
「疎水のほとりから」「続・疎水のほとりから」
私の住む町には、昔ながらの小さい本屋さんが駅近くに1件あるきりなので、定期刊行以外の本を探す時には電車に乗って大型店に行くかアマゾンを利用しているのですが、先日散歩の途中にふと思い立って、街外れのブックオフに立ち寄りました。
特に当ても無くぷらぷら本の背表紙を見て回っていると、「続・疎水のほとりから」という題名が目に止まりました。手にとってちょっと読んでみると静かな語り口のエッセイで、心が不思議に落着きます。定価1600円の本が2回目の値下げで100円になっているのも嬉しい驚きで、迷うことなく購入しました。作者は長年教員をされ、物書きをエッセイ教室で学ばれた方。山科での自然を友とする暮らしが大きな不幸も含めて静かに語られており、しみじみと共感できる部分が多く、読み進むうちに「続」の前作も読んでみたくなりました。
「続」の発行が2003年で、前作発行はその10数年前に遡るとのこと。発行部数もそれほど多いと思えないので期待せずにアマゾンで探してみると、ありました。中古本が1冊だけ。しかも値段が1円。送料が250円かかりますが、本当に1円で本が買えるとは信じられない思いですぐにオーダーしました。
そして今日、丁寧に梱包された本が届きました。1992年発行の本は、表紙が20年という年月を感じさせる色合いになっていましたが中身はとてもきれい。「続」が先になってしまいましたが、この本も、ちょっと良い時間を持ちたいというときに、大事に読んでいきたいと思っています。それにしても何年も前に京都で発行されたステキなエッセイ集に偶然出会い、しかも(作者には申し訳ないのですが)2冊をたったの101円で手にいれることができたなんて何てラッキーなのでしょう。
1926年生まれという作者が健在でおられることを願うと共に、いつ売れるかもわからない小品に1円の価格をつけて大事に保管し、丁寧に梱包して送付するという手間を厭わない書店(?)が今あることを嬉しく思います。(四女)
