アンを夢む（ポエムNO.3-62）

　　　（2011年7月　前橋）



刈り込まれた草のみどりの　カーペットの上で
アンが小鳥たちとはしゃいでいる。
Green Gablesのアン。
たったいま生まれた　というような

いい匂いのする真新しい風景の中で
アンの長い巻スカートが風にゆれ
子犬がそれにキャンキャン戯れる。
ひとすじの涙みたいな小川が流れる。

マリラとマシューは少しはなれ
手作りのサンドイッチをパクつく。
アンと名のる女の子は世界中にいるけど
Green Gablesのアンはひとりしかいない。

ゆるやかにうねる春の野原の
囀っているひばりの産毛の
指さきの小さなルビーの
目の塵を洗い流す涙の

Green Gablesのアン。
バラ色の頬をしたダイアナを待っているのだろう。
小鳥に話しかけられ
なにやら愉しげに返事をしているアン。

Green Gablesのアン。
おっと　本がディスクから落っこちそうになっている。
缶ビールをさっさと飲み干して
夢のつづきをみるとしよう。