DAVE LIEBMANの新譜かとおもったら、一寸前の2012年11月にリリースされたアルバムで、アチャ勘違いと思ったけれど、とても面白い演奏でこれは大正解。
リーブマンの古くからの友人でラドガード大学でジャズの学術研究も行うルイス・ポーターというピアニストがリーブマンに持ちかけて作ったアルバムのようです。
1曲目、マイルスのファンクとか、途中のギターのカッティングなんかは「ジャック・ジョンソン」を思い出させる始まりでこれは絶対マイルスを意識したアレンジだと思う。
2曲目は完全インプロで、ギターのマーク・リボーが一寸ひしゃげた面白いテーマからピアノが進展させると、リーブマンとベースがまるでアレンジされたかのような展開、初顔合わせが多いそうですが、凄い融合が起こっています。
3曲目ムチャクチャ、カッコイイ、リボーの“Omega”から始まって、リーブマンの“ゴースト”に移っていくのだけれど、つなぎのポーターのフェンダーもムチャカッコイイ、リーブマンのアイラーはコルトレーンになっているところが面白い。
4曲目、ソプラノでO・コールマンの“Trigonometry”、ここもギターのリボーのソロがカッコイイけど、ピアノのポーターがとても抑えが効いていて面白いサウンドになっています。シュールって言いたくなるね。
5曲目、ベースとドラムスで作るジャズ・ロックのリズムが面白くって、今の時代になるとこれもシュールというかも、リーブマンのオリジナルでタイトルが“シューリアリティ”。ここでもリボーのカッコイイ、ソロ、この人フリー系の演奏が多い人だそうだけれど、セラミック・ドック・バンドというバンドを作って5月に来日したばかりのようです。
6曲目は完全インプロ、ここでは、ルイス・ポーターが素晴らしいソロを聞かせます。
7曲目はリーブマンの“ニューヨークに呼び戻して”って曲で、これ今のNYで聴きたかった、ひしゃげた雰囲気がなんとも面白い。
そして最後がコルトレーンの“Alabama”、うまいアルコ・ソロ(アメリカでもアルコがここまでうまくなった)からマーク・リボーのギターがちょっとマグラフリンを思わせて(サンタナでもよかったなと思えば、炎の兄弟じゃないか)テナーのリーブマンがゆったりと、これはコルトレーンへの思いをつづったという感じです。
久しぶりに全曲紹介になりました。
シュールっていうとシュールリアリズムに頭がいきます。ダリのテーマに記憶というのがあって融けた時計をおもいだすけれど、このアルバムでマイルスやメシアン(1曲目はメシアンに捧げられている)アイラーやオーネット、そしてコルトレーンが融けた時計のように思えて、これはとても面白い雰囲気のアルバムになりました。
「記憶の固執」 サルバトール・ダリ
「記憶の固執の崩壊」 サルバトール・ダリ
この記事を書いていて、もう一つテーマを思いついたので、現役JAZZピアニスト100人選定評議会に検討を依頼することにしました。(今年の選定評議会の定期理事会は荒れそうで、事務局としてはハラハラしているのであります。)
SURREALITY / Dave Liebman
Dave Liebman (ss,ts)
Lewis Porter (p)
Marc Ribot (g)
Brad Jones (b)
Chad Taylor (ds)
2012年作品
1. Olivier (Lewis Porter)
2. Untitled Free Ballad 1
3. Omega is the Alpha/Ghosts (Albert Ayler)
4. Trigonometry (Ornette Coleman/Pat Metheny)
5. Surreality (Dave Liebman)
6.Untitled Free Ballad 2
7. Get Me Back to the Apple ( Dave Liebman )
8. Alabama (John Coltrane)