(2014年10月撮影 前橋市)
1 青空のかけら
友達が突然涙ぐむ。
「青空のかけらが目に入ってしまってね」
そういいわけし 足早に横断歩道を渡っていった。
「ああ そういうこともあるんだね」
返事をしそびれ さよならもいわなかった。
春風のピアニシモ。
それに乗っていってしまった
タンポポの綿毛みたいに。
いっしょに飛び立てばよかった
この地球の外側へ。
2 哲学者
哲学者がくしゃみする。
唾が飛び散る ことばじゃなくて。
その唾を集めれば本ができるだろう。
本人以外には読むことができない本が。
3 集まってきたもの
グランドのはずれ
ひとりで弾んでいるテニスボール。
利根川の中洲
黄色い菜の花の絵本。
教会の壊れかけた椅子の上
ガタゴトうるさい ガラスでできた鳩の羽。
柱時計の裏側で忘れられた
吹くことができないサックス 四分音符そっくりの。
外出禁止でヒマしていたら 耳のうしろに
そんなへんなものばかり集まってきた。
4 朔太郎さん
朔太郎さんが文庫本の中で
おしっこをし
そのまま黙って書棚の向こうへいってしまう。
おっと それっきり姿を見かけない。
もう半世紀以上たつというのに。
お訊きしたいことがあったのだ。
亀や蛸と友達づきあいしていたようだけど
話しかけたら返事をしてくれたのかな?
たとえば詩の どこかの一行で。
1 青空のかけら
友達が突然涙ぐむ。
「青空のかけらが目に入ってしまってね」
そういいわけし 足早に横断歩道を渡っていった。
「ああ そういうこともあるんだね」
返事をしそびれ さよならもいわなかった。
春風のピアニシモ。
それに乗っていってしまった
タンポポの綿毛みたいに。
いっしょに飛び立てばよかった
この地球の外側へ。
2 哲学者
哲学者がくしゃみする。
唾が飛び散る ことばじゃなくて。
その唾を集めれば本ができるだろう。
本人以外には読むことができない本が。
3 集まってきたもの
グランドのはずれ
ひとりで弾んでいるテニスボール。
利根川の中洲
黄色い菜の花の絵本。
教会の壊れかけた椅子の上
ガタゴトうるさい ガラスでできた鳩の羽。
柱時計の裏側で忘れられた
吹くことができないサックス 四分音符そっくりの。
外出禁止でヒマしていたら 耳のうしろに
そんなへんなものばかり集まってきた。
4 朔太郎さん
朔太郎さんが文庫本の中で
おしっこをし
そのまま黙って書棚の向こうへいってしまう。
おっと それっきり姿を見かけない。
もう半世紀以上たつというのに。
お訊きしたいことがあったのだ。
亀や蛸と友達づきあいしていたようだけど
話しかけたら返事をしてくれたのかな?
たとえば詩の どこかの一行で。