初冬の風は透明な牙や爪を研いで川べりに立つ人に襲いかかる。木が身をよじって その暴力に抵抗している。いさかいはいつまでたっても絶えることがない。遠くからマンドリンの響きが聞こえているがあれはほんとうはなんの音だろう?悲しみには悲しみのよろこびにはよろこびの音色があってあるいはその中間に 悲しみでもよろこびでもない無数の音色があってぼくはその響きに敏感なんだ。背後でだれかが大きなくしゃみをする。世間からたいして相手にされないうらぶれた男が水っ洟をすすっている。
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マイミク葉流さんは自由律の俳句を書く人、わたしMikenekoは現代詩を書く人である。言語芸術として似ているようで、ずいぶん違った世界を表現している。試みたことはあるけれど、わたしはとても17行のことばに、自分のこころの断片をのせて、風船のように飛ばすことができない。
芭蕉や蕪村、子規などの古典は読むけれど、あるいは種田山頭火くらいは読み齧ってはいるけれど、このような短詩形はわたしの手にあまる。30行か40行書いて、ようやくなにか「表現したな」という気分になる。第一詩集は「夜への階段」としてあるが、第二詩集はまだ正式にはタイトルが決まっていない。
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