー六のアイスモナカやヤクザの組長の謝罪場面はあるけれど、
壮大なホラ話が映像化される醍醐味を満喫させてもらいました。

そしてそのホラ話によって教えられること。
ずっと正直であれ。

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