夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『カラーパープル』

2024年02月19日 | 映画(か行)
『カラーパープル』(原題:The Color Purple)
監督:ブリッツ・バザウーレ
出演:ファンテイジア・バリーノ,タラジ・P・ヘンソン,ダニエル・ブルックス,コールマン・ドミンゴ,
   コーリー・ホーキンズ,H.E.R.,ハリー・ベイリー,アーンジャニュー・エリス=テイラー他
 
公開初日に109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
アリス・ウォーカーは1983年にピューリッツァー賞のフィクション部門を受賞。
それをスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化したのが1985年のことでした。
さらにそれが2005年にブロードウェイでミュージカル化されて大ヒットし、
そのブロードウェイミュージカルを映画化したのが本作。
 
そして私は1985年の映画版を観ていないことに気づき、本作鑑賞後に配信で鑑賞して見比べました。
Netflixでは配信なし、Amazonプライムビデオにはあったけど、無料ではなく100円課金。
 
スピルバーグが監督を務めると決まったとき、原作者のアリス・ウォーカーは反対したとか。
ま、そりゃそうでしょう。黒人の話を白人監督が撮れるものだろうかと思う。
渋るウォーカーを説得したのが、音楽を担当したクインシー・ジョーンズだったとのこと。
このミュージカル版リメイクではクインシー・ジョーンズも製作に名を連ねています。
 
内容は概ね同じで、全然違う描写というのは見当たりません。
 
セリーとネティは仲良し姉妹。母親を亡くしても、横暴な父親のもとでも、ふたりでいれば生きて行ける。
そう思っていたのに、父親のアルフォンソは姉のセリーを“ミスター”ことアルバートに売りつける。
 
ミスターといえば、浮気した妻を殺したとの噂。彼は残された3人の子どもの世話を誰かにさせたがっていた。
ミスターは美人のネティを娶ることを希望したが、アルフォンソは不美人のセリーをミスターに売る。
セリーは荒れ放題のミスターの家で家事に追われつつ、性欲のはけ口にされ、
殴る蹴るの暴行を受けながら、わがままな子どもたちの世話までしなければならない。
 
セリーは実家にいる間もアルフォンソから性的虐待を受けて、2度妊娠、出産。
生まれた赤ん坊はすぐにアルフォンソによって取り上げられ、子どものいない牧師夫婦に売られていた。
アルバートのところへセリーが嫁いだ後、今度はネティに手を出そうとしていたアルフォンソ。
たまりかねたネティは実家を逃げ出してセリーに助けを求める。
 
ミスターからネティを家に置いてもよいという許可を得て、
また仲良し姉妹で暮らせると喜んだのも束の間、ミスターがネティを襲おうとする。
ネティが逃げると、ミスターは激怒。ネティを追い出してしまう。
こうしてまたひとりになったセリーは、ネティからの手紙を待ちわびるも、届いた手紙はすべてミスターの手に。
 
ある日、ミスターが想い焦がれる歌手シュグが帰郷する。
村中の男たちを虜にするシュグは、ミスターの家に泊まることに。
セリーは甲斐甲斐しくシュグの世話を焼き、いつしかふたりの間に絆が生まれ……。
 
というような物語。
スピルバーグ版でセリーを演じていたのがウーピー・ゴールドバーグでした。
有名司会者のオプラ・ウィンフリーの映画デビュー作も本作だったそうで、
ミスターの息子ハーポに嫁ぐ豪快な女性ソフィア役を演じています。
 
観る前は人種差別について描かれている作品だと思い込んでいました。もちろんそんなシーンはある。
いけ好かない市長と市長夫人が「私たち、黒人にとても優しくて理解があるの」なんて言うシーンは反吐が出そう。
この市長夫人、車で事故って死ねばいいと思ったけど、そうか、死なないのか~(笑)。
 
本作は、白人による黒人迫害よりも、黒人による黒人女性の迫害が描かれています。
こんな男ばかりじゃないんでしょうが、本当にひどい。
女なんて殴っときゃ従わせることができると思っている男たちが、女性たちの反逆に遭って面食らう。
皆が集う席で、セリーがミスターとその父親に馬鹿野郎と言うシーンは胸がすく。
ソフィアとシュグもいいですよねぇ。
 
ネティが戻ってくるに至った経緯など、ミュージカル版のほうがわかりやすくて優しい。
ラストのセリーと子どもたちが会うシーンはオリジナル版のほうが好き。
そのほかのシーンを見比べても、キャストはどちらも素晴らしいし、良い作品だと思いました。
ただ、テーマがテーマだけに難しい。安易に「良かった」とは言えない雰囲気もあります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ビヨンド・ユートピア 脱北』

