再現であるが、目の前でつくってくれたぶとくすべ。
かつては、こうして燻していたんだ、と実演もしてくださった山添村切幡のTさん夫妻。
即興でつくってくれたぶとくすべの基本材料は、芯になる布。
本来なら、綿布の端切れが望ましいが、代替にあてがったのは綿タオル。
ぶとくすべを固定する藁紐にバランの葉っぱであった。
その3点でつくられたぶとくすべ。
もう一本は構造を知るためのバランなしのぶとくすべ。
2本とも、代用であるが、次世代に繋ぎ、遺せるなら、とありがたく頂戴した。
バランの現物保存は難しいが、綿タオルに藁紐は腐るものではないから大丈夫だ。
ぶとくすべつくりを拝見したその日に持ちかえった2本のぶとくすべ。
つくりかた、使用方法などを学芸員に伝えたく奈良県立民俗博物館に向かった。
お昼前に伺った奈良県立民俗博物館。
応対してくださったM学芸員。
民俗博物館事業の私がとらえた大和の民俗写真展になにかとお世話してくださっているM学芸員に、Tさん夫妻からいただいたぶとくすべを提供した。
現在、県立民俗博物では、寄贈を受け付けていない。
正式には受け取れないが、M学芸員の預かり、として受け取ってくれた。
寄贈を受け取れない事情は、上層部の判断にあるようだ。
ひとつ、明確なのは保存するための収容に限界があり、寄贈品の保管管理ができない、という理由のようだ。
ただ、M学芸員に考えがあった。
預かったぶとくすべを見本に、つくり方体験ができないか、である。
県立民俗博物館に、かつて記録として収録されているぶとくすべがある。
それは、博物館、唯一保管管理しているぶとくすべ。
そのぶとくすべは、館内展示で活用されているが、唯一だけに、手つくり見本にできない逸品もの。
だから、展示があるたびに、唯一のぶとくすべに登場してもらうしかない。
そのことを聞いていた私は代替でも構わないなら、とお願いし、入手先の切幡のTさん夫妻に譲ってもらった。
また、そのつくりかた、使い方とも携帯電話・動画で収録してきた。動画を見るだけで理解され、ご自身でつくれる人もおられよう。
バランの目的も、理解できたから、実際につくってみよう、と・・・
M学芸員の考えは、この預かりぶとくすべを用いて、実験的に、体感も含めて得とくできそうだ、と判断されたのだ。
見本があれば、材料と仕組みが揃えば体験実習も可能だ、と判断された。
私も、その考えは大いに賛同する。
かつて農作をしていた人たちが、自らつくって稲作、畑作作業に使っていた。
てつくり時代の文化から、一般市場でも買えるようになった。
ぶとくすべの現在は、虫除けのための蚊取り線香が農作業に使うケースに転換したのである。
自らつくる必要性がなくなったぶとくすべは、必要としなくなった。
また、基本材料である綿布の端切れそのものが、入手不能の時代に移った。
綿布を必要とせず、衣服は化繊に、暮らしの文化が転換したのである。
化繊は、燃える材だから、ぶとくすべとして使えない。
材もない、用途も転換した暮らしの文化。
体験者もいなくなれば、ぶとくすべをつくることはできない。
民俗文化の展示に、実験的体験学習ができる一つの見本になるなら、これからの民俗博物館は展示だけで終わるのではなく、体験を重きに展示のあり方を替える見本の道具になる、と思われたのである。
後継者の育成に直接、お役にたてないが、学芸員にとって体験見本になりそうだ。
動画や、画像は後日に整備し、データを収録したUSBを持参することにしたが・・・
翌年の春にわかった奈良県立民俗博物館の方針によって、実現は残念な結果に終わってしまった。
(R3. 9. 7 SB805SH 撮影)
かつては、こうして燻していたんだ、と実演もしてくださった山添村切幡のTさん夫妻。
即興でつくってくれたぶとくすべの基本材料は、芯になる布。
本来なら、綿布の端切れが望ましいが、代替にあてがったのは綿タオル。
ぶとくすべを固定する藁紐にバランの葉っぱであった。
その3点でつくられたぶとくすべ。
もう一本は構造を知るためのバランなしのぶとくすべ。
2本とも、代用であるが、次世代に繋ぎ、遺せるなら、とありがたく頂戴した。
バランの現物保存は難しいが、綿タオルに藁紐は腐るものではないから大丈夫だ。
ぶとくすべつくりを拝見したその日に持ちかえった2本のぶとくすべ。
つくりかた、使用方法などを学芸員に伝えたく奈良県立民俗博物館に向かった。
お昼前に伺った奈良県立民俗博物館。
応対してくださったM学芸員。
民俗博物館事業の私がとらえた大和の民俗写真展になにかとお世話してくださっているM学芸員に、Tさん夫妻からいただいたぶとくすべを提供した。
現在、県立民俗博物では、寄贈を受け付けていない。
正式には受け取れないが、M学芸員の預かり、として受け取ってくれた。
寄贈を受け取れない事情は、上層部の判断にあるようだ。
ひとつ、明確なのは保存するための収容に限界があり、寄贈品の保管管理ができない、という理由のようだ。
ただ、M学芸員に考えがあった。
預かったぶとくすべを見本に、つくり方体験ができないか、である。
県立民俗博物館に、かつて記録として収録されているぶとくすべがある。
それは、博物館、唯一保管管理しているぶとくすべ。
そのぶとくすべは、館内展示で活用されているが、唯一だけに、手つくり見本にできない逸品もの。
だから、展示があるたびに、唯一のぶとくすべに登場してもらうしかない。
そのことを聞いていた私は代替でも構わないなら、とお願いし、入手先の切幡のTさん夫妻に譲ってもらった。
また、そのつくりかた、使い方とも携帯電話・動画で収録してきた。動画を見るだけで理解され、ご自身でつくれる人もおられよう。
バランの目的も、理解できたから、実際につくってみよう、と・・・
M学芸員の考えは、この預かりぶとくすべを用いて、実験的に、体感も含めて得とくできそうだ、と判断されたのだ。
見本があれば、材料と仕組みが揃えば体験実習も可能だ、と判断された。
私も、その考えは大いに賛同する。
かつて農作をしていた人たちが、自らつくって稲作、畑作作業に使っていた。
てつくり時代の文化から、一般市場でも買えるようになった。
ぶとくすべの現在は、虫除けのための蚊取り線香が農作業に使うケースに転換したのである。
自らつくる必要性がなくなったぶとくすべは、必要としなくなった。
また、基本材料である綿布の端切れそのものが、入手不能の時代に移った。
綿布を必要とせず、衣服は化繊に、暮らしの文化が転換したのである。
化繊は、燃える材だから、ぶとくすべとして使えない。
材もない、用途も転換した暮らしの文化。
体験者もいなくなれば、ぶとくすべをつくることはできない。
民俗文化の展示に、実験的体験学習ができる一つの見本になるなら、これからの民俗博物館は展示だけで終わるのではなく、体験を重きに展示のあり方を替える見本の道具になる、と思われたのである。
後継者の育成に直接、お役にたてないが、学芸員にとって体験見本になりそうだ。
動画や、画像は後日に整備し、データを収録したUSBを持参することにしたが・・・
翌年の春にわかった奈良県立民俗博物館の方針によって、実現は残念な結果に終わってしまった。
(R3. 9. 7 SB805SH 撮影)