
「仮説の映画館」で、チベットの映画「巡礼の約束」を観ました。
『ある出来事から、前夫との約束を果たそうと巡礼にでる妻ウォマ。その妻を心配し、後を追ってくる夫ロルジェ。こころを閉ざしていた前夫との息子ノルウも母に会いにやってくるのだが……。
ウォマの意志を引き継ぐ、血のつながらぬ父と息子。ふたりはある日、母を亡くした一頭の仔ロバと出会い、ともに聖地ラサへと巡礼の道を歩きつづける。』(公式サイトより)
チベット仏教の聖地ラサに向かう「五体投地の巡礼」というのは、立って祈りを捧げては全身を地面に投げ出し、手元まで這っていって立ち上がるを繰り返して進む、という凄まじい荒行。重篤な病のウォマのその行為は、見ていて辛く、ちょっと居た堪れなさを感じました。
一方で、緑いっぱいの広大なチベットの風景、妻に寄り添い続け、義理の息子の葛藤を理解しようと努める夫ロルジェの無限の優しさ、途中から同行するロバの可愛らしさ、旅の途中で何かと助けの手を差し伸べてくれる一家と、画面全体を包む素朴さ、柔らかさ、暖かさが心に沁み、いつの間にかとても癒されていました。
ところで、旅の途中で出会った一家の応対は、四国のお遍路さんへの「お接待」に通じるものがあるような気がします。こういうのって世界共通の文化なのでしょうか。(三女)