2024年02月18日 | 映画(は行)
『ビヨンド・ユートピア 脱北』(英題:Beyond Utopia)
監督:マドレーヌ・ギャヴィン
 
TOHOシネマズなんば本館で前述の『大室家 dear sisters』を観てから別館に移動しました。
 
さまざまな劇場で上映されているのは知っていましたが、明るい話ではないのは確実で先送りに。
そろそろ上映終了だなと思っていたとき、毎日新聞の紹介記事を目にしました。
公開中と書いてあるけど、その2日後には大阪での上映はどこも終了よ。
んじゃ観に行かねばなるまいと思ったのでした。
記事の効果なのか、上映最終日に結構な客の入り。もしかしたら続映になるかも。
(→この後ほかのニュース番組でも取り上げられ、再上映する劇場が出ています。)
 
シネコンで上映されるのは珍しい、脱北者に密着したドキュメンタリー。
脱北者のその後を描いたフィクションなどはこれまでにもありましたが、
北朝鮮からの脱出劇をリアルタイムで記録したドキュメンタリーはこれまでにないでしょう。
そもそもそんな状況を撮影するのが可能とは思えない。でも実現したんだ。
 
毎日新聞の記事によれば、脱北者を支援する韓国在住のキム・ソンウン牧師のもとへ、
ある日、アメリカの映画監督マドレーヌ・ギャヴィンから連絡があり、
脱北者のドキュメンタリーを撮りたい旨を伝えられたそうです。
冗談じゃない、撮影隊と共に脱北に同行するなんて、捕まえてくれと言っているようなものだと断ります。
そらそうです、殺されてしまうかもしれないのですから。
 
ところがギャヴィン監督はあきらめない。
韓国までやってきて、撮影はすべてキム牧師の指示に従うという。
それを聞いたキム牧師は、このドキュメンタリーを撮ることで脱北の必要を世界に知らしめることができ、
脱北者の何か役に立つならばと引き受けたそうです。
 
脱北を決意した5人家族には幼い子ども2人と80代のおばあちゃんが含まれています。
この家族がキム牧師率いる支援組織の協力を得て過酷な脱出作戦に臨むのですが、その行程約1万2千キロ。
脱北を図ると、北朝鮮国内ではなく中国に入った瞬間に捕まることが多い。
強制送還され、死ぬまで厳しい拷問を受けることになる。
北朝鮮から中国へ入国済みだったその家族は、そこからベトナム、ラオスを経由してタイへ。
最終的には亡命先の韓国を目指します。
 
ぞろぞろと撮影隊を引き連れて移動するわけにはいかず、スマホのみによる撮影のときが大半。
ジャングルを10時間も歩くなど、本当に過酷。
しかも、ブローカーがいい人ばかりではないから、同じところをぐるぐる回らせて金を釣り上げられるなんて場合も。
 
80にもなって祖国を出ることになったおばあちゃん。
彼女も勿論のこと、生まれたときから洗脳されている子どもたちは、将軍様は素晴らしい方だと思っています。
世界中が北朝鮮と同じような状況で、その中で北朝鮮はいちばん裕福で幸せだと思い込んでいる。
糞尿を肥料にするために、すべて袋や箱に詰めて学校や会社に持って行き、それを農家が引き取りに来る話など衝撃的。
動物のじゃないですよ、人間の糞尿ですよ。
 
北朝鮮で聖書を読むことが禁じられているのは、国民を騙していることがバレるから。
全国民を洗脳し、騙しつづけていられることには驚きます。
 
この家族は亡命に成功しましたが、ニュース番組でも取り上げられていたように、
息子を脱北させられなかった女性にも同時に取材しています。
自身は先に脱北していて、念入りな計画後に息子を韓国へ来させようと思ったら失敗。
息子は政治犯の収容所に送り込まれ、今は生きているかどうかもわからない。
 
こんな国でも祖国は祖国。
何も知らないまま自分たちは恵まれていると思って過ごすほうが幸せだったのか。
脱北して今はもう自分の国がどんな国であったのかわかっているけれど、それでも故郷を思う気持ちが切ないです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大室家 dear sisters』

2024年02月17日 | 映画(あ行)
『大室家 dear sisters』
監督:龍輪直征
声の出演:加藤英美里,斎藤千和,日高里菜,倉知玲鳳,伊藤彩沙,古賀葵他
 
