JAZZ最中

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ハンマーで叩く! Inner Planets / Naoko Sakata

2020-09-23 16:11:00 | 聞いてますCDおすすめ


日本で応援しているピアニストはいるけれど、彼以外で凄いとうなるピアニストがいる。それが坂田尚子で2枚のアルバムは素晴らしい出来だった。
Flower Clouds

Dreaming Tree



その坂田がソロ・アルバムを出すという事で期待が大きかった。入手にちょっと時間がかかって、もうすごい期待。そして期待とおりの感じだけれど聞き始めてこれは普通に聞いてはいけないというか、普通の聞き方では腹にじっくりとおさまらない感じがしてストップ。
どのような聞き方が良いかと感じたのが、このピアノ音で全てをを覆いつくすような感じで聞くこと。大音量もいいけれど、良いヘッドホンでもちろん大きな音、他の音はすべて遮蔽して聞くことにでした。
アンプにつなぐジャックが行方不明になっていたので、買ってくるのに日がたったけれど連休で準備、1曲目静かな落ち着いた音たちから始まりました。絵画を見ていくような変化と感動。そしてその後、みなさん感じるのだろうけれど、ピアノ音の凄さ。坂田の音だけが頭の中を占めて、そして坂田のハモニー、トーン、タッチが聞いているこっちの頭をコントロールしてくる。音にすべてを任せるという快感を久しぶりに味わった。
そこのところは、奏法としてはセシル・テイラーや山下洋輔で知ってるような経験値はあるのだけれど、それが違う。この音は初めての気がする。
みなさんご存じだと思うけれどピアノは言をハンマーでたたいて音を作るのが基本。ピアノ構造はそれだけではないけれど、思い浮かんだのがこのハンマー。ピアノの音はハンマーで弦を叩いて作るという事を完全に理解したような演奏。まさにこちらもぶったたかれる。ピアノをハンマーでぶったたいて壊すようなパフォーマンスではない。ピアノを鳴らしてこちらの脳天をぶったたいてくのです。最初からここを含めた曲の広さ、深さは格別なものになったのでないでしょうか。
インプロヴィゼーションという全5曲、常にたたいて衝撃をあたえるのではなく、多くの場面で美しい情緒と視界を見せてくれている。その中、そこにひそむ解脱のような時を作ったり、平安に戻ったり。
これはいくら説明しようとしても、説明できない世界だから聞いてもらうしかないと思う。世界のピアノ聞きの評価を聞いてみたくなるアルバムだ。

Inner Planets / Naoko Sakata

坂田尚子(p)
Naoko Sakata(p)
録音:2019年2月15日-16日、エピデミン・スタジオ(ヨーテボリ、スウェーデン)

1.Improvisation 1 (15:57)
2.Improvisation 2 (7:19)
3.Improvisation 3 (18:58)
4.Improvisation 4 (1:07
5.Improvisation 5 (11:40)
コメント (4)
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