『ボーはおそれている』(原題:Beau Is Afraid)
監督:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス,パティ・ルポーン,ネイサン・レイン,エイミー・ライアン,パーカー・ポージー,
スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン,カイリー・ロジャース,ドゥニ・メノーシェ他
封切り日のレイトショーを観に109シネマズ箕面へ。
ところが入場のさいに提示したQRコードでキンコンカンコンと鳴ってひっかかる。
なんでや!?と思ったら、日を間違えてオンライン予約してるやん、私。(--;
優しいスタッフの皆さんのおかげで交換してもらう。
でもそう簡単にハイどうぞと交換してくれるわけではないので時間がかかる。
で、本編開始に間に合わなくなり、最初の数分を見逃しました。
179分の大長編だから、駐車サービスを3時間までしか受けられないこの劇場で、
本編開始ギリギリに入場しようとしたのがそもそもの間違いなんですけど。(^^;
どう見ても精神を病んでいるふうのボーは、心を母親に支配されている様子です。
そんなボーが暮らしているのは、暴行が日常茶飯事の街のど真ん中にあるマンション。
建物内に入るときも決死の覚悟。でないと、通りでたむろする人々が侵入しようとするから。
翌日はボーの母親モナの誕生日で、飛行機で実家に向かう予定。
ところがその晩、ボーはことりとも音を立てていないのに、隣室の住人が騒音を訴えてくる。
そのせいで明け方まで眠れなったボーは寝坊して慌てる。
急いで支度を済ませて空港に向かおうとするも、忘れ物を思い出して部屋の中に取りに戻っている間に、
玄関脇に置いていたスーツケースと鍵を何者かに持ち去られてしまう。
荷物も鍵もなくては出かけられない。詫びの電話をモナに入れるとブチ切れられる。
落ち着かなくて、精神科医に処方された薬を服用しようとすると水がない。
水なしで飲むと死の危険があると聞かされていたものだから、ボーは再び覚悟を決め、水を買いに表へ出る。
その隙に部屋には見知らぬ者たちがなだれ込み、外で夜を明かすことになるボー。
ほとぼりが冷めた頃、ぐちゃぐちゃに散らかされた部屋に戻り、航空券の再購入を試みる。
しかしカードが無効になっていて買えない。
モナに事情を説明しようと電話をかけると、母親ではない若い男の声が応答する。
配達員だという彼がモナを訪ねるも返事がなく、ドアを開けてみるとそこには頭のもげた死体があったと。
どうやらシャンデリアが落下してモナの頭を直撃したようだと言う。
事態を受け入れられないボーだったが、自分は一人息子。
なんとしてでも実家に帰らねばと、支度を始めるのだが……。
退屈はしません。3時間の長尺だというのに、眠くはならない。ただ、変。
マンションには毒グモ発生中の貼り紙があり、ボーの部屋に侵入した人がそれに襲われたのか死んでいる。
毒グモから逃げようとした人は浴室の天井に張り付いていて、入浴していたボーの上にその人が落ちてくるんです。
驚いて裸のままマンションから飛び出し、表の通りへ逃げたボーは変質者と間違われ、
警官に銃を向けられたうえに、走ってきた車に撥ねられてしまいます。
目覚めるとそこはボーを撥ねた夫婦の家。夫は著名な外科医らしく、ボーを治療してくれたらしい。
一見いい人っぽいけれど、息子を亡くした夫婦はボーをその身代わりにしようとしています。
息子と共に出兵して帰還したもののPTSDに悩まされている男を家に住まわせ、
ボーの面倒まで見ようとしていることに夫婦の娘は納得できず、何かと絡んできます。
やがてボーは外科医の家からも逃げ出さざるを得なくなる。
命からがら逃げる途中、助けてくれた女性に連れて行かれたのはまるで『ミッドサマー』のコミュニティ。
こうして書いていてもしっちゃかめっちゃかで、面白いというのかワケわからんというのか。
暴力が普通になっている街、戦争によって心に傷を負った人たち、新興宗教のいびつさなどなど、
今の社会の問題があれこれ詰め込まれている作品なのでしょうか。
最初の数分を見逃したせいなのか、モナが大会社を一代で築いた富豪だということは知らず。
ボーがようやくたどり着いた実家を見たときは、こんな金持ちだったのかと驚きました。
この実家で起きることがまた変だし、その後の「審判」に至ってはまるで理解できません。
絶対、普通の人には勧められない映画です。でも、観た人とは「あれ何!?」と話したくなる。
ホアキン・フェニックスの演技が凄すぎて怖くなる。
こんな映画をつくる監督も、こんな演技をする俳優も、頭の中はどうなっているのかしら。