平日の仕事帰り、TOHOシネマズなんばへ後述の本命目当てで向かいました。
この日は新御が結構混んでいて、なんばに到着したのが19時前。
後述の作品とハシゴするためにはこれを観るよりほか選択肢がありません。
 
上映時間43分。「特別料金」とあるから安いのかと思ったら1,600円。なんだと!?
まぁほかに観るものがないんだから仕方がない。
 
原作者のなもりのことも、漫画雑誌『コミック百合姫』の存在も初めて知りました。
百合、つまり百合族、レズビアンの恋愛をテーマにした漫画雑誌だそうな。
本作はその雑誌に10年以上に渡って連載中の『ゆるゆり』のスピンオフらしい。
 
『ゆるゆり』に登場する人気キャラクター、大室姉妹。
その「ゆるふわな日常」を描くというものです。
毎度のことですが、前知識なし。「百合」だというのも今知ったぐらい。
初見でわかったことは以下のとおり。
 
大室姉妹の長女は美人でクールな高校3年生、撫子。彼女がおそらく百合。
次女は姉妹の中でいちばんの能天気、明るさいっぱいの中学1年生、櫻子。
三女は勉強も運動もできて、学校中の尊敬を集める小学2年生、花子。
 
本当に、この3人の日常だけが描かれている作品です。
結構面白いといえば面白いけれど、花子の口癖「~し、~だし」が私はどうにも気になる。
また、花子に対抗意識を燃やす高崎みさきのキャラは、実在すればかなりうざい。(^^;
みさきは、花子がみんなから「花子様」と呼ばれるのが気に入らなくて、
自分こそが様付けで呼ばれるのにふさわしいと主張し、何かと花子に張り合います。
その割に何もできないって、普通、めっちゃ面倒くさいやつでしょう。
彼女を嫌いもせずに相手をする小学生たち、優しいなぁ。特に小川こころの優しさはまるで神。
 
こんな感じでイライラしながら観ていました。
が、6月には続編が公開されるのですと。結局観に行くんだろうなぁ、私。(--;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

31回目の『ボヘミアン・ラプソディ』はScreenXで。

2024年02月16日 | 映画(は行)
クイーンの来日コンサートに合わせてなのか、
ドキュメンタリー作品『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』の公開に合わせてなのか、
『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のリバイバル上映がおこなわれています。
109シネマズ箕面ではScreenXにて上映。
 
30回目を鑑賞したのが2020年の7月だったようで、ほぼ3年半ぶりだったわけですが、
あんなにもリピートしまくった『ボ・ラプ』に行かなくなったのも、弟のことがあるかもしれません。
 
弟が亡くなるひと月ぐらい前までは映画の話などもよくしていました。
『少林寺』(1982)の4Kリマスター版を私が観に行ったときはその話でたいそう盛り上がり、
『燃えよドラゴン』(1973)のDVDを弟が貸してくれるという。
貸してくれると言っても弟の余命はあとわずかだから、もう返すことはないだろうと思いながら。
 
『燃えよドラゴン』のDVDと交換で私が弟に貸したのが『ボ・ラプ』のDVDでした。
「死ぬ話でしょ。あんまり暗いのは嫌やなぁ」と言っていた弟に、
「そんなに暗くないで、大丈夫」と言いましたが、ついに弟が観ることはないまま逝きました。
 
「弟が観なかった映画」という思いがあるから、私もあれからずっと観ないまま。
同様に弟は観なかった映画だけど、弟が亡くなるちょうど1週間前に公開された『トップガン マーヴェリック』(2022)のほうが、
弟と交わした言葉などを思い出してリピート鑑賞すること34回
『ボ・ラプ』の鑑賞記録をあっというまに抜き去ってしまったのでした。
 
久々に観た『ボ・ラプ』は、観まくっていた頃よりもラミ・マレックの誇張された口元が気になる。
彼演じるフレディ・マーキュリーの身勝手な台詞や態度に、こんな酷い奴やったっけなどとも思いながら(笑)、
ベン・ハーディはやっぱりカワイイよなとか、マイアミ役のトム・ホランダーの声が渋いなぁとか、あの頃と同じ感想を再び持つ。
 
ライヴエイドのシーンにはやっぱり感動。
ScreenXで観ると、会場にいるかのような気持ちになれますが、
いちばん良いのはやはり109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXシアターで観るレーザーGT版だと思います。
あの劇場で客が私ひとりだった興奮はいまだに忘れられません。
 
