塩野さんの「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」上巻下巻を読了し、やや茫然としている。
傑出した稀代の帝王だった人の生涯を、こういうふうに、ドキュメンタリータッチで読ませてもらったのは、久しぶりであるが、塩野さんにはすでに「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」と「わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡」がある。彼女の人間に対する洞察力は、さらなる成熟を遂げているといっていいだろう。
そして・・ . . . 本文を読む
塩野さんの「ギリシア人の物語」を一昨日読みおえたので、印象がうすれないうちに、感想を書いておく。
塩野さんといえば、歴史と文学の双方にまたがるジャンルで大きな仕事をしていて、評価もほぼ定まっている。ご高齢になったいまでも、物書きとしては、最高レベルの水準を維持しているといっていい。ファンも大勢いるから、ベストセラーにはならないまでも、売れゆきは芳しいものがあるだろう。
単行本で全15巻にもおよぶ . . . 本文を読む
1937年生まれの塩野七生さん、今年79歳になられると思うが、まだまだお元気で、健筆をふるっている。わたしは彼女の熱烈ファンなので、まことに喜ばしい限りである。
読みはじめたら、予想した以上におもしろく、分厚い第3巻を、あれよ、あれよという間に読みおえることができた。そしてつい先だっては「ギリシャ人の物語」を書店に買いにはしった。数日中には、「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」も、手に入れようとかん . . . 本文を読む
昨夜少し遅くまでかかって、塩野七生さんの「十字軍物語」の第2巻を読みおえたので、忘れないうち、そのレビューを書いておこう。
第1巻を読みおえてから、半年以上放置しておいた。まだ文庫化はされておらず、大きく重いハードカバーである。とくに第3巻は477ページ(年表、参考文献欄をのぞく)もあり、定価3400円+税というお値段。
第1巻は第1回十字軍のたたかいについて詳述され、腹にしたたか応えるような読 . . . 本文を読む
新潮文庫の「ローマ人の物語」の表紙は、すべてそこに書かれた時代に発行されたコインが装幀としてあしらわれている。
「通貨は国情の反映である」と塩野七生さんはいう。彼女はこれらを、オークションサイトそのほかで、蒐集したのである。単純な意味での「コイン蒐集」ではなく、歴史家としての眼がそこに光っていて、たいへん興味深いものがある。
本シリーズも、いよいよ最終巻(単行本では15巻中第15巻)となった。
. . . 本文を読む
「キリストの勝利」3分冊を読みおえ、「ローマ世界の終焉」に手をつけたので、忘れないうちに、急ぎ感想を書いておこう。
わたしはこのレビューを、mixiの“レビュー”と、blogの双方に掲載している。
さきほど思いたって、blog「二草庵摘録」に塩野七生のカテゴリーを追加し、塩野さんの著作に関する感想を、そこに集めた。
あらためて「二草庵」のレビューを読み直してみたら、「小説(国内)」と「歴史・民族」 . . . 本文を読む
新潮文庫第27巻「すべての道はローマに通ず」から再読をはじめたローマ人の物語は、35巻「最後の努力」まできた。
「終わりのはじまり」「迷走する帝国」も、レビューを書いておこうと考えたが、忙しさにかまけて、ついパスしてしまったから、ここらで少し書いておこう。
このシリーズに、塩野さんは完成まで15年を費やしている。それだけの価値があるとおもって、取り組んだのだ。そして「ローマ人の物語」は、堂々たる . . . 本文を読む
7-8年前、ハードカバーで読んでいる「すべての道はローマに通ず」を新潮文庫で読み返したので、感想を簡単にしるしておこう。
「ローマ人の物語」の第10巻、文庫本だと、27、28巻に相当する。
このローマ人シリーズの中でも、異色の一編というべき角度から、古代ローマにスポットライトをあててある。塩野さんは本書により、“土木学会出版文化賞”というめずらしい賞を受賞しておられる。
というのも、本書がローマの . . . 本文を読む
「海の都の物語」を読みおえ、本書にとりかかった。
塩野さんは、「わが友マキアヴェッリ」で1988年第27回女流文学賞を受賞している。
本書は「海の都の物語」のあとに書かれているので、読み方としては順当なものといえるだろう。
ただし、まだ読みおえてはいない。
本書は、
序章 サンタンドレアの山荘・五百年後
第一部 マキアヴェッリは、なにを見たか
第二部 マキアヴェッリは、なにをしたか
第三部 マキア . . . 本文を読む
「海の都の物語」も最後の第6巻。第13話「ヴィヴァルディの世紀」第14話「ヴェネツィアの死」の2章を残すのみとなった。
さきほど読みおえた第12話「地中海最後の砦」は圧巻の一語。
胸がかき毟られるような深い感銘に満ちている。海洋都市国家ヴェネツィアの誕生から死へ。
大いなる物語が読者の目頭を熱くせずにおかない。
塩野さんは、いったいどこからこんな物語を掴み出したのだろうか?
ここまで読みすすめて . . . 本文を読む