二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ベッドの上でぼくは過去とむつみあう(ポエムNO.2-50)

2015年03月01日 | 俳句・短歌・詩集

ストレスがたまっているのに
そのはけ口がない。
ありそうで ないのだ。
なさそうで ある ともいえるが・・・。



バス停でバスを待っている人たちのかたわらを通りすぎると
ぷかぷか浮かんだ白い雲におでこをぶつけそうになった。
ぼくはもちろんガリバーじゃないのだけれど。
すがすがしいお天気がぼくを虚空へといざなう。

ヒマなので公園のベンチへいってコンビニ弁当を食べていると
遠くの藪陰からツグミがそれを眺めている。
上体をぐっと反らした あの独特なポーズで。
食べ残しでよければきみにもこの弁当をあげよう。

ルリビタキの写真がうまく撮れたりすると
何日かは気分上々 だれかにそれを告げたくなる。
「ほらほら こんな写真が撮れたんだ」と 
普段よりいくぶん大きな声で。

商店街のある角まできて なにかいおうとして口ごもると
きみの笑顔がやたら眩しい。
それはなぜだろう
なぜなんだろう と考えながら二人で歩いていた冬の日の前橋。

寡黙な父の皺ふかい横顔を見ていると
ぼくの未来がそこににんじんで見えてきたりする。
ああ ぼくもいずれこんな横顔をするんだろうか。
九十歳まで生きられたら・・・という条件つきだが。

夜のへりを散歩していると
ぼくの過去の一部が夢の中にあふれそうになる。
ブルーブラックのインクのように じわりじわりと。
二千語ほどのことばとなっている夢の中へ「ぼく」という一語が拡がる。



ぽつりぽつりと降りはじめた雨は
すぐにやんで 遠くに青空のカケラが見えてきた。
今日はいつもよりはやく家に帰ろう。
リビングのソファーで
ぼくは雄ネコテンちゃんのかたわらで眠る。
テンちゃんがぼくのかたわらで・・・ではなくて
ぼくがテンちゃんのかたわら で。

眠るとは過去とむつみあうこと。
ソファーの上で あるいはベッドの上で。
さて 今夜はどんな夢に呼ばれることになるのだろう。
ぼくは寝支度し いそいそとシャワーを浴びにいく。

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