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『ラストマイル』

2024年08月28日 | 映画(ら行)
『ラストマイル』
監督:塚原あゆ子
出演:満島ひかり,岡田将生,ディーン・フジオカ,大倉孝二,酒向芳,宇野祥平,安藤玉恵,火野正平,阿部サダヲ他
 
公開初日、前述の『恋を知らない僕たちは』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
塚原あゆ子監督は人気TVドラマを多く手掛ける演出家でありプロデューサー。
今の私はTVドラマにはほぼ時間を割けないので、同監督のTVドラマシリーズは全然観ていません。
ただ、本作がやたら豪華キャストだなと思っていたら、人気TVドラマの面々が配役そのままに登場しているのですね。
『アンナチュラル』と『MIU404』はいずれも塚原監督と野木亜紀子の脚本コンビでかつて放映されたTVドラマ 。
この2本のTVドラマと本作は世界を共有する作品で、こういうのを「シェアードユニバース」と言うのだとか。
ま、マルチバースよりはずーっとわかりやすいですし、
もとのTVドラマファンも楽しめれば、本作が初めてという私のような人も問題なく楽しめる作品です。
 
“ブラックフライデー”を目前に控え、巨大物流倉庫のセンター長に着任した舟渡エレナ(満島ひかり)。
正社員に1名に対して派遣社員はその百倍。
数少ない正社員のひとりでチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)を従え、稼働率に注視しながら仕事を進めようとする。
 
ところがその矢先、世界最大手のショッピングサイトから配送された荷物が爆発する事件が発生。
その後も同じサイトで発注された荷物が配達先で立て続けに爆発。
これは事故ではなく、明らかに爆発を狙った事件であることがわかる。
 
解明まで物流を止めたい警察と、絶対に止めないと誓うエレナ。
戸惑いつつも上司のエレナに従うしかない孔だったが、エレナの行動がどうも怪しくて……。
 
始まってからかなり時間が経つまで、エレナのことが大嫌いでした。
テンションの高さ、身勝手さ、会社の利益しか考えていない行動、何もかもが受け入れ難く、
これはエレナの人となりゆえなのか、それとも満島ひかりの演技に問題があるのかと思ったほど。
 
エレナが不可思議な行動に走るのが見えたとき、この人の復讐劇なのか、
いやいやいや、そんなに単純な話じゃないよねぇと思いはじめ、するとエレナに肩入れしたくなってくる。
仏頂面の岡田くんの演技もよくて、この人は最近悪い役も多いけど、
この程度の「愛想無しだけど本当はいい奴」なところがやっぱり見たいなぁと思う。
 
中村倫也は病院で寝たきりの役ですが、彼の思いについてはとても考えさせられます。
彼が残したロッカーの落書きみたいな書き置き。
「2.7m/s」はベルトコンベアの流れる速度。「70kg」はベルトが耐え得る重量。これを超過したとき、稼働率は「0」になる。
飛び降りてみたら確かにわずかな間「0」にはなったけど、
頭から血を流して死にかけている自分の横でまたベルトコンベアは流れだし、稼働率のメモリが上がってゆく。
命を賭けた意味が何もないところが悲しく残酷です。
 
宅配ドライバーを演じる火野正平宇野祥平(いま気づいたけど、このふたり名前が似すぎ(笑))、
宇野祥平役の彼の元勤務先が最後の伏線となっているところなど、とてもよかった。
シングルマザー役の安藤玉恵のこんな真面目な役もたまにはいいですね。
 
これぞエンタメって感じです。みんな好きでしょ。私も好きです。
それぞれのTVドラマも観たくなる。

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