どこからやってきたのかは少しはわかっている。
だけど どこへ向かっているのかは だれも知らない。
ぼくらは現在という時間の孤島に漂着したのだ。
一人ひとりが べつな島の上で暮らしているのかしら?
そうともいえる。
家族が 乗り合わせた舟のように
同じ島で暮らしているのかしら?
そうともいえる。
ある町の住人が・・・。
そうともいえる。
どの島も漂流している浮島。
ぼくはしばらく前に読んだ独歩の「忘れ得ぬ人々」のことを思い出す。
島と島がふれあったのだ。
介在したのは 偶然以外のなにものでもないはず なのに。
ぼくだって きみやきみたちに
永遠のこちら側で出会っている。
別れはすぐにやってくるだろう。