今年一番をアート・ブレーキ―に譲ったけれど、襟をただしてきくのだったらこちらと感じるアルバムです。
わが宮田大ちゃんがピアソラだけのアルバムを作りました。
大ちゃんはピアソラをよく弾くけれど、それは昔からYo yo-Maのピアソラ演奏が愛聴だったからで、ピアソラの音楽の思い入れが深い。
2017年のアルバム「木漏れ日」では”カフェ1930”と”グランタンゴ”をピアノとのデュオで演奏している。
2020年のアルバム「トラヴェローグ」ではギターの大萩康司とのデユオで「オブリヴリオン」と「ブエノスアイレスの冬」を演奏している。
ただピアソラが人気があり、チェリストとして選択するのではなく、ここにはこのアルバムに至る思い入れがある。
それはまず選曲に表れている。2曲目”タンガータ”と曲名をみて、あれだと思う人は少ないだろうし8曲目”.スール:愛への帰還”というのは私も知らなかった。ここで書いてしまうけれど、この演奏が凄い。山中惇史にが編曲し「ウェールズ弦楽四重奏団」との演奏になるが、アルゼンチンの抑圧された人々を描いた映画音楽を、その感情が静から激へと移っていく様子が素晴らしい。
このほか曲の内容によって、三浦一馬のバンドネオンや山中惇史のピアノとえんそうしていて、一つ一つの曲との真摯な向き合いが感じられる。
チェロを演奏する人って結構群れて仲がいい。チェリストが何人も集まった演奏会もあり、大ちゃんとも何度かあっていて、とても面白い人との、そして真面目と感じている。だから対抗するとかの意識よりも高めあうという方が強いともうのだけれど、あることにきがついて、勘繰りだけれど面白い。
ピアソラの曲をユニークなアプローチで演奏する桜井大士(ヴァイオリン)橋本専史(チェロ)金森基(コントラバス)高木梢(ピアノ)が作った「EL CIELO 2020」というグループが出したアルバム。
こちら2020年に出たものでタイトルも何んと「ASTOR PIAZZLLA」そしてこのアルバムの1曲目が大ちゃんのアルバムの1曲目「鮫」と同じ選曲となっている。もちろん対抗しているわけではないし、素晴らしいアルバムだったので、感化された宮田大、このピアソラ・アルバムを作ってような気がしてしまうし、「鮫」はその回答のような気がしてならない。
どちらも素晴らしいアルバム、それもかなりなので、出来たら二つン並べて聞くことをお勧めする。
PIAZZOLLA / Dai Miyata
編曲:山中惇史(Tr.1, 2, 4-13)
三浦一馬(Tr.3)
演奏:
宮田大(チェロ)
山中惇史(ピアノ)/Tr.2, 4-13
ウェールズ弦楽四重奏団/ Tr.1, 4-8, 13
三浦一馬(バンドネオン)/ Tr.3, 6, 8
録音:
2021年4月サウンド・シティ世田谷
2021年8月小出郷文化会館(新潟)
1.鮫
2.タンガータ
3.言葉のないミロンガ
4.悪魔のロマンス
5.アレグロ・タンガービレ
6.ツィガーヌ・タンゴ
7.ヴィオレンタンゴ
8.スール:愛への帰還
9-12.「天使の組曲」
天使のイントロダクション
天使のミロンガ
天使の死
天使の復活
13.アディオス・ノニーノ