
『精神科医の山本昌知医師は、82歳にして突然「引退」することになった。
山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。
彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。
引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった…。』(公式サイト「作品開設」要約)
想田和弘監督による「観察映画」と言われるこの作品は、山本医師の引退直前の患者との面談、引退後の奥様との日々の暮らしを、ありのままに写し取っていますが、慈愛に満ちた医師の人となりと、穏やかで自然体の暮らしぶりが、じんわりと心に沁みて、人が生きるという意味が深く、柔らかく伝わってきます。
ただ、かつて母の介護に奮闘し、今や「老後」が自分たちの問題になりつつある身としては、認知症になった奥様に寄り添って生きていくというのは、気持ちの優しさとは別に、体力的に本当にきつそう!と、疲労であえぐような呼吸になりながら頑張る山本医師の姿に、少々辛さを感じました。

・・・と、久々に映画について、普通の日常の一コマのように書きましたが、この映画は最近インターネット上に設置された「仮説の映画館」で観たものです。
新型コロナの影響で、全国の映画館が休館を余儀なくされている状況下、「精神0」の公開直前にこの事態に直面した想田監督と配給会社「東風」が相談して作り上げたのがこの「仮説の映画館」。
今は複数の配給会社と劇場がこの企画に参加し、「精神0」の他にも、最近封切り予定だった面白そうな作品が色々、この「仮説の映画館」で観られるようになっています。料金は一律1800円。対象作品や鑑賞方法はこちらをご覧ください。=> http://www.temporary-cinema.jp/
間もなく支給予定の10万円の一部を、最新映画を楽しみながら、映画界の経済回復の一助に使うというのはいかがでしょうか?(三女)