そういえば、弟が観たいというので買った『デッド・ホスピタル』(1988)のDVDも観ないまま死んじゃいました。
なんでこんなの観たいって言っていたのかなと思ったら、弟が上海に駐在していた頃、
『アメリカン・ショート・ショート』というDVDを見つけて私に買ってきてくれたことがありました。
そのDVDのうち、「真夜中の踏切で女性が一人で車で立ち往生しているときに怪しい男に車を揺すられる話」を観た私が、
「この女優さん調べてみたら『デッド・ホスピタル』にも出てるね」と言ったそうな。
で、どこかのビデオ屋に行ったときにたまたまそのビデオを発見して弟に買って帰ったらしい。
だけど今はもうビデオは観られないしと、DVDを新たに見つけて弟に買ったのです。
入院時に観ようとしたそうですが、さすがに病床でこんなタイトルの映画を観るのは気が引けると言っていたら(笑)、
結局観ないままになってしまって。私もこんなおぞましそうな映画を観るのは無理だから、飲み友だちの兄さんに進呈しました。
 
余談が長くなりました。いろんなことを思い出します。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『罪と悪』

2024年02月15日 | 映画(た行)
『罪と悪』
監督:齊藤勇起
出演:高良健吾,大東駿介,石田卓也,市川知宏,勝矢,奥野壮,坂元愛登,田代輝,柴崎楓雅,
   石澤柊斗,深澤幸也,大槻ヒロユキ,守屋茜,本田旬,村上淳,佐藤浩市,椎名桔平他
 
前述の『映画版 ギヴン 柊mix』の後、同じくTOHOシネマズ西宮にて。
気になるから観に行こうか、だけどこれを観に行くと帰りが午前0時を回るのよねと躊躇していたところ、
知り合いの兄さん(=エキストラが趣味)が出演していると教えてもらい、確認すべく。
 
監督はこれが長編デビュー作となる齊藤勇起で、自身によるオリジナル脚本
 
中学生の阪本春(坂元愛登)、吉田晃(田代輝)、朝倉朔(柴崎楓雅)、正樹(石澤柊斗)は
同じサッカー部に所属する親友同士だったが、ある日、河原で正樹の遺体が発見される。
 
前日に正樹が一人暮らしの中年男のもとへ立ち寄っていたことを知った3人は、
そいつが何か知っているにちがいないと家へ押しかける。
そこにあったのは、血のついた正樹のスパイク。犯人はこの男で確定だろう。
怒りに駆られた朔が男をシャベルで殴打し、男は死んでしまう。
春は、呆然とする朔と晃をその場から逃がすと、ひとりですべての罪をかぶる。
 
20年後、刑事となっていた晃(大東駿介)は、父親の訃報をきっかけに故郷へと戻る。
朔(石田卓也)はひきこもりの双子の弟の面倒を見つつ、相変わらず父親と農家を営んでいた。
春(高良健吾)はといえば、少年院を出た後に事業を興し、寄る辺ない不良少年たちを預かって更生に手を貸していた。
 
繁華街の店で若者がどんちゃん騒ぎをしているとの通報で警察が駆けつけるが、
ほぼ無罪放免の様子を見て晃はおかしく思う。
暴力団が幅を利かせ、警察ともつるんでいる様子。そしてそこに春も絡んでいるように見える。
晃は春を訪ねてその辺りのことを聴き出そうするのだが……。
 
毎日が楽しくて仕方なかった少年時代に影を落とす殺人事件。
予告編を観てすぐに思い出したのは『追憶』(2017)です。
でも『追憶』は豪華キャストの割に腹立たしいほどの茶番でした。
それを思えばこっちは相当の見応えがあります。
 
村上淳は組長役よりも刑事役のほうが似合いそうで笑った。
そんな彼と渡り合う春役の高良健吾はこの役が最高に似合っています。
恋愛ものに出ているときの彼よりもこんな彼のほうが好きですね。
 
暴力団と警察幹部との間を渡り歩く春が思い描く絵がこれで、
この程度で許してもらえたのかと思うとそこはちょっと弱い。
20年前の事件のとき、決してガタイがいいとはいえない少年が死んだ大の男をひとりで運べたのかとか、
どんでん返しの真相では、河原まで運べるとは思えなくて頭をひねる。
でもこれが初監督作であるうえにオリジナル脚本なのですから、今後はさらに期待できそうです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする