エンリコ・ピエラヌンツィが1990年にフランスIDA Recordsで録音した「Parisian Portraits」と言うアルバムは中古市場でもなかなか手に入らず高値だそうですが、EGEAが“HISTORIC COLLECTION”として復刻してくました。
聴いたことなかったし、これからも手に入りずらいとなれば、オリジナルジャケットではありませんが拾いました。IDA3部作のソロ作で、オリジナルが8曲の全12曲、これが全てすばらしい。
1曲目陰影のある、多くを弾きすぎるのでなく、かといって決して少なくない必要な全ての音がなっているピアノです。
ピエラヌンツィのちょっと暗かったり小難しいところがなく、オリジナル曲はあくまで美しく、哀愁あり優しい。
4曲目の“What is this thing called Love”はアブストラクトに行くかと思えばハーモニーが美しく綴られて曲が解るのは最後のところ、6曲目の“My funny Valentine”では美しい別の曲みたいに聞こえながら“マイファニー”と気づかせるとても凝ったアレンジです。11曲目“Fascinating Rhythm”は一番JAZZ的インプロビゼーションです。
オリジナルに関してはの、一つ一つを語る語彙を持ちません。豊かな情感がこもりながら流されず、深くうったえてくるのに負担でありません。
全ての曲が一つ一つしっかりと完結した、美しい彫刻のように思えます。
昔友人から、彫刻の良し悪しをどのようにして見分けるかということを教えてもらいました。正しいかどうかは断言できませんが、写真などに写った彫刻をどこまでも大きく想像する事ができれば、その作品は良いというものです。
このアルバムを聴いていてそのことを思いだしていました。
一つ一つの曲は4、5分のとてもまとまった曲でいながら、それがとても大きく広がっていくように感じます。
小さな曲が、宇宙の様に広がっていきます。
18年も昔の演奏ですが、たぶん初めて聴くアルバムですし、もしかすると会うことがなかったかもしれないと考えると、とても幸運に思います。
今年の最高点の一枚になりました。
Parisian Portraits / Enrico Pieranunzi
Enrico Pieranunzi piano
1 Lighea
2 Never before never again
3 Filigrance
4 What is this thing called Love
5 Milady
6 My funny Valentine
7 Persona
8 Improvisation 1949
9 Canto della sera
10 If you could see me now
11 Fascinating Rhythm
12 Per Fortuna
monakaさんがこのアルバムをご紹介して下さったおかげで,私も久々に(保有していることすら忘れていた)このアルバムを堪能することができました。ありがとうございます。
TBさせて頂きます。
このアルバムは私はまるで初体験、貴殿は棚の隅だったかもしれませんが2008年にそれぞれが身近のものになって何よりでした